神々の尖兵   作:揚物

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38.収穫祭

 予想通り、公式に声明を出したことで、獣人が多くトロン王国に逃げ込んできている。

 そんな状況ではあるのだが、トロン王国に近い各国から苦情の書面が毎月のように届いていた。

 獣人の多くを奴隷としていたため、トロン王国に逃げてしまったため国の運営に支障をきたし始めているのだ。

 一方でトロン王国でも全ての奴隷の開放はまだ出来ていない。

 やはり犯罪を犯したことで奴隷になった者を開放するわけにも行かず、犯罪者を使用した強制労働施設や刑務所の建設が行われている。

 また生活の一部になっている為、いきなりすべての奴隷を開放するにはリスクが大きすぎた。その為3年計画で一般奴隷の開放を行うことになっている。

 もちろん獣人奴隷に関しては、宣言当日に王国が全て買い上げる形でとりあげ、開放を行い日本が引き取った。

 南方10か国の連携は乱れ始めているが、トミン王に一度王政が渡ったときには、新たな王に歓迎の書を送る始末。

 いまでは盗賊や奴隷商人がトロン王国の領地内に入り込んで村々を襲撃して回り、連携と言ってもその程度、日本としても維持する価値があるとは考えておらず、新たな同盟国家を得る考えを持っていた。

 群雄割拠な時代、同盟などの約束にそれほどの価値はなかった。

 だからこそ盛大なお祭りを開くことで、現体制で国家は繁栄し政策は正しいと見せつけようとした。

 食べ放題飲み放題のお祭り収穫祭、日本も大量にお酒や食べ物を提供し、今日だけ味わえる多様なパン類が並べられていた。

 

「さぁさぁ! 旅人も食った食った! 今日は収穫祭だよ!!」

「交易先から入荷した酒だぁ! 今日くらいしか飲み放題はできないぞぉ!!」

「このパンは特別だぁ! フカフカで甘いものは収穫祭でしか食べれないよ!!」

 

 提供された食品はしっかりとこの世界の趣向を調べた物であり、多くの場所で食い倒れ酔い倒れの国民や旅人が出ていた。

 

「あぁぁぁもうのめねぇぇぇ」

「おいおい、まだまだ酒はあるぞ!」

「腹がはちきれちまう……」

 

 一国の繁栄は妬みと渇望を産み、訪れていた商人や貴族は華やかな祭りを憎しみの目で見ていた。

 

「トロン王国の分際で」

「我々の奴隷を奪い、騒ぎやがって」

 

 

 

 

 南の隣国オドン。トロン王国よりも若干小さい国家だが、複数の鉄鉱石鉱山がある為に豊かで騎士や兵士は装備が行き渡っている。

 主な鉱山労働者は奴隷であるため、獣人奴隷が逃げ出したことで採掘人員が減っていた。

 豪商であるヨクゴウが声を上げ、労働力であり奴隷である獣人を奪ったトロン王国から取り戻せと、国内の貴族や商会を巻き込み国家を動かし、軍の派遣を行わせた。

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