神々の尖兵   作:揚物

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39.トロン王国襲撃

 南の隣国、オドン国から兵団が出た事が確認され、大急ぎで防壁の外側で暮らす農民を王都内に呼び戻し籠城に入る。

 数日後、避難も完全に完了した頃。

 

「きたぞぉ!」

 

 日本から騎士団に向けて販売された民生品の望遠鏡、監視兵の先には、せっかく広げた農地を踏み荒らしながら、兵団が向かってくるのが映っていた。

 城壁から見える範囲には、トロン王国からしてみれば呆れかえるほどの兵団がいた。

 

「およそ5000程度かと思いますが」

 

 護衛騎士団長アメリと王国騎士団長ラニールは報告を聞きながら、急ぎ全ての騎士に防壁に集まるように指示を出していた。

 トロン王国の兵団はいまだ再軍備中で、常設の兵士はほとんど居ない。騎士のみおよそ1000名程度、絶対的に数で負けている。

 

「投石機や攻城櫓を狙え!」

 

 奴隷と思われる貧相な服を着た人々が牽く投石器と攻城櫓、トロン王国の騎士達が弓に火矢をつがえる。

 支給されまだ数が少ないリーカブボウ、騎士が構える弓から矢が放たれ、火矢が投石器にそして攻城用櫓に届き燃え上がる。

 当初は使いにくかった変わった弓、しかし射程距離ははるかに伸び、火矢ではなければさらに遠くまで届く。

 

「惜しみなく矢を使え! 矢はいくらでもあるぞ!!」

 

 日本から安価な矢羽根(生体分解性プラスチック製)を大量に購入し、鍛冶師達が国家の買い上げで大量に作り続けている。

 一般的国家なら不可能な量の矢の雨を降らせても、まだまだ余裕はある。次々と運び込まれてくる矢の山、以前の国家ならありえないほどの大盤振る舞いだ。

 

「投石機と攻城櫓、そして敵の弓兵を狙え!」

 

 今は防壁に取りつかれないよう、絃が切れるまでひたすらに矢を放ち続ける。日本の支援が来るまで持ち持ちこたえる事が出来ればよい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 自衛隊外人部隊は臨時装甲列車8両を先頭に支援に向かっている。

 

 急造装甲列車

・頑丈なドーザーを装着したディーゼル装甲機関車

 除雪用ドーザーを改造したドーザーを正面に装着し、全面を装甲板で覆っているだけのディーゼル機関車

・16式装甲装輪車と同じ装甲板

 専用の装甲板を開発する余裕もなく、製造ラインの問題から前面に溶接で繋げている

・装甲車両側面に機銃を撃てる銃眼

 必要であれば実弾を使用するが、基本的にゴム弾を主とする

・16式の砲塔を転用した主砲

 余剰生産できるものがこれしかなかった

・対空車両

 イギリスのBAEシステムズ社のマークスマン砲塔を丸ごと載せている。

・暴徒鎮圧車両

 高水圧砲と水タンクの車両、いまだ開発中のため消防車のモノを乗せている。

 

 

 以上、寄せ集めで乗っけられるものを乗せたような急造品だが、それでもないよりはましであった。

 威圧の笛や銅鑼代わりにスピーカーから汽笛を大音量で流し、オドン王国の陣にむかっていく。

 

「なんだあれは!?」

 

 状況が理解できず逃げ回る者も居れば、勇敢に立ちはだかろうと線路に入る者もいるが、除雪用ドーザーを参考に作られたドーザーブレードによって線路外にはじき出され、地面に体を激しく打ち付ける。

 槍を投げる者、弓矢を放つ者、僅かながら抵抗を試みるもなんの意味もなく、装甲列車はオドン国の陣を突破していく。

 

「だめだぁ! なにもきかねぇ!!」

「投石機だ! 投石機を!!」

「そんなもん全部燃えちまってるよ!!!」

 

 運悪くオドン国の兵団は線路の経路に陣を張っており、物資やテントなど根こそぎ引き倒され、馬は逃げ出し進路上の物資を壊してしまう。

 そして装甲列車が何もかも引っ掻き回しながら、トロン王国正門近くの停車駅に到着。

 4つの105mmの砲門を向ける頃には、オドン国の兵団は混乱状況に陥っており、すでに約3000の兵団から2000程度の混乱する雑兵と、いまだ規律を保つ1000程度の騎士団に分かれていた。

 

「重装騎馬団! 前へ!」

 

 号令の下、オドン王国の虎の子である、鉄製の重装備に身を包んだ騎馬隊が槍を構え突撃を開始。勇猛果敢に何も知らぬ蛮勇は、自衛隊が手を出す事なく終わりを告げた。

 防壁から騎士団の持つコンパウンドクロスボウの射程のため、降り注ぐ太矢が鉄製の鎧を貫き地面に倒れていく。

 トロン王国に引き込まれていた線路に、戦後日本初の装甲列車が到着したことに、トロン王国の騎士達は驚いたが、装甲列車ではないが何度か輸送列車を見たことがあるトロン王国の騎士達は、装甲列車による陣の突破に一時唖然としたものの、即座にコンパウンドクロスボウを構え時を待っていた。

 最高のタイミングとまではいかなかったが、重装備故に一度走り出すと止まれないので太矢を全身に受け、400騎のほとんどを打ち取られ事実上重装騎馬団は壊滅した。

 

 

 

 高価な重装備に身を包む重装騎馬兵の数は400程度だが、敵兵団を打ち破り勝利を確定させる大事な戦力であった。

 それを失ったことで攻城戦は一日で終了し、オドン国の兵団は散り散りになりながら逃げ去っていった。

 残るは怪我をしたり戦意を完全に失った者、そして奴隷達が残されており、全員をまずは捕えたのち完成したばかりの収容施設に送り込んだ。

 

 

 言ってしまえば、戦争の規模は町村の人口程度、力でねじ伏せるのは余りにも簡単であり、日本として心象が宜しくないという欠点くらいしかない。






なんていうかこう・・・、
当時の戦争って考えれば考えるほど、熱くも美学もロマンもなくなっていく苦悩が・・・(´・ω:;.:...
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