神々の尖兵   作:揚物

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43.再びの戦争?

 南部十カ国のうちトロン王国を除いて9カ国、うち一国はすでに滅びかけ、さらに2カ国から宣戦布告を受ける。

 王国騎士団団長 ラニールは頭痛を覚えながらも、短く切りそろえた金髪を纏め会議に参加していた。

 

「では、ソミ国とトウホ国の兵団について報告を」

 

 偵察に出ていた兵士が戻り報告が上がる。

 

「およそ1万、王都へ向かっております」

 

 もはや籠城戦さえできる差ではない。王国騎士団の10倍、豊富な矢があろうとも防げるものではない。

 各兵団を長を務めるも兵士も眉間にしわを寄せた。

 

「ニホンからは問題ないと連絡を受けており、付近の村々や農民を王都に入れるよう指示が来ています」

 

「勝てるのかね?」

「さすがに敵が多すぎる」

「いや、あの妙な鉄の大蛇が居る以上、他に鉄の獣を持っている可能性がある。 我々は指示の通り防衛に徹するべきだ」

 

 日本はいまだ力を見せていない。弓矢一つ放っていないのだ。余りにも未知数である。

 

「我々に他の同盟国はない。 もはやニホンに頼るしかない現状だ」

「以前よりも国力は増している。 信じるしかないだろう」

 

 とはいえ、こんな状況でも日本の人心掌握は続いている。

 会議の軽食で提供される チーズベーコンマヨネーズパン トロン王国の硬めのパンを一口サイズに切り、チーズと厚切りベーコンを乗せた後、マヨネーズをかけて焼いただけなもの。

 

「まぁ、何はともあれニホンを信じるしかあるまい」

「うむ。 間食の追加はないかね?」

 

 

 

 

 さすがに日本も二度目の宣戦布告となるとある種の覚悟も決まる。いくら穏便な手段を取る方針と言っても、名誉や権力で邪魔をされては、いつまで経っても亜人族の保護が出来ない。

 簡単にして絶大な威圧行為を行うこととした。それは航空機の低空飛行による警告である。特定基地の滑走路から4機の航空機が標的に向け飛び立っていった。

 

 

 

 

 ソミ国とトウホ国の兵団は二手に分かれ、トロン王国を目指して行軍していた。

 

「何の音だ?」

「聞いた事もないが」

 

 兵士達が周囲を見回している中、日本のT-4が超低空地上3メートルを抜け、凄まじい轟音を発しながら、スモークを巻いていく。ただそれだけだ。

 しかしそれだけでも十分すぎる威圧効果はあった。

 

「ひぃぃぃ!」

「新種のワイバーンか!?」

「火矢だ! 火矢を!!」

 

 この大陸において飛行戦力はワイバーンのみ、それらしいものが上空を通り抜ける。

 それが野生種だとしても、空を飛ぶ以上そう簡単に倒せる相手ではない。弓兵にバリスタで叩き落し、騎士の数を持って仕留める相手。その準備が出来ていない状況で突然現れた存在、混乱するなと言う方が無理がある。

 士気と統率を失い、両軍は一旦を引き上げる判断をした。

 

 

 

 戦うことなく戦争を一時回避したが、手を緩めるつもりもなく、トロン王国は宣戦布告を受けたため、今後一切の該当国と交易および品物の売却をしないと、そしてソミ国とトウホ国と取引をする国とは、特別交易品の価格を引き上げると公式宣言を他国に流した。

 つまり、二国と交易をする限り、日本の製品を買うのはとても難しくなると言う事になる。権力を持つ層が求める品が手に入りにくくなるが、これに怒って攻めてくるも良し、それともトロン王国を選んで交易禁止するも良し、どちらを選んでも敵味方がはっきりする。

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