神々の尖兵   作:揚物

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44.トロン王国 難民1

 隣国から流れてくる難民や流民、それがどんどんと集まり、トロン王国の人口はかなり増えてきている。

 出来る事は限られるが、犯罪者になられても困る為、大抵のものは元働いていた業種に斡旋し、余剰の場合は拡張されていく農地や道路や水路整備に割り当てられていた。

 日本の効率の良い灌漑によって、農地は広がり収穫量は増え、連作の注意や天然肥料の撒き方など、国力は一定の期間を置くごとにどんどん増している。

 しかしそんな状況とはいえ、厳しいトロン王国のルールを守れるなく、やはり流民や難民は数度は捕えられることになる。

 それこそ簡単な軽犯罪にまつわるものであるため、処罰をするにも王国側は困り、日本の提案する方法を取る事にした。

 軽犯罪人は一か所に集め羅られ、目の前に用意されたのはコップに入れられた水。それを飲むだけとなる。

 

「なんだこんな簡単なことか」

「まぁ、こんなことなら」

 

 妙なにおいがするわけでもなく、変な色をしているわけでもない。一気にあおると目を見開き口を押える。

 

「ぎっ! ぎゃぁぁぁぁぁ!」

「舌が舌が!!!」

「水!水をくれぇぇ!!」

 

 デナトニウムベンゾエイトの原液、それを大匙2杯もコップに混ぜた水。

 暴力を振るうわけでもなく、ただただ24時間は逃れる事が出来ない強烈な苦味に苦しむ。脳と舌に焼き付く地獄、これが刑罰。鞭打ちや棒打ちなどの前段階であるが、思い出すだけで激しく気分が落ちる為に、極めて平和的に犯罪行為に対してトラウマになるように仕向けた。

 厳しいルールゆえに当初は守れない軽犯罪程度なら、これで十分と言うのが日本の考えであったが、効果はてきめんであり軽犯罪の再犯は激減することとなる。

 

 

 

 

 難民や流民の仕事はもちろん、大抵が農作業や道路と水路整備となる。

 特に大変なのが道路整備であり、地面を木ハンマーで叩いて平面にし、その上に平たい石を敷くという重労働だが、もっとも稼ぎが多い上に、食事が優遇されるために体力に自信のある難民はこぞって参加、新たに地面に敷く石板を作る為の石工の増員も行われ、新たな産業として活発になっていく。

 

「今日の作業はここまで! 皆配給券を受け取り帰るように!!」

 

 夕刻になり、作業を行っていた人々は監視員から配給券を受け取り帰宅していく。

 仕事を終え、疲れた体で集合宿泊所に入るとまずは集合風呂に入り、配給された中古服を着用して各部屋に戻る。

 狭いと言っても各部屋はきっちり分けられ、家族であれば8畳くらいの広さがある部屋が割り当てられていた。

 

「おかえりなさい」

「おかえり~」

 

 家族で暮らせるからこそ落ち着ける点もあるが、一方でやせ細っている人達も多く、カロリー不足で働く事も厳しい状態な人も多かった。

 

「ただいま。 今日ももらってきたぞ」

 

 大人はともかく子供は危険な状況な子もおり、味はともかく毎日摂取するようにと、一時的に超高カロリーな飲み物として、カロリーメイト リキッド と マーマイト を配給、少しずつではあるがやせ細っていた体形も戻りつつあった。

 難民は多くない稼ぎではあるが、配給によって食材は十分にあるため各部屋で調理は出来ないが、共同調理場で料理を作り、部屋で家族と食事を楽しむこともできる。

 衣食住、そしてルール、完全ではないにしろ他国より生きているという充実感は得られ、トロン王国の規模は少しずつ拡大していく。

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