神々の尖兵 作:揚物
日本の技術は良く知られ渡り、だからこそ武具の発注が来た。むろんトロン王国側も断っているのだが、それが頻繁ともなると技術を疑われてしまうため、仕方なく日本で作られることになったのだが、正直言ってノウハウもなければデザインもない。
武者鎧を作るわけにもいかず、目立ち、インパクトがあり、さらに豪華で、美しく、そして実用性も見られなければならない。
あれこれと考えている中、バンダイから提供されたプラモデルを参考に制作するとした。それくらいしか参考にできるものがなく、怪しい先進的や先鋭的なデザイナーに実用性をぶん投げられて作られても困る。
試作が繰り返される中、相応の強度と実用性をクリアした品が複数輸送され、王城完成記念が近いトロン王国に飾られることになった。
色を塗るのではなくアルマイト加工による装飾が為され、出来上がったものは蒼く輝く「霞の鎧」の人間サイズ。
「実に素晴らしい。動きやすくそして装飾性も良いとは」
感嘆の声を上げているのは招かれた友好国の騎士団長たち、鎧の横には同じ強度を持つ鉄板が用意され、何度となく騎士団長や副長が握る剣が叩き込まれるも、それでも壊す事が出来ずにしびれた手で剣を落とすだけだった。
「よし、俺が試してやろう」
大柄の男が試し用の剣を抜き、上段に構えると気合と共に振り下ろされた。他の者達とは異なり、甲高い音を立てて剣が砕け散り破片が周囲に飛び散った。
「硬いな。 薄い鉄板なのにこれほどとは」
5mmにも満たない薄い鉄板、それでも分厚い試し剣を砕いてしまう強度、その手に残っている柄だけを見た後、騎士団長達は鎧を見つめる。
「う~む。 なんとか購入できないものか」
「トロン製の武具は中々買えんが、これはぜひとも買いたいものだ」
トロン製の武具は日本の民間鋼材によって品質が向上し、国内に十分回った為高値ではあるが他国にも売却が始まっている。
生産がまったく追い付かず、強度が高い為に加工に難儀しているので、国外での流通量は非常に少なかった。
「交易先からの特注品ですので、こちらを販売する事は出来ません。ですが彼の国から仕入れている資材、それで製品を作れるのはわが国だけとなります。しかし、獣人への協力が頂けるなら、特別に数個は卸しても良いと連絡を頂いております」
この問いかけに二カ国は全ての獣人の引き渡しを受け入れ、正式にすべての獣人を引き渡し鎧の販売と各貿易品の低価格購入の権利を手に入れた。
日本の特定基地に恐竜族が訪ねてきた。
トリケラトプス型の大型草食恐竜、見た目や体格こそ似ているものの、色合いは非常に地味で知性も高い。傷だらけの体も目立つが、片側が折れた角も目立つ。
「あだがだが獣人達にどって、しったげ大ぎな事してらど聞ぎ、おいも戦いに加えでもらえねぁがど」
方言が強くて少々手間取ったものの、獣人族の為に日本に協力したいそうだ。日本としてもこの世界の住民の自立的行動に関して断る理由はなく、まずは生活スタイルの理解が必要なために健康診断ならぬ生態調査を行ってもらう事とした。