神々の尖兵 作:揚物
獣人達が言うには荒れ地の南側は、恐竜族も暮らせないほど過酷なため、他種族でも安全に通過できるらしい。
「これはこれは、確かに変温動物は無理だ。しかし地球とは異なるのだな」
外交官であり指揮官である阿部の視線の先には、地面一体に霜柱のようなものができており、変温動物が住めるような大地ではなかった。
「念のため確認します」
高機動車から降りた津村陸曹が危険がないことを確認する。
「問題ありません。ただ足元から冷える感じがします」
「地面のみが低温なのだろうか。なんであれ移動を続けよう」
地面のみ極端に冷えている寒冷荒れ地を抜け二日、町が見えてきた。
ノプロン伯爵領地 城塞都市キャロ
異形な物体に乗る集団に兵士が集まる中、代表である外交官が謁見を求めたところ
「ここでまて」
1時間ほど城塞都市の入り口で待たされている。
「これは失敗でしたね。 荷車でも調達してくるべきでした」
外交官の阿部は、文明力の差を考えてはいたものの、余りにも当然であった車両、思考から抜け落ちていた。
「身を守るためには必要な事かと」
川久保陸曹長は周囲を警戒しているのだが、50人近い兵士に囲まれて皆緊張している。
「動画撮影は止めないように、何か起きた場合の記録となる」
「面会を求める連中が来ただと?」
「はい。 見たこともない服装と初めて聞く国名を名乗っておりまして。面会を求めておりますが、どのようにすべきかお伺いを立てに参りました」
執務室で兵士長から話を聞いていたノプロン伯爵は、見知らぬ相手などを応対などするつもりなどなかった。
名のある伯爵、前もって連絡のない相手となど面会するはずもない。
「そんな奴らラルゴ行政官にでも対処させておけ。私は忙しいのだ」
「わかりました」
兵士長は伯爵の屋敷を出ると、その足で行政庁に赴き報告を行う。
「馬のない鉄馬車とは、珍しい。そやつらを捕まえよ」
「は? 彼の者達は外交を求めているのですが」
「蛮族なんぞどうということはない。我々が所有してやるのだ」
「しかし、伯爵様のご命令がない限り、正規兵を動かすわけには参りません」
兵士長として帝国法には従う義務がある。逆らえば法によって罰せられ牢獄に繋がれてしまう。
行政官は苛立ちながら話を続ける。
「ならば警護兵だけでやれ。とっとやらんと貴様の首を飛ばすぞ!」
「……わかりました」
行政官ラルゴに対して、一介の兵士長が逆らえるわけもない。
「兵の動きがおかしいです。囲うように動いています」
いままで城壁側にいた兵士たちが、少しずつ取り囲むように広がっていく。
川久保陸曹長の目に、兵士達が腰に収めていた剣の柄に手をかけるのが目に入った。
「フラッシュ! 全員乗車し車を出せ!」
剣を抜いてこちらに迫る兵士対してスタングレネードを投げる。
さすがに外交予定の相手を射殺するわけにはいかない。
強烈な光によって目がくらみ、兵士たちが目をくらませている中、ワイヤーを繋げていたスタングレネードを回収、対処していた自衛隊員は車両に乗り込み、囲いを抜け城塞都市キャロから離れる。
車両の強奪未遂、自衛官への傷害未遂、結論は現状での対話は不可能。
(*゚∀゚)<休みは今日で終わりですねぇ>ヘ(゚∀゚ヘ)