神々の尖兵   作:揚物

5 / 65
4.外交さえ不可能

 獣人達が言うには荒れ地の南側は、恐竜族も暮らせないほど過酷なため、他種族でも安全に通過できるらしい。

 

「これはこれは、確かに変温動物は無理だ。しかし地球とは異なるのだな」

 

 外交官であり指揮官である阿部の視線の先には、地面一体に霜柱のようなものができており、変温動物が住めるような大地ではなかった。

 

「念のため確認します」

 

 高機動車から降りた津村陸曹が危険がないことを確認する。

 

「問題ありません。ただ足元から冷える感じがします」

 

「地面のみが低温なのだろうか。なんであれ移動を続けよう」

 

 地面のみ極端に冷えている寒冷荒れ地を抜け二日、町が見えてきた。

 

 

 

 ノプロン伯爵領地 城塞都市キャロ

 異形な物体に乗る集団に兵士が集まる中、代表である外交官が謁見を求めたところ

 

「ここでまて」

 

 1時間ほど城塞都市の入り口で待たされている。

 

「これは失敗でしたね。 荷車でも調達してくるべきでした」

 

 外交官の阿部は、文明力の差を考えてはいたものの、余りにも当然であった車両、思考から抜け落ちていた。

 

「身を守るためには必要な事かと」

 

 川久保陸曹長は周囲を警戒しているのだが、50人近い兵士に囲まれて皆緊張している。

 

「動画撮影は止めないように、何か起きた場合の記録となる」

 

 

 

 

「面会を求める連中が来ただと?」

 

「はい。 見たこともない服装と初めて聞く国名を名乗っておりまして。面会を求めておりますが、どのようにすべきかお伺いを立てに参りました」

 

 執務室で兵士長から話を聞いていたノプロン伯爵は、見知らぬ相手などを応対などするつもりなどなかった。

 名のある伯爵、前もって連絡のない相手となど面会するはずもない。

 

「そんな奴らラルゴ行政官にでも対処させておけ。私は忙しいのだ」

 

「わかりました」

 

 兵士長は伯爵の屋敷を出ると、その足で行政庁に赴き報告を行う。

 

「馬のない鉄馬車とは、珍しい。そやつらを捕まえよ」

 

「は? 彼の者達は外交を求めているのですが」

 

「蛮族なんぞどうということはない。我々が所有してやるのだ」

 

「しかし、伯爵様のご命令がない限り、正規兵を動かすわけには参りません」

 

 兵士長として帝国法には従う義務がある。逆らえば法によって罰せられ牢獄に繋がれてしまう。

 行政官は苛立ちながら話を続ける。

 

「ならば警護兵だけでやれ。とっとやらんと貴様の首を飛ばすぞ!」

 

「……わかりました」

 

 行政官ラルゴに対して、一介の兵士長が逆らえるわけもない。

 

 

 

 

「兵の動きがおかしいです。囲うように動いています」

 

 いままで城壁側にいた兵士たちが、少しずつ取り囲むように広がっていく。

 川久保陸曹長の目に、兵士達が腰に収めていた剣の柄に手をかけるのが目に入った。

 

「フラッシュ! 全員乗車し車を出せ!」

 

 剣を抜いてこちらに迫る兵士対してスタングレネードを投げる。

 さすがに外交予定の相手を射殺するわけにはいかない。

 強烈な光によって目がくらみ、兵士たちが目をくらませている中、ワイヤーを繋げていたスタングレネードを回収、対処していた自衛隊員は車両に乗り込み、囲いを抜け城塞都市キャロから離れる。

 車両の強奪未遂、自衛官への傷害未遂、結論は現状での対話は不可能。

 




(*゚∀゚)<休みは今日で終わりですねぇ>ヘ(゚∀゚ヘ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。