神々の尖兵   作:揚物

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52.他大陸の状況

 良くも悪くもノーリスモルト国は大きな国であるため、法や国家運営はしっかりしており、国家教であるオーメウス教の変革によって徐々にだが亜人への弾圧や奴隷化は収まりつつある。

 王や貴族の権威も、国教の権力と潤沢に流される金銭によって鞍替えが起きた。

 表向き血を流す事なく、裏では凄惨な暗殺と権力争いで流血が続く中、獣人弾圧や奴隷化は低俗的考えであり原典の解釈の間違いであるとして動き始めていた。

 

 

 

 そのころトロン王国では、日本の知識協力によって農業に関しての成果を見せ始め、的確な肥料の投入や水やりなど、農作物の収穫量はトロン王国だけではもはや消費しきれないほどに膨れ上がった。

 いまやトロン王国は真っ当に働きさえすれば、喰うに困る事はない。そして真っ当に働く口はいくらでもあり、むしろ人手が足りないほどであった。

 他国領からの移民や流民、売却される大量の安価な食糧、略奪しようにも不可能な戦力に警備する兵士の巡回、トロン王国があるだけで周辺国は経済的に押されて力が奪われていく。

 こちらも時間が解決してくれるだろう。

 

 

 

 獣人王国ワイルドビートについては、いまだ交渉と交流が続けられているものの、人間に対して根深い不信感がある事から難民町の長となった獣人ルファスによって会談が行われ、徐々にだが国境防衛が主体となり攻勢に出る事は少なくなってきている。

 山を貫くトンネルも出来上がった事から直接的交流も増え、難民町で栽培されている甜菜糖から作られた砂糖は大いに売れている。

 一部ではあるが日本にも販売され、100%天然無農薬栽培から作られたとして高価格で取引されている。もちろんそれで得た金銭は難民町から日本製品を輸入する事に使われていた。

 

 

 

 

 

 日本政府も一定の水準に達したとして、日本が手を下す必要はもうなく時間が解決してくれると判断した。

 その為打ち上げ準備が進められている衛星を待たず、とある事情で情報を得た他大陸に向け、手を伸ばす方針に変更した。

 それはおおよそ平和的に進んでいる中、特定基地北の海域を漂流している船舶が発見された。

 日本としては安全の為に係留を試み乗船をしたところ、漂流していた鋼鉄で出来た輸送船、積まれていたのはドイツ軍のⅢ号戦車、そして各種兵装が確認された。

 

「間違いありません。 この国旗はナチスドイツのものです」

 

 海流に流されてきた輸送船、とっくに失われたはずの国家、それの輸送船とはどういうことなのかと。

 大騒ぎになり、本国で神々に伺いを立てたところ、日本に住まう神の話では近くて遠い別次元のドイツであり、偶然この世界に一部の軍が超常現象実験中に転移に成功したらしいとのこと。

 しかし思想も技術も歴史と全く同じと言う事。旧同盟国であった大日本帝国時代ならまだしも、フランス侵攻直前のドイツと現代の日本とは相いれる事はない。

 残っていた情報から一軍であったがすでにこの世界に根付き、国家として他国を侵略中であると言う事だ。

 しかし周辺海域の調査は終わっているがすぐに向かう事は出来ない。

 海魔と呼ばれる巨大生物(巨大タコ)との交渉はそれなりに進んでおり、彼らの主要言語であるフランス語によって海路の安全と引き換えに、体長8mを超える故に自らがこもれる巣穴が滅多にない為、巨大タコつぼを含む岩礁の整備と引き換えに縄張りの航路の補償が決定している。

 その為現在建造中の為まだ半年間は出向が出来る状態ではなかった。

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