神々の尖兵   作:揚物

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57.首都 アドルフ

 新生独逸国は総統代行が頂点であり国家の代表となる。建国の方法はどうであれ、以前の旧体制の国家よりも遥かに発展し、元々存在していた貧弱な国家群を滅ぼし民衆を統一している。

 10年近くは貴重な兵器を大事に使用しなければならなかったが、幸い生産は非常に遅いが保守整備が出来る程度の技術に到達し、一息つき国家の力があがり安定したところで、国の西方から酷く荒れた道のりを歩み現れた難民の群れ。

 略奪する力もなく、放っておけば飢え死にするだけの者達、残酷と言われるSSであっても最低限人としての慈悲くらいはあり、人を家畜としてみても家畜を扱う上でのルールくらいはある。だからこそ元の世界では最低限の労働力と待遇、この世界の基準としてみれば相応に甘い待遇で迎え入れた。

 彼等の情報から新たな国家の存在、西にあるという広大な国土を持つ新王モネフ国、だがそこは地獄であった。

 一神教を崇め、教徒以外は全て奴隷以下である。つまりドイツもこの国の劣等民も、そして虫人も全て奴隷であり家畜に過ぎない。対話などできるはずもなく、送り出した外交団の一団は殺され、いまだ貴重な車両を奪われてしまった。

 宗教は薬であるが猛毒、近代化するまで宗教に依存しているのならば、心は完全に閉じている。外部の意見など聞くはずもなく、意見などできるわけもない。

 向こうが待つ回答は 教化 か 滅び のみ、昔から交流がある地球の国家ならまだしも、新たに国交を持つ状況では何もできない。

 だからこそ、総統代行は戦争を選んだ。相手は近代に近い為時間こそ掛かっているが、ドイツ軍は順調に新王モネフ国の従属国家の城塞都市を滅ぼしている。問題は捕虜も取れず土地や井戸は彼らが撒いた毒で汚染され、得られるものが何一つもない物資や時間を浪費するだけの戦争であった。

 

 

 

 

 首都 アドルフ、総統府の執務室では、総統代行が執務に当たっていた。

 本来の総統はたった一人であるため、この国では代行が最高位であり、一軍とはいえ最高位であった中将が現在その地位にある。

 枯れ葉酒もたばこも肉も接種せず、理想でもある総統に近付こうと食生活や生活スタイルまで近付け、髪型や髭も同じにしている。しかし背がかなり高い為に一目見て似ているとは言えない。

 総統代行が新たな書類に目を通し、日本が外交に訪れた事による輸出入についての案が書かれていた。

 

「日本が来たとなれば、諸雑貨を色々輸入が出来るか」

 

 いまだ1935年程度まで文明が戻っているとはいえず、主に軍事面を優先している為、娯楽品や服飾品など後回しにされていた。

 むろん軍事面を優先したおかげで低文明の弱小国家群を制圧し、狂った宗教国家相手に優勢に立ち回れている。それがなければ、最悪攻め込まれ兵器を幾らか奪われさらに領土も少し喪失していた事だろう。

 

「それで、嗜好品がかなり多いようだが?」

 

 輸入品一覧には随分と多めの嗜好品が掛かれている。むろん軍服や軍靴なども書かれているが、その割合は趣向品7にその他3と大分偏っていた。

 

「はっ! 各所に問い合わせ要望を集約した結果であります!」

 

 書類を持ってきた部下は、間違いなく各所に確認を取った結果であり、特に偽りなどなかった。贈答品として贈られた嗜好品、硬い砂糖でコーティングされた長期保存向きの羊羹、甘めでアーモンドを含んだミルクチョコレート、葉巻にたばこ、黒ビールなど酒類。

 軍事的発展を優先していたがゆえに、嗜好品などはかなりおざなりとなっていた。この世界の基準で作られた酒やたばこなどはあるが、不味いにもほどがあり嗜好品への渇望は広まっていた。

 

「日本の菓子とドイツ風チョコレートか。 確かに本国を思い出させる味であったな」

 

 念のためとドイツの外交官が資料提出と共に出したのだが、いくつかはそのまま総統府に届けられ総統代行の口にも入っていた。

 いくらか内容を改めたのち、決済の印を押し外交を続けられる事が決定づけられた。その中には酒肴品製造にかかわる製法情報についての取引や、海洋航路情報などを求めていくことが記載されていた。

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