神々の尖兵   作:揚物

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60.神王モネフ国

 神王モネフ国、絶対神モネフを崇め教皇を頂点とする宗教国家。

 金や銀で輝く荘厳な教会と立ち並ぶ豪華な大理石に似た石材で建てられた建物、近世ヨーロッパとどことなく似た服を着る人々、もし差異があるとしたらみな円形の首飾りを下げている事だろう。

 ゴミも落ちていない石畳の道は美しい花咲かす木が植えられ見事に繁栄した都市に見えるだろう。

 しかし二つ裏道に入れば道は汚れ、ぼろぼろの服を着た人達が鞭で打たれ仕事に従事していた。

 

「休むな! 働け!」

 

 鞭を打たれ、ぼろぼろな服を着た奴隷達が荷物を運んでいく。 

 奴隷によって成り立たせる国家、それはある種ノーリスモルト国よりも、奴隷の価値が低くいくらでも手に入る事が起因していた。

 奴隷は属国からいくらでも集められ、新しく必要となれば神敵を定め、村々や町を攻め滅ぼし奴隷とする。

 東での新生独逸との小競り合いも属国に任せ、本国では平時と何一つ変わらぬ豊かな生活をしていた。

 町の中央には少々悪趣味が過ぎるほどに金銀によって飾られた教会があり、絵画に彫像に壺と絢爛豪華に飾られた教皇の執務室で報告を聞いた教皇は怒りの表情を浮かべた。

 

「なんだと?」 

 

 エルフとドワーフと言う新たな奴隷を手に入れ、輸送予定であった者達がすべて奪われたという報告。

 エルフは男女問わず美しくいくらでも買い手が付き、ドワーフは工業奴隷として兵器の製造奴隷として需要があるが、それだけではなく動いていた最西端の属国が消滅した。

 怒りに任せてグラスをテーブルにたたきつけ、報告にきた信徒に怒鳴りつける。

 

「何があったというのだ! 火山の噴火でもあったというのか!!」

 

 報告に上がった信徒は教皇の形相に怯えながら報告を続ける。

 

「なっ、何も残っておりません。 原因は特定できず、町どころか森も川も何もかもが壊れ、まるで世界が終わりを告げたような状況でして」

 

 何一つ残っていない。日本など地球圏の国家が見ればそれは大規模な空爆等が行われたと判断するのだが、彼らは世界が終わった大地と表現する以外知識はなかった。

 モネフ国の西にはまだ5カ国の信徒国という属国がある、消えた国程度はどうにでもなる程度の兵士の数はいまだにあった。

 教皇は息を整え冷静さを保つように心がける。

 

「……怒鳴ってすまなかったな。  ダラァホン国に新たな神敵が現れた可能性があると伝え、他国には神国会議を行うよう手配をするように」

 

 信徒が頭を下げ執務室を離れたのを見届け、教皇は執務室の椅子に深く座り直す。

 

「上手くいかんな。 しかし諦めはせんぞ」

 

 壁にかけられた世界地図、ミールモノル大陸だけが描かれているがそれが世界であり制覇すべき全てであった。

 

「あと少しでこの南世界のすべてが手に入る。 それさえ済めば、北大陸へ攻め込む事も出来る」

 

 世界を統べるという目的の為、教徒も属国も教皇にとって駒でしかない。奴隷を得るのも資金や物資を得る為、所詮はその程度の事でしかなかった。

 神王モネフ国北にある細く海に囲まれた街道、その先にある大国に攻め込む力を得る為。

 

 

 

 

 

 

 難民町

 獣人族はあまり魔法を得意としていないのだが、狐人族だけは日本と関わってから少々異質な魔法を発露し始めていた。

 日本の神話や神道に陰陽の歴史などを参考に魔法と言う物を解釈し、符や禹歩などに似た形で魔法を使い始めている。

 

 

 

 虫人の国 エルキュール

 正式な国名は発音が難しいことから獣人でも呼びやすいように “エルキュール” という虫人達が国を纏めた初代王の名が広まり存在していたのでそちらを呼ぶように通達していた。

 

「それでは行ってきますが、彼らを刺激しないように島からはでないようおねがいします」

 

 阿部三等陸佐は外交担当として獣人のサルファ達と共に小舟に乗り、虫人の国へと向かっていく。外交交渉は続けられており、日本としては新生独逸には国境の再策定と不干渉の提案を、虫人の国エルキュールにはひとまず国交の正式な樹立へと努力していた。

 エルキュールの近くにある島に海外人道支援部隊が駐留していた。外交官の訪れと周辺海域に生息している小型海魔への対応、非常時への備えでもある。大型海魔であるデビルフィッシュのジュウモンは航行中の安全は保障するが、島で生活する部隊の安全までは保障していない。だからこそ自衛の為に軍事力の配備を虫人達も認めていた。

 その中で特殊重戦闘連隊は物資の搬入を続けていた。

 

「ヴィーゼルⅡシリーズ全数搬入完了」

「スティングレイII軽戦車及び増加装甲パッケージ 規定数の半数輸送完了」

「M119 105mm榴弾砲、いまだ納入なし」

「滑走路、現在造成率は40%。 C-2着陸は現在不可能」

 

 兵装は米国海兵隊に参考に揃えられ、必要であれば新生独逸に、そして新王モネフ国と対峙する必要性が出た時にために準備が進められていた。

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