宮藤「ここだね!あの子のハウスは!!」
ペリーヌ「そのようですわね」
6人は揃ってその建物を見上げる。学園島からモノレールに乗り示現エンジンのあるブルーアイランド本島へ向かい、少し歩いた所にある開発地。その中にある高級マンションの敷地の入り口で少女達は突っ立っていた
あかね「うわあー、おっきいマンションだね!!」
わかば「高い所が好きな子なのかしら」
あおい「じゃ、行きましょう」
目的地はマンションの最上階である6階の端っこ。誰がピンポンを押すかは既に決めてある。そう、困った時の一色あかねだ
あかね「ピンオン押してもしもーし!!!!」ピンポーンガチャガチャドンドンドン
「うるさい・・・!!まじで・・・!」
勢いよく開いたドアはあかねの顔面をぶっ飛ばす勢いであったが、彼女はひょいと飛びのいてすんでのところで回避した。部屋から出てきた少女の瞳はぼさぼさの髪で隠されているにも関わらず解るくらい怒りに燃えていたが、そんなものどこ吹く風であかねはその手を取った
あかね「初めまして四宮さん!!!一色あかねです!!!!」
「ちょっ・・・廊下でそんな大きい声出さないで・・・!あああもう中入って」
あおい「ごめんなさいお邪魔します」
招かれるまま(そうせざるをえない)部屋の中に入りドアを閉め、薄暗い廊下を進んで奥の部屋へ進む
宮藤「なんか寒くないですか?」
「冷房マックスだから・・・寒かったらこたつ入ってもいいよ」
そういいつつ少女もこたつにもぞもぞと潜り込む。机の上には乱雑に缶ジュースが並べてある。あかね達をもてなそうとしてくれたのだろう。その気持ちには涙を流すほど嬉しくおもったわかばだったが、そのラインナップがどれも毒々しい緑と黒のカラーリングでデザインされたエナジードリンクであることには少し疑問を抱いてしまった
ひまわり「私、四宮ひまわり。知ってるだろうけど。ちなみに私もあなた達のことは知ってるから自己紹介はいいよ」
わかば「私は三枝わかばだ!!!!」
ひまわり「うわ声でっか・・・!なんなの!」
わかば「これは失礼。名乗りを欠かすということに抵抗があるもので」
宮藤「私達のことは誰から聞いたんですか?」
ひまわり「そういう話をしようよ。自己紹介なんかで和気あいあいと尺を使うのは時間の無駄だし」
そっけなくそう言い放つひまわりが床に転がしたキーボードをがちゃがちゃ叩くと、壁のプロジェクターに突然映像が映し出される。手の込んだ演出で文字と画面が激しく明滅し、バックには重苦しい電子音が腹底に響く。インドアな趣味に若干の理解があるあおいはこれがとても手の込んだ編集であることが理解できたし、横眼で見やったひまわりの微妙なドヤ顔からこれが彼女のお手製であることも推測できた
ひまわり「誰から聞いたって?あなた達のことは示現管理局の最重要機密。聞き出すコミュ力あるわけないじゃん。じゃあどうしてわたしがビビッドチームのことを知っているのか・・・アローンというものの存在を知っているのか。その答えはただ一つ」
壁に映し出されるのは、荒い画質ではあるがあかね達が変身する場面やストライカーが飛翔しているのを撮影したであろうもの
ひまわり「アハァー・・・全部見てたんだよ。管理局のセキュリティにちょろっと侵入して」
あかね「すごーい!あんまりよくわかんないけど!」
ひまわり「馬鹿にしてんの?」
あかね「いやそんなことないよ。ひまわりちゃんパソコン使えるんだね」
ひまわり「・・・あなた、あの一色健次郎博士の孫なんでしょ?逆にこれくらいのことできないの?」
あかね「あー。わたしは機械とかそんなに得意じゃないかな」
ひまわり「ええ、まじ?ちょっとガッカリ」
あかね「え、なんかごめん」
ひまわり「べつに・・・」
見るからにテンションが下がっていた。わかばは先ほどからひまわりを少し冷めた目で観察していたが、いくつかわかったことがある。四宮ひまわりという少女は口調こそそっけないが感情の起伏がそれなりに表に出るタイプだった。学校に長い間来ていないにも関わらず受け答えもしっかりしている。知らない人間(例え前情報を持っていたとしても)を6人も部屋に招き入れることを了承する辺り対人恐怖症というわけでもなさそうだった
わかば「なぜあなたは学校に来ないの?」
あおい「!?」
リーネ「え、その質問いきなりぶっこんじゃうんですか!?」
わかば「え?なにかまずかったかしら?」
リーネ「もっと外堀を埋めてからですね・・・」
ひまわり「別に気を使ってもらわなくていいし。行く必要ないから行ってないだけ。特待生だから出席しなくても実績と提出物あれば進級させてくれるし」
あおい「四宮さんはなにで特待生になったんですか?」
ひまわり「プログラミングとか得意だから、それで。自分で開発したアプリとかで小銭ぐらいなら稼いでるし。あと学校で使ってる端末の中にも私がつくったアプリ入ってるし。超便利なやつ」
あかね「ええ!?すごーい!!どれどれ!!」
ひまわり「登校日として設定されている日に学校の敷地内にいないと超うるさいアラームが鳴るやつ。ちゃんと病欠申請とかやってれば学校側から解除してくれるけど。アプリ名は【ひまわりアラート】」
あかね「うわ」
ひまわり「すごーいって言って」
リーネ「自分のことは棚にあげてサボリ防止アプリを・・・?」
ペリーヌ「およしなさいなリーネさん」
ひまわり「ほんっとだるい・・・!ちょっとは引きこもりに気をつかったりとかしないの?」
宮藤「四宮さん顔真っ赤w」
ひまわり「ううううネットならこの程度の煽りなんてことないのに面と向かわれると我慢できない!もう出て!私の城から出て!」
ペリーヌ「まぁまぁ。宮藤さんにはあとで軽くトネールしておきますから」
宮藤「それ軽くても人に向けていい魔法じゃありませんからねペリーヌさん。あの、ごめんなさい四宮さん。場を和ませようとしたんだけど」
話題を変えようと部屋をぐるっと見渡した宮藤は壁に飾られたいくつかの写真やタペストリーに目を止めた。それらはどこかの大きい建物が描かれたもので、そのうちのいくつかは宮藤にも覚えがあった
宮藤「示現エンジンの写真?あとは工場、かな?好きなの?」
ひまわり「うん!!!あと工場じゃなくて整流プラントね。示現エンジンから産みだされたエネルギーを世界中に送り込むための施設!!」
宮藤(うわびっくりした)
あかね「かっこいいね!!!」
ひまわり「わかるの!?」
あかね「おじいちゃんが作ったものだもん。好きだよ」
ひまわり「一色さ・・・あかね・・・!」
ペリーヌ「この子チョロイですわね」
リーネ「あはは・・・」
わかば「なんで工場が好きなの?」
ひまわり「三枝さんが竹刀振り回して殴り合うのが好きなのと一緒なんだけど」
わかば「成程。そういうことなのね」
ひまわり「・・・そんなあっさり理解する?ふつー」
わかば「なにかを本気で好きになるのに理由は後からついてくるものでしょう。それに、あなたの目を見てればわかるわ。とても綺麗な目をしているもの」
ひまわり「は!?なに勝手に見てんの・・・!意味わからんし」
髪をぐしゃっと撫でつけて顔を隠すようにしてそっぽを向くひまわり。失礼なことを言っちゃったかな、と少し困ったような顔をするわかばだが他の人から見ればそれが照れている気持ちからくる行動なのは明らかだった
あかね「ね、それなら見に行かない?もうすぐ夕方だし、多分すっごくキレイだよ!」
ひまわり「いや外出るのはちょっとムリっていうか」
あかね「だいじょうぶだよ!ちょっとだけ!ちょっとだけだから!」
ひまわり「一歩でも出たらそれは外出ってことになるの!」
あおい「えぇ・・・」
ひまわり「暑いし虫いるし知らない人もいるしヤバイし」
あかね「えー、でも見たくないの?」
ひまわり「くっ・・・みたい・・!夕陽に照らされて燃えるように赤くなりながらも力強く稼働する整流プラントがみたいよ・・・!」
ペリーヌ「なんなんですのこの方は」
リーネ「そういう世界もあるということなんですよきっと」
重い腰を上げたひまわりは腰に手を当ててゆっくりと伸びをすると、羽織っていたはんてんを乱雑に床に投げ捨ててのそのそと部屋を出ようとする。学校指定のジャージで
ペリーヌ「ちょっとお待ちなさい四宮さん!あなたそのような恰好で外を歩こうというんですの!?淑女としてあってはならないことですわ!!!」
ひまわり「うるさいなぁ。淑女とかじゃないし学生が学校のジャージを着てて文句を言われる筋合ないし」
ペリーヌ「そのような屁理屈はわたくしには通用しませんわよ!!!せめて制服に着替えなさいな」
ひまわり「一年ぐらい着てないからどっかで朽ち果ててるだろうしムリ」
ペリーヌ「その体たらくでよく学生を名乗れましたわね」
ひまわり「もういいじゃんジャージで。時間無くなっちゃうし」
わかば「いいや、駄目よ」
話に割って入ったわかばの腕がぬっと伸び、ひまわりの細い両腕を問答無用で握りしめて自分と向き合わせて、顔を覗き込むようにして言い聞かせるようにゆっくりと言葉を続ける
わかば「世間のルールに乗っ取った説教をする気はさらさらないんだけど、私個人として自分を雑に扱うあなたを見て放っておくのは気分が悪いの」
ひまわり「あの、つまり、なんなの?」
わかば「あなたは可愛いってことよ」
目を丸くして固まる彼女の返事を待たずわかばはずんずんと部屋の奥へ入っていった
リーネ「今の口説いてました?」
ペリーヌ「サムライ系のお方ってみんなああなのかしら」
あおい「キマシタワー建設!!!」
あかね「え、あおいちゃんなに?」
あおい「スルーして・・・ごめん・・・」
あかね「???」
大丈夫!!今年中に完結できる!!!できるぞ!!!!と毎日自分に言い聞かせながら少しずつお話を作っています