ー同時刻・ブルーアイランド管理局ー
局員1「報告!ブルーアイランド本島付近海上にアローンの出現反応!攻撃により整流プラント一部区画から火災発生!」
柴条「ビビッドチームと防衛軍に出動要請!プラント付近の避難誘導ならびに救助活動を!」
局員2「局長。整流プラントのシステムに障害が発生しています。制御装置の誤作動により一部エネルギータンクに過剰な量の示現エネルギーが供給されている状態です」
柴条「こちらからのアクセスは?」
局員2「受け付けません。第三区画にある制御システムを直接触る必要がありますね」
柴条「わかったわ。現場の局員を至急むかわせて頂戴。」
局員1「それが・・・第三区画は既に火の手が回っており消化活動が終わるまで接近することすら不可能のようです!」
柴条「なんですって!?」
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健次郎『パレットスーツを装着しているあかね達かストライカー装着状態のペリーヌくん達であれば上空からコントロールルームに突入し、中に取り残された人間の救出及びシステムの修復が可能じゃ。危険じゃがやらなければならんな』
あかね「アローンはどうするのさ!?」
携帯電話に向かってあかねは叫ぶ。とにかく飛び出したい彼女を抑え、適格な指示を出すことが健次郎の責務でもある
健次郎『並行して戦闘を行い最低でも足止め、最終的には撃破が必要じゃ。それには7人全員の協力が不可欠。ストライカーがない芳佳くんにも力を貸してもらわねばならん』
宮藤「任せてください!となると私はプラントでの救出組に入ることになりますね」
わかば「私はアローンの撃破に向かうわ。そちらの方が役に立てると思う」
ペリーヌ「救出も戦闘もそれなりにこなせる自負はありますが、コンピューターを触るのはいくら博士と連絡をとりながらとはいえわたくし達には荷が重いですわね。どなたか局員の方に同行していただくのは可能ですか?」
健次郎『厳しいのう。現場は混乱しておるし、今からワシの作ったシステムを触れるレベルの技術者を引っ張ってくるほどの時間はない』
ひまわり「なら、私がやります!」
みなが飛び上がるほどの大きな声が海辺に響いた。聞き覚えのないそれはひまわりのそれだった。震える手を固く握りしめ、普段出さないであろう大声を出すほど感情が高まっている。へっぴり腰ではあるが、その眼は強い決意を抱いている者特有のものであった
あおい「え、えぇ!?」
ひまわり「私なら整流プラントのシステムくらいなら修正できます!一色博士のサポートを受けられるなら絶対できます!!」
あおい「そういう自分を危険にさらす無茶は言っちゃだめだよ四宮さん!」
わかば「一時の感情の昂ぶりに身を任せた行動は危険よ。冷静になりなさい!」
あかね「2人が言っていいことなのかな???」
宮藤「珍しい!あかねちゃんがツッコミを!」
ペリーヌ「茶々を入れるんじゃありません!ですが、実際どうなのですか一色博士。」
健次郎『ふむ。四宮ひまわりくんといったかな。四宮、四宮・・・。つかぬことを聞くが、君の両親は管理局の職員かの?』
ひまわり「はい。」
健次郎『ほほう。君の両親とはちょっとした知り合いでの、君の話も耳にはしとる。管理局のサーバーに不正アクセスして映像データを抜いたことは本来見逃せんが、その腕前があればこの作戦のキーになることも間違いない。』
ひまわりは瞬間ばつの悪そうな表情を浮かべたが最後の言葉を聞いてぱぁっと顔を明るくさせた
あかね「おじいちゃん?」
健次郎『彼女の腕が必要じゃ。整流プラントの息の根を止められた時の被害は世界中に及ぶ』
ペリーヌ「では決まりですわね。宮藤さんと四宮さんにはそれぞれリーネさんとあかねさんがついてもらいますわ。残った3名でアローンにあたりましょう」
リーネ「了解です。でもペリーヌさん、わたし達のストライカーを取りにいかないと・・・」
わかば「以前のように私達が運びましょう。あおい、変身を」
健次郎『その必要はない。ストライカーユニットならもうすぐ届くはずじゃ』
リーネ「えっ?」
戸惑うリーネだったが、その時空から甲高い飛翔音が唸りをあげて近づいてきたのに気付いた。それは彼女達からきっかり10m離れたコンクリートに轟音を立てて突き刺さった。
リーネ「えっ!!!?」
銀の光沢が眩しいボディを誇る一色博士ご自慢の輸送ロケットが喧しい駆動音を立てながらその体をぱっくりと開く。中にはウィッチ2人のストライカーユニットが入っていた
ペリーヌ「健次郎博士!ストライカーは繊細なのですが!!!」
健次郎『大丈夫じゃって。衝突の衝撃は全て地面に流れるよう特殊な細工を施してある。ストライカー自身には優しくそっと地面に寝かせた程度の衝撃しか走っておらんはずじゃ』
あかね「さすがだねおじいちゃん!じゃあみんな揃ったところで・・・」
「「「イグニッション!」」」
赤、青、緑の光の粒子が3人を包み込み、黒ずんだ空へ待ったをかけるように強烈な光を放ちながらパレットスーツを纏ったビビッドチームが現れた
ひまわり「・・・!」
示現エネルギーのテクノロジーの結晶であるその現象を己の眼で見ることができたひまわりは言葉もなく、一時緊急事態であることも忘れ完全に魅入っていた。そのひまわりの前に立ったあかねが自分に向かって伸ばした手を迷いなく握りしめ、身体が空へ浮かび上がるまで半ば夢見心地であった彼女はそこでやっと正気に戻って小さく悲鳴をあげてあかねの体にしっかりとつかまった。
リーネが芳佳を拾い、一足先を行くあかね達を追って整流プラントの方へ飛び去って行くのを見送って、ペリーヌ、わかば、あおいはこちらへゆっくりと迫ってくる
ペリーヌ「ではお二方、よろしくお願いいたしますわ。」
あおい「は、はい!やりましょう!」
わかば「ペリーヌ、指示はあなたにお願いしてかまわないかしら?」
ペリーヌ「そうですわね。といっても放課後の訓練でやったにわか仕込みの連携でアローン撃破を無理に狙うことはいたしません。今回の作戦は侵攻勢力の示現エンジンならびに整流プラントへの攻撃の妨害を主軸に据えたものとします。救出作戦が終わるまであそこに留めておくことに集中してくださいまし。では、行動開始!」
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ひまわり「あっつい!めちゃくちゃ熱い!!!」
あかね「おじいちゃん!ひまわりちゃんの髪に火が回っちゃうよ!!火回りちゃんだよ!!」
ひまわり「あなた私と仲良くする気ないの?」
あかね「ごめん」
健次郎『こちらからパレットスーツの拡張機能をオンにする!あかね、ひまわりくんにこれを渡すんじゃ!』
あかねのパレットスーツがキラリと輝き、目の前に光の塊が浮かび上がる。あかねが片手でひまわりを抱きかかえて空いた手でそれを握りしめると、手の中で小さな粒となって具現化した
ひまわり「イヤホン?」
健次郎『パレットスーツの機能を利用して示現エネルギーで作り上げた小型通信機じゃ。装着者に簡易的な防御フィールドを展開する程度のこともできる。』
ひまわり「そんなことまでできるんですか?!」
あかね「芳佳ちゃんのぶんもつくらなきゃ!」
宮藤「私は大丈夫だよ!魔法力があるからね!」
あかね「魔法ってすごーい!」
燃え上がる整流プラントの一角、本来なら近づくことすら困難な炎の渦をものともせず指示に従い背の高い建物の壁をぶちやぶった
あかね「入ったよ!」
健次郎『一番下まで降りてくれ。制御パネルを直接操作してもらうぞい』
宮藤「わたし達は取り残された人の応急処置と救出を始めます!そっちは任せます!」
怪我の軽い者はリーネが外へ連れ出し、重傷を負ったものは芳佳が動かせる状態まで治す。獣耳を生やした少女達が奮闘しているのを背に、こちらも重大な任務を背負った2人の少女がプラントの中を降りて行った
健次郎『外部アクセスの復旧さえできればこちらからシステムを正常に戻せるんじゃが、まずは暴発寸前のエネルギーを外部へ流してしまわんとな』
ひまわり「わかりました。では、アシストをお願いします」
あかね「わたしは?なにする?」
ひまわり「黙ってそこに立っててくれればいいんだけど」
健次郎『プラント内部の温度が上昇しておる。あかね、ひまわりくんから離れすぎると防御フィールドが維持できん。外部アクセス復旧まではそこで待機しておってくれ』
あかね「うん、わかった」
この緊急事態にただ待っているだけ、というのは一色あかねにとって本来我慢ならないことではあったが、ひまわりを危険に晒すことがあってはならない。迷うことなく頷いた
そしてここからが四宮ひまわりの本領である。高熱を帯びているであろう制御盤の蓋をあかねに頼んでひっぺがしてもらうと、中身にざっと目を走らせる。そこから近くのコントロールパネルとの間をぐるぐると往復しながら、淀みなく手を動かし始めた
健次郎『わかるかね?』
ひまわり「まぁまぁ。基本的なことだけですけど」
健次郎『基本に自信がもてているなら応用の教えがいもあるというものじゃ。あかね、この上の階に非常用の工具が備えてある。取りに行ってくれ』
あかね「おまかせあれ!」
待っていましたとばかりに文字通り飛び上がった。彼女が飛んでいくのを横目で見送りながら、ひまわりは額の汗を手で拭った。耐熱バリアがあるとはいえ、既にプラント内部の温度は数百度に達し、通常人間が自由に動き回れるものを遥かに上回っているのだ
ひまわり(こんな状況だっていうのに・・・まあ、不謹慎ではあるけど。)
この汗はただ外気に当てられて、というだけではないのは彼女にはわかっていた。どうしようもなく心臓が早鐘を打っている。吐く息が熱い。今ひまわりはどうしようもなく気分が高揚していた。楽しんでいる、とあっさり片付けられる単純なものではない。気持ち良いようで苦しくなるようで、中々どうしてうまく受け止めれずにある厄介なものなのだ
ブルーアイランドを騒がせている現象を突き止めようと管理局の記録映像を盗み見した時彼女の中に芽吹いてしまったこの感情は、どうしようもなくひまわりを狂わせてしまっている
かつて掲げた生涯引きこもり宣言をあっさり破り昼間の学校に足を運んでしまい、情報に釣られて教師の出す条件を呑んでしまった。彼女達を拒絶しきれず、かといって受け入れることもせず、半端な態度をとってしまっている。感情に流されてこんな危ないことに足を突っ込んでいる自分を見てみれば滑稽ですらあるだろう
ひまわり(ずっと引きこもっていれば、今だって涼しい部屋でジュース飲んで動画でも見ながら途中で投げてるゲームでもすすめて・・・)
しかしひまわりは行動することを選んだ。自分の行動を自分で決め、自分で一歩を踏み出したのだ。整流プラントが世界の和を維持するのにどれだけ大切なのか等今更彼女にとって考える必要などないほどのもので、それを守るためなら命を投げ出すのだって惜しくはない
そこまで考えて、なんとも壮大な考えに思わず吹き出してしまった。
ひまわり(世界を守ってる自分に酔ってるって感じなのかな。まるで、あの子達みたいに)
健次郎『ひまわりくん!!聞こえとらんのか!上じゃ!!』
ひまわり「え」
大きな声を耳の中で出されて驚いて、反射的に顔を上にあげた。視界いっぱいに炎の塊が広がっている。それが轟音を立てて大きくなっている。これは落ちてきているのだ。突っ立っている自分に向かって
多分折り返しは過ぎてるんだと思うんです。今年中の完成余裕ですやん!!たのしんでね!!!