あかね「どりぁー!!」
気合の入った声と共に放たれた一撃が炎の塊を一閃、真っ二つに切り裂いた。火の粉を散らしながら唸りをあげるネイキッドラングはぐるりと弧を描き2分された塊をさらに両断、そしてまた唸りをあげて両断、両断。あっという間にそれらを細かく切り分けて、最後にひまわりの前に立ちはだかったあかねから発生したエネルギー衝撃波が細かい破片を跳ねのける
あかね「ひまわりちゃん!大丈夫だった!?ごめん遅くなって!」
ぽけっと口を開けたまま返事をしないひまわりの肩を掴んで前後に激しくゆさぶる。衝撃で正気に戻ったひまわりは両手をぶんぶん振って意識の回復をアピールした
ひまわり「死んだかと思ったよ」
あかね「まだ生きてるよ!」
ひまわり「おかげさまで。」
受け取った工具を地面に展開し、ひまわりは死にかけたことなどなかったかのように制御パネルを触り始めた
あかね「もうひまわりちゃんから目を放さないよ!なにがあっても絶対守ってみせるから。」
ひまわり「・・・」
そんなあかねのセリフを聞いて淀みなく動いていたひまわりの動きがピタリと止まってしまった。なにか言いたげに開いた口は出力すべき言葉を決めかねているようでゆるりと閉じてしまう。逆にあかねがその揺れる瞳から言うべき言葉を瞬時に理解しもう一度胸をはった
あかね「ぜったい!!」
ひまわり「絶対、かぁ」
色々言いたいことを忘れさせてくれるような自信あふれる一声でひまわりは笑った。最初は声にならないほど小さく、徐々に抑えきれなくなって手を口に当てて体を震わせながら笑い声をあげて笑った
あかね「え、なんでツボっちゃってるの?」
ひまわり「ご、ごめん。ふふふ。色々あって。」
あかね「気になるなぁ」
笑いながら制御パネルの真ん中をとん、と指でつつくとシステムが回復したことを告げる電子音声が鳴った。不快な音を響かせていた制御炉がリズムよく鼓動を打ち始め、壁や天井から消火剤を含んだミストが勢いよく噴出する
あかね「あれ!?これって・・・」
ひまわり「余裕だね」
健次郎『やったぞい!あとは外部からの操作に任せるんじゃ。ご苦労じゃったぞ4人とも!』
リーネ『こちらも施設内の救助活動を終了しました。芳佳ちゃんを連れて離脱した後、アローン攻撃班に合流します』
あかね「じゃあこっちもひまわりちゃんを安全なところに運んだらアローンを倒しに行くね!」
さぁ行こう、と伸ばされた手をひまわりはじっと見つめた。その手をとろうとはせず、両耳にはめたイヤホンを外しそれを手の中で転がしながら
ひまわり「私いじめられたから学校行くのやめたの。」
いきなりぶっこんできた。
あかね「えっ。なん」
ひまわり「その時も言われた。守ってくれるって。嘘だったんだけど」
目を閉じて手の中のイヤホンの感触に集中すると、それはほのかに暖かく、コンパクトなサイズ感からはあり得ない程の強い存在感のようなものが発せられてるような気がしてくる
ひまわり「友達、だったんだけど。まああの状況なら私側に付くと損しちゃうって判断も分かるんだけど、そんなの呑み込めかったから」
戸惑いつつもあかねは出した手を決して引っ込めない。危機は未だ去っておらず、しかしひまわりの独白を全て受け止める事が今は大切だと直感していた。顔をあげてあかねと見つめ合ったひまわりは真剣なあかねとは対照に憑き物が落ちたようなやわらかい笑顔を浮かべていた
ひまわり「ねえ。あかね、もう一回だけ信じちゃっていい?」
あかね「絶対ったら絶対。アローンからだって、そうじゃなくたって、私が守るから。ビビッドレッドとしても、一色あかねとしてもね!」
ひまわり「そうなんだ。じゃあ、友達が欲しいな。」
あかね「うん。友達になろ。」
ひまわり「・・・ああぁ、なんか言ってから緊張してきちゃった。これあと何回もやらないといけない感じ?」
髪をもじゃもじゃとかきむしり耳をちょっと赤くするひまわりを見て今度はあかねが吹き出した。釣られたのか照れ隠しなのかひまわりも楽しそうに笑う
ペリーヌ『あったかそうな雰囲気をぶち壊すつもりはありませんのよ?でも戦闘中のわたくし達のことも大切に思っていただけると心底ありがたいのですが?』
あかね「あっとそうだよね。ごめんなさいペリーヌちゃん!今行くね!」
ペリーヌ『ちゃん付けはおよしなs』
通信を切って、あかねは今一度手を差し出した。今度は両手を。ひまわりの手の中でイヤホンはキラリと輝いたかと思うと、途端に光の粒となって示現エネルギーに戻っていく
ひまわり「でもさぁ。私だけじゃなくて、みんなを守るんでしょ?」
あかね「んん、まぁ、その。そうなんだけどもっと頑張るから大丈夫なんだよ!」
ひまわり「ふーん。まぁ私も手伝うからさ。手が空く分しっかり守ってね、あかね」
あかね「ひまわりちゃん!」
ひまわり「あなたは私が守ってあげる。友達・・・だし」
手の中の示現エネルギーはあかねへと回収されず、そのままひまわりの手の中で再び形を創り上げていく。熱を持ち、巨大な力が詰め込まれた鍵だ。黄色いラインの入ったオペレーションキーに熱い視線を向ける
ひまわりの体が光る。その輝きは太陽の光を受けてもう一度花開いた向日葵の輝き。その太陽が沈まぬ限り、四宮ひまわりの輝きが枯れることもなく、まっすぐ光を受け止め続けるだろう。
人を信じることに迷いのないあかねに自分の希望を押し付けたとして、この子なら自分の不安ごと軽々背負ってくれる。自分の信じたい一色あかねがこのまま真っすぐ進めるように、ならば私が彼女の純粋を守ってみよう。自分にできることはたくさんある。まずは手近なことからだ
ひまわり「---イグニッション!」
今年の夏はまだ向日葵見れてないので晴れてる日にそのためだけの遠出をしたいですね