わかば「はぁっ!」
あおい「とおー!」
わかばは鋭い一撃を切り込まんとアローンに接近をしかける。同時に思いっきり振り回されたあおいのネイキッドインパクトが遠慮なくその軌道上に重なる
わかば「うぉおー!!!?」
視界外から迫る強い風圧を察知しとっさに身を翻していなければあわや場外ホームランとなるところだった。実際アローンに直撃したあおいの攻撃は轟音を響かせて強固な装甲に痛々しい大きなクレーターを形成した。悲鳴のような金属音を出しながらでかい図体を押し返されて後方へと飛ばされていく敵を見送る立場にいられることにわかばは心底安堵した
あおい「あ、えっと、ごめんなさーい・・・」
わかば「あおい!?私になんの恨みがあるというの!」
あおい「ええっ!そそそ、そういうわけじゃあないんです!ただハンマーは急には止まらないというか、なにがあろうと振りぬく覚悟こそパワーの真骨頂というか、私だってあかねちゃんと合体してみたいっていうか・・・」
わかば「え、ほんとに私恨まれてるの?」
ペリーヌ「いろいろとあぶなっかしいですわね・・・」
遠距離攻撃を唯一行えるペリーヌが中距離でアローンを牽制し、強力な近距離攻撃手段を持つ2人に隙をついてもらうシンプルな戦闘方なのだがどうにもうまく噛み合わない。そもそも三枝わかばにとってはビビッドグリーンとしてのデビュー戦でもある。臆さず剣一つで敵に向かっていける精神力は流石なのだが、戦闘スタイルが被っている2人はまるで遠慮というのを知らないものだからチャンスとみれば全力で突っ込んでいってはお見合いしてしまう、というのを既に3度繰り返していた
ペリーヌ「お二人とも!何度も言うように、敵の動きだけ見てればいいというものではありませんわ。味方の位置を常に把握し、時には相手のフォローに回ることも大切・・・といってもあっさり実践できるものでもありませんわね」
あおい「諦められた・・・」
ペリーヌ「これは次回までの宿題とさせていただきますわ。今回どう凌ぐかは・・・あかねさんに決めてもらいましょうか」
整流プラントの炎を突き抜けて赤い光がこちらへ飛んでくるのが見える。その跡をなぞるようについてくる黄色い光を見てあおいとわかばはその正体への疑問から一瞬首を傾げたが、すぐに合点がいったようで喜ばしいような戸惑うような複雑な表情で顔を見合わせた
あかね「みんな、おまたせ!」
わかば「あかね!四宮さん!」
ひまわり「うん、まあ、そういうこと。よろしく」
わかば「成程。あなたもあかねにほだされた訳ね。」
あおい「ツンデレが篭絡されると一気にデレに傾く・・・脅威です!」
ひまわり「ほだされてない・・・!ツンデレではない・・・!」
青と緑に肩をとんとんと叩かれて歓迎されるのを振り払うに振り払えず意味のない口だけの反抗をするひまわりだが周りから向けられる生暖かい目はただ顔を赤らめて受け入れるしかない
あかね「くるよ!」
しかしあかねの言葉一つで5人は一斉に散らばった。さっきまで皆が浮いていたところをアローンの巨大なビームが殺意をまき散らしながら通過する。あおいに吹き飛ばされた傷もなんのその、大きな身体をいからせながらこちらへと再び侵攻を開始したアローンを睨みながらあかねもネイキッドラングを手元に呼び出して戦闘態勢をとる。
改めてアローンの形状を同じ高さから観察するくらいの余裕はあるだろう。相変わらず黒光りする装甲を全身に纏っているのは同じだが姿はまたみたことのないものになっていた。巨大な傘のような胴体を中心に複数の触腕が垂れ下がっているのを見てあかねはクラゲを連想する
あかね「どんな敵なの?」
ペリーヌ「移動速度は鈍重。明確な回避行動をとることはありませんわね。そのかわりあおいさんの一撃が入っても少し押し戻される程度ですむ頑丈さを備えています。触腕から細かいビームを連発。そして先ほどのような高火力のビームを一定のスパンで発射してきますわ。いつもの移動要塞ですわね」
あかね「よーし!がんばっていこう!!!」
ペリーヌ「わたくしに喋らせた意味ありますの?」
ひまわり「普段はどうやって戦ってんの?」
あかね「勢いかな!」
あおい「あかねちゃんについていくのが私の信条だから」キリッ
わかば「私はあかねの剣だから」キリッ
ひまわり「キメ顔でなにいっちゃってんの???」
ペリーヌ「小難しいことが得意な方々でないのはあなたも承知のことでしょう?上手にサポートしてさしあげなさいな。わたくしもお力添えはいたしますので」
肩の荷が下りたとばかりにひらひらと手をふるペリーヌとは真逆にひまわりは顔をしかめるが、すぐに割り切って自分の周りに複数のディスプレイを展開しそれに素早く目と指を走らせる。直感で戦いたいというあかねの分まで頭を使えといわれるならそれに応えてやろうという意志を強く心に固めた
ひまわりの周囲に4つの黄色い光の塊が出現しそれぞれが四角いプレートのようなものへ変形していく。魂を得てひまわりの周りをぐるぐる飛び回るのはビビッドイエローの固有兵器である無線誘導兵器である。彼女の手が右へ行けば右へ、視線が左へ向けば左へ。あらゆる敵を撃ち、どんな危機からも友達を守る。1人の少女の小さな手には余る欲張りを叶えるため、ビットの手もかりたいだろうひまわりのために彼らは輝く牙をアローンへ向ける
ひまわり「ネイキッドコライダー!反撃!」
4つのビットは隊列を組んで矢のごとくアローンの元へ飛翔する。新たな敵を確認したアローンの触腕から赤い光がビットへ向かって発射されたのを見てひまわりは意識を集中させた。
ネイキッドコライダーに複数取り付けられたカメラでとらえた映像はひまわりの視界とリンクされており、示現エネルギーの力によって身体能力が向上している今のひまわりであればその情報量を容易く処理する。降り注ぐ雨の隙間をそれぞれが機敏な動きでかいくぐり速度を落とさずアローンの喉元へ喰らいついた
銃口から発射されたビームが触腕の関節部や反撃しようと向けられた発射口を的確に打ち抜く。さっきのお返しとばかりに繰り出される怒涛の連続射撃でまたたくまに腕を一本破壊してみせた
アローン『-------』
ビットの迎撃が簡単にいかないことに気付いたアローンは標的を再びあかね達に定めた。傷だらけの腕から周囲に向けてビームをばらまいて小うるさいビットを追い払い身体前方部にエネルギーを収束させ全てを薙ぎ払う準備を始めた
ペリーヌ「高出力がきますわ!」
ひまわり「任せて。チャンス。みんな私の後ろにきて」
後退させたネイキッドコライダーをアローンと自分の直線状に移動させながらひまわりはみんなの前に出る
あおい「何する気なの?」
わかば「なんか見せたいんでしょ」
あおい「必殺技かな」
わかば「ふっふふ楽しみね!」
ひまわり(うるさい)
野次を無視してひまわりは新たなモニターを表示させる。新しい機械やシステムを触ることに青春をかけているこの少女は短時間でパレットスーツというものの機能をよく理解していた。どれだけの機能があるのか、どこまでのことができるのか。色がそれぞれ違うように装備している人によって力の発現の仕方が違う。ひまわりの力の象徴であるこの武器にはもう一ついい使い方があるのだ
アローン「---!」
ひまわり「エネルギーフィールド、展開!」
チャージを終えたアローンのビームは寸分違わず先頭に立つひまわりへ向け発射される。すぐさま軌道上に割り込んだ4つのビットが十字型にフォーメーションを取り中心部にビームのサイズに合わせた黄色く輝くシールドを発生させ、激しい火花を散らせながら包み込むように受け止めた。数秒間照射され続けたビームを全て受け止め切ったシールドは赤い火花を散らせながらも破られることなく存在し続けていた
わかば「盾!?」
ひまわり「反射だよ!」
先ほどまでバリアとして機能していたエネルギーフィールドがお返しとばかり呑み込んだエネルギーをアローンへ向けて吐き出した。回避することなどできるはずもなくアローンは自らの攻撃をもろに受ける。防衛軍最新鋭の戦艦を容易く溶かす高出力のエネルギーの奔流がアローンの身体を呑み込む
わかば「勝った!第3章完!」
あおい「やったね!来週からは私とあかねちゃんのラブラブデート回だよ!!」
ひまわり「そんな簡単にいかないのが現実なんだよね・・・」
触腕のほとんどを失ったもののアローンは未だ落ちず光沢を失った表層から煙を吹き出しながら戦いの意志を絶やさずにいた。どれだけのダメージを受けても臆せず向かってくるというのがやはりアローンというものの恐ろしさなのだと再認識させられる
あかね「でもすごいよひまわりちゃん!助かっちゃった!」
ひまわり「でもここまで。あとは任せていい?私ちょっと・・・はしゃぎすぎた」
力を使い果たしたのかネイキッドコライダーは光の粒へ戻ってしまった。忙しく動かしていた手をモニターからはなしてだらんとぶら下げて、疲れ切った表情であとは任せたとみんなの後ろに下がる
わかば「で、あれば。あかね、あとは私達でやりましょう。」
あかね「うん!じゃあ・・・」
突撃の合図をするため右手を振り上げた状態であかねは固まってしまった。意気揚々と飛び出そうとしていたわかば達はつんのめってしまう。なんの焦らしだと戸惑うわかば達だったが、あかねのその困惑した表情を見て軽口を叩くのを辞めてかわりに武器を固く握りしめた
あかね「え、なに、これ」
あおい「あかねちゃ・・・え!?」
あかね「それはダメー!!」
焦り全開の大きな声で叫ぶと身体を弓のように大きく反らし、力いっぱいブーメランを放つ。赤い刃はビームにも負けない速度でアローンへ飛んでいくが、それがトドメの一撃になることはなかった
あかねの攻撃が命中するよりも僅か早く、謎の光が横からアローンの身体を貫いていた。あかね達にとっての援護攻撃ではないのは明白だ。なぜならアローンの身体は崩れるどころかより一層黒を増し、遅れてやってきたビビットレッドの攻撃を跳ね返すほどの硬さの装甲へと変貌を遂げていたからだ。なにが起きているのかを誰もが理解できない間にさらに変化は激しさを増す
金属が互いを削り合うような不快な音が辺りに大きく鳴り響く。折り砕かれたはずの足が何倍もの太さとなりながら生え変わり、身体の内側から吹き出す灰色の液が装甲の表面を覆っていく。同時に体表に現れた赤い石があちらこちらで怪しく光を放ち始めた
あかね「うわ。やばいかんじだ」
思わず口をついたその言葉があかね達の感情の全てだった。わかばとあおいが立てたフラグが強烈に回収されようとしているのを見ていることしかできないでいる。アローンの体表に散らばる石達がぎょろりと不気味に動き一斉にこちらを向いたように思えた。次の瞬間、先ほどの高出力ビームと違わぬ程の強烈な攻撃が雨あられとあかね達へ襲い掛かった
スト魔女成分が薄くなってしまうんですよね・・・こっからはマシマシです!!!もう後半なんですけど!!!!!