ビビッド&ウィッチーズ!   作:ばんぶー

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第4章 ―ケモミミ魔女とのお茶会―
第29話 宮藤「おいでませウィッチーズ」


健次郎「ふぅ。」

 

 

 

息を吐き出してモニターから目を離す。ぬいぐるみの身体は疲弊しない。少量ながらも示現エネルギーを利用して動いている偽の肉体は、地下で保存されている本体が損なわれない限り朽ちることはない便利なものだ

 

 

しかし、精神に負担は来る。苦いコーヒーを飲んで気晴らしができなくなってしまったことは彼に小さなストレスを与えてくるものだが、自らの家族の境遇を思えば気にするほどのことではない

 

 

 

もも「おじいちゃんもう終わったの?お姉ちゃん達、大丈夫そう?」

 

 

 

研究室の扉を開けてももの不安げな声が飛び込んでくる。戦いに赴く孫も心配ではあるが、こうして家に1人残されたより幼い孫のことも十分に気にかけてやらねばならなかった。しっかりした彼女であるが、まだ小学生である。心配いらないと頭を撫でてやることもできない身である故、精々胸をはって自信満々に答える

 

 

健次郎「おお、もも。心配せずともよい。じきに皆帰ってくるじゃろう。受け入れの準備をしてやっておくれ。」

 

 

もも「うん!お風呂沸かしておくね!」

 

 

 

とたたた、と軽い足音が駆けてゆく。迎えにいってやりたい気持ちは健次郎も山々だが、今は研究者としてやるべき責務が山積みだ。改めて壁一面に配置されたモニターと向かい合いつぶらな瞳を走らせる

 

 

健次郎「示現エネルギー。イレギュラーであったとしても、ワシの研究の産物である以上必ず御してみせようぞ!」

 

 

今一度気合をいれるため力強く叫び、ぬいぐるみの短い腕を目にもとまらぬ速さで走らせ始めた。

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

 

あかね「とうちゃーく!」

 

 

 

一色家の庭に揃って着陸したビビッドチームは各々の武装を解除する。それまで我慢していた疲れがどっと身体に押し寄せてきてその場に身体を投げ出してしまいそうになる衝動をやっとの思いで抑えた

 

 

 

 

もも「なんでおねえちゃんが連れてくる初めてのお友達はいつも気絶した状態なの!?」

 

 

あかね「言われてみると確かに・・・。でもわたしが悪い訳じゃないからね!?いや原因はわたしにあるのかもしれないけど!」

 

 

 

 

家から飛び出してきたももがみんなに冷たいおしぼりとスポーツドリンクを配り歩く。さながら運動部のマネージャーのようである

 

 

 

 

ペリーヌ「やれやれ、どうにも骨が折れましたわね」

 

 

宮藤「骨折ですか!!!治癒魔法使いますね!!!」

 

 

ペリーヌ「はいはい結構ですわ。あなたも早くお休みになられたほうがよろしいのではなくて?」

 

 

宮藤「なにいってるんですか。私は戦ってないんですから、その分まだまだ働かないと」

 

 

ペリーヌ「リーネさん。やっておしまいなさい」

 

 

リーネ「ごめんね芳佳ちゃん。えいっ」

 

 

 

今にもどこかへ駆け出さんとするほどいきり立っている芳佳の肩を掴んで無理やり自分の方を向かせると、その豊満な胸に優しく抱き寄せた

 

 

 

宮藤「ほほぉ・・・」

 

 

リーネの胸に沈み込むかのようにそのまま身体の力が抜けていき、やがて小さな寝息を立て芳佳は眠ってしまった

 

 

ペリーヌ「整流プラントの職員の方々に片っ端から治癒魔法を使っていたのですからあなただって十二分に疲れているでしょうに。」

 

 

やれやれ、と肩をすくめてリーネに運ばれていく芳佳を見送り、ペリーヌはあかね達の様子を見ようと振り向いた

 

 

 

突如、空に火花が走る。眩い閃光が幾重にも束なり、空中に規則性のある陣のようなものを描き始めた。反射的にオペレーションキーを手に取りだすあかね達だが戦闘を行えるようなコンディションではない。ペリーヌは魔法力を発現させるとストライカーの元へ駆け出し、機関銃を手に構え雷の魔力をその身に帯電させながらみなの前に立ちはだかった

 

 

 

ペリーヌ「宮藤さんを休ませるべきではなかったようですわね」

 

 

 

軽口を叩き冷静さを保とうとするペリーヌだったが心中穏やかとはいかなかった。次元の穴から来る脅威が拠点に乗り込んでくる、という最悪の事態を前にこちらは戦闘態勢を整える猶予もない。しかし一歩も引くわけにはいかなかった。”持てるものの義務(ノブレスオブリージュ)”、ウィッチとしての力を持つ自分は常に脅威に対し一番前に立つべきだという信念を彼女はいだいていた

 

 

 

光の中から吐き出されるようにして、青白い小さな光の球が3つ吐き出された。小さいといってもアローンに比べてというものであって、あおいにとってはどこかで見た覚えのあるサイズ感であった。それはかつてあおいがハンマーでぶん殴ったもの。ペリーヌとリーネがこの世界に来た時に包まれていたものに酷似している

 

 

 

「「「どりゃー!!」」」

 

 

 

気合の入った掛け声と共に弾けて中から3人の女性が勢いよく姿を現し、その手にもった機関銃を辺りに振り回しながら敵を探すような動きを見せる

 

 

ペリーヌ「・・・」

 

 

 

「ペリーヌ!リーネー!助けにきたぞ!!宮藤もいるんだな!!?」

 

 

「うにゃー!!!ネウロイかかってこーい!!!」

 

 

「お、ペリーヌ達いたんだな。ホーラやっぱり無事だったろ。」

 

 

 

ペリーヌ「・・・はぁ」

 

 

長い溜息を1つ。魔法力が身体から抜けていき、そのまま銃の重さに負けるようにぺたんと地面に座り込んでしまった。後方のあかね達からその表情を見ることはできないが、リーネには彼女が心底呆れているのと心から安心しているのが十分見て取れた

 

 

リーネ「みなさん!来てくださったんですね!」

 

 

あかね「みんなお知り合いなの?」

 

 

リーネ「私達と同じウィッチの皆さんだよ。頼りにな・・・なる人達だよ。」

 

 

「リーネ、今私達のメンツみて一瞬言い淀んだよな」

 

 

「失礼しちゃうね。」

 

 

「ハッ。まあお前ら2人は人間性に問題あるかんな。その点よかったなリーネ。私がいて」

 

 

「お前なんだそれは言ってはならんことだぞ!!」

 

 

 

あかね「?」

 

 

リーネ「頼りになる人なの・・・ほんとに」

 

 

ペリーヌ「もう!!早く降りてきてくださいまし!!!」

 

 

 

空中で取っ組み合いを始めた新たなウィッチ達はペリーヌの怒号に首をすくめて庭へと降り立った。それぞれが手に大型の機関銃を手にしており獣耳と尻尾を備えているのは芳佳達と同じだ

 

 

 

ペリーヌ「お三方、おひさしぶっ!?」

 

 

「うおおおおおペリーヌ!!リーネ!!よく無事だったなぁ!」

 

 

「2人とも生きてたー!やりー!!」

 

 

自己紹介も疎かに茶髪のスタイルのいい女性とあかねより少し小さい女の子の2人がペリーヌを左右から抱きしめる。流石のクールビューティなペリーヌも顔を赤らめて必死に抵抗するが、心配させてしまった手前どうにも振り払うことも失礼だと思い至ったのかされるがままもみくちゃにされている

 

 

それをみて困ったように笑うリーネのそばにはもう一人のウィッチが着陸した。雪のような白い長髪を風になびかせた彼女は、いたずらっ子のようににやりと笑うとリーネの頭を軽く小突いた

 

 

リーネ「いたっ。痛いですよエイラさん」

 

 

エイラ「ムチャクチャだなホント。ミヤフジの真似したっていいことないんだぞ。みんなすっごく心配してたんだからな。まあ私は占いでお前らが安全なことぐらい解ってたから心配してなかったけど」

 

 

リーネ「でもどうやってここに?」

 

 

エイラと呼ばれた彼女は懐から取り出した一枚のタロットカードを指でくるくると回してみせた。それが全ての答えである、とばかりのキメ顔でリーネを見たが肝心のリーネは首を傾げたままなのでつまらなそうにため息を吐く

 

 

 

エイラ「ミヤフジとお前達2人の時空転移のデータを基に博士達が色々試してるみたいでさ。ペリーヌとリーネのストライカーの魔力の痕跡を追ってこれたんだ。まあかなり博打だったけどな」

 

 

リーネ「よかった・・・じゃあみんな助けに来てくれるんですね!」

 

 

エイラ「来るには来れる。でもダメダナ。帰れないんじゃ意味ないだろ」

 

 

リーネ「えっ」

 

 

エイラ「ネウロイの使ったゲートをくぐっただけだ。それも色々と法則性がある。部隊のバックアップがないととてもじゃないけど狙った場所に出るなんてムリだ。」

 

 

リーネ「あの、つまりみなさんは・・・」

 

 

エイラ「まあなんだ。私達も帰れないな!」

 

 

 

 

リーネは全くもって原因不明の頭痛により意識を失った。決してなにかショックなことがあったとかではなく、ただ単に疲れただけだろう。倒れこんできたリーネの胸に押しつぶされてふとももと挟まれる形になった芳佳が息苦しさと幸せの両方で暴れるのを見ていたエイラだったが、こちらを傍観しながらどうしたものかと戸惑うあかね達と目が合った

 

 

 

エイラ「まあ・・・」

 

 

エイラ「よろしくなんだな」

 

 

 

 

 

 

 

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