ビビッド&ウィッチーズ!   作:ばんぶー

40 / 95
2020年もよろしくお願いいたします。今年中には完結いたします(今度こそ本当です。ウソじゃないです


第39話 宮藤「平和に這いよる黒いモノ」

わかば「流石に今日はくたびれたわね」

 

 

 

一色家の居間。眉に皺を寄せ、手で首を揉むわかばの声にも隠しきれない疲れがあった。早朝の騒動から学校へ行き、ようやく家に帰ってきて一息つくことができたのだから仕方がない。三枝わかばは優等生で通っていたし、武道家としての教えもあり学業に手を抜かないのも彼女の信条だったものだから当然授業中に寝るようなことはできない

 

 

同じくあおいやペリーヌ達も疲れた体に鞭打って真面目な態度を貫いていた反動で少し疲れ気味だ。ちなみに授業中爆睡していたひまわりは平気な顔をしている

 

 

 

 

シャーリー「ご苦労さん。夕飯まで少し寝てたらどうだ?」

 

 

わかば「いえ、それより朝の件について少しでも情報は出ましたか?気になって休んでなどいられません」

 

 

シャーリー「それならちょっと話そうか。昼間、私達3人は博士の付き添いで襲撃現場に行ってきたんだけど・・・」

 

 

_____________________________

 

 

柴条「警備員4名が軽傷。何れも麻酔銃のようなもので眠らされた際に転倒し少し擦りむいた程度です。人的損害はこれだけで済みましたが、警備ドローン15台、監視カメラ8基、追跡用の車両のタイヤに穴を空けられていたのも含めもろもろの備品に大きな損害が出ています。」

 

 

現場検証を行っている作業員達を遠巻きに見つめながら管理局局長柴条の現状報告を聞いているのは健次郎と居残り組であるウィッチ3人組。ルッキーニはつまらなそうだが、周りの慌ただしさと堅苦しさに気を使って精一杯行儀よく見えるようにしている。つまり黙っている

 

 

 

柴条「襲撃者は1人です。わずかにカメラが捉えた映像と、警備チームの目撃証言を合わせると間違いありません」

 

 

健次郎「どこぞのエージェントか。目的は破壊工作かの?」

 

 

柴条「何とも言えません。侵入を発見した時には既に逃走ルートに入っていましたので、目的は果たされた後だと考えられます。現時点では調査待ちです」

 

 

健次郎「おっと聞き捨てならんぞ。どういうことじゃ?示現エンジン周辺にはワシが作った虎の子の防衛システムである生体感知フィールドが展開されておる。敷地内に入られた時点で発見に至るじゃろう。」

 

 

健次郎の言う通り、示現エンジン周辺数キロに渡り発されている特殊な電波によりあらゆる生体反応を検知することができるのだ。常駐する職員は体内に認証チップが埋め込まれており、それの発するコードを読み取ってどこに誰がいるのかを把握している。また来客用の許可証も同様のチップが入っており、それを所有していない生体反応があれば即座に警備隊がかけつける手はずになっているのだ

 

 

 

柴条「こちらをご覧ください。昨日の2000時から今朝の0600時までのフィールド全域の反応グラフです。この時間帯は決められた警備巡回ルート、もしくは宿舎とゲートをつなぐルート以外に立ち入ることは基本的に許可されていません。管理局が承認すれば話は別ですが。このグラフを見るに、昨夜は全てにおいて異常無しです。侵入者発見の報告を受けて警備隊が出動するまで、立ち入り禁止区域に一切の生体反応はありません」

 

 

エイラ「それってつまり誰も侵入してないってコトにならないか?」

 

 

柴条「それが問題なのです。巡回していた警備チームの目撃証言も数人、見間違えとは思えません。こちらの発砲に対し閃光手榴弾のようなもので反撃を行い、警備のヘルメットに取り付けられた小型カメラにも、確かに何かが映っている。間違いなく敵はいたのですが・・・どうしたものかと」

 

 

エイラ「ユウレイでも出たのか?占いはできるけど除霊は専門外だかんな」

 

 

ルッキーニ「えーなになにユーレイ!?」

 

 

シャーリー「ロボットのようなものの可能性はありませんか?もしくは、人型ネウロイやアローンのような特殊な存在なら生体感知に引っかからないかも。ああでも、それならそもそも普通に他のレーダーで示現エネルギーを検出できてるし・・・」

 

 

健次郎「映像の身のこなしを見るに、機械という説は薄いじゃろう。この世界でここまで俊敏に動ける人型ロボットを作る技術レベルはない。シャーリーくんの言うように、そっち側の存在である可能性もある。レーダーに関しては、示現エネルギーの出力を抑えられてしまっては微弱すぎるとエンジンの反応に隠れて感知されない事もある。」

 

 

ルッキーニ「ユーレイ!?」

 

 

健次郎「まあ生体感知にひっかからないということは存外その認識もおかしくはないがのう。」

 

 

シャーリー「ルッキーニお前、そんなにオカルトネタ好きだったか?」

 

 

ルッキーニ「昨日ももとあかねとホラー番組見てたから気になっちゃう。」

 

 

シャーリー「ま、なんとかなるだろ。」

 

 

エイラ「ユウレイ倒したことあるのか?」

 

 

シャーリー「帰ったら銃口に塩でもすり込んどくさ」

 

 

 

____________________________________

 

 

 

 

シャーリー「てなワケで。みんなユウレイには気を付けようってハナシさ。」

 

 

ペリーヌ「本当にそういうお話でしたか・・・?」

 

 

あおい「どうしよう、島の神社に言ってお祓いとお塩をもらってこないと」

 

 

ペリーヌ「健次郎博士、わたくし達にも映像を見せてもらえませんこと?」

 

 

健次郎「うむ。解析用にもらってきた映像がタブレットに保存してあるぞ。自由に見てくれ。・・・間違ってもそのタブレットをネットに繋いだりせんでくれよ?全て機密情報なんじゃからな」

 

 

 

A4サイズのタブレットをみんなが一斉に覗き込む。映し出された映像はほとんど真っ暗な闇で、時たま入り込むライトの明かりが標的を探そうと激しく左右に揺れるがはっきりとした形のものは何も見えない。音声は入っていないようで、客間には誰かが小さく息をする音だけが残された

 

 

 

しばらくして、画面の端を黒い塊が一瞬だけ通り過ぎた

 

 

あかね「とめて!」

 

 

ひまわり「ん。巻き戻して・・・ここ。なにか映ってる。」

 

 

 

コマ送りで動画を戻していたひまわりが画面をタップして静止させた。それが人に近い物であるという前提をもって観察すれば、その侵入者が驚異的な身体能力で黒ヒョウのように飛び跳ねて警備兵を振り切ろうとしているイメージが浮かぶ

 

 

 

 

刹那あかねの脳裏に直感のビジョンが映り込んだ。しかし、それを具体的な思考につなげることは心が拒否してしまう。ただ、黒い尾を引き跳躍する影があの子のロングヘアーのイメージと被ってしまっただけだ。そう思って思考を切り替えないと、お腹にずしんと響いた不快感から逃げられない

 

 

 

宮藤「・・・」

 

 

 

芳佳とあかねは朝の浜辺での再会をまだ誰にも言っていなかった。特に理由があった訳ではなかったが、どうにも嫌な予感がしたからだ。芳佳はあかねの青白い顔を見つめ、それからあの時の黒騎れいの顔を思い出し、小さくため息をついた

 

 

受け入れ難い直感を彼女も感じていた。しかしそれについてどう口に出すべきなのかを決め兼ね、ただ揺れ動く感情を心の奥底に呑み込んで2人は他のみんなが口々に感想を言い合うのを黙って聞いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




みなさんお正月はゆっくりできましたか?

ビビオペウィッチーズの番外編としてクリスマス&お正月を描こうかなと思ったんですけど完結に向けて本編を進めることを優先することにしまいた。完結後に色々やりたいと思います。

劇中では春から夏の真っ盛りくらいしか季節が進まない予定なので冬編を想像するのは結構楽しいんですけどね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。