ビビッド&ウィッチーズ!   作:ばんぶー

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第40話 あかね「あの子の影」

〈ホームルームの終わりを告げる力強い鐘の音!!!!!〉

 

 

 

 

 

担任「それではみなさんまた明日!お気をつけてお帰りください!!」

 

 

誰よりも早く颯爽と去っていく担任の教師を追うように、放課後を待ちわびていた者達がかばんをもって教室から走り出た。おしゃべりを優先する者は好きな席に移動し無駄話をおっぱじめる

 

 

 

こまり「うーつかれた。あかねー、今日は部活だっけ?」

 

 

あかね「うん。ごめんねー。」

 

 

こまり「おっけ。じゃあ私はどうしよっかなぁ」

 

 

前の席の女子「こまりちゃん。暇ならお茶しばかない?」

 

 

こまり「行く行く。じゃねあかね-。また明日」

 

 

あかね「ばいばーい!」

 

 

 

手を振って去っていく同級生を見送り、あかねも鞄を持って席を立った

 

 

毎日、という訳でもないがビビッドチームの面々は放課後になると学園の広い敷地の一部を借りて訓練に勤しんでいる。訓練と言っても基礎的な運動能力を養うちょっとした運動のようなもので、クラスメイトには部活動ということにしている

 

 

わかば「ビビッど根性部ね。」

 

 

ペリーヌ「わたくしも所属している事になっているので、そのような名称は控えていただけませんこと?」

 

 

リーネ「オリー部?」

 

 

宮藤「ペリー部。」

 

 

ペリーヌ「ここじゃなかったら電撃を使ってましたわよ。・・・最近、わたくしの魔法ネウロイ相手よりあなた方に使ってる頻度の方が多いような気がしてきたのですけれど」

 

 

ひまわり「平和ってことだね」

 

 

ペリーヌ「誰一人わたくしと一緒にツッコミはやってくださらないのですね。はぁ・・・さっさと行きますわよ!」

 

 

学校にいる間は彼女達も年相応、くだらない会話を交わし、賑やかな教室に実に馴染んでいる。しかし、教室に1つだけ空いている席がある。既に帰宅したのではなく、朝からずっと___いや、数日前からしばらく誰も座っていない席だ

 

 

あおい「れいちゃん、来ないね。」

 

 

あかね「ん。・・・そうだね」

 

 

 

この会話を続ける事が怖いのか、あかねは気のない相槌だけを返すとれいの机をそっと指先で撫でる。指に伝わるプラスチックの異様な冷たさは、教室の熱気と隔絶された空間にあるかのように感じられた。ここのところ募るばかりの寂しさがまたあかねの心をキュッと締め付ける

 

 

あおい「・・・もう三日だね。」

 

 

 

黒騎れいの姿が見えなくなってからもう三日になる。そして三日前は示現エンジンへの侵入事件があった日でもあった

 

 

れいの休校が一日増える度、あかねと宮藤が暗い顔で思い悩む時間が増えるのはチーム全員が気付いてた。かつて共に過ごした仲間が学校を休んでいるというのにはチームの全員が寂しく思っていたし、クラスメイト達も心配している。だがあおい達はこの二人の表情に陰を作っているのはそういう事情とは少し違っているのではないかと疑問に思い始めていた

 

 

 

 

その後の訓練中にもあかねと芳佳の暗い感情は尾を引いていた。今日の訓練はバレーボール。チームワークと素早い状況判断を養うのを目的として行われるそれだが、明らかに集中してない2人に業を煮やしたペリーヌが手を叩いてゲームを打ち切る

 

 

ペリーヌ「で、どうしたいんですの?」

 

 

宮藤「どうって言われても・・・」

 

 

ペリーヌ「なにか隠しておられるんでしょう?あなた方、顔に出ますわよ」

 

 

あかね「え!?そ、そうかな?」

 

 

あおい「うん。かなり。」

 

 

あかね「ほんと!?」

 

 

ひまわり「うん。」

 

 

宮藤「・・・ごめんなさい。」

 

 

ペリーヌ「謝るくらいなら相談なさいな。時間が経てば解決されるような問題ではないのでしょう?」

 

 

芳佳はチラリとあかねに視線を送る。問いかけるようなその目にあかねは複雑な表情をあれこれと浮かべたが、最終的にはこくりと頷いて全てを芳佳に任せた

 

 

 

宮藤「実はこの前の示現エンジン襲撃事件があった日の翌朝に・・・砂浜で倒れてたれいちゃんを見つけたんです。かなり消耗した様子で、とりあえず治療してあげたんですけど。」

 

 

ペリーヌ「・・・」

 

 

宮藤「様子がおかしかったんです。れいちゃんもなんでこんな所にいるのか解らないって顔でしたし、結局思い過ごしなんだと信じたいんですけど・・・」

 

 

ペリーヌ「まったくもうっ__」

 

 

 

何故すぐそれを話さなかったのか、と問い詰めようとしたがやめた。宮藤とあかねのお人よしな性格を考えれば、友人の立場が悪くなるようなことに口が重くなるのは当然であるのがすぐ理解できたからだ

 

 

ペリーヌ「・・・しかし、あなた方が思っている通りかもしれません。黒騎さんの動向について、詳しく知る必要があるでしょう。早急にです」

 

 

わかば「何を懸念しているのかしら?」

 

 

ペリーヌ「この事態に関与しているかもしれないということです。」

 

 

ひまわり「エーリン先生に連絡して黒騎さんの現住所がどうなってるか、学園の生徒情報を調べてもらうね。あと博士に連絡して管理局に島の監視カメラから黒騎さんの最近の動きを探ってもらおう。」

 

 

ペリーヌ「お願い致しますわ。・・・あかねさん。宮藤さん。様子を見に行きましょう。彼女はわたくし達の親しい友人であり、仲間であり___これからもそうあっていただくため、疑いは晴らすべきです。ですから少し深呼吸して落ち着きなさい」

 

 

 

2人は自分達が強く拳を握りしめていたことに気付く。大きく息を吸って、吐く。それを何度か繰り返し、心臓の強い鼓動が平常なものに落ち着くのを待つ。しかし身体の熱が引いていくと今度は背中に伝う嫌な汗が妙に冷たく感じられた

 

 

 

あかね「れいちゃんは・・・」

 

 

ペリーヌ「あなたが宮藤さんを助けて下さった時、同じようなシチュエーションで現れた黒騎れいさんを怪しいと思わなかった訳ではありません。健次郎博士も少なからず思うところはあったはずです」

 

 

宮藤「・・・」

 

 

ペリーヌ「博士は共に過ごす中で黒騎さんが〈善き人〉であると・・・そう判断されたのです。ですから彼女が外へ出ることを温かく見守り、あかねさん達に何も言わなかった。わたくしも同じ思いでいたいと願っています」

 

 

 

淡々と話しているように見えるペリーヌだが、彼女も感情を抑えてふるまっている事は2人には分かっていた。しかし彼女は、自分の思いよりも求められる役割を果たすために行動している

 

 

 

ひまわりがどこかと連絡を取っているのを横に聞きながら、あかねはふらふらと歩いて行って背の高い木に身体をもたれかけた。そうしてしばらくの間なにも言わず空を見上げ、太陽が西へ傾いてく様をただじっと見つめながらついこの前まで家族の一員として傍らに居てくれた黒騎れいの笑顔を思い出していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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