ひまわり「え、なに!?あおい!!?」
わかば「一体なにが・・・あかね!どうなってるの!?」
あおい「あ・・・あ・・・」
ガクガクと震える身体は今にも崩れ落ちそうに見える。肺の中の空気を全て吐き切って尚慟哭を止めようとしない彼女がそれでも意識を失わずいるのは、あかねを支えなければならないという使命感があおいの行動理念の根底に根差しているからこそだ
わかば「落ち着いて!呼吸を意識するのよ!あおい!・・・博士、あかねはどうなっているんですか!?」
健次郎『パレットスーツが消失した時点でこちらからあかねの状態を解析することはできん!速やかに撤退しするんじゃ!!』
柴条『医療チームの受け入れ準備ができています!ビビッドチーム、あかねさんを管理局本部へ!』
ひまわり「あかね・・・あかね・・・!」
頭を抱えるようにしてうろたえるひまわりの肩を掴んでわかばは無理やりこちらを向かせた
わかば「ひまわり落ち着いて!お願い!・・・冷静になりましょう。空にはまだ穴が開いている!敵はまだ来るかもしれない!あかねもあおいも戦えないのよ!」
ひまわり「・・・ん。ごめん。わかった」
一度深呼吸をして、ひまわりの眼から動揺が消えたのを確認するとわかばは空へ向き直り頼れるお姉さんに通信を送る
わかば「シャーリーさん聞こえますか!」
シャーリー「もう来たよ!あかねとあおいを連れて行く!エイラ!!あとは頼めるな!」
すっ飛んできたシャーリーがあかねとあおいを両脇に抱え込みすぐさま全速力で管理局へ飛ぶ。遅れて来たルッキーニが心配そうに横目で仲間達の様子を見ながらその銃口を上空に向け警戒態勢をとる
エイラ『おう任せろ。わかば、ひまわり。辛いかもしんないけどしばらく耐えてくれ。今敵が現れたら迎撃できるのは私達だけなんだからナ。ハカセ、状況はどんなだ?』
エイラに呼びかけられ、あかねのことで動揺していた健次郎はハッと自分を取り戻した。あかねの下へ走っていくことばかりを考えていたが、少なくとも今はアローンに対応しなくてはならないことを思い出し、無理やり頭を切り替えてモニターに目を走らせ状況を整理する
健次郎『う、うむ。ゲート自体は消滅に向かっておる。今のゲートが発しているものはこれまでのアローンの出現時に観測された数値の半分にも満たんエネルギー反応じゃ。それより問題は・・・今の矢が飛んで行った方角じゃ』
エイラ『どの方角に飛んで行っても縁起が悪いと思うけどな』
健次郎『あちらには東京があるんじゃ!柴条くん、矢はどうなった!?』
柴条『防衛軍の関東支部に問い合わせています。』
防衛オペレーター『こちらは防衛軍BI本部です。現在、関東全域にある防衛軍支部全てと連絡がつきません。他の地域の支部とは問題なく連絡がつくのですが、そのどの地域からも関東とは連絡不能な状態です』
通信に割り込んできたのは少し落ち着かない様子の防衛軍オペレーターの声だった。彼女の後ろが随分騒がしいことから、防衛軍の指令室が随分と慌ただしいのが伝わってくる
健次郎と柴条は顔をしかめて少し通信のボリュームを下げた
健次郎『広域での通信妨害じゃと?まさか』
防衛オペレーター『武装集団によるテロ行為の可能性も鑑みて既に関東周辺の防衛軍は行動に出ています』
柴条『ですが、このタイミングであれば矢による影響である可能性の方が高いでしょうか?』
健次郎『かもしれんのう』
そんな話をしている間にもディメンションゲートはゆるやかに収束し、大した時間を要さずして開いていたゲートが完全に消滅した。空を覆っていたどす黒い雲が散っていくが既に陽は沈んだ後。辺りを欠けた月光が弱々しく照らしていた
エイラ『ヨシ、博士。私はまだ余裕があるからルッキーニを連れて東京の様子を見に行くよ。他の4人は撤収してくれ』
ペリーヌ「エイラさん!わたくしもまだ飛べますわよ」
エイラ『いいから任せとけって。ミヤフジを回収してあかねのところに連れて行ってやってくれ。ミヤフジ!今どこにいるんだ!?管理局へ行ってあかねを___ミヤフジ?出ないな。トイレにでも行ったのか?』
ペリーヌ「仕方がありませんわね。そういうことならあかねさんの下へ行かせてもらいましょう」
リーネ「・・・わかばちゃん、ひまわりちゃん。どうかしたの?」
わかば「いえ、なんだか・・・身体の力が・・・」
そう答えるわかばの顔は土気色で、普段の覇気がまるでない。ふらふらと飛行も安定していない様子で、隣に立つひまわりの表情も険しい。彼女は手元に出現させた小さいモニターを力なく操作しながら苦しそうな顔で話し出した
ひまわり「私達のエネルギーがさっきから下がり続けてて・・・このままだと変身を維持できな___」
小さな声で力なく呟くやいなや、突然ひまわりのパレットスーツが粒子に変わってしまう。それを見て慌てて手を伸ばしたわかばのスーツも一瞬発光した後消失してしまう
翼をもがれた2人は当然のように重力に引かれタールのように黒く淀んだ海へ真っ逆さまに自由落下を始める
ペリーヌ「お二人共!!」
しかしすぐに2人の魔女に救出され身体を海水に浸さずに済んだ。しかし、2人の身体は既に冷や汗でぐっしょりと濡れていた
わかば「ありがとう、助かったわ。・・・私も高所恐怖症になりそうだわ」
ひまわり「なんで変身が・・・まさか・・・!お願い、急いで管理局に連れてって!!」
ペリーヌ「ええ、言われずとも全速力ですわ!お二人共、しっかり捕まって!」