ビビッド&ウィッチーズ!   作:ばんぶー

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第48話 宮藤「お待たせしましたすごいヤツ」

空から落下してきたのかと見紛う程の勢いで急降下してきた芳佳と人型ネウロイはほとんど減速せず勢いそのまま黒騎れいとビビッドチームの間に割って入った。すさまじい衝撃があるはずだが、魔法力を発動させている芳佳にダメージはない。しかし管理局正面広場の地面にひびを入れてしまったことはかなり気になる様子だった

 

 

 

宮藤「なんで減速してくれないのかな!?」

 

 

人型ネウロイ「___」

 

 

人型ネウロイは言葉の代わりに両の手の平を上に向け肩をすくめるようなモーションを取った。謝罪しているようで、自分は悪くないとでもいいたげな性格の悪い態度からはしかし敵意のようなものは感じられない

 

 

宮藤「確かに私ができるだけ急いでとは言ったけど・・・もういい、とにかく今は!」

 

 

れい「そんなものを連れて乱入とは、とんでもないわねあなたも」

 

 

「イレギュラー。度が過ぎますね」

 

 

これまで偉そうな態度を崩さなかったれいの表情が変わる。険しく、敵意に満ちていた。無機質な筈のカラスの声もどこか苛立ちを含んでいるように感じられた

 

 

 

宮藤「お待たせ」

 

 

れい「すっかり事情通って顔ね」

 

 

宮藤「事情は解らないけどれいちゃんがやろうとしてることは見過ごせないってだけだよ」

 

 

れい「事情を話せば手伝ってくれたりしないかしら?」

 

 

宮藤「どんな理由が裏にあろうと、他所の戦いをこの世界に持ち込むことは絶対に許されることじゃない!本当に話し合いをするためにここに来たっていうんなら、あかねちゃんを人質にとるようなことはやめないとだめだよ!」

 

 

れい「正義の味方、結構な事ね。でもそれをこの世界で実践されては困るのよ」

 

 

 

れいの目配せを受けて、黒いカラスが羽を広げる。それは一羽の鳥が本来持つべき翼のサイズを優に超えた広がりを見せ、そびえ立つ壁のようにれいの左右に展開された。漆黒の壁は生物の温かさを有しておらず、全ての光を吸い込むような深さを感じる。見る者の恐怖を掻き立てる無限なる闇そのものであった

 

 

辺りの気温が急激に下がっていく。重力が何倍にもなったかのようにわかば達が錯覚してしまう程、抑えつけられるような高圧的な気配を目の前の存在から感じていた

 

 

 

シャーリー「なにか仕掛けてくるぞ!」

 

 

わかば「くっ、ひまわり!私の後ろに」

 

 

エイラ「オマエも私達の後ろに下がるんだよ!」

 

 

黒い壁の中に赤い光がキラリと瞬いた。間違いなく希望の光などではないそれは1つ、また1つと数を増やしていき、10を越えた辺りでペリーヌは数えるのを止めた

 

 

 

「あなた達の進化を求める本能の強さは危険です。示現力とは、精神性の成長をおざなりにしたまま手にしていいものではないのですよ。あなた方にはここで果てていただきます」

 

 

ルッキーニ「なに言ってっか解んない!」

 

 

シャーリー「そりゃそうだろ、カラスなんだから!」

 

 

わかば「目が据わってる。狂気すら感じるわ。今のあなたを黒騎れいだと思いたくないわね!」

 

 

れい「黒騎れい、などという存在が最初から虚構なのよ。まあ敢えて言うなら・・・こちらが本物よ」

 

 

エイラ「おい宮藤、任せていいんだよナ!?」

 

 

宮藤「はいっ!ストライカー、お願い!」

 

 

魔法力を発動させた芳佳が強化された身体能力をもってして跳躍する

 

 

れいとの話し合いに一縷の望みを賭けていた宮藤芳佳は、リスクはあれど素手の状態で登場した。だが戦いになった場合の対策を考えていなかった訳では無い

 

 

芳佳の頼みを聞き届けた人型ネウロイが右腕を前に突き出すと芳佳の足元に次元の穴が発生し、そこから緑に塗装されたストライカーユニットが1人分飛び出した。それは吸い込まれるように芳佳の両足に装着される

 

 

 

その瞬間、青白い光が一面に広がった。あまりに巨大な為地上にいるビビッドチーム達には解らなかったが、それは宮藤芳佳が発生させた魔法陣だ。黒いカラスの翼が放っていた悪意を払いのけるような強い力が一帯に満ち溢れ、わかばとひまわりは自らの身体に熱い力が湧いてくるのを感じた

 

 

 

ひまわり「すごい・・・!」

 

 

ペリーヌ「相変わらずめちゃくちゃな魔法力ですわね」

 

 

黒い壁の中から数え切れない程の大小入り乱れるビームが一斉に放たれた。それらは全てストライカーを装備した宮藤芳佳と、その横に立つ人型ネウロイを焼き払わんとするため狙い澄まされたものだ

 

 

宮藤「防ぎますっ!」

 

 

治癒の魔法を個性としてその身に宿し、傷をつけるより癒すことを好む彼女。しかし背後に守るべき人々を背負った宮藤芳佳は、眼前の敵に全力をもって立ち向かう覚悟があった

 

 

ウィッチであれば誰もが使用可能な基礎的な魔法。降りかかる災厄を祓う神聖な魔法陣。シールド

 

 

宮藤芳佳が保有する魔法力はストライクウィッチーズ所属のどのウィッチよりも多い。それらが全て防御に回された時、展開されるシールドのサイズと堅牢さはもはやオリジナルの魔法として成立してしまう程強力である

 

 

展開された直径10m以上に及ぶ青い魔法陣が、一斉に発射されたビームの全てを包み込むように受け止める。宮藤芳佳は一歩も下がらず、背後のビビッドチームの面々と管理局の建物を守り切ってみせた

 

 

 

衝撃で削られた地面から舞い上がった砂ぼこりと、赤と青の光がぶつかりあって生まれた閃光が収まる頃には既に黒騎れいと黒いカラスは跡形もなく姿を消していた。力の主を失った黒い壁も存在を留めることができず崩れ落ちながら宙に消えていった

 

 

 

宮藤「ふー、なんとかなったね」

 

 

シャーリー「なーにがなんとかなったねだよ!説明しろ宮藤!1から10までな!」

 

 

宮藤「色々あったんですよシャーリーさん色々!ですがハッキリしてることは2つあります。私達が仲良くしてた黒騎れいちゃんはもういないってことと、私達が選ぶ選択肢はさっき提示された2つのうちのどちらでもないということです」

 

 

ペリーヌ「素敵な第三の選択肢をお持ちなので?」

 

 

宮藤「アローンにもネウロイにもこの世界からご退場願います。どちらもここに必要無いものですから」

 

 

 

彼女は力強く断言した。シャーリーに対してなんの説明にもなっていないが、先ほどまで絶望しか無かったこの場に確かな希望が産まれたことは確かな事だった

 

 

人型ネウロイが拍手で芳佳の決起を盛り上げようとしているのをリーネは信じられないといった顔つきで見ていたが、ネウロイに促されて戸惑いながら小さく拍手を始めた

 

 

 

 

 

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