1人で出歩くことは許されなかった。どこで倒れるか解らないから。
遊びに行く事はできなかった。友達に迷惑をかけるわけにはいかないから。
「なら、一緒に新聞読もうよ」
読めない字は2人で調べた。早起きして朝刊を受け取り、夕日を浴びながら彼女を待った。
外に出るのを諦めていた私はいつしか、彼女と同じ世界が見たいと思った。
彼女と一緒に。
健次郎「ゆくぞ!オペレーション開始!」
あかね「イグニッション!!」サッ
〈ピキュィィィーン!!〉
言葉は勝手に口をつく。あかねの前に赤く光輝くゲートが出現した。その大きさは二階立ての家ほどある。あかねは手の中で熱を放っていた鍵をその中央にぶっさし、左側にぐりんとまわした。
あかね「テクスチャーオン!オペレーション、ビビッドレッド!」
ゲートのロックが順々に外れ示現の力の奔流があかねを包みこんだ。大きな力に身を任せたあかねの身体を軸に形となったエネルギーが鎧となって体現する。それでもその見た目がマーチングバンドをもとにしたような可愛らしいフリフリが少しついた服装に見えるのは祖父の小粋な遊び心。だがそれはあくまで見た目の話。その本質は敵を討ち、破壊の光を跳ね返す勇者の鎧。有り余るエネルギーを軽く放出しあかねは赤い光の軌跡をうっすら残しながら大空へ飛び出した。
あおい「速い!飛行機よりずっと速い!」
あおいはその速さに驚愕した。一瞬で目の前から消えて、瞬きの間にもう赤い光は水平線に飲まれて見えなくなってしまっていた
健次郎「示現エネルギーを自在にあやつるパレットスーツはこの世界最強の防御力と出力をそなえておる。それだけの力を出し続けるには示現エンジンの生産するエネルギーの7割をもっていくがな!」
あおい「・・・それって停電とかになるんじゃないですか?」
健次郎「はっはっは!なにをいうとる。世界中で使われとるエネルギーを送り出すのに使っとるのは示現エンジンの3割にすぎん。余裕じゃよ。」
あおい「さ、3割で世界中の・・・!」
たった3割の力で地球ほぼ全てのエネルギーをまかなえるというのに、今のあかねはその倍以上のものを1人で使っているらしい。
健次郎(しかし・・・これは長くは・・・)
宙に展開したいくつもの画面を見比べていた健二郎はすでにいくつも改善点を見つけそれを手元の機械に器用に入力している。あおいは一瞬で小さくなって見失ってしまったあかねの姿を海の向こうに探すので必死だった
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あかね「アハハ・・・これ、すごい!」
飛べる。自由自在だ。歩くように簡単に、なにも意識しなくてもあかねは自分が思ったように空を移動できた。少しジャンプするような感覚で水面スレスレから雲と同じくらいの高さまで飛び上がり、遠くの方にアローンを見つけた。天に届き島を踏み潰すほど大きく見えていたそれも今ではあかねより低いところを這いつくばってのろのろ進んでいるだけだ。あかねは手袋がはめられている右手をなんどか握ったり開いたりした後強く拳を固めると、アローンめがけ稲妻のように突っ込んだ。
<ゴォォォォォォォォォ・・・>
耳元で少し空気を押しのける音がするが、それもスーツの保護でほとんど影響はない。身体にくる空気抵抗などもまったく感じない。時間にして一秒にも満たない超高速での飛行だがあかねにはいつもワンコで走りまわっている程度にしか感じなかったし迫る敵がどんな動きをしているか容易く見えた。戦闘機隊に衝撃波が当たらないようコースを考え、アローンの黒光りする身体がどんどん近づいてくるのにあわせて拳を大きくふりかぶり
あかね「ビビッド・・・パァァァァァァンチ!」
腹の底から叫び声をあげ、示現力の結晶と化した拳を叩き付けた。
それは、一方的な侵略者に対抗できる人間がここにいることを伝える宣戦布告の意味合いも強くこめられていた。示現の力を有した戦士の登場により、アローンと人間の戦いのゴングは今ようやく鳴らされたのだ。
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その少し前
チャーリー1「こちらチャーリー1!作戦本部!敵にこちらの攻撃はダメージを与えられているのか!」
オペレーター『チャーリー1。攻撃を続行せよ。ダメージは確実に蓄積されている。攻撃を続行せよ。』
チャーリー2「蓄積だってか。それであと何時間かければあの装甲を破壊できる?」
チャーリー3「クソッ、被弾した!エンジンが・・・だめだ!うわあああああああ!燃える!!」
偵察にむかったアルファチーム3機と輸送機護衛にあたっていたブラボーチーム3機をのぞき、アローンとの戦闘だけで十機近くが犠牲になっていた。この犠牲をもってしてもアローンの侵攻がすこし遅くなったかどうかくらいの戦果があがっただけだ。敵の損害は0。部下達からあがってくるデータの中から1つでも有効なものを見つけだそうと作戦司令室の幹部達は懸命だったが、はやくも追い詰められていた
部下1「陸上部隊が避難誘導の進行度が80%を達成したとの報告。終了次第エンジン周辺に展開し一斉砲撃を行えるよう準備を要請してあります。」
部下2「航空機隊のB2ミサイル、依然として効果ありません。敵、アローンの装甲に損傷は見られません」
長官「攻撃は継続させろ。敵の侵攻ペースが落ちていることは確かだ。」
部下3「第3ライン突破まであと30秒です。艦隊に砲撃要請を出します。」
飛行幹部「長官。戦闘機の攻撃ペースを維持するには補給も必要です。これ以上前線を維持するのは・・・」
長官「手がないわけではない。あと少しでいいはずだ。順番に補給を行わせろ。攻撃は最低限でいい。足を狙え。」
飛行幹部「はっ。各隊、順に補給の支持をだす。回避を優先し、艦隊の射程ギリギリで敵の攻撃をひきつけろ!」
長官(もう少しのはずなのだ・・・)
部下1「示現エンジン付近に高エネルギー反応!これは大質量の示現エネルギーです!」
部下2「エネルギー体、高速でアローンに接近!さらに高度上昇・・・高度下降!アローンにむかって・・・ああ、速すぎる!」
レーダーに光の玉が表示されたかと思うと、それは航空機の反応の何倍も早く画面中を駆け巡る。警告を出す間もなくそれはそのまま速度を落とす事なくアローンの反応と接触した
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助手1「局長。長らく凍結されていた示現エンジンの4区から10区までが外部からのアクセスにより稼動しています。」
紫条「問題ないわ。解っているから。こちらからアクセスを妨害しないようにだけ注意して。」
助手1「了解いたしました。」
助手2「局長。お電話です。」
紫条「ありがとう。はいもしもし?」
健次郎『ワ シ じ ゃ よ。』
紫条「知ってました。先生、お久しぶりです。」
健次郎『驚いたじゃろう?』
紫条「示現エンジンの4区以降の稼動キーをしっているのは先生だけですから。示現エンジンの70%の出力を使うべき日が来た、ということですよね?」
健次郎『そういうことじゃ。防衛軍の指揮官に、間違っても我が孫を攻撃するようなことのないよう伝えておいてくれ。あのアローンを撃退した後詳しい話はするからのう。』
紫条「先生が直接お伝えになればよろしいのでは?」
助手2「通信、切断されました。発信地逆探知不可です。」
紫条「やれやれ。防衛軍司令室につないで。」
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あかね「パァァァァァァァンチ!」
拳に集中させたエネルギーが爆発する。アローンの身体は大きく傾き、倒れないようバランスをとるため4つの足をドスンドスンと後退させた。対してあかねはその勢いで後ろに吹き飛ばされぐるぐる回転しながら海の中に落ち派手な水柱をあげた。
チャーリー1「本部!今のは新型ミサイルかなにかか?」
オペレーター『・・・いや、こちらからはなにもしていない。反応水中!浮上するぞ。』
<ザパン!>
あかね「海水もバリアではじける仕様なんだねおじいちゃん。今度これで魚とってくるよ。」
海水を押しやりながらあかねが直立の姿勢で浮き上がってきた。両腕は肘を曲げ両拳は肩の位置。ロボットのようなポージングだったので、戦闘機パイロット達は遠目にあかねをロボットだと認識するところだった。
アローン〈・・・・・〉
後退して少し沈黙していたアローンは体勢を整え再び侵攻を開始した。ダメージはあるのだろうか?すさまじい衝撃を受けた箇所がほんの少しへこんでるように見える程度であったのであかねは少し焦った。自分の全力パンチがまるで通じていない。常時繋がっている通信回線で祖父に話しかけた
あかね「全然ダメージ通ってないよ!やっぱり必殺技はキックなのかな?赤いマフラーと宙返りからの伝統的なライダー技でないと敵が倒せない仕様なの?」
健次郎『大丈夫じゃあかね。ガイド画面を出しておく。』
あかねの前に半透明の電子画面がいくつか展開された。ビームが飛んでこないか警戒しながらそれの端から橋までざっと目を通し、武器について標記してあるらしい画面を見つけそれに手をかざしながら
あかね「武器・・・!オペレーション!ビビッドラング!」
叫ぶと展開されていた画面が全て消え、かわりにあかねの手元にキラリと赤く輝くメタリックなつくりのブーメランが具現化した。少し重いが1m程の大きさがあり、反り返った外側部分は赤く輝いていてそこに高質量の示現エネルギーが濃縮され刃となっている
健次郎『問題なさそうか?』
あかね「うん。凄い力。」
アローン〈オォォーー〉
正面を向いたまま水上を横スライドするあかねめがけ何度もビームが飛ぶが、速さの感覚が何倍にも鋭くなっているあかねには回避するのは簡単だった。赤い死の光線に感じる恐怖は変わらないが、しっかり向き合っていれば渡り合える。あかねは身体をゆっくりと回転させる。速度を少しずつ増しながらブーメランを右手だけで持ち遠心力を乗せ、さらに肩、肘、手首を連動させ力いっぱいネイキッドラングを放った。
あかね「イヤーッ!!」
<ガギィン!!>
命中だ。ネイキッドラングは大きく弧を描きながら高度を上げ、上から斜めに降下しながらアローンの4つの足のうち一本を斜めに切り裂いた。不気味な漆黒の装甲がえぐれて内部が露出する。鈍く灰色と赤の混ざったような、肉のようにも見える。それがあわさりなんとも傷口めいて見える。あかねは高速で戻ってくるネイキッドラングを受け取る。勢いを殺すために身体を一回転させる必要があったが、あかねはなんとかブーメランを抱えてアローンに向き直った
ブーメランとは、古来につくられた投擲武器である。ブーメランというと投げれば手元に返ってくるものという認識が強いが、狩猟用の大きなものは普通標的にぶつけた後戻ってくる構造はしていない。敵にダメージを与えるほどの質量のあるものが高速で戻ってくれば使用者にも被害を及ぼすからだ。手元に返ってこないタイプのものは別の名前で呼ばれる。が、あかねの武器は〈ブーメラン〉である。敵に対しては無慈悲に命を奪いにかかるが、持ち主のもとに戻ってくる時は武器としての牙は隠したあとだ。それでもパレットスーツの恩恵を受けている状態でないと到底さばけるものではない。
あかね「へっへー。これが新聞配達歴5年、一色あかねのコントロールよ!そーれ同じところにもう一発・・・」
グルンと身体を回転させ再び投擲。迂闊だ!あかねは攻撃を中断して真上に飛び上がった。さきほどまであかねのいたところにアローンのビームが着弾し海水が派手に飛び散る。アローンは自分を破壊することが出来る存在に攻撃目標を集中させることにしたのだ。当然の戦法である。
チャーリー1「本部!見たか!女の子が敵にダメージを与えたぞ!女の子が飛んでるぞ!なにがどうなんだ!」
オペレーター『チャーリーチーム。少女に協力して戦闘を続行せよ。』
チャーリー2「不思議な指示だな。だが協力と言っても攻撃は通じないぞ。おとりにでもなれっていうのか?」
オペレーター『チャーリーチーム。少女が装甲を破壊した部分を攻撃するんだ。そこならダメージが通る。他のチームは引き続き補給を行ってくれ。』
チャーリー1「よし。チャーリー1、アタック!」
チャーリー2「チャーリー2、アタック!」
二機は縦に編隊を組んでアローンへ接近をかける。アローンは空中を自在に駆ける少女を倒すのに躍起になっている、今ならミサイルが迎撃されることもないはずだ。二機の戦闘機からまとめて4発のミサイルがうなりをあげて発射された。アローンの傷ついた箇所へ寸分たがわず狙い撃たれたミサイルが爆音をあげて直撃する。先ほどまでのように敵の表面でむなしく広がるだけだった煙と違って今度のには確かな手ごたえを感じた。アローンの足が細かく振動している。煙が晴れたあと、やはり被害を与えることができたようだ。傷が広がり、内側から漏れ出す光も多くなった。アローンの体内に蓄積された示現力が漏れ出しているのだ。
あかね「おお!ありがとうございます!」
チャーリー1「いいってことだ!もう一度しかける!」
チャーリー2「了解。うっ!」
突如アローンの攻撃が戦闘機へ向く。先ほどより太くなっている光線は戦闘機の片翼を飲み込んだ。
あかね「攻撃が強くなった!?危ない!」
落ちていく戦闘機とは別のほうにアローンが攻撃したのを見るやいなやあかねはネイキッドラングを力いっぱい投擲した。示現エネルギーの刃とビームが衝突して衝撃波を巻き起こす。ビームの軌道をそらしたブーメランを受け止め、あかねは今度は落ちていく戦闘機を助けるため全力で飛ぶ。コクピットのガラスを根元からひっぺがして気絶しているパイロットを抱き上げて離脱した。機体は海へ沈んでいく。
チャーリー1「助かった!そいつはまだ生きてるか!?」
あかね「意識はないけど、血は出てないよ!おじいちゃん!この人連れていったん戻るね!」
オペレーター『チャーリー1、一度帰還してくれ。アローンの攻撃が激化している。こちらの機動力ではこれ以上の戦闘は無謀だ。あとは彼女達に任せ、こちらは遠距離からの支援に徹する。』
チャーリー1「女の子に任せて撤退か。情けないな。」
艦隊からの超遠距離砲撃による支援を受けながら二人は撤退を開始した。怒り狂っておいかけてくるとふんでいたが、アローンはこちらが距離をとると攻撃をやめ、足をとめて動かなくなったのだ。見るとダメージを与えた足の周りの空気がゆがみはじめた。すさまじい示現エネルギーの奔流で空間がゆがんでいるのだ。アローンは体内から漏れ出す示現エネルギーを装甲の修復にまわしている。艦隊の攻撃は出力を抑えたビームで的確に迎撃しながら、じっと完治を待っている。
だが今は一度退くしかない。あかねは背負ったパイロットが落ちないよう気をつけながらも速度をあげて祖父のいる人工海岸に着陸した。
あかね「この人を!」
いつのまにか祖父のもとに来ていた数名の軍人がすばやくストレッチャーを展開して負傷したパイロットを寝かせ走って行った。
あかね「おじいちゃん、もうちょっと強い武器ないの?これじゃ倒すなんてとてもじゃないけど無理だよ・・・。しかも・・・凄い疲れる・・・」
あおい「あかねちゃん!あつっ・・・!凄い熱・・・」
ネイキッドラングを杖のようにし肩で息をしているあかねに駆け寄ったあおいは夏場のクーラーの外の機械の前に立った時のようなすさまじい熱気にあてられ思わず手をひいてしまった。感情が昂っていた間は気にならなかったがどんどん体温が上がってきているのだ。感情の問題だと思っていたが、実際に上昇してきている。
健次郎「示現力を完全に支配下におくのにパワーを消費しすぎるのじゃ。今のあかねは示現エンジンそのものといっていい。いや、示現力をさまざまな形に変えて放出することのできるこのシステムは示現エンジンより複雑。それと一体化しているあかねの負担は想定以上のものじゃ。」
淡々と説明するが健次郎も必死である。彼の前に展開された電子モニタは先ほどから増える一方。孫が命をかけ戦っているのなら自分は研究者として最高のサポートをする以外のことは考えない。心配なのは当然だ。だが、焦りは効率を悪くする。健二郎は冷静に計算し、答えを照らし合わせ、そして推測する。
あおい「――おじいさん。あの鍵は1つしかないんですか。」
凜とした声が健次郎の脳内に響く。
あかね「あ、あおいちゃん。それは」
あおい「あかねちゃんは休んでて。」
あかね「あ・・・うん」
ビシっと言われて思わずうんと言ってしまった以上口を閉ざすしかない。今はアローンの方に動きは無いようだ。ともかく祖父が手を考えるまで少しでも体力消費をおさえなければ
健次郎「あかねに渡した鍵は示現エンジンに特殊空間を通じてアクセスし、その力を鎧として人間に装着。心と直結させ、示現力を意のままに操る。これがVシステム。Vは、あかねの能力とも言える第六感、そのすさまじい直観力にあやかりビビっと・・・〈ビビッドシステム〉とワシは名づけた。あかねに渡したVキーはあかねのために調整して作ったものじゃ。他の人間が使うことはできん。もしあおいちゃんのためにVキーと同じようなものをワシがつくったとしても、それは示現力を支配下におくことまでは不可能じゃろうな。」
あおい「まったく解りません!」
健次郎「じゃろうな。説明は難しいんじゃ。まだワシも完全に理解できとるわけではないし。」
あかね「あおいちゃん、私じゃ頼りないのは解るけど戦うのは任せとい」
あおい「あかねちゃんが頼りない!??そうじゃないよ!」クワッ
あかね「えっあっ」
あおい「私はあかねちゃんに助けてもらった。さっきだってそうだし、初めてあった時もそう。療養のためにこの島にお父さんとお母さんと離れて引っ越してきて半ニート化してた私が外に出たいと思ったのは、あの時新聞配達にきてくれたあかねちゃんともっと話したいと思ったから。・・・あかねちゃんにはずっと助けてもらってきたの。頼りないなんて思ってない!」
あかね「えへへ・・・照れるなぁ」
あおい「さっきも、今度もあかねちゃんに助けてもらえるって。ここで待ってればあかねちゃんがなんとかしてくれるって。でも、私おかしいよね。私と同い年の女の子が危険な目にあってるのに、私はここで待ってるだけなんて。 恩返ししたいってずっと思ってた。でも私、いつのまにか助けてもらうことが当たり前になってた。」
あおいの決意を決めた顔。いつも優しい雰囲気を漂わせ、強い言葉を使ったことなどなかったか弱いお嬢様。悪さをした子供をしかる時だってこんな表情をしたあおいを見た事はなかった。あかねは戸惑いながら、だがあおいの伝えたいことを決して聞き逃さないよう真剣に受け止めようとしていた。
あおい「私も戦いたい。示現エンジンのためじゃない。この世界のためじゃない。私の人生をこんなに楽しいものに変えてくれたあかねちゃんを護るために、戦いたい。誰かを助けられたことなんて一度もなくて、だれかに迷惑をかけながらじゃないと普通の生活を送ることもできないような弱い私だけれど、私は今、あかねちゃんのためになにかしたいってすごく強く思ってるの。あかねちゃんが頼りないとかそんなことじゃない!」
あかね「あおいちゃん・・・」
あおい「私はあかねちゃんを護るために戦いたい。」
あかねは、あおいは大事に扱わなければ壊れてしまうもののように考えている節があった。学校のみんなもそうだし、彼女が病弱なことを知っている人間はみんなそうあおいに接している。今のあおいを見て、あかねは自分の考えを改める必要があることを思い知った。彼女の強い目は、自分の命をかけて大切なものを護る決意を固めた人間の目だ。実際あおいは本気であかねのためだけに自分の命を捧げる覚悟があった。そのための力を求めていた。それがあかねのハートに届いたのだ。理由はそれだけだ。
あかね「――うん。ビビっときたよ。あおいちゃんの心。」
あかねの胸の部分が光る。身体の中で暴れていたエネルギーがその一点に集まってくる。あかねは両手をその部分で重ね合わせ、熱い塊を手のひらでつつみこみ、あおいに向かって差し出した。
あおいはあかねの手を自分の手でつつみこんだ。とっても熱い。でも火傷するようなトゲトゲしいものではなくお風呂のような優しいあったかさ。それがあかねに触れている手の平から心臓のほうに伝ってきて、なんともこそばゆい気がしてちょっと身体をくねらせる。あかねはちょっと笑顔になりながら手を開いて、その中のものをあおいに手渡した。
あおい「これが・・・私の・・・心・・・」
強く優しく青い光を放つ〈鍵〉をうっとりした視線で見つめ自分の胸におしあてる。胸の鼓動が早くなり、鼓動の音が頭の中まで響いてくる。鍵から放たれる青い波動が手に、足に、体中に力を与える。肌がピリピリと痛い。今すぐ走り出したくなるような衝動に、今のこの身体なら応えらるだろう。自分の身体が変化を見せたことに戸惑いすら覚えたが、優しい声が耳元で、大丈夫だよと囁いてくれた。しびれるような快感で朦朧とした意識が呼び戻される。
あかね「一緒に行こう。」
あおい「うん!」
―――ああ、やっと。後ろじゃなく、あなたの隣に。
海の方に向き直ったあかねの隣に立つ。キッと空の向こうのアローンをにらみつけ、あかねから受けとった青い鍵を右手にもって前に突き出した。これは、あかねのために戦う力。あかねと一緒に戦う力。あかねを助ける力。
あおい「イグニッション!オペレーション、ビビッドブルー!!」
あおいちゃん変身。あかねは世界を救うヒーロー。あおいはあかねのためだけのヒーロー。そういうことです。
次回は、2人はビビッド!というタイトルにしようかとおもってます。プリキュアはみたことないですが、熱血要素もあるようで気になってます。
よし!いまのところ話に矛盾はないな!
たぶん