ビビッド&ウィッチーズ!   作:ばんぶー

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第49話 わかば「夜更けの来訪者」

あおい「あのぉ・・・なにがあったの?」

 

 

わかば「あおい!元気になったの?」

 

 

芳佳の魔法陣の影響で体力を回復させたあおいは何事かと駆けつけてはみたのだが、既に状況は終わっていたようでおどおどと歩み寄る

 

 

あおい「うん。それより・・・」

 

 

視線が集中するのは一点。地面から微妙に浮いてふらふらとしている人型ネウロイだ

 

 

 

形はまさに人間の少女を模したもの。顔はのっぺりとした装甲がマスクのように覆っており、読み取ることはできないが腰部の形状がスカートのように見えることであったり、所作やところどころの丸み(胸部等)が女の子らしさを醸し出していた

 

 

 

 

 

当の本人は自らに視線が集中していることに気付いてか首を傾げている

 

 

 

ペリーヌ「ソレ、なんですの?瘴気を発していないということは、アローン・・・なのかしら?」

 

 

それとなくウィッチ達は魔法力を発動させ、ストライカーこそ履いていなくとも戦闘態勢に移行している。それを見た芳佳は慌てて間に割って入り、弁明を始める

 

 

宮藤「そうです!この子はネウロイじゃなくてアローンです!私をこの世界に運んできた子で・・・まあなんといいますか・・・。あの、自分で話してくれたら助かるんだけど」

 

 

「そうだろうと思ったわよ」

 

 

 

手を添えて、顔面を覆っていた黒い装甲が解除する。その下から出た顔は

 

 

わかば「ええ!?」

 

 

リーネ「えっ・・・」

 

 

ひまわり「れい!?」

 

 

 

「もったいぶって悪いけど、黒騎れいではないのよねこれが。あなた達からはそう見えるかもしれないけれど」

 

 

 

凛とした声も、冷めたように見えて情熱的な瞳も。それはまさしく黒騎れいのものであった

 

 

 

「恥ずかしながら名乗らせてもらうなら・・・そうね!黒き魂輝かせ、世界を惑わす悪を撃つ。怨念背負った悲しき戦士!月夜に奏でる鎮魂の歌、ブラックムーン・レクイエm」

 

 

宮藤「なんというか、酔っぱらったれいちゃんて感じな子だよ。あろん子ちゃん」

 

 

あろん子「宮藤芳佳。人の名乗りを邪魔した挙句あろん子ちゃん呼ばわりとはご無礼極まれりね」

 

 

 

名乗りを邪魔され若干キレ気味なソレは、腰に手を当ててしかめっ面だ。まるで人間のような振る舞いを見せる。実質、見ようによっては身体に黒いボディースーツを着込んでいるようなものなので存外違和感はないのかもしれない

 

 

 

エイラ「どうする?」

 

 

シャーリー「ぶっちゃけヤバイ話だな。ネウロイとお友達になりました!なんて中佐やバルクホルンがいたらどんな顔をするか想像するのは難しくないよ」

 

 

ルッキーニ「でもエイラはあのネウロイ・・・じゃないや、アローンと芳佳が助けに来るのを待ってたんでしょ?味方ってことじゃないの?」

 

 

エイラ「占いは占いだからな」

 

 

シャーリー「まあそうだけどよ。他に手札が無いんじゃ、分が悪くてもこれに賭けてみるとしようぜ」

 

 

シャーリーはそういうといきり立つペリーヌの肩にポンと手を置いて、彼女を落ち着かせた

 

 

 

あろん子「あなた達がするべきことは単純よ。アローンをぶっこわして、中にある一色あかねの魂を解放する。そうしないと示現の戦士の生命力を吸い上げてバカみたいに強くなったネウロイがこの世界の何もかもをめちゃくちゃにしてしまう」

 

 

ペリーヌ「では、すぐにでも?」

 

 

あろ子「せっかちは長生きしないわよ。さっきあの偉そうな二人組が言ってた通り、今回の試練のリミットは塔のアローンが出現してから24時間で設定されている。つまり明日・・・もう今日になってるけど、早くても今日の19時までは向こうも早々動けない。今のような派手な干渉もこれ以上は行えないだろうから、とにかく朝までは休みなさい。私も、もう少しこの世界の情報を集めたい」

 

 

宮藤「私も付き合った方がいい?」

 

 

あろん子「あなたも寝てなさい。明日の8時に合流するわ。歯磨きを忘れないでね」

 

 

彼女の顔を再び黒い膜が覆う。重力を感じさせない軽やかな動きで空へ飛びあがり、月の光を浴びながら高速で東の空へ飛び去って行った

 

 

 

_________________________________________

 

 

 

 

そして時は進み、朝7時50分。防衛軍、管理局はアローン発生地域の避難誘導を完了させ、できる限りの情報を集め〈人型アローン〉が再び姿を現すのを待っている状況だった

 

 

 

<ウィーン>

 

 

シャーリー「入ります。シャーロット・イェーガー以下9名。起床いたしました」

 

 

柴条「おはようございます。みなさん、体調の方はいかがですか?」

 

 

シャーリー「ウィッチーズはバッチリですよ」

 

 

あおい「私達もかなり元気になりました」

 

 

再び指令室のドアが開き、向こうから天城とその手に乗せられる形で一色健次郎が姿を現した

 

 

健次郎「みな揃っておるな」

 

 

ひまわり「博士。あかねは・・・」

 

 

健次郎「何とも言えん。今はももが___来たな」

 

 

 

呑気な声が突如凄味を増し、低く鋭い声に変わった。彼の視線が指令室内の一部を捉えていた。人1人分のサイズの空間が陽炎のように揺らいでいる。その中心に黒い亀裂が走ったかと思うと、瞬く間に人間の形にまで膨らんだ

 

 

あろん子「おはよう。よく眠れた?」

 

 

ふわり、と髪をなびかせて参上した人型アローンは自らを囲む人間の視線を気にすることなく堂々としている。むしろそれを囲う人間の方が及び腰である

 

 

シャーリー「おかげさんでね。集合時間をもうあと1時間遅らせてくれたら寝ぐせも直せたんだけど」

 

 

あろん子「そしたらあなたの睡眠時間が1時間伸びるだけでしょう?」

 

 

健次郎「くだらんトークは結構じゃ。とっとと始めてくれ」

 

 

 

冷たくあしらわれて肩をすくめたあろん子は辺りを見渡して空いている椅子を探したが、どうにも自分が立つべきは部屋の奥の大型スクリーン前の一段高くなっている場所だということに気付いて大人しくそちらへ歩いて行き、部屋中の視線を浴びながらそこへ立った

 

 

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