話し合いに一段落が付いたので少し休憩することになり、ビビッドチーム達は何よりもまずはあかねの顔を見に行こうという話になった。柴条にあかねの居場所を聞き一行は速足気味にその場所へと向かった
ブルーアイランド管理局の建物内には様々な施設が組み込まれている。医療区画もその内の一つであるが、決して形だけのものではなく一流の設備が揃えられた本格的なものだ。その一角にある特別豪華な個室に一色あかねは運び込まれていた
あおい「し、失礼しますー・・・」
「あらあおいちゃん。久しぶり!」
あおい「ま、ましろさん!?」
そんな彼女達を迎えたのは、ベッド脇の椅子に腰かける1人の女性。赤い長髪を肩に乗せるようにして一つに結び、少しやつれているにも関わらず生命力の強さを感じさせる赤い瞳はあかねのそれを思わせた
彼女こそ一色あかねとももの母親、ましろである。年齢と体重は___まあ___伏せる
ましろ「二児の母と言えどレディよ!まあこの数か月はマジで意識無くて寝たきりだったもんだからメチャクチャ痩せたけどね。限界ギリギリダイエットだね。マネしないように!あははは」
あっけらかんと笑いながらしゃべり倒す彼女は病人とは思えないものだった
シャーリー(笑えないジョークだな・・・)
ましろ「ほとんどの子は初めて会うわよね?自己紹介するわ。私はこの一色あかねとももの母親、一色ましろです。私も色々厄介な事情があるんだけど、お父さんから聞いてるのかな?」
ひまわり「あ、はい。少しですけど」
ビビッドチームの面々は簡単に自己紹介を行い、ベッドの傍に近寄った
ましろ「まあそう固くなんないでよ。私は寝てるだけなんだし、実際戦ってるみんなの方が大変なんだから」
彼女が愛おしそうに撫でるのは、ベッドですやすやと眠るあかねと、お見舞いに来たが体力の限界を迎え一緒にベッドで寝てしまっているもも
一色ましろがどういう運命を背負っているのかは、健次郎から簡単な説明は受けていた。彼女はあかね達が示現力により強くなるのとは逆に自らの命が弱まる呪いにかかっており、アローンにエンジンが破壊された際には自らが起点となり世界を崩壊させる示現力を発生させてしまう仕組みになっているという、正直気持ちのいいものではない情報だけは全員が持っていた
示現エンジンに関わる非常に重要な立場にあるましろは、情報秘匿の意味もあり厳重な警備によって保護された管理局の医療施設にて肉体を維持するための処置を受けていたのだが、深夜に突然意識が戻った
重たい身体を車椅子に乗せ疾走し、自らの娘の元へと駆けつけた。それ以降、今世界がどういう状況なのかの簡単な説明を受ける以外一切のメディカルチェック等を断りあかねに寄り添っている
ましろ「あかねを産んで14年。その半分以上を示現エンジンの開発やらなんやらに充てていた。本当に寂しい思いをさせたってのに、今度はあなた達の戦いを起きて見守ることもできやしないなんて・・・情けないなぁ。ほんと」
あかねの顔色はましろと比べると随分元気そうな色合いで、呼吸も規則的で傍目にはただ眠っているようにしか見えない。今にも起き上がっていつものように陽気に喋り出しそうだ。だが、何があろうと彼女が目を覚ますことはないのが現実であった。あろん子曰く、彼女の魂は今ここには無いのだから
宮藤「ましろさん、あの・・・ごめんなさい。私の魔法では、あなたを治すことも今のあかねちゃんを起こす事も・・・」
ましろ「ちょっとやめてよ芳佳ちゃん。私に関しては受け入れていることなんだから。あかねはあなた達がこれから起こしてくれるんでしょ?なにも手伝ってあげられないわたしからすれば、むしろあなた達には感謝しかないよ。これまであかねを助けてくれて、本当にありがとう」
向かい合うものの心まであったかくさせてくれるような人懐っこい笑顔と情熱的な瞳はまさしくあかねの母といったところだろうか。大きな戦いを前にして少し余裕を失っていたビビッドチーム達はいつの間にか穏やかな気持ちを取り戻していた
ましろ「前にあかねに言ったことがあるの。自分の笑顔を大切に、そしてそれと同じくらい周りの人の笑顔を大切にしなさい。って・・・。なのにこの子もあなた達も、自分以外の人の為に頑張りすぎだわ。ほんと心配」
シャーリー「安心して下さいよ。私がしっかり面倒みますんで。年長ですから」
ましろ「あれ、わたしからすればあなたも子供なんだけど?頭撫でちゃうよ」
シャーリー「ぜひともお願いしたいですけどね、あかねとももの団欒に水を差しちゃ悪いですから」
窓から差し込む暑いくらいの日差しが一色家の髪を明るく輝かせる。とても穏やかな一家団欒の様子は、一時の幻に過ぎなかった。あかねが目を覚ませばましろは再び意識を失うだろうし、このままアローンを討てなければあかねが目を覚ますことなく世界は滅びるのだ
そんなことを許すわけにはいかない
わかば「ここに居る全員で、必ず奴を討つ」
ルッキーニ「れいをふんじばって捕まえる!」
ひまわり「そのあと迎えに来るからね」
シャーリー「そしたらまたみんなでうまいメシでも食おう」
エイラ「いいな、ソレ」
あおい「じゃあ。あかねちゃん、私達行ってくるね」
あかねの頬を優しく撫でるようにして、あおいは小さく、しかし力強く囁いた。それに応えるようにあかねの口がもにょもにょと動いた気がした。あおいはくすくすと笑うと、名残惜しくもあかねの顔から手を離した
笑顔で手を振るましろに見送られながらビビッドチームは静かに部屋から出た
あろん子「・・・」
わかば「一緒に来ればよかったのに」
あろん子「だめよ。気まずいもの」
その癖会話が聞こえるようにとドアの横の壁にもたれかかって待機していたあろん子は、演技くさく顔をしかめながら言った
エイラ「そんなの気にするタマか?」
あろん子「全部終わったら相方と一緒に土下座にくるから、その時でいいでしょ。・・・さ、そろそろ戻りましょう。あまり時間はないけれど、意義のある作戦会議になるといいわね」
シャーリー「お前さんはなんかいいプランはあるのか?」
あろん子「最高のがあるわよ。派手だし、スピーディーだし、やりごたえがあって何より運任せ」
シャーリー「ほー、いいね。いつだって勢いが大切だ」
あろん子「聞かせてあげましょうか?」
ひまわり「ほかに何もいい案がなかったらね。それまでは静かにしてて」
リーネ「あはは・・・」
時刻は10時15分。あろん子が示した〈リミット〉まで残り9時間を切っていた
予定では夏を迎えるまでに完結でした。予定ではね!!!!!!