ビビッド&ウィッチーズ!   作:ばんぶー

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第56話 あおい「作戦開始」

健次郎は壁の全面モニター下部に表記されたデジタル時刻に目をやる。現在時刻は1400時丁度。管理局指令室には神妙な面持ちの柴条悠里以下職員達、そしてあかねを除くビビッドチーム全員が揃っていた

 

 

指令室の全員と、通信が繋がっている防衛軍作戦司令本部の面々が、一色健次郎の動きに注目している。彼が号令を出せば、最大級規模の対アローン作戦が動き出すのだ。誰もが固唾を呑む中、健次郎は注目を浴びるのも悪くないとばかりにニヤリと笑うと高らかに声を上げた

 

 

 

健次郎「うむ、これより我々は〈塔〉のアローンの撃破作戦に取り掛かる!」

 

 

 

「「「了解!!!!」」」

 

 

 

指令室に怒号とも思える返答が響いた

 

 

 

ひまわり「こういう熱いノリ苦手なんだけど」

 

 

わかば「あなたねぇ……。こういう時は乗っておくべきなのよ」

 

 

ひまわり「あんまりノリ過ぎると玉砕フラグみたいになるじゃん」

 

 

ペリーヌ「同感ですわね。入れ込まずに軽くこなしてしまいましょう」

 

 

健次郎「ま、それでかまわんがの。ベストパフォーマンスを出す為の精神状況は人それぞれじゃ」

 

 

宮藤「私はガンガン入れ込んでいくタイプです!」

 

 

リーネ「芳佳ちゃんはちょっと落ち着いて欲しいかなって……」

 

 

シャーリー「それで博士、作戦は」

 

 

健次郎「うむ。詳細はこれからモニターに出し順を追って説明する。今回は防衛軍と管理局の持てる力全てを合わせ、事に当たる。じゃが何よりも作戦名じゃの」

 

 

 

何よりも。そう、健次郎が一番時間をかけたのは作戦名を考えることだった。彼はこれを切り出す最高のタイミングであることを確認する為一度言葉を切って『溜め』を作り、防衛軍側との通信がきちんと繋がっているかを確認すると満を持して語りだした

 

 

 

健次郎「___作戦名は、オペレーション・トリプルアロー。ウィッチ、パレット、防衛軍の3本の矢により最後のアローンを撃ち抜くのじゃ」

 

 

 

黒騎れいが放った3本の矢に対しての意趣返しであり、3名となったパレットスーツ装着者に希望を託したものでもある

 

 

健次郎「三矢の教えにある通り。あかねを欠いたビビッドチーム、異世界の技術からなる力故我々ではサポートしきれないウィッチーズ。単独ではアローンという壁を打ち破る充分な術を持たない防衛軍。これらを束ね、超常の存在を語る奴らを穿つ矢となろうぞ!」

 

 

 

健次郎が小さなぬいぐるみの拳を振り上げた。管理局指令室を歓声が満たす。モニターの向こうの防衛軍基地から鬨の声がスピーカーの音割れを通して伝わってくる

 

 

 

健次郎「行動開始!」

 

 

 

 

世界の命運を賭けた戦いの火ぶたが切られた

 

 

 

時刻14時。管理局指令室に一色あかねを除くビビッドチーム全メンバーが集合完了

 

 

一色博士、柴条管理局長、高野防衛軍長官の3名により作戦内容及び作戦名が決定され、参加する全員に内容が下達された

 

 

時刻14時30分。塔のアローン周囲20キロにおいて全住民の避難完了

 

 

並びに防衛軍基地戦闘機発着場及び示現管理局航空機発着場にて作戦参加機離陸準備完了

 

 

 

 

 

 

 

 

管制オペレーター『ストライカー各機、発進準備願います』

 

 

整備員「ストライカーユニットの調子はいかがですかねイェーガー殿!」

 

 

シャーリー「100点中90点てとこだ!ちょっと調整が大人しすぎるな!」

 

 

整備員「そいつは反省させてもらいます!ですから元の世界に戻る前にもう一回触らせて下さい!」

 

 

シャーリー「請け合うよ!」

 

 

 

整備員が自分の仕事の完成度をパイロットに尋ねる為には、格納庫に響き渡るストライカーの機動音でかき消されないよう大声を張り上げる必要があった。

 

 

 

 

 

正面の大きなゲートが横に開いていき、滑走路への道が開く

 

 

 

管制オペレーター『進路よし。どうぞ』

 

 

エイラ「一番手は譲ってやるよ!」

 

 

シャーリー「ありがたいね!シャーロット・イェーガー!出るぞ!」

 

 

 

魔法力を流し込み魔導エンジンの出力を一気に引き上げる。風を纏ったストライカーが滑走路を駆け抜け、午後の青空へ舞い上がる。その後に5人の魔女が続いた

 

 

 

エイラ『通信テストだ。全員いるな?遅刻してるやつは?』

 

 

宮藤『宮藤います!』

 

 

リーネ『リネット、います』

 

 

ペリーヌ『こちらペリーヌ。問題ありません』

 

 

ルッキーニ『全然オッケー!』

 

 

シャーリー『よし、手筈通り先行するぞ。あおい!わかば!ひまわり!先に行って待ってるからな!』

 

 

 

あおい「はい!」

 

 

 

滑走路の端であおいは東の空へ消えていく6本の飛行機雲を見送ると、横に並び立つ2人の仲間に交互に視線を送る

 

 

 

あおい「私達も行こう!」

 

 

わかば「よし!で、ひまわりはいい加減やる気出たの?」

 

 

ひまわり「まぁまぁ」

 

 

 

3人は揃って手を突き出す。合図は無くともその動きは一矢乱れず、握られたオペレーションキーはいつもに劣らぬ輝きを見せた。青、緑、黄の光がそれぞれ特殊な力場を形成し示現エンジンと彼女達をラインで結ぶ

 

 

 

一度は翼を失った彼女達だった。しかし示現力は今の彼女達の思いに応え、より強い力となってあおい達を空へ導く

 

 

 

パレットスーツを纏った彼女達は、滑走路からゆっくりと飛び上がった。彼女達は自分の身体に再びエネルギーが満ち溢れていることを感じ取った。手を軽く払ってみればエネルギーの粒子が残像のように尾を引く。以前より強くなっているのではと錯覚してしまう程である

 

 

 

ひまわり「……いや、確かに前より出力が上がってる」

 

 

あおい「なんで!?」

 

 

ひまわり「示現エンジンからあかねに回されていたエネルギーが浮いてるからじゃない?もしくは……」

 

 

健次郎「精神的にも戦力的にも大黒柱とも呼べるあかねを欠いたこの絶望的な状況に、しかし尚立ち向かおうとする君達の覚悟に応えたのじゃ。ワシの発明したシステムとはそういうものなんじゃよ」

 

 

 

わかば「粋ですね」

 

 

健次郎「まっこと。高次元の存在が管理したくなるのも解るじゃろ?」

 

 

管制オペレーター『ビビッドチーム。アルファチームがまもなく到着します。合流してください』

 

 

あおい「は、はい!」

 

 

 

話込んでいる暇はない。既に作戦は始まっているのだ

 

 

防衛軍基地から飛んできた3機のジェット戦闘機を視界に捉える。あおい達はそれに向かって全力で飛行する。こちらの接近に合わせ速度を少し落とした戦闘機の尾翼を手で捕まえ、握力で身体を固定させる

 

 

 

アルファ1『こちらアルファ1。パレットと合流した。これよりポイントまで移動する』

 

 

管制オペレーター『了解。続行してください』

 

 

アルファ2『お嬢さん方、振り落とされるなよ!』

 

 

わかば「ええ、思いっきりやって下さい!」

 

 

 

戦闘機のアフターバーナーのスイッチが入り、爆発的に加速する。あおい達のエネルギーを抑え、なおかつこちらが動き出したのを察知される前に一気に距離を詰める為の作戦だ

 

 

 

あおいやひまわりの飛行速度は高速戦闘に特化した戦闘機の最高速には劣る。あかねは勿論、わかばも全力であれば防衛軍に配備された戦闘機に速度で張り合えるが、それには相応のエネルギーを消費する。この状態での移動であればあおい達は捕まっているだけでいい。体にかかる衝撃はパレットスーツのデフォルトの防御力で無効化が可能だ

 

 

 

ウィッチーズの面々も同じ方法で東京へ先行していた

 

 

 

 

健次郎『諸君。ワシは戦争が嫌いじゃ。奪い、奪われ。若い時からそればかりを見て来た。科学者として求められたのは、他者からより多くの物を奪う為の発明じゃった。下らないこの競争を終わらようと示現エンジンを作ったのじゃ。しかしこれもまた奪われようとしておる。

 

 

諸君。断言しよう。これは奪う為の戦いではない。守るための、誇り高き戦いなのじゃ。一切の負い目無く、胸を張っていい。我々は今この世界に生きる全ての命の為に持てる力の全てを結集させておる。諸君!!奮起してくれ!!!』

 

 

 

 

健次郎『さあ、戦いじゃ!!!』

 

 

 

 

 

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