ビビッド&ウィッチーズ!   作:ばんぶー

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新章突入記念。パンパカパ^ン




第2章 ―波打際で会いましょう―
第6話 もも「おかえりお姉ちゃんズ」


 

 

あおい「ただいま戻りました。おじいさん、あかねちゃんを・・・」

 

 

あおいはあかねをそっと地面に寝かせる。その時気づいたが、あかねの身体は先ほど放っていた高熱のほとんどを失っていた。変身したので熱が気にならなかったのかと思っていたのだがそうではなく何かをきっかけに収まったのだ。

 

 

健次郎「ふむ。ビビッドブルーに力を経由することで余分なエネルギーが抑えられておるようじゃな。ワシの調整無しに二番機としての力も十分、補助装置としても作動するとは・・・あかねは示現力を思った以上に支配しとるようじゃな。」

 

 

あかね「支配っていうより・・・」

 

 

健次郎「あかね、無理をするでない。」

 

 

大丈夫、とあかねは手で制しながら上半身を起き上がらせ目をパチクリさせつつ顔をゆっくり左右に振った。あおいはあかねの背中を支え、彼女が楽に話せるようにする

 

 

あかね「頼んだら力を貸してくれただけだよ。なんでも出来るってわけじゃないと思うけど。変身する時、エンジンの中心を通してなにか見えたんだけど・・・それがなにかはわかんなかった。でも、たぶん示現エンジンは生きてる。」

 

 

あおい「生きてるの?エンジンが??」

 

 

健次郎「生きている・・・どういうことじゃ?」

 

 

 

「そこの2人、武装を解除してその場に伏せろ。こちらはブルーアイランド防衛軍地上部隊だ」

 

 

示現エンジンのほうの道からこちらへ声をかけてきたのは、十人の武装した防衛軍兵士達だ。黒い服に軍事用のベストとヘルメットを装備し、両手で銃を構えている。あおいがここに着地したのを見ていたのだろう。

 

 

健次郎「防衛軍の下っ端どもが・・・。そっちの司令官には話がいっtムググ」

 

 

あおい(お、おじいさん喋っちゃだめですよ!ぬいぐるみさんなんですから!というかなんでそんな姿なのか今さら気になってきましたよ!)

 

 

隊長「誰だ・・通信機か?誰かはしらんが関係者であるなら今の声の主も連行する必要がある。」

 

 

あおい「連行って・・・ちょ、ちょっと待ってください!今あかねちゃんは疲れてて・・・」

 

 

兵士1「こちらで輸送するから関係ない。来てもらおう。」

 

 

あおい「私たちは・・・」

 

 

隊長「アローンの撃破に協力してくれたことは感謝する。だが、君達の存在を防衛軍の上層部は警戒している。先ほどの戦闘はこちらからも全てモニタしていたが、既存の兵器を圧倒するその出力は一般人が保有していていいようなものではない。我々軍が有効的に活用する。」

 

 

あおい「いや、だから・・・」

 

 

兵士2「軍の管轄外にあれだけの兵器を保有する組織があることがどれだけこの世界の治安を揺るがすか、理解できないわけではないだろう?その力の出所がどこなのか、君達の正体。聞くべきことが山ほどある。これは命令なんだ。抵抗するというのなら、少し悪いとは思うが力ずくで」

 

 

 

 

<ズズン>

 

 

 

 

突然の地響きと共に兵士達の足元がひび割れ10センチほど陥没した。訓練されている彼らですらその衝撃でバランスをとる事は難しく、地面に倒れた。十人の兵士が何事かと顔をあげた先には、大鎚の柄を地面につきたて倒れた自分達を上から睨み付ける青い女の子。その目の奥にあるものは、新兵であった時ミスをした自分達に刑罰を下す教官がする冷たく燃え上がる激昂の感情。思わず身がすくみあがる。彼女が手に持っているハンマーがアローンの装甲をどのように砕いたかはまだ記憶に新しい。その恐怖を気取られないよう少し高圧的な態度になっていたが、やはり下手に出るべきだったと兵士の1人は思っていた。だがもう遅かった。

 

 

あおい「・・・あかねちゃんは疲れてるって言ってるんです。すぐ家に帰って、待ってるももちゃんに会わせてあげないといけないんです。誰にもどこにも連れて行かせません。当然私もあかねちゃん以外から命令なんて受けません。力ずく?とかいう単語が聞こえた気がしましたけど、気のせいですよね?・・・それとも、その鉄砲はアローンのビームより強いんですか?」

 

 

混乱のあまりあおいに銃を向けた1人の兵士を睨み付けると、兵士達はそろって武器を地面に置いた。立ち上がろうにも、すさまじい圧が身体にかかり動くこともほとんど出来ない。あおいの怒りに示現力が反応をしめしているのだ。あおいの敵は『あかねに害を与える』存在であり、相手が人間であろうと敵だと認識する。本来の彼女はここまで感情が激しいタイプではないが、命賭けの戦いで興奮しているのと示現力の力に後押しされて気持ちが表に出やすくなっている。例えそのネイキッドインパクトを振り下ろさなくとも、示現力の装甲のない生物はその示現の波動に耐えることはできない。

 

 

 

健二郎「よすんじゃあおいちゃん。彼らは命令で動いておるだけの兵士。怒ったって無駄じゃよ」

 

 

あおい「でも・・・」

 

 

「彼女達の身柄は誰にも拘束されるべきではありません。それは防衛軍と、我々管理局も同様です。すぐにあなた達に出された命令は撤回されるでしょう。」

 

 

兵士達の後ろから1人の女性が声を発した。眼鏡をかけ少し歳をとっていそうなその女性は2人の若い女性を従者にし、次にあおいを見つめた。

 

 

「ですから、落ち着いてください。その力は怒りのままに人間に向けるのは危険すぎるものです。」

 

 

健二郎「おお、紫条くんか。」

 

 

紫条、と呼ばれた女性はあたりを見渡し声の主を探したがどうみても女の子2人以外は兵士しかいない。ふと目があったかわうそ人形が手を振っていることに気づいた時はめったに取り乱さない彼女もずっこけるところであった。

 

 

紫条「せ、先生、その姿は・・・?まああとで詳しく聞かせてもらうとして・・・。連合軍に連絡が遅れたのは申し訳ありませんでした。ですがあと幾ばくかで軍全体に話がいくでしょう。後始末は我々管理局と防衛軍でいたしますので、今日のところはお2人を休ませてあげてください。」

 

 

健二郎「助かる。あかね、飛べるか?」

 

 

あかね「もうへいき。」

 

 

あおい「あ、あかねちゃん、私がおぶろうか?」

 

 

あかね「大丈夫大丈夫。早くいこう。」

 

 

あかねは立ち上がり、紫条に小さく頭を下げ地面に力なく伏した兵士達を一瞬見やると祖父とワンコを手にもって飛び立った。あおいは険しい顔でもう一回兵士達をにらむとハンマーをしまいあかねを追った。

 

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あかね「・・・」

 

 

あおい「・・・」

 

 

あかね「なんであんなに怒ってたの?」

 

 

あおい「あ、あの・・・その・・・」

 

 

あかねは正面を向いたままそうあおいに問いかけた。そのため顔を見ることはできないが、なんだかあおいは怒られているように感じて言葉につまった。

 

 

あおい「わ、私は・・・」

 

 

あおいは怒りで我を忘れ、ネイキッドインパクトの柄を地面に叩きつけ兵士達の足元を砕いた時のことを思い出した。命を張ってエンジンを護ったというのに、まるで自分達を危険物のように言う彼らに怒った。自分だけが言われたならまだしも、あかねに対してその発言は容認できない。そのことを語った。

 

 

あおい「私は・・・やっぱり、おかしいって思ったの。だってあかねちゃんは」

 

 

あかね「優しいね。あおいちゃん。そんなに私のこと思ってくれてさ。」

 

 

あおい「え、ええっ!?そりゃ私はいつもあかねちゃんのことを思ってるけど、優しくなんか・・・さっきだって、自分でも信じられないくらい怒っちゃって・・・あんなことする気なかったのに・・・」

 

 

あかね「確かにあの時のあおいちゃんマジで怖かったよ?びっくりした。怒ったもももあれくらい怖いんだー。」ケラケラ

 

 

あおい「うっ・・・あとであの人達にやりすぎたこと謝らないと・・・(でも許さないけど)」

 

 

あかねはあおいのほうをみてケラケラ笑うと、また正面へ向き直った。

 

 

しかし、あれほど温厚なあおいが激昂して兵士達を脅したことがあかねには少し信じられなかった。だが示現力がそれに関わっていることにすぐ結論が至った。示現力には意思がある。はっきりしたものでないがあかねは今もスーツを通してそれを感じることができる。エンジンの中・・・変身する時現れるゲートの奥にある示現力の本質がなんなのかは知らないがあかねはそれを生きていると健二郎に説明した。

 

 

自分達の意思に示現力は応えてくれたが示現力から自分達へも影響があるのも確かである。さっきのあかねは示現力を利用し力に変え、示現力はあおいにも応えた。そう思っていたが

 

 

あかね「逆だったら・・・怖いな。」

 

 

風で邪魔され誰にも届かない小さな呟きはあかねの中の不安の大きさと間逆だった。

 

 

 

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あかねとあおいはあっというまに島の近くにたどり着いた。今はみんな避難しているのでそこいらに人はいないはずだが一応の混乱を避けるため2人は高度を落としながら接近し、わりと海沿いにあるあかねの家の庭に着陸した。手に持ったワンコをどかっと地面に置く。ちょっとした買い物をした帰りの袋程度の重さに感じていたがこれ自体相当の重さだったことをあかねは思い出した。あおいほどではないがあかねの腕力も向上している。

 

 

もも「お姉ちゃん!?お姉ちゃんなの!?おかえr・・・なにその格好?」

 

 

あかね「おかえりもも!あおいちゃんも一緒だよ!かわいいでしょ。」

 

 

その物音を聞きつけてかももが半壊した玄関から飛び出してきた。姉にお帰りの抱擁をするつもりであったのだが見慣れない格好をしていたので訝しんで手を引いた。かわりにあかねがももに抱きついた。羽のように軽い妹の身体を軽々持ち上げると赤ん坊にするように笑顔で高い高いを決める。ももは突然自分の姉が怪力になったことと壊れたワンコと短いスカートでもじもじしているあおいちゃんのどれから聞けばいいのか混乱の中にあったがとりあえず降ろしてくれと叫んだ

 

 

 

あかね「もも、地下に隠れていたんじゃなかったの?」

 

 

もも「び、びっくりした・・・。地下にいたんだけど、どうにも落ち着かなくて。家の片付けしてたの。」

 

 

あかね「危ないよもも、なにかあったらどうすんの?」

 

 

もも「一番危ない目にあいに行った人に言われてもねー。それにがんばって帰ってきたのに家が汚くて休めないなんて、留守番のプロとしてのプライドが許さないんだもん」

 

 

きっと自分だけ隠れていることが許せなかった、可愛い顔して強情なもものことだからきっとそうなのだろう。気を利かせてくれてありがとう、というべきなのかちゃんと隠れてなかったことを怒るべきなのか。あかねは口をとがらせて反論する妹の苦労をねぎらう意味でやさしく頭を撫でてやった。ももは安心しきった笑顔を見せる。家を失いかけ、事情もわからない事態の鎮圧に向かったあかねと健二郎も帰ってくる保障もないまま1人待つということは、11歳の誕生日も迎えていない女の子にはとても辛いことであった。せめて家の片付けでもして体を動かし気を紛らたかったももの気持ちがあかねは十分理解できた。怒るなんて酷なことはしない

 

 

あおい(ももちゃんデレデレだなぁ・・・私が見てるの気づいてないのかな・・・)

 

 

あかね「そうそうもも、あおいちゃん帰ってきたよ!」

 

 

もも「え?あっ」

 

 

あおい「ど、どうも、ももちゃん。久しぶりだね」

 

 

もも「あ。あおいさん!?おおおおひさしぶりです!」バッ

 

 

あかね「ああん、逃げられちゃった・・・」

 

 

もも「人前で頭撫でるのはやめてって前言ったでしょ!?」

 

 

あかね「だって嫌がらなかったし。それより疲れたー・・・変身解除!」

 

 

変身する時のような仰々しいものはいらないようで、あかねの意思に応えてスーツは光になると霧を手で払ったように辺りへ散った。あおいも従って変身を解除して元のワンピースの格好に戻った

 

 

あおい(あかねちゃんの変身が解けたら勝手に解けると思ったけど、そうじゃないんだ。独立してるのかな?)

 

 

もも「おお・・・これがおじいちゃんの新しい発明なんだ。なにがあったか説明して欲しいけど、まずは夕飯にしよう。もう5時だし、お腹空いて動けなくなる前に準備しておかないと。あおいさん、今日は食べていきますよね?」

 

 

あおい「えっ、いいの?でも迷惑じゃ」

 

 

あかね「もも、今日はあおいちゃん泊まりだから。」

 

 

あおい「えっ」

 

 

もも「布団は汚れてなかったから大丈夫ですよ。お家連絡しときますね。」

 

 

 

ももちゃんなら止めれくれると思ったが甘かった。泊めてくれる方に乗り気なももはあおいの肩にポンと手を置き意味深な笑顔を浮かべてから家へ入っていった。あおいはあかねの家に泊まる事が、というより友達の家で一夜をすごす事は始めての体験である。身体のこともあったし、単独行動すら避けていたあおいには夢の中で思い描くだけで我慢していた憧れの1つ。

 

 

健次郎「先の戦闘中にとれたデータで解ったことじゃが、君の身体はもうすっかり健康じゃよ。細胞が活性化した影響でデフォルト状態での身体能力も向上しとる。普通の14歳として行動することになんの障害もないはずじゃ。ワシからもお家のほうには話は通しておくから今日はゆっくりしていきなさい。」

 

 

あおい「・・・お世話になります!」

 

 

感謝の旨をお辞儀で伝える。あおいにとってはまさに神への祈りが通じた時のような幸福感があった。玄関で待っていたあかねのもとへ駆けて行き、ちょっとだけ不安そうだった彼女にも軽く頭を下げた。心底うれしそうにあかねはあおいを歓迎した。廊下はすっかり綺麗になっていたので2人は玄関で靴を脱ぎ、居間へと歩いていった。

 

 

 

健次郎「さて・・・」

 

 

健次郎はこれから自分がやるべきことを整理しようとしてみた。まずは壊れたワンコを直してやらないといけない。あかねが大事にしているものだし、明日の朝までには動くようにしておいてやらないときっと悲しむだろう。ビビッドシステム関連のことはもちろんだ。壊れた研究施設は所詮一部、本体は地下の研究室にあるのでこちらもなんとかなるだろう。

 

 

だが、問題は身体だ。健次郎はすっかりふわふわになった自分のお腹の皮を軽く引っ張りながらうなった。可愛い姿になって気分はいいが、なにぶんこれからの研究にこれではなにもかも不便だ。本当はもう少しちゃんとした義体を作成する予定だったのだがビビッドシステムの完成が押したため間に合わなかったのだ。しかし今現在生きてここに立てていることに感謝して、後悔はこのへんでやめておかなければなるまい。自分のことに使える時間は本当に足りないのだ。

 

 

健次郎は通信機を使って何通かメールを送信し、自分の研究所へ行くため玄関で足を拭き始めた

 

 

 

________________________________

 

 

 

 

あかね「ここが客間だよ!このちゃぶ台のここにおじいちゃんが座って、わたしはここ!ももはそっち!」

 

 

あおい「床に座ってご飯食べるの初めてかも・・・。あっ、畳だね。いい匂い」

 

 

もも「おねえちゃーん、お夕飯作るの手伝って!簡単なやつでいいから。あおいさん、畳で寝ると顔に跡つきますよ。眠いならお布団敷くのでご飯まで休みますか?」

 

 

あおい「ううん、いいの。ちょっと和を満喫してただけで・・・私もお夕飯の支度手伝うよ。」

 

 

もも「でしたら、おコメといでもらっていいですか?あー、やり方はお姉ちゃんに教えてもらってください。それ終わったら2人でゆでたまごの殻むいてもらってもらいますから。」

 

 

あかね「いい?まずは水をジャーっといれて」

 

 

あおい「うんうん。」

 

 

あかね「そしたら、手のひらを使ってこうグイっと・・・」

 

 

あおい「わわわ、なんかくすぐったい!」

 

 

あかねはあおいの手を後ろから持って熱心に指導した。水を跳ね飛ばしながら楽しくやっている間、ももは1人でメインのおかずとサラダを作っていた。今日はお客さんが1人多いので気合が入っている。よく学校の友人達が食事にくるが、今日は今まで呼びたくても呼べなかったあおいちゃんが食べるものを作るとなればももも気合が入る。あおいと同じくらいはしゃいでいる姉を見ればももだって張り切らざるをえない。

 

 

あおい「ザルってこれでいいのかな?いよっ。」ザー

 

 

あかね「私が水の量あわせてスイッチいれておくからあおいちゃんはももから役割もらってきて!」

 

 

あおい「うん解った。ももちゃん、ご飯終わったよ。」

 

 

もも「お姉ちゃん、スイッチ入れ忘れとかないよね?うん、ならいいけど。じゃあ2人はそこの入ってるゆでたまごの殻を剝いて、この野菜と一緒にマヨネーズで混ぜてポテトサラダにしてくれるかな?お姉ちゃん!マヨネーズの量は抑えてよね!」

 

 

あかね「何本つかっていいの?」

 

 

もも「何本っていうか、一本の半分ね・・・」

 

 

あかね「少なすぎるでしょ!!!」

 

 

もも「ほんっと太るよ?普通マヨネーズそんなにかけないでしょ・・・」

 

 

あかねはマヨネーズジャンキーである。あかねはあくまで普通だと主張するが友人達含めその中毒性だけは容認できない。ももが出かけて食事を用意できないときは白いご飯とマヨネーズだけで3食すませようとするし、一度に使う量は貧乏な家計にダメージを与え続けてきた。おかずが豪華に出来なくてもマヨネーズがあれば笑顔になるあかねについももも甘くしてしまうが流石に見ていて心配になる量を食すのだ。こないだ給食にこっそりかけようとしていたのをこまりに没収されて泣いていた。

 

 

あかね「命かけて戦ったのになー・・・世界救ったのになー・・・マヨネーズも好きに飲めないこんな世の中辛すぎる・・・」

 

 

もも「そんな凄いことしてきたんだ・・・。それは後で聞くけど・・・んー、仕方ないなぁ。自分のぶんになら好きなだけかけていいよ。今日だけだよ!今日だけ!」

 

 

あおい「ヒョホォ!あおいちゃんにもあかね丼の作り方教えてあげるからね。」

 

 

もも「いや布教しないでよ絶対!あおいさんがまた体調崩すでしょ。」

 

 

あおい(あかね丼ってなんか・・・やらs・・・ハッ!なにを考えているんだ私は!)

 

 

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あかね「フンフンフーン」ブリュブリォ

 

 

もも「おコメが見えない・・・絶対辛いでしょそれ・・・」

 

 

あかね「辛いけど?いっただっきまーーす!!」

 

 

あおい「い、いただきます。」

 

 

もも「正座辛くないですか?」

 

 

あおい「ありがとう。でもみんなと同じようにして食べたいから。あ、美味しい」

 

 

食べながら、あかねとあおいはももに今の世界がどういう状況にあり自分達がなにをしてきたかを語り聞かせた。ももはなんども驚き、ツッコミをいれ、2人がどれほど危険だったかを想像して顔を青くさせたりした。だが2人がどういう心構えで武器を手に取ったかを聞いて、止めさせることなど出来ないことを理解しそして2人が無事に帰って来たことを本当に喜んだ。ガツガツご飯を食べながら元気に喋り捲る姉と、見たこと無いほどハイテンションなお嬢様の話は決して飽きる事はなかった。

 

 

 

 

______________________________

 

 

 

もも「お風呂わいたよー」

 

 

あかね「3人!3人で入ろう!」グイグイ

 

 

あおい「うん!いこうももちゃん!」グイグイ

 

 

もも「解ったら引っ張らないで!もー!」

 

 

_____________________________

 

 

 

 

あかね「あおいちゃん髪きれー・・・背中すべっすべ。」

 

 

もも「マヨネーズ食べてないからきれいなのかな?」

 

 

あおい「あ、あんまり触らないで・・・恥ずかしいから・・・」

 

 

______________________________

 

 

 

あかね「お母さんの服しかなくてごめんね?でも寝るだけだからいいか。」

 

 

あおい「うん。」

 

 

もも「お姉ちゃんのだとちょっときつくて寝苦しいかもしれませんし、よかったです。」

 

 

縁側に面した部屋で3人は布団を並べていた。ももは2人だけで寝たらいいと提案したのだが、あおいはせっかくだからみんなでと反論してももを連れ込んだ。布団をくっつけてあかねを真ん中に。電気は消したが、縁側からの月明かりで互いの顔がうっすら見える。障子は閉めなくていいだろう。祖父の発明した無臭の防虫剤で蚊が入ることも絶対ないし、あかねが真っ暗にすることを嫌がったのだ。

 

 

あかね「ごめんねもも。でも寝れなかったらふすましめていいからね。」

 

 

もも「・・・ううん、いいよ。」

 

 

どうしたの?もう子供じゃないんだよ?と普段なら軽く冗談でも飛ばすが、この声でわかる。おねえちゃんがなにかを恐れてることにすぐ合点がいく。なんて聞けばいいのか言葉が出ずに逡巡しているとあかねが震える声で小さく話し出した

 

 

あかね「・・・まだちょっと怖いんだ。戦ってた時は夢中だったし、興奮してたから感じなかった。でも、思い出すんだよね」

 

 

もも「お姉ちゃん」

 

 

あかね「あの戦いで死んだ人もいた。私の真横をビームが通りぬけてく。当たれば死んでたんだなって。あおいちゃんが落ちてくのに間に合わなかったらとか、そういうのも。」

 

 

もも「お姉ちゃん・・・」

 

 

身体をゴロンと回転させて、あかねの使っている敷布団の上に移動する。

 

こんなあかねは見てられなかった。母が入院することになり、祖父が研究所にこもるようになってからももとあかねはずっと同じ部屋で寝ていた。喧嘩したって同じ部屋で寝てた。雷の夜や怖いテレビを見たときは手をつないで同じ布団にもぐりこみ朝を待った。それでもあかねはももの前では虚勢を張って姉らしくあろうとしていてくれた。いつでも暖かくももの手を握ってくれたあかねの手が今は冷たく震えている

 

 

あかね「だからね。こうしてあおいちゃんとももが・・・元気な2人が見えるようにしてないと、怖いんだ。とっても怖いんだよ。」

 

 

あおいも反対側からあかねに寄り添い、その手に自分の手を絡めた。あおいもあかねが言わなければ明るいままにしてくださいと頼んでいたであろう。今のあかねと同じ気持ちなのだ。

 

 

もも「大丈夫だよ。私、ここにいるからさ。ね?」

 

 

あかね「・・・」

 

 

もも「お姉ちゃんならなんだってできるよ。なにからだってみんなを護れる。さいきょーすーぱーおねえちゃん、一色あかねでしょ?」

 

 

あかね「・・・うん。それいいね。明日からそれ名乗っていくよ。」

 

 

蒼白い光に照らされた顔が優しく崩れた。ももはあかねの腕にギュッとしがみつくようにして顔をあかねの肩にすりつけながら目をつむった。寝ている間にあかねがどこかへ行かないよう、そしてこれからも出来ればあかねが戦いに行くなんてことのないよう、そうお願いしながらあかねの腕を枕にして眠りについた。

 

 

あかね「も、ももさん。腕重いよ・・・」

 

 

あおい「zzz・・・」

 

 

あかね「こっちもか!ちょっと2人とも、すっごくうれしいけど、わたしの腕枕にしないで欲しいかな。結構きつい・・・」

 

 

起こそう、と右に頭を倒すと、とっても幸せそうなあおいの顔。左側のももは身体を丸めていてつむじしかみえないが、やすらかな寝息を立てていた。起こせるはずなんてない、とあかねは天井を見上げ、限界だったまぶたをおろした。どっと押し寄せた疲れに意識を預け、そのまま布団に吸い込まれるように深く息を吐いた

 

 

 

 

 

 




さあ、次の話からはついに。という感じです。お楽しみに
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