ビビッド&ウィッチーズ!   作:ばんぶー

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第71話 「繋いだ心が描く虹」

ブラックは黒い弓を空へ放り投げた。上空で巨大な黒い塊へと変化したかと思うと、次の瞬間殻を破るようにして中から翼を広げた蝶のようなモノが飛び出してくる。ソレが翼をはためかせれば嵐が巻き起こり、風に乗って黒い矢の雨がビビッドチームへ降り注いだ。それは少し離れた場所でネウロイを手あたり次第に叩いていたシャーリー達も攻撃範囲に含めている

 

 

 

シャーリー「なんだこりゃ!?」

 

ルッキーニ「避けてもついて来るんだけどぉ!」

 

宮藤「こっちへ!受け止めます!」

 

 

芳佳はシールドを張りながら軌道に割り込んで追尾してくる矢を受け止める。しかし矢は途切れることなく彼女の盾を襲い続け物量で圧し潰そうとする。旋回してきたシャーリーとルッキーニが矢の雨に向けて銃弾を放ち、攻撃の勢いが弱まったのを見て芳佳はシールドを解除すると飛び上がって攻撃の軌道から逃れた

 

 

シャーリー「助かった!」

 

宮藤「いえ、でもずっと追いかけてきますよ!」

 

エイラ「大本を叩かないと駄目だな。カラフル軍団、れいを止めといてくれよ」

 

レッド「任された!」

 

 

ビビッドレッドを筆頭に各々武器を構えたビビッドチームがブラックへ迫る。彼女は身の丈を越す槍を腕に絡ませるように構え、鋭い目つきで迎え撃つ

 

 

長官『ネウロイはできるだけこちらで対処する!君達は頭を落としてくれ!』

 

 

示現力の衝突の影響を受けない遠くの空では、ネウロイの残骸である灰色の金属片が輝きのオーロラめいたものを形成する程激しい戦闘が行われていた。湧き出るネウロイが本土を蹂躙するのを水際で食い止めているのは、全国に展開された防衛軍の余力を考えない全力の攻撃があってこそだった

 

 

シャーリー「よーし、それならお言葉に甘えて大物に集中させてもらいますよ!例の連携技で行くぞペリーヌ、ルッキーニ!」

 

ペリーヌ「ええ、よろしくてよ!」

 

ルッキーニ「うにゃ!」

 

 

シャーリーは銃を背にマウントすると両脇にペリーヌとルッキーニを抱えて一気に加速し、矢の攻撃をすり抜けながら黒い蝶へ突撃する

 

 

ブラック「彼女達で私の〈弓〉をどうにかできるとは思えないけど」

 

宮藤「いいえ、シャーリーさん達なら絶対になんとかしてくれます。ウィッチに不可能はない。これは私達の上官がいつも言っている言葉です」

 

ブラック「ふーん、見物ね」

 

シャーリー達の邪魔になるであろうネウロイをエイラが予測し、指示を受けたリーネの狙撃が立て続けに破壊した。ディフェンスを掻い潜ったシャーリーが本命の一撃を繰り出さんと疾走する

 

 

 

シャーリー「いくぞぉ!ペルッキーヌストライクだ!」

 

ルッキーニ「ヒィィィィホォォォォ!!!」

 

ペリーヌ「だっさい名前だけはあとで考え直していただきますこと?」

 

 

シャーリーが全力で発動させた魔法の加護を受け、3人はネウロイも矢も置き去りに目標目掛け飛翔する。ルッキーニが高熱魔法を乗せたシールドを前方に展開し、それに向かってペリーヌが電撃の魔法を発動する。シールドを維持しようとする力と破壊しようとする電撃の力が釣り合い、両者は一瞬の共存を果たしエネルギーの相乗効果を生む。その一瞬のタイミングでターゲットを通過するよう調整をかけつつコースを決めるのがシャーリーの役割だ

 

 

シャーリー「いやっほぉぉぉー!!!」

 

 

矢の雨に真っ向から突っ込む。触れたもの全てを蒸発させる高熱と、増幅していく電撃を纏ったシールドはほんの数秒しか持続しない代わりに脅威の破壊力を持つ光の魔法陣となっていた。対抗するように放たれた黒い矢を消し炭に変え、そのまま黒い影を貫いた

 

 

身体の中央に大穴が空いた蝶は羽ばたきを止める。傷跡はじわじわと塞がり始めており、再生を目論見ていることが明らかだった。しかし攻撃が止んだのを好機に前に出たエイラとリーネの集中攻撃が傷を抉るように放たれ再生を阻止する。Uターンで戻ってきたシャーリー達も攻撃に参加し、そのまま弾幕で押し潰す事に成功した

 

 

シャーリー「どんなもんだ!」

 

 

シャーリーの〈加速〉を起点に行われる突撃技は非常にリスクの大きい技だ。魔法力で強化した銃撃で遠距離からネウロイを破壊するのがウィッチの基本戦法であり、わざわざ敵に接近しぶつかるような攻撃方法はよほどの事態でなければ認可されない。実質元居た世界では厳しい上司の目もあって実践することの少ない攻撃技であった

 

 

まあつまり、この決戦の大舞台で大技を完璧に成功させた彼女は最高にいい気分であった。そういうことだ

 

 

ブラック「まったく、魔法使いっていうのはもっとオシャレで大人しいイメージがあったのだけれど」

 

呆れたように、しかしどこか感心するような言葉と共にブラックはあっさり黒い弓を再生成して、先程と同じようにまた空へ放り投げた。先程と同じようなモノが空に展開され、ゆっくりとその翼を広げた

 

 

シャーリー「おいおいそりゃないだろ!」

 

ルッキーニ「ずるーい!」

 

ブラック「正々堂々、全力よ」

 

 

不満を爆発させるウィッチ達に平然と言い返しながらもブラックはビビッド4戦士を捌き続けていた。剣もハンマーも放たれる光線も槍で全て切り払う

 

 

レッド「ふんっ!」

 

 

素早い左右のコンビネーションパンチを躱し、間合いをとろうと下がるブラックに斬りかかるわかばの一太刀。上段から振り下ろされる刀を槍で横に打ち払い反撃を行おうとする体勢のブラックを咎めるようにひまわりのネイキッドコライダーがビームを放つ。ブラックの背後からはハンマーを振り回しながらあおいが突っ込んできていた

 

 

ブラック「___はぁっ!」

 

 

ブラックから放たれる全方位への衝撃波が健気な連携技を無遠慮に踏みにじった

 

 

あおい「きゃああああ!?」

 

わかば「ぐううっ!」

 

 

アローンのビームをも真っ向から跳ね返すあおいですら踏ん張ることが出来ず、強風に巻かれたビニール袋のように吹き飛ばされ強制的に追い払われた。ダメージは殆ど感じないものの、透明な壁に押しやられるこの攻撃を連打されればもう近づいて攻撃することは不可能だ

 

 

ひまわり「これってもしかして負けバトルじゃない?」

 

レッド「ちょっ、諦めないでよ!?」

 

ブラック「諦めなさい!生物としての〈核〉が違うのよ!くらえっ!」

 

宮藤「みんな私の後ろにっ!」

 

 

両手を広げたブラックを爆心地に全方位攻撃が放たれる。今度はただの衝撃波ではなく、触れたものを崩壊させる凶悪な重力波。芳佳が全力でシールドを張らなければパレットスーツでは排除しきれない量のダメージを浴びていただろう。現に巻き込まれた下方の街並みは更地になっていた

 

 

攻撃後の僅かな硬直を隙と捉えたビビッドレッドは一瞬でブラックに肉薄し渾身の右ストレートを当てに行くが、カラードブラックはあっさりと片手で受け止めた

 

  

レッド「……!」

 

ブラック「そろそろ打ち止め?拍子抜けね、私はここからなのだけれど!」

 

 

握った拳をぐいっと引き寄せてレッドのバランスを崩し側頭部に強烈な回し蹴りを食らわせる。コマのように回転しながら吹き飛んだレッドを、飛び出したあおいが優しく受け止めた。ビビッドレッドはずきずきと痛む頭を振りながら少しの間あおいの腕の中に身を委ね、あおいはレッドの頭の痛みを癒そうと優しく撫でた

 

 

レッド「やっぱり強いね」

 

あおい「うん……!」

 

 

4人の力を1つに合わせる。これまでもそうしてきたつもりだった。だが今やるべきなのは、そのさらに先へ行く事だ

 

 

ブラックの___れいの言う通り、全員での合体は彼女と同じ結末を辿るものなのかもしれなかった。力を求めた彼女が迎えた終着点。終わらない戦いを終わらせようと求めた大いなる力による完全なる一体化。その先にあったのは、自らの世界の破滅。どういった経緯でカラード・ブラックを名乗る彼女の世界が終焉を迎えたかはあかね達には解らない

 

 

 

ひまわり「___ま、大丈夫なんじゃない?」

 

 

だが、自分達はそうはならないだろう。あビビッドチームの数少ない頭脳派、四宮ひまわりはあまりに楽観的な言葉を口にした。そして彼女とは違う思考回路をもつ他の2人も同じ事を思っていたからこそ、トリニティを解除しそれぞれがそれぞれに戻ったのだ。新たなドッキングを果たすために

 

 

わかば「ひまわり。あなたの考えは?」

 

ひまわり「いや、まあいけるでしょ。私達なら」

 

わかば「同感。手を取り合い、乗り越えていきましょう」

 

 

ただ、仲間と共に明日を描く。光のように、輝く未来を。それを心に抱いていれば、示現力はそれを成す為の力へ変わる。彼女達はこの力をある意味で都合よく理解していた

 

 

ブラック「___可能性があると謳うなら、見せてみなさい」

 

 

ブラック自身は挑発するように言ったのだろうが___どこか本気で見てみたいと望んでいるようにも聞こえた。少なくとも、ビビッドレッドは彼女が救いを求めているように思えていた

 

 

ビビッドレッドが手のひらを下にして手を突き出す。円陣を組んだあおい、わかば、ひまわりが、それぞれ片手を重ねていく。最後にビビッドレッドがもう片方の手を上から乗せ、みんなの手を挟み込むようにして示現力を発動させた

 

 

これまでドッキングを行う為に入り込んでいた特殊空間に4人同時に入り込んだ。常に感じていた圧迫感は存在せず、周囲の景観もいつもはぼやけた光が入り乱れはっきりと認識することができない不安定な空間だったが、今は澄んだ透明な空が遠くまで広がっており、爽やかな印象すら受ける

 

 

辺りに満ちる示現エネルギーをこれまで以上にはっきりと感じることができた。あかね達は、今であれば自分達の思うがままにこの力を使いこなすことができる確信を得た

 

 

わかばがあかねの左手を取り、優しく手の甲にキスをした。慣れない初めてのドッキングと違い、もう元の身体に負荷のかかるようなデメリットを負うことは無いだろう。ひまわりがあかねの右腕を掴んでぐいっと身を寄せて、あかねの額に優しく口づけをする。2人の友情が結ばれてからまだ日は浅いが、紡いだ絆の太さは他の2人と比べても見劣りするものではなかった

 

 

あおい『あかねちゃん?』

 

あかね『ん、なに?』

 

 

この場所で言葉をかわすことはあまり意味をもたなかった。彼女達は魂を共有した存在になりつつあり、今行っているのはイメージを確固たるものにする儀式に近い形式だけのものであったからだ。だが、あかねの肩に両手を添えたあおいはこれだけははっきり聞いておきたかった質問を1つ

 

 

あおい『あろん子ちゃんとはどういうちゅーを!?』

 

あかね『えぇ……どうって』

 

あおい『気になるんだもん!』

 

 

既に合体を済ませたわかばとひまわりがじと目でこちらを見ているような気がしたが、二葉あおいにとってこれは合体後に記憶を共有して知るのではなくあかねの口から聞きたいことであったし、自分を隠さないという意味でも大事な確認事項なのであった

 

 

どう答えるか、ほっぺをぽりぽりかきながら一瞬考えたあかねは、いいことを思いついたとばかりにニヤっと口角を上げると、あおいをぐいっと抱き寄せ彼女の唇を塞いだ

 

 

あかね『解った?』

 

あおい『……はぃ』

 

 

顔をあかねの髪の色より真っ赤にしたあおいの身体も、光となってあかねに重なる

 

 

 

これまでのように一つの容れ物にねじ込むやり方ではない。彼女達は身体を光と変えて重なった。上書きして、練り上げて、光の原色を織り込んだ身体は白い光へと変わる。白無垢、純白、花嫁衣裳を身に纏い、空のステージに降り立った

 

 

 

 

 

 

 




自分より先にくちびるちゅっちゅしたあろん子ちゃんに嫉妬する余裕がないくらい舞い上がっちゃったんですよね、あおいちゃん


あと2ヶ月切ったんですが完結間に合いそうですか?間に合いそうです
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