ブラック「……」
言葉は無かった。カラード・ブラックは眼前の光の塊にただ目を奪われていた
白き衣に包まれた少女が放つ力は〈管理者〉と呼ばれる超常の存在に並ばんとしている。それは今の自分を超えつつあるのだということをブラックは直感的に感じ取っていた
「___」
身の丈より長い白いツインテールは翼のように風を孕んで広がり、風に揺れる度雪のような白い光の粒を散らす。纏う衣装はいつものパレットスーツを少し飾り立て、丈の短いドレスチックに仕上げたものだ。ウェデイングドレスとしても成立しそうな完成された気風を放ち、少女は深い慈愛と美しさに満ちていた
色は混ざれば黒へと至るが、光は重なれば明るい白になる。可愛らしく着飾った少女はニカっと朗らかに笑い、左手を腰に当てて人差し指を立てた右手を天へ伸ばし元気いっぱいに声を上げる
「七色注ぐスポットライト、交差し描いたシルエット!
混ざり混ざりて輝いて、光の戦士の道しるべ!
ここが幸せ一丁目、笑顔のゴールへご招待!
オペレーションは、ビビッドフォース・オーバーレイ!」
堂々と恰好付けたビビッドフォースを虹色に輝く後光が照らし、割れんばかりのファンファーレがどこからともなく鳴り響く。平和の象徴である白いハトが彼女の背後から無数に現れ周囲へ賑やかに飛び去っていくのを見たウィッチ達は度肝を抜かれた
宮藤「え、なに今の!?ハト!?」
フォース「ふふふ。演出だよ。示現力のちょっとした応用でね」
ペリーヌ「真面目に」
フォース「はい」
キリっと神妙な顔を作りブラックへ対面する。漆黒を纏うカラードブラックと相反する純白のビビッドフォース。晴れやかな表情のフォースと、感情を押し殺したようなブラック
唐突にブラックが仕掛けた。槍を真っすぐに構えての突進。凄まじい速度で繰り出される神速の一撃は音を置き去りにし、未来予知で攻撃が行われることを反射的に予測したエイラですらその動きを目で追う事はできなかった。
だがビビッドフォースは迫り来る槍が自らの胸にあわや突き刺さらんとした刹那、両手を素早く前に突き出しがっしりと掴んで受け止めてみせた。止められた突進の衝撃が辺りに拡散しすさまじい突風が吹き荒れる
ブラック「___成程。伊達ではないらしいわね」
フォース「全部、受け止めてあげる。気の済むまでね」
ブラック「そんな悠長な事してる余裕はないわよ?ネウロイの群体がこの世界の魂を食べ尽くすわ」
フォース「あなた以外の危ないヤツの相手は、みんなに任せるよ。芳佳ちゃん達と___あの人達に」
示現力の真髄に至り、超次元の存在へと進化したビビッドフォースは自らのいる次元の〈外〉のことも感知できる。空に開いた大きな裂け目へ手を向けると、光の衝撃波を放った。放たれた攻撃は天をも割る一撃。射線上のネウロイの群れを余す事なく消し飛ばし、裂けめの一部に一瞬ではあるが隙を作る。するとそこから巨大な光の球が飛び出してきた
かつてリーネやシャーリー達がこの世界へやってきた際に覆われていたものに似ているが、そのサイズは直径が数百mにも及ぶ巨大なものだった。ネウロイ達のビームが突然の不審物に集中する。攻撃により破られた光の殻の中から爆風を突き破りながら飛び出してくるソレは青白い光のシールドに包まれネウロイの弾幕を跳ね返し無事を確保していた
リーネ「え、あれは……!」
シャーリー「おおー!?」
宮藤「は……晴風!?」
全長120m、幅11m。空にあってはならない異物、海を行く筈の軍艦が大空を舞っていた
ペリーヌ「いや落下してきてますわよ!?」
……落下してきていた
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「ジャンプ完了!船体各部異常無し!」
「だがどうみてもここは空中だぞ!?艦長、どうなってるんだ!」
「みたいだねぇ、シロちゃん。驚きだよ」
「他人事か!!!周囲の状況は!?」
「ネウロイ、ネウロイ、ネウロイだ!ここやっぱりあいつらの巣なんじゃない!?」
艦橋は桶をひっくり返したような大騒ぎだ。いの一番に落ち着きを取り戻したのは〈晴風〉艦長、岬。彼女は衝撃で少しずれていた帽子を深くかぶり直すと艦内通信機のマイクをオンにした
「各員対空戦闘!航空隊は発進を!」
『もう準備は出来ている!』
格納庫のハッチが開いた事を知らせるサイレンが室内に鳴り響く
「艦長!反重力フィールドの出力が下がってます!浮いていられるのはもって___」
「もって?」
「すいません、もう駄目です。降下します」
「ええー!」
素っ頓狂な叫び声に一拍遅れてガクンと船体が落ちる。体勢を崩しそうになった岬を隣に控えていた長身の女性が抱きかかえるようにして支えた。お礼もそこそこに岬は指示を飛ばす
「船体のシールドは!?」
「まだ持ちます!」
「なら各員に通達を!船体を地上に降ろしてネウロイを迎撃します!皆さんに地上戦の準備をお願いします!」
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宮藤「晴風が飛んでるー!?」
ペリーヌ「……最後の最後くらい、まともな助けが来てくれると信じていたのですけれど」
リーネ「あはは……」
『おいおいペリーヌ!随分辛辣だな!』
ペリーヌ「こ、この御声!聞いているだけで心が沸き立つ勇猛果敢なサムライボイス!まさしくそれは……」
『坂本美緒以下5名!ストライクウィッチーズ全員参戦だ!』
ネウロイの集団の一角を一陣の風が切り裂いた。キラリと輝く一振りの刀、魔法力を込めて放たれた一撃が山をも両断する斬撃の風となった
その後を4人の魔女達が続く。周囲に厳しい視線を巡らせる赤い髪の女性はストライクウィッチーズの隊長を務めるミーナ。彼女は自身が持つ超感覚により周囲の状況を見切り飛行ルートを指示しつつ、自らも正確な射撃で敵を討つ
「あの3人だけじゃなく、ちゃんと全員いるのか!?くっ、敵が多すぎるな!」
全身に弾帯を巻き、重たい大型機関銃を両手に1丁ずつ持ちながらもその重さを感じさせない正確な戦闘軌道によりネウロイを弾幕で押し潰しているのはゲルトルート・バルクホルンだ
「いる!いるよ!全員無事だ!」
ネウロイを矢継ぎ早に落としながら周囲に目を凝らし、そして仲間達の無事を確認して明るい笑顔を見せるのはエーリカ・ハルトマン
「エイラ……!」
エイラ「随分待ったぞサーニャ」
サーニャ「……寂しかった」
エイラ「イヤ、絶対私の方が寂しかった。やっと一緒だ」
特別仲の良い2人は敵を後目に2人だけの世界を形成しようとしていた。エイラと優しく手を繋いでいる少女はもう片方の手に大振りのロケットランチャーを装備している。サーニャ・V・リトヴャク
坂本「うむ。全員無事でなによりだな!」
合流を果たした11人は敵陣のど真ん中で背中を預けながら感極まるものがあった。日にしておよそ数ヶ月、離れ離れになった仲間達は遂に一同に会すこととなった
ミーナ「ええ。宮藤さん、解っていますか?今回我々は相当のリスクを伴ってこの作戦を実行しています。これは、あなたの無茶が招いたことです」
宮藤「はい……ごめんなさい」
丁寧な口調にも関わらず芳佳の返答は縮こまって、押しつぶされそうな声だ。上官であるミーナに怒られるのはいくら無鉄砲が過ぎる芳佳と言えど問答無用で怯えてしまう
坂本「おいミーナ。気持ちは解るが説教は戦いの後でよかろう」
ミーナ「そうね。でも、これだけは言っておかないといけません。……どんなリスクがあったとしても、あなたを助ける為の投資は無駄ではないと言い切った各部隊長の皆さん。敵地に乗り込む危険な作戦に参加したいと言ってくれた隊員は全員です」
宮藤「ミーナ中佐……」
ミーナ「あなたが無事でよかった。一緒に元の世界へ帰りましょう」
優しく頭を撫でて、優しい笑顔を見せた。そして手を離した瞬間にはストライクウィッチーズの指揮官としての顔付に戻っていた。彼女は指先までピンと伸ばした手を伸ばし、声高々に叫んだ
ミーナ「ネウロイを殲滅します!フォーメーション、ダイヤモンド!」
「「「了解!」」」
11人の魔女達がキレイな菱形を形成し空を行く
『シャーリーさん、こちら晴風、納沙幸子です!状況の共有をお願いします!』
シャーリー「ココか!よし、健次郎博士!通信をリンクしてください!」
健次郎『ぶっとんだ状況だが、シャーリーくん達の仲間なんじゃな?よし、こちらの世界の状況を伝える!』
凄まじい速度で情報のやり取りが行われる。幸運と言うべきか、敵がネウロイであるという解りやすい状況である以上戦闘部隊は突然の事態でも動きやすかった
ゆっくりと地上に降下していく晴風は体勢を維持しつつ船体下部から尖ったアンカーを射出して地面に固定し、取り付けられた砲を上へ向け対空攻撃を開始した
そして着地と同時に船体から飛び出していく戦士達も各々の武器を振り回しネウロイへ攻撃を開始した
あと二ヶ月で完結させるからね!!!できなかったら木の下に埋めてもらってもいいよ!!!!!
やっぱり駄目だよ!!!!!!!でも頑張るね!!!!!!!!!!!!!!