___〈一色家〉___
あかね「お客さんがたくさんなのは嬉しいけど、お家に入りきらないよぉ!」
もも「抜かりなくもてなしてみせます!!お茶が配られてない人はいませんか!!?」
「あ、いやお構いなく……」
岬「あのあの、ごめんなさい!みんなで押しかけて……」
健次郎「かまわんよ」
かまわん、と言いながら健次郎も踏みつぶされないよう居間の箪笥の上に腰掛けている。今一色家には11人のウィッチと10数名の船乗り、そして謎のケモミミ少女が6人。パレット戦士4人、ましろ、もも、あろん子。全員が名乗り合うと日が暮れてしまうので、代表者が数名名乗り合い後は両勢力とも自部隊の簡単なプロフィール資料を提供しそれを代わりとした
島の傍には異世界からの来訪艦晴風が停泊しており、その中にも数十名の隊員が待機している状態だ。待機中のメンバーも岬が持ち込んだカメラ付き通信機でこの話し合いの様子を見ている
坂本「さてミーナ。場を取り仕切るのは任せていいな?」
ミーナ「ええ。こちら側の代表を僭越ながら務めさせていただきます」
現状把握の時間である。ビビッドチームの4人はあかねに遅れて順繰りに目を覚まし、とりあえず皆で一色ましろが作ったご飯を食べていたのだが、そこで玄関から501の面々がやってきたのだ
彼女達は完全なイレギュラーであり、しかも軍艦一隻と非常に目立つ。行く場も無かった彼女達は一時的にビビッドチーム所属となり、健次郎の指揮下にあることになっている。とはいえ大島の近くに堂々と戦艦(カテゴリとしては巡洋艦になる)が停泊しているのは目立って仕方がないのだが、事後処理でてんてこ舞いな防衛軍が彼女達異世界組の対処をしている余裕がないので押し付けられた健次郎には情報統制など知った事ではない
とりあえず家に招待して好き勝手喋ってもらおうという結論に至ったのだ
ミーナ「さて、取り合えず今回の戦い。お疲れさまでした」
「「「お疲れさまでした」」」
ミーナ「はい。では現状を。我々501は晴風の整備とこの世界での情報収集がある程度終了次第、元の次元への帰還を行います。その際、あかねさん達にディメンションゲートを開いてもらい〈ジャンプ〉の補助を行っていただきます」
あかね「はい!」
ミーナ「ありがとうございます。続いて、我々の世界の置かれている状況を。昨今、我々の世界では多数の〈ディメンション・ゲート〉の存在が確認されており、それに伴って他の次元からの来訪者を迎え入れています。それは時に敵であり、あるいは平和の為に我々に力を貸してくれる事もあります。第501特殊戦闘団は、そういった異世界由来の未知の技術や、我々ウィッチのように特殊な力を持つ者を中心に編成された部隊です」
ミーナが手で指し示した先で頭にネコミミを乗っけた少女達が小さく頭を下げた。彼女達はウィッチとはまた違い、どこか人間離れした雰囲気を放っている。わかばは手元のタブレットを操作し送信された501メンバーのプロフィールを閲覧する
彼女達について小難しい事が書かれておりわかばは少し理解に難儀した。
彼女達は〈KAN-SEN〉というカテゴリを与えられた自立兵器であるということであった。かつて世界大戦を経験した〈戦艦〉の魂をふーん、とあっさり受け入れたわかばの横ではひまわりが失神しそうになりながら未知の技術の塊である彼女達を凝視していた
ミーナ「我々の世界は今技術形態の変革期を迎え、同時に世界規模で大きな問題を抱えています。ネウロイだけでなく、様々な敵性生物の出現による混乱。それにより分断された各国が派遣を争い合う世界情勢の中で我々は日夜活動しています」
健次郎「ふむ。諸君らが示現エネルギーの情報を欲しいというのはそのためかの?」
ミーナ「はい。新たな技術形態の解明による戦力増強並びにネウロイという存在を解き明かしていく上で我々が避けては通れない知識だと考えています」
健次郎「これまで我々が培ってきたデータなら好きにもっていくがいい」
ミーナ「___よろしいのですか?」
健次郎「なんじゃその顔。『ならぬ!これは危険な力、どこの馬の骨ともわからぬ小娘にデータは渡せぬわ!』とでも言うとおもっとったのか」
ミーナ「失礼ながら、まさしくそう思っていました」
完全に肩透かしを食らった、という顔を隠さないミーナに対しぬいぐるみの腕を組み箪笥の上で健次郎は笑った
健次郎「芳佳くん達には随分助けてもらった。彼女達はあかねの友達であり、この家で生活を共にしたワシにとっての家族でもあり、そしてその芳佳くん達を助ける為遥々やってきた諸君らに敬意を持っておる。ワシができうることはしたい」
だが、と言葉を切った
健次郎「解決せねば問題がある。〈監視者〉を名乗るヤツの大元である上位存在との決着じゃ。試練が終わったというのならば、ワシらに対して何かしらのコンタクトがある筈。これが無いという事はまだワシらがすべきことがあるということじゃ」
かつて健次郎が最初に示現エネルギーの存在を解明した時、彼に語り掛けた〈管理者〉を名乗る特別な生命体。健次郎は彼らがもう一度姿を現す筈だと確信があった。そしてその時まで真の意味で試練が終わる事は無いだろうと考えていた
ミーナ「解りました。では我々も数日程滞在し、しばらく様子を見させてください」
健次郎「うむ。君達は功労者じゃからな、管理局に言って滞在に必要な物資を確保させよう」
あかね「あのぉ……れいちゃんどうなったの?」
そろそろ話題の切り替わるタイミングだと悟ったあかねが手を挙げて発言した。こればかりは健次郎以外の誰に聞いても解らないことで、この会議の準備に忙しく動き回っていた健次郎に今まで聞けずにいた事だった
健次郎「___わからん」
あかね「いや解らないんかーい!って思わずツッコミそうになっちゃったよ!」
健次郎「つっこんどるぞ。いや、あの戦いの後カラードブラック……黒騎れいくんは姿を消した。発見次第ワシの所に連絡を寄こすよう言ってあるが、まだその報告はないのう」
あかね「そうなんだ……。芳佳ちゃん達は見てないの?」
宮藤「あの後、私も少し探したんだけど結局れいちゃんは見つけられなかったんだ。坂本さんの〈魔眼〉とか、ミーナ中佐とサーニャちゃんにも手伝ってもらったんだけど……」
あおい「完璧な右フックキメちゃったから謝らないといけないのに。」
わかば「あろん子。あなた、もう一人の自分の存在ぐらいなんか察知できないの?」
座るところが無く天井に張り付くようにふわふわ浮いていたあろん子が意識を集中させるように目を閉じしばらく黙り込んでいたが、ふーっと息を吐いて首を振った
あろん子「うっすらとしか解らない。多分この世界にはいると思う」
ペリーヌ「もっとしっかりと居場所が解らないものですの?」
あろん子「無理ね。この前半殺しにされた時にただでさえ薄かった繋がりが一層薄まった感じなの」
シャーリー「しゃーない。あっちから出向いてくれるだろ」
「いえ、それはないでしょう」
あかね「天城さん!」
久方ぶりの顔出しである。防衛軍所属、ビビッドチーム戦術顧問の肩書を持つ天城二尉がいつの間にか一色家に姿を現していた。少し髪が乱れ額にうっすら汗が滲んでいる様子からも少しばかり急いできた事が伺える
わかば「それはないって、なんです?」
天城「タレコミです。黒綺れいと思われる少女が、管理局地下に囚われているとの情報です」
健次郎「___確かか?」
天城「確かです。私の同期が管理局の情報管理チームに勤めてるんですが……」
管理局の情報管理チームは世界でも最高峰の機密情報である示現エンジンに関する情報を扱う部署であり、当然自らが知りえた情報を他所へ流すなどあってはならないことだ。しかし、彼は天城に情報を流した。ほんの短いメッセージ文を天城のプライベート端末へ送信したのだ
『黒騎れいは管理局地下牢』
健次郎「その情報がワシのとこに来ないのにはどういった理由があるのかの?うっかり伝達の不備?はてさて___」
その時、部屋のテレビのスピーカーを通して鋭い警告音が鳴った。この音の意味は一色家で生活を送った者は知っていた。大島に接近する航空機、船。定期便として登録されていない乗り物が島の周囲の一定のラインを越えた場合作動する警報。健次郎が自衛の為設置したセンサーが反応を示した
健次郎「___成程、また馬鹿な選択肢を選びおったか」
老人は淡々と吐き出した。部屋の窓から、複数の武装ヘリと数隻の軍艦がこちらへ近づいてくるのが見えた
この作品が完結するより早くスト魔女3期きちゃいましたね。どんだけ長期連載なんだよって話ですけどもうちょいですから!つきあって!!!!!!!!!!!