ハートジャスティス 番外編集   作:ココリンク

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秘密基地

能力に覚醒した、吉田元喜。

 

その力の一端を見た、幼馴染の刀根虹はあるところに連れていくことになった。

 

気を失っていた松尾善治も意識を取り戻し、目的地も同じなため、一緒に行くことになった。

 

 

「こう見えて元ちゃんっておっちょこちょいでさー、前も移動教室のときに筆箱忘れたんだよー!」

 

「なるほど、確かに彼は硬派のようで、抜けてるところが多い印象を持つからな」

 

「どういう意味だ。

というか、虹の方が忘れ物多いだろ」

 

「失礼な! 多くないよー!」

 

「多いだろ。

それに間違えも多い。

この前理科のときに数学のノート持って来ただろ」

 

「だってあのときは……

あ! ここここ!!

この先だよ!」

 

虹、元喜、善治の3人は世間話──といっても、虹が一方的に話し善治が興味深く聴き、元喜が突っ込むを繰り返しながら、森の散歩道までやってきた。

 

虹は気まずくなった話題をそらすように、目的の場所である坂道を指差した。

 

「ここって……。

立ち入り禁止エリアじゃねえか?」

 

元喜は坂道を見たあと、今歩く道とその坂道を隔てるロープに視線を落とした。

 

そのロープは黄色と黒。

 

そして、立ち入り禁止と張紙もされていた。

 

この辺りの地区は森を切り崩し、土地開発をしてできた場所だ。

 

なので、自然を残すために手つかずにしているエリアが残っており、そこは立ち入り禁止になっている。

 

「そうだよー」

 

だが、虹は当たり前のようにロープを跨ぎ、先に進んで行った。

 

善治も何くわぬ顔であとに続く。

 

「え……いや……。

おい待て! 虹!」

 

元喜は急いで虹の腕を掴んで引き止めた。

 

「なに? 元ちゃん。

早くいかないと誰かに見付かって怒られちゃうよー」

 

「“怒られちゃうよー”じゃねえよ!

なに平然と立ち入り禁止エリアに入ってんだよ!

お前、三晴ちゃんの前でも同じことできるのか?」

 

ルール違反を犯しているのに平然とした顔でいる虹に、元喜は注意する。

 

ただここで、溺愛の妹の名前を出したことにより、虹の顔が真剣なものになる。

 

「できないよ。

だから、行くの。

だからあそこじゃなきゃ……だめなの」

 

「……虹」

 

元喜はここで今から向かうところが遊び半分で行くところではないのだと察した。

 

虹からゆっくり手を離し、キョロキョロと近くに人がいないか見渡し、誰もいないことを確認するとロープを跨ぎ、立ち入り禁止エリアへと足を踏み入れた。

 

「ほう。

急な心変わり。

先程の率先垂範はどこへやら?」

 

それを見ていた善治は、誂うように言うが

 

「虹。

どこだ」

 

「あっちだよー」

 

と無視され、先をいかれてしまった。

 

「やれやれ。

彼の目に、僕は映ってないようだ」

 

善治は呆れつつ後を追いかけた。

 

 

 

 

坂道を登り、生えっぱなしで伸び切った、背丈ほどの高さの雑草を掛け分けると、木漏れ日が差し込む、空き地へと辿り着いた。

 

「すごいな……森の奥にこんなところが……」

 

明らかにここに何かがありますよというふうに、温かく神聖な光が射す空間に、元喜は思わず息を呑んだ。

 

「でしょー!

教えてくれたの、善治くんなんだー」

 

「へー……お前が」

 

追加情報を聞いた元喜は、急にげんなりしたような顔になり、善治を横目で見た。

 

「ええ。

森の風の大地の光の声を聞けば、人をもしれず……人を寄せ付けぬ、まるで世俗と離れた

 

「それで、これを見せるために?」

 

言葉を遮るかのように元喜は、虹に話し掛けた。

 

「ううん。

もっと違うこと……あ! いたいた!!」

 

虹はそう言いながら、空き地の方へと更に進んでいき、見えた人影に手を振った。

 

「……あ! 虹さーん!」

 

「こんにちは!」

 

そこには沙弥香と春流が枝を集めていた。

 

沙弥香は虹の姿を見ると嬉しそうに手を振った。

 

「こんにちはー!

どう? 集まった?」

 

虹は笑顔で2人に駆け寄っていく。

 

「うん! たっくさん!

うちとはるるが頑張ったもんねー!」

 

「ねー!

ここは人の手が届いてない場所ですから、100本くらい余裕でした」

 

顔を見合わせ、自慢気に言う2人。

 

その後ろには大小様々な木の枝が100本ほど積まれていた。

 

「さっすがー!」

 

虹はにっこり笑い、サムズアップした。

 

「ほー……これはなんとも上質な。

助かるよ」

 

遅れて、善治が集めた枝をまじまじと見つめながら歩いてきた。

 

「ね!

2人とも凄いよね!」

 

「ええ。

……時に池田くん。

どこか顔色が悪いようだが?」

 

「……え!?」

 

沙弥香に対しての言葉に、春流がまっさきに反応した。

 

「あ! さっちゃん!

水飲んでないでしょ!?」

 

そして、髪の毛に汗が含まれているの見た春流は、諌めるように言った。

 

「……の、のんだよ」

 

沙弥香は視線をそらして答えた。

 

実際、8℃くらいの最高気温の予報だったため、全身モコモコの厚着をしていたが、枝を探すために歩き回ったので暑くなっていたのは事実だった。

 

水分補給をしていたというのは嘘だった。

 

「まーた我慢して。

さっちゃんの悪い癖」

 

春流は文句を言いながら、自分のリュックを漁り水筒を取り出すと、沙弥香に渡した。

 

「ありがとう」

 

沙弥香は決まりが悪そうにしながら受け取ると、半分くらい飲み、春流に返した。

 

「というか、さっちゃん。

水筒持ってきた?」

 

春流は受け取るとき、確認程度に訊くと、沙弥香はまた顔をそらした。

 

「次からは持ってきてね。

わたしはさっちゃんのお世話係じゃないんだよー」

 

「はーい……」

 

小言のようにいう春流に、沙弥香は不服そうに答えた。

 

 

「さて!」

 

虹がパンっと手を叩きながら、仕切るように声を出した。

 

みんな一斉に虹の方を見る。

 

「実は!

今日! 仲間が増えました!!

どーぞー!!」

 

「仲間!?」

 

「え!? 新しい覚醒者ですか?」

 

虹の突然の発表に、沙弥香と春流は驚く、そして見慣れない一人の中学生に視線を注ぐ。

 

その中学生である元喜は、大袈裟な紹介に、前に出にくくなっていた。

 

冷ややかな視線を虹に送ると、虹は拗ねたような顔になり、早く来てと顎で指示してきた。

 

「はいはい」

 

元喜は呆れながらも、みんなのところまで歩いた。

 

「えー…紹介します!

新しい仲間!

元ちゃんです!!」

 

「吉田元喜だ。

よろし…………っておい虹。」

 

「なに?」

 

「仲間ってなんだよ?」

 

それとはなしに自己紹介したが、ここに連れてこられた意図を説明されておらず、急に仲間と紹介されたことに気付いた。

 

「……あれ?

言ってなかった?」

 

虹は目を丸くし、不思議そうに言う。

 

元喜は突っ込む気力も起きず、ただ無言で首を縦に振るだけだった。

 

スムーズにいかない進行に沙弥香と春流の2人も苦笑いしている。

 

「じゃあ改めて……」

 

虹は気を取り直すため咳払いをすると真面目くさった顔で口を開いた。

 

「さっき私達を襲ってきた敵から!

この街を守るため!

不思議な力を持った正義のヒーロー!

人呼んで!!」

 

と突然なにかの決め台詞かのように言うと、拳を上に大きく掲げた。

 

「ハートジャスティス!!」

 

叫び声は森中を木霊し、木の葉を揺らして鳥たちが飛び立つ音が聞こえた。

 

元喜は唖然としている。

 

「よっ! 大統領!」

 

善治は囃し立て拍手をかける。

 

「やっぱりちょっとダサいような」

 

「しっ…!」

 

春流はネーミングセンスに不満を漏らし、沙弥香は慌てて制止した。

 

善治の拍手の音だけがする時間が3秒くらい流れたあと、ようやく元喜が口を開いた。

 

「ハートだか、ジャスティスだか知らねえが……。

はあ……お前な。

中学にもなってヒーローごっこか?」

 

呆れた物言いに、虹は拗ねたような顔になる。

 

「違う! ごっごじゃないよ!!

さっきも元ちゃん見たでしょ!

体験したでしょ!?」

 

虹の言葉で元喜はあまり思い出したくもないさっきの戦いを思い出し、身震いした。

 

「あの変な奴のことか?

それはそうだが……あんなの大人や警察に任せれば

 

「それが無理なんです」

 

元喜の言葉を春流が遮った。

 

「無理?」

 

「……はい。

私達でしか……できないことなんです」

 

元喜は春流をまじまじと見詰める。

 

相手は小学生だが、確固たるなにかを持つ目をしていた。

 

「教えてくれるか?

君が何を知っているか?

虹の身に何が起こってるのか?」

 

元喜は思わず春流へと歩いていた。

 

どんどん語気が強くなり、表情も鬼気迫るものを感じる。

 

強い力で春流の両肩を掴むと

 

「命を狙う変な奴のこと。 能力のこと。 覚醒のこと。

知ってること全てでいい!」

 

と、迫真の表情で春流に問いただしていた。

 

「え……えっと……」

 

流石の春流も、男子中学に怖い顔されて肩を掴まれるのは恐怖でしかなく固まってしまった。

 

「元ちゃん!」

 

「……!?」

 

虹の叫びで元喜は我に返り、春流の顔を見ると、ゆっくりと手を肩から離した。

 

「ごめん……な」

 

顔を合わせられず、目線だけ春流に向けて謝る。

 

春流はコクリと頷くだけだった。

 

「はるるー。

大丈夫だった?」

 

「……うん」

 

沙弥香は心配そうに駆け寄り、抱き着いてあげた。

 

「おやおや。

君はとても危うい。

もっと視野を広げなさい。

今こそ、我が

 

善治は元喜の行いを嗜めるように、説教を始めようとしたが、

 

「すまない……。虹」

 

元喜は善治に一瞥もなく、虹に謝った。

 

「さっきの子の目を見て分かった。

今、虹たちがやってることは遊びじゃない」

 

「分かってくれたんだ。

ならいいよ」

 

虹は嬉しそうに笑顔になり、今度こそ紹介しようと、沙弥香たちの方に目をやったが

 

「それでも。

俺は反対だ」

 

元喜は真剣な表情で言葉を続けた。

 

「えー……なにが不満なの?」

 

「死ぬかもしれないんだろ?」

 

元喜の言葉に、戯けていた虹の表情が一気に暗くなった。

 

「さっきの戦い……死にかけた。

俺も……お前も。

……あのうるさいガキも。

そんな戦い何回あった?

最近よくケガしてるのも、出血してるのもこれのせいなのか!?」

 

元喜は虹の肩を強く掴んで詰問する。

 

「死んでないもん……」

 

虹は俯きながら小さく答えた。

 

「は?

だけど、死にかけたのは確かだろ!!?

もし、あのとき、俺の能力が無かったらどうしてたんだよ!?

胸の傷が塞がらなかったら

 

「死んでないもん!!」

 

今度は元喜の目を見て、泣き叫ぶように答えた。

 

「まだ誰も死んでないもん!!

何回も勝ってるもん!!

大丈夫だもん!!」

 

駄々をこねるように主張する虹。

 

元喜は討論にならないと、肩を強く押し、虹を突っぱねた。

 

そして、あとの3人を見渡し、それぞれに指をさす。

 

「お前らもだ!

なんの集まりか知らないが、命を粗末にするくだらないヒーローごっこはやめるに限る!

お前らの命、人生はこんなことをするために使うもんじゃないだろ?

これを聞いた家族は? 友達は?

命を懸けてるなんて聞いたら悲しむだろ!

な、お前らはまだ小学生なんだ。

だからこんな事する必要はない。

……な」

 

元喜は最初は厳しくそれでも、最後の方は諭すように言い聞かせた。

 

それでも、その元喜の説教を聞いた3人は

 

笑っていた。

 

「ふふ。

今の文字の羅列。いやはやとても胸に……いや、五臓六腑にしみわたる。

ですが、大変失礼。

もう僕たちはその覚悟はできている」

 

先導を切るように善治は、確固たる眼差しを元喜に向けた。

 

沙弥香と春流もお互いに頷き合い、元喜に視線を寄せる。

 

手をぎゅっと繋ぎ合い、春流は口を開く。

 

「元喜さん? でしたっけ?

虹さんの彼氏さん。

私達はここにはまだいないもう一人の仲間に、同じことを問われてから、覚悟を決めて戦ってるんです」

 

「覚悟……」

 

口を揃えて言う“覚悟”という言葉。

 

小学生が背負うには重すぎる言葉が出てきたことに、元喜は驚き、何も言えなくなってしまう。

 

「うちも同じ。

覚悟……してる」

 

沙弥香も春流に向き合い、繋いだ手を何度も強く握りながら言った。

 

「……じゃあ……やっぱり聞かせてくれ。

お前らが……なにに、覚悟してるのか」

 

元喜は後ろでただ泣いている虹の様子を確認しながら、春流に視線を合わせて、ゆっくり尋ねた。

 

春流はまた真剣な顔になり、深呼吸すると

 

「私達は選ばれたんです。

戦いの運命に」

 

と口を開いた。

 

それから、長い説明に入った。

 

自分たちの能力。

 

覚醒秘話。

 

光の力のこと。

 

敵対する闇の力のこと。

 

闇の勢力が侵略活動をしていること。

 

それに使う闇の空間が覚醒した、もしくは覚醒間近な人にしかわからないこと。

 

そして、いつも自然と戦いに巻き込まれてしまっていること。

 

 

聞いていく内に、元喜には他人事にしてはいけない何かを感じた。

 

選ばれた極わずかのほんの一握りの人物。

 

さらにはみんな子供が、不思議な力を使う敵と戦わなければならない。

 

「だからこそ虹さんは、率先してチームを作ることを決めてくれたんです。

なにをするにも、1人だと心細いから。

それに、まだ分かっていない敵のことをみんなで教え会えるように。

決して虹さんは、浮かれた心で、チームを……仲間を募ったわけではありません。

私達の安全のために、結成したんです!」

 

「そう……だったのか」

 

元喜は振り返り、虹を見下ろす。

 

まだ泣きじゃくっている。

 

元喜はギュッと拳を握ると、優しい微笑みをしながら、春流に振り返った。

 

「……ありがとう。話聞かせてくれて

……えっと」

 

「春流です……」

 

「そう……春流ちゃん。

いい名前だね。

あと俺、コイツの彼氏じゃねえからな」

 

元喜はそう言い残すと、虹の傍へと歩み寄った。

 

「虹。

さっきはごめん。

春流ちゃんなら色々聞いたよ。

お前は、覚悟……決められなかったんだな」

 

虹は泣きながら、ゆっくり頷く。

 

「三晴ちゃんのこともあるもんな……

リーダーみたいな雰囲気出しながら、心の中はぐちゃぐか?

お前らしい。

やっぱり、お前にはお目付け役が必要らしいな」

 

「え?」

 

虹は驚いた表情で元喜を見る。

 

元喜は嬉しさや悲しさや驚きなど色んな感情がごちゃごちゃでくしゃくしゃな虹の顔を見て、思わず微笑んだ。

 

「なんだよ。その顔」

 

「だって……あれほどだめって」

 

「……あの子たちの真剣な顔を見てわかった。

戦う運命ってのが」

 

元喜は後ろを振り向き、3人の手元足元を見た。

 

微かに震えていた。

 

「覚悟覚悟言いながら、頑張ってる。

戦うしか方法がないのなら、いかに怪我がないか、死ぬようなことがないか考えなきゃな」

 

「……うん!」

 

虹は元喜がチームに入ってくれるのが嬉しく、表情が一気に綻び笑顔になった。

 

「ありがと!」

 

「ああ」

 

虹は涙を拭き、立ち上がると元喜の横に並び立ち、3人を見た。

 

そして、とびきりの笑顔になり

 

「改めて!

新しい仲間です!!」

 

と言って、元喜に両手を広げた。

 

「吉田元喜だ。

戦いはさっきが初だから、よくわからないが……能力は多分、腕輪と宝石でアーマーを形成する能力だ」

 

元喜は腕輪を見せるようにし、左側に装着されている宝石を取って、眺めるようにしながら言った。

 

「「よろしくお願いします!」」

 

沙弥香と春流の2人は元気に可愛らしい声で挨拶した。

 

「君のその能力は買って出よう。

だが、君のその人柄は気に入らない。

いいかい。戦いにおいては僕たちの方が先人であることを忘れないで頂きたい」

 

善治は目を合わさず、食って掛かった。

 

「いきなりマウントか?

お前は守らなくても良さそうだな。

一番長生きしそうだ」

 

元喜は腕を組み、善治を見下ろすと皮肉のように言った。

 

「もう! 2人とも仲良くね!

あと元ちゃん! これ借りる!」

 

虹は馬が合わない2人をたしめるように言うと、元喜の右腕から、腕輪を引き抜いた。

 

「あ! 虹! こら!!」

 

元喜は虹を追い掛けるが

 

「善治くん!

これつけたらできるんじゃないかな?」

 

虹はすでに善治のもとへと辿り着き、前に出して見せていた。

 

善治は嫌そうな顔をした。

 

「虹さん。

僕の力はまだ未熟であることは承知の上です。

しかし、その力は彼のものでは?

あんな愚人の力に頼らずとも、僕の力をもう少し

 

「つべこべ言わない!!」

 

嫌がる善治に、虹は無理矢理腕輪を右腕につけさせた。

 

「あ、虹。

なんでコイツに」

 

元喜も嫌そうな顔をし、理由を求めた。

 

「ここに秘密基地を作るの!」

 

「秘密基地?」

 

「そう! だから必要なの!

さっき元ちゃんが光の力を分け与えたようにすれば、善治くんの能力が強くなるかなって!」

 

「……コイツの能力って、植物を操ることだろ?

それに秘密基地がどう関係が?」

 

「えっと……見てればわかるよ!」

 

「……お前はいつも」

 

雑な説明に元喜は頭を抱えた。

 

そして、善治の前に立ち、無理矢理右腕を掴むと、宝石を外した。

 

「あー!

だめだよ元ちゃん!」

 

「強奪とは質が悪い。

僕はともかく、彼女ら2人の教育に悪い」

 

「少し黙れ。

その宝石は力を込めないと、十分に発揮できない。

チャージしてるだけだ」

 

元喜はそう言いながら、宝石に自分の力を入れ込み、宝石が輝き出すと、腕輪に嵌め直した。

 

『シャイニング』

 

すると、善治の頭にシャイニングという言葉が響き、胸の温かさがよりまし、全身が軽やかになっている気がした。

 

「なるほど……これなら」

 

善治は手応えを感じ、目をつぶり集中する。

 

木々と波長を合わせ、一体化したような感覚になると

 

目を開き

 

「正義の心は秘密の憩いの地に住まうだろう。

森は家となる」

 

と叫び、腕を前に出した。

 

すると木々がざわめき、地響きのようなものが起こると

 

地面から何本との根っこが浮き上がり始めた。

 

「うわっ!」

 

元喜はおどろおどろしい光景に驚愕する。

 

「元ちゃん、そんなに怖がらなくてもいいよ」

 

そんな元喜を見て、虹は笑った。

 

「ここまではいつもの善治くんでもできる。

これからだよ」

 

虹の言葉を聞き、元喜は見守ることにした。

 

沙弥香と春流の2人も、逃げるように虹たちの下へと駆け寄った。

 

「はあ!!」

 

善治は気合をいれるため、雄叫びを上げると

 

根っこの一本がどこからか倒木を持って来て、広場へと置いていった。

 

「やった!」

 

沙弥香は喜び、春流とハイタッチする。

 

その間にも一本、また一本と倒木は運び込まれた。

 

一部腐ったり、穴抜きになっているものがあったが、集めていた枝がその内部に入り込むと、キレイな形に変わっていった。

 

「すごいな……アイツ」

 

「でしょ。

植物と調和することができるんだって。

どんなことでもできるって言ってたから、それで秘密基地作れないって言ったら乗り気になってくれてさ!

枝を取り込むと、修復できることはわかってたから、2人に協力して集めてくれてたの!

ねー!!」

 

「はい!」

 

「褒められたね」

 

「ねー!」

 

虹に褒められた2人は恥ずかしそうにしているが、どこか誇らしげだった。

 

「あとは組み立てる力が必要だったけど、元ちゃんの力を分け与える力があればできると思って、そしたらできちゃった!」

 

「ああ」

 

元喜は善治に力を貸すのは癪だったが、虹の笑顔を見れたらならいいと思った。

 

話している間に倒木はログハウスのように建てられた。

 

階段から入る高床式の立派なログハウス。

 

完成を喜ぶように、木漏れ日はより一層輝いていた。

 

「……はあ……はあ」

 

完成させた善治は汗だくになり、地面に倒れ込んだ。

 

「善治くん!

ありがとー!!」

 

「はあ……はあ……

なに。

礼には及びません」

 

「善治さん、これ」

 

沙弥香が善治の水筒を持ってきた。

 

「どうも。気が利くね」

 

虹に支えられながら善治は体を起こし、水を飲んだ。

 

「すごい…!

こんなに立派な!!」

 

春流は階段のすぐそばまで近寄り、秘密基地を見上げた。

 

「すごいよねー!

……あ! そうだ!!」

 

虹はなにか思い付いたような顔をすると、ポケットからペンを取りだし、階段を駆け上がった。

 

「おい! 落ちるなよ!

耐久テストしてないんだからなー!」

 

元喜は心配そうに呼びかけるが、虹は気にせず扉の前に来ていた。

 

扉の前には、蔓の紐で結ばれた、木の立て札がかけられていた。

 

虹はそこの裏面に、自分の名前と元喜、善治、沙弥香、春流……そして、剣の名前を書き記した。

 

「よし!!

これで私達、ハートジャスティスの秘密基地の完成だ!!」

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