真実に至る宝石の勇者   作:ガンダムラザーニャ

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今回は烈 勇士さんのリクエストを書かせていただきました。

活動報告のリクエスト募集を続けてますので、皆さんのリクエストお待ちしております。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=233709&uid=99940


第16話:狂気の愛に、赤の勇者は怒る

ある転生者が、男子生徒を誘拐していると聞いて、士郎と切歌、善逸は転生者の反応を追って探し、その先で廃墟を見つけた。

 

「待ってくれ、二人ともちょっと待ってくれないか!」

 

「…?」

 

いつになく威勢のある発言をしてるので振り向くと、善逸が怯えて体育座りしていた。

 

「怖いんだー!

何か気味が悪いしここから転生者の音が聞こえて怖いんだよぉ!!」

 

「けど善逸、今俺たちが行かないとそいつらが危ないんだぞ?」

 

「それに、二人は部活の助っ人とか凛さんのうっかりの対応で出れないから、あたしたち三人で行くしかないデスよ」

 

「そりゃあそうだけどさぁ!

二人はまだしも俺物凄く弱いんだよ!」

 

「あのな善逸…」

 

「はぁ…、良いデスか善逸?」

 

「ふぇっ!?」

 

呆れる士郎を余所に、切歌が怯える善逸の手を握る。

 

「士郎はこうして呆れてるし、あたしだって今の善逸を見てて見苦しいデス。

けど、今この場にいない二人も含めて、あたしたちは善逸のこと、心から頼りにしてるデスよ?」

 

「で、でも無理だよぉ…、俺なんかじゃ皆と釣り合わ「一緒に来てくれたら、今度デートも考えなくはないデスよ?」…はいっ喜んで!」

 

(善逸チョロすぎるだろ…)

 

いくら女好きとはいえ、先ほどまで怯えてた様子はどこへやら、善逸のあまりの変わり身の早さとチョロさに内心呆れと心配する士郎であった。

 

とにかくこれで善逸もやる気が出たので、改めて廃墟の中を目指す。

 

中はとても暗く、瓦礫などあるため足元も気を付けなくてはならない。

 

「えーと、この音の向きだと、こっちだ!」

 

その中でも、善逸は聴覚を頼りに、周囲の音の反響と転生者の音を探りながら安全な道を通り二人もそれに着いていく。

 

ただ、転生者の反応や音が近くなってくると、流石に怯えてくる。

 

その度に二人で鼓舞し、何とか近くまで来た。

 

「はぁはぁ、ひぃ…!

この角の部屋から、転生者の音がするよぉ…!」

 

「確かにあそこから転生者の反応がするな!」

 

「よし、じゃあ行くデスよ!」

 

「ぎゃーっ、首根っこ引っ張らないで~!」

 

三人が勢いよく部屋に入ると、そこには様々な拷問道具が置かれていて、その奥で行方不明になっていた男子生徒が鎖に繋がれていた。

 

「おいっ、大丈夫か!!」

 

「辛うじて息はしてるデス!

善逸、いろはに連絡を!」

 

「わ、わかった!」

 

「させないよ!」

 

『っ!』

 

三人が振り返ると、部屋の影の奥から一人の少女が姿を現した。

 

「お前は…」

 

「彼は私の彼氏なの、だから連れ出そうとしないで」

 

「彼氏だって?

じゃあこの部屋は何だ、何でこいつはこんなことになってる?」

 

「…彼は、私だけを見てくれなかったの。

こんなにも、愛してるのに…」

 

「は?」

 

少女の言葉に、士郎は地雷を踏んだように、怒りがわいてきた。

 

「私はね、初めて会った時から、彼のことが好きだったの。

けど彼は知り合いに話しかける形でしか接してくれないし、私だけを見てくれないの」

 

「し、士郎…?」

 

少女の異常な愛情に引くが、それ以上に、切歌は士郎から伝わる凄まじい怒りに引いていた。

 

それでも構わず少女は話を続ける。

 

「だから、私は彼をここに連れてきて、私のことが好きになるようにって、教育したの。

でもね、ここまでするつもりはなかったの。

あれだけ教えてあげたのに、しまいには化け物って呼ぶからついカッとなって…「もういいそれ以上喋るな」…え?」

 

「ひぃっ、ちょ、士郎!?」

 

「善逸」

 

「へっ!?」

 

「あいつを連れて外に出てくれ。

反応は確かこいつだけだったから、お前ならここからあいつを連れて抜け出せるはずだ」

 

「…っ、わ、わかった…!」

 

「切歌」

 

「な、何デスか?」

 

「こいつは、俺とお前でどうにかするぞ」

 

「わ、わかったデス…」

 

善逸が男子生徒を連れてこの場から立ち去り、切歌は士郎の隣に立って身構える。

 

「おい、お前に一つ聞いても良いか?」

 

「な、何なの?」

 

「お前にとって、愛ってなんなんだ?」

 

「そ、それは胸にキュンと来る感情だよ?

現に私は彼のことを見てると胸がキュンキュンするから、こうして…」

 

「向こうからすれば好きでも何でもない奴に一方的に痛めつけられて、それどころじゃなかっただろうぜ。

愛っての確かに、胸がキュンと来るかもしれないが、少なくとも胸が熱くなることはある。

…でも、お前のそれは、ただの意地汚い執念だ、間違った愛だ」

 

「な、何を言ってるの?

私はただ彼に…「こんなところに監禁して拷問しておいて、何が愛だっ!!」…っ!」

 

士郎の怒号が部屋に響く。

 

「良いか、愛ってのは、束縛も拷問もせず、相手を思いやる気持ちなんだよ!

だけどお前のは、好きだから振り向いて欲しいから、ただそれだけのために、こうやってあいつをここに閉じ込め、痛めつけた!

だからはっきりと言わせてもらうぜ。

お前の愛は、間違ってる!!」

 

「私の、愛は、間違ってる…?

…っ、うくっ!?」

 

少女は士郎の言葉に呆然とするが、同時に激しい頭痛を覚えた。

 

「っ!」

 

「どうしたデスか?」

 

「そ、そうだ、私、生前からこんな束縛しなければ何もできない自分が嫌だったんだ…!

それを直そうとして、死んで…、何で、今になって…っ、あっ、あぁああああああああああああ!!!!!!」

 

少女の体から、どす黒い瘴気が噴き出し、士郎たちは衝撃に耐える。

 

「これは、まさか…!」

 

「特典の暴走!?」

 

「あぁっ、ぐぁ…!」

 

少女は苦しみながら、手からルービックキューブを出現させ、それはひとりでに動き始めた。

 

「あれは、シーキューブのフィア・イン・キューブ!」

 

「士郎、来るデスよっ!」

 

上から刃がついた振り子が飛んで来て、二人はそれを避けてキラメイチェンジャーを操作する。

 

『キラメイゴー!

キ・ラ・メーイ!!』

 

『キラメイチェンジ!!』

 

キラメイジャーに変身した二人はキューブから出現するいくつもの拷問道具を掻い潜る。

 

「これ、一発でも当たったら即死デース!!」

 

「あぁ、だがどうにかできないってわけでもないぜ!」

 

そうして距離を取るが、少女と目があった途端、士郎の体の動きが遅くなった。

 

「なっ!」

 

「士郎!?」

 

動きが遅くなった隙を突かれ、キューブから出現したドリルが士郎の胴体に突き刺さそうと発射された。

 

「…っ、それはヤバイデース!!」

 

切歌はすぐに駆けつけようとするが、飛んでくる拷問道具に阻まれてしまう。

 

そして士郎の胴体に目掛けて飛んできたドリルは、そのまま吸い込まれるように飛んでいくが、士郎に当たった途端に弾かれた。

 

しかも弾かれただけでなく、少女の両肩を何かが切り裂いた。

 

「あっ、ぎゃあああ!!」

 

「えっ!?」

 

一瞬何が起こったのかわからなかったが、士郎の体を見ると、小さいながらも幾重にも重ねられた結界が張られていた。

 

「そのバリアは、まさか…!」

 

「あぁ、ローアイアスの小さいのをあらかじめ張らせてもらってたのさ。

距離を取ると同時に投げた干将莫邪を投げつけてな」

 

少女が痛みに悶えてるためか、士郎の動きも元通りになる。

 

「そう言えば、目を合わせると、相手の動きを遅くする神器があるんだっけな。

お前、特典の他にも神器を持っていたってわけだ」

 

「ぐぅっ、がぁああ!!」

 

暴走してるせいで言葉が通じないのか、傷を押さえながら叫ぶ少女。

 

それに呼応するように、ルービックキューブが速い速度で回転する。

 

それと共に、様々な拷問道具が出現、攻撃を仕掛けてくる。

 

「そんなに来るなら、これでも喰らえってんデス!!」

 

『キラメイサイズ!』

 

切歌はキラメイサイズを肩に取り付けると、それが光って両肩に纏わりつきアーマーに変わり、それが鎌に変わって攻撃を弾いていく。

 

『封伐・PィNo奇ぉ』

 

「デース!!」

 

切歌はそのまま突っ込み、少女を蹴飛ばし、手元にあったキューブを弾き飛ばす。

 

「でかした切歌!

…面を上げろ、侘助!」

 

士郎は弾かれたキューブに数回、侘助を投影したキラメイショットで撃ち抜き、ものすごく重くして動けなくさせる。

 

「さて、これで終わりだ!」

 

『キラメイバスター!!』

 

『キラッキラチャージ!』

 

士郎はキラメイソードとキラメイショットを合体させたキラメイバスターを少女に向ける。

 

「これで少し、落ち着けぇ!!」

 

『チェックメイジ!!』

 

「ぐぅあああああああ!?」

 

その一撃は真っ直ぐ少女の体を貫き、少女は倒れ、キューブも動かなくなり、そのまま少女の中に戻っていく。

 

士郎は少女の暴走が止まったことを確認してから、特典を採掘した。

 

「…うぅ、ねぇ、一つ、聞いても、良いかな?」

 

「…っ、もう起きたのか」

 

「あなたは、どうして愛のことで、あそこまで怒ったの?」

 

「…、俺には恋人がいたんだ、転生者に殺されたけど。

詳しくは言わないが、俺とあいつは本気で愛してた。

だから俺は、俺たちやあいつを殺した転生者を探して仇を取って、この世界のどこかに転生してるはずのあいつを会いに行かないといけないんだ。

例え忘れられてもな」

 

「そう、強いのね、あなたは…」

 

その言葉を最後に、少女は気を失った。

 

「別に、俺は強くはないさ。

俺はあいつを、守ってやれなかったからな…」

 

士郎は、どこかやるせない表情になりながら、血が滲み出るほど手を強く握る。

 

「待っていてくれ、必ず仇を取って、お前に会いに行くからな…!」

 

「士郎…」

 

その場にいた切歌も、士郎のことを察して何も言えず、善逸が戻ってくるまでその場に立ち尽くすのだった。

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