真実に至る宝石の勇者   作:ガンダムラザーニャ

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今回は烈 勇士さんのリクエストを書かせていただきました。

また、活動報告も内容を新しく追加しましたので、皆さんのリクエストをお待ちしております。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=233709&uid=99940


第17話:ピンクの勇者は外道を憐れむ

「もぉ凛さんったら…」

 

手提げ鞄を片手に、膨れっ面で町を歩くいろは。

 

家で凛が、卵焼きを作ると言って料理をしていたのだが、火力を上げすぎてもはや食べれないレベルにまで焦がしてしまい、おまけに台所が火事になる寸前だった。

 

それで結局いろはが作ったのだが、凛が使った卵が多かった所為か、今屋敷には卵が殆どない状態だった。

 

なので今いろはは近くのスーパーで卵を買おうと出掛けていた。

 

その途中のビルを通り掛かった時だった。

 

「えっ?」

 

何気に振り向いた時、ビルの屋上から誰かが誰かを突き落としてるのを見掛けた。

 

いろはは思わず特典の、魔法少女としての姿に変身し、強化された身体能力で突き落とされた人を助けた。

 

「…っ、大丈夫ですか!?」

 

「うっ、君は一体…」

 

「おいそこの君っ、何てことをしてくれてるんだ!」

 

「あなたは…」

 

振り向くと、慌てた様子で男がやってきた。

 

この男がこの人を突き落としたのだろう。

 

「私はこのビルの会社の社長だ。

社員であるそいつがミスをやらかすものだから、私が責任を持って始末しようとしていたのだ」

 

「始末?

ちょっと待ってください!

何でそれで殺そうとするんですか!」

 

「そんなの当たり前だ。

解雇にすれば会社の事情が筒抜けになってしまうからだ。

なら、事故死として処理すれば何事も慌ただしくなくなる。

なのに君はそんなグズを助けた、どうしてくれるのだね!

そいつが生きてる所為で私の会社のことを知られたら、責任を取れるのかね!?」

 

「責任を取る取らないの話じゃないですよ。

どんなミスをしたのかわからないけれど、あなたのやってることは殺人なんですよ!?」

 

「ちっ、こいつも思い通りにならないタイプか…。

仕方ない、上手く懐柔してそいつを殺させようと思ったが、二人まとめて私が殺す!」

 

男が手を集中させると、そこから緑の矢が撃ち込まれる。

 

いろはは社員を庇いながら避ける。

 

「っ!

今のは、特典じゃない。

もしかして神器!?」

 

「それだけじゃない、これでも喰らえ!」

 

「っ!?」

 

男と目が合った瞬間、いろはの動きが遅くなり、連続で放たれた矢はいろはの体に撃ち込まれてしまうが、魔法少女の衣装で防いだので体は無傷だった。

 

だがそれでも衝撃が強かったのか、そのまま吹き飛ばされてしまう。

 

その際、距離を取ったのか体の動きも戻る。

 

「きゃっ!」

 

「ふんっ、私に歯向かうからこんな目に合うんだ」

 

「くっ!」

 

『キラメイゴー!

キ・ラ・メーイ!!』

 

「キラメイチェンジ!!」

 

いろははキラメイピンクに変身し、体勢を立て直す。

 

「変身した、だと?

だが、私の前では無力だ、どんなやつだろうと私が絶対に上だからな!」

 

「…っ、早く逃げてください!」

 

「わ、わかった!」

 

社員がその場から離れると同時に、周囲に結界が展開される。

 

「これは!」

 

結界の壁から特殊な文字が出現し、それが炎の玉となっていろはに襲い掛かる。

 

「そら、これでも喰らえ」

 

男はそう言うと、いろはに目掛けて壁と同じ文字が書かれた宝石を投げ、いろははそれをキラメイショットで撃ち抜くと、爆発した。

 

「これって、まさかルーン魔術と宝石魔術!?」

 

「そうだ!

私の特典は私のいた世界にあった一級魔術師としての魔力と、それを扱うだけの魔術、そして今さっきお前に使った停滞の魔眼だ。

その上、この緑光矢という神器もある。

ふふっ、まさに私に相応しい力だ!」

 

男が笑い声を上げてる中、いろははこの男が言ったことに疑問を抱いていた。

 

「…あなたは、もしかしてFateの世界にいた人ですか?」

 

「んっ、そうだとも。

まぁ、私は魔術師ではなく、ある油田基地での所長の秘書だったがな」

 

「そうですか。

…ではあなたは、本来自分の力でもないその特典と神器を使って、ミスをした人たちを殺したんですか、アーノルド・ベックマン」

 

「ほう、今ので私の正体に気付くとはな」

 

「当たり前ですよ、だってあなたはセラフィックスで逆らった職員を、その手で魔神柱に突き出して殺したり、カルデアのマスターを毒で脅そうとした人としても有名ですから」

 

「あれは正しかったんだ!

あの小僧が言うことを聞かないから、そもそも私には天文室に向かうという使命もあったのに!」

 

「…可愛そうな人ですね。

まるで自分が偉大な人だと思って。

そんなんだから、あのカルデアのマスターに通信を切られたのに」

 

「か、可愛そう、だと?」

 

いろはの言葉に、男、ベックマンの顔がひきつる。

 

「はい、あなたはとても可愛そうな人です。

カルデアのマスターに助けてもらったのに、自分がリーダーだって言い出して。

道のりはあの人のサーヴァントに把握してもらってたからともかくとして、着くまでの計算などをマーブルさんにしてもらったのにそれを自分でやったように言って。

あなたは秘書で、高学歴かもですけど、それ以外あなたには何もないんですよ。

ただリーダーだって威張り散らしてるだけで、孤立した可哀想な人、それがあなたです」

 

「だ、黙れぇ!!

あの場で位が高かったのは私なんだ!

私こそ、私の命こそがこの世で最も優先されるべきなんだ!!」

 

ベックマンの気が荒れてるからか、周囲に魔方陣が浮かび上がり、激しく光っている。

 

「このビルだってそうだ!

私が社長、つまりは私こそが絶対的な存在!

故に逆らう者は絶対に存在してはならない!!」

 

「…っ!」

 

ベックマンの攻撃が始まるが、いろはが早かった。

 

特典の、魔法少女としての身体能力を活かし、軽やかに避けては魔方陣を破壊する。

 

「くっ、このクズめ!!

ならこの目で…!」

 

ベックマンが魔眼を発動しようとして、気付いた。

 

自分が発動した魔術の光が強すぎて、視界にいるはずのいろはの姿が見えないのだ。

 

おまけに、いろはが魔方陣を破壊するから、その光も強くてどこにいるのかわからなくなっている。

 

「ここです!」

 

「…っ!?」

 

振り返るとそこにはいろはがいた。

 

しかもゼロ距離で、既にチャージが完了したキラメイショットを向けて。

 

「ストラーダ・フトゥーロ!!」

 

『チェックメイジ!!』

 

「ぐぁっはぁ!!!!」

 

魔眼の発動も防御用の魔術発動も間に合わず、ベックマンは光に呑まれた。

 

倒れて気を失ったベックマンから、特典を宝石にして取り出して変身を解除してから、離れていた社員の元へと近づく。

 

「もう大丈夫ですよ」

 

「あ、ありがとう…。

さっき社長に殺されそうになった時は、本当に死ぬかと思ったよ」

 

「あの、できればですが、あなたが働いてる会社で、何が起こってるのか、詳しく教えてもらっても良いですか?」

 

社員は、思い出したように青ざめながら、話をした。

 

自分たちが働いてる会社は、ベックマンが社長になる前は普通の会社だったこと。

 

それでベックマンはこの会社の社員だった。

 

しかしある日突然先代の社長が行方不明になり、ベックマンが社長に就任してからは、他の会社に賄賂を渡したり、不正な方法で金を儲けたり、自分は短い時間で週休3日にも関わらず自身も含む社員たちには1日近くの長時間労働で週休は1日だけという待遇にしたり、自身のミスを処理しようとせず隠蔽したり、命令に逆らう社員を隠れて殺したりしていたそうだ。

 

しかも信じられないことに、殺された社員の身内にはわからないように殺されたことを隠していたこと。

 

また、自身が犯したミスというのも、もう自分たち社員がこれ以上耐えられないからと、会社の情報を警察には渡そうとしたことだった。

 

「うっ、うぅ…!」

 

「あの人が怖かったんですね。

もう、大丈夫ですから…」

 

恐怖を思い出して泣き出した社員を、いろはは宥めていた。

 

そして大河たちが来て、ベックマンを屋敷へと連れていき、後日わかったことがあった。

 

実はベックマンは最初こそは大人しく社員として働いていたが、自分が上にいることが相応しいと思い、先代社長を殺害して、誰にもわからないようにエレベーターの屋根に入れて隠していたそうだ。

 

また、殺し方は特典を使ってからの自身の手による不意打ちなどが多いことから、後にベックマンは会社のことや殺人のこともあって警察に突き出し、刑務所に放り込まれた。

 

特典もいろはに抜き取られ、罪も罪なこともあってもう出てくることはない。

 

ベックマンが働いていた会社だが、生き残っていた社員はベックマンがいなくなったことを知るとそそくさに別の働き場所を探してるそうだ。

 

亡くなった社員についても、ちゃんと身内に説明もした上で供養もしている。

 

その供養してる人の中に、いろはもいた。

 

この作品について

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