「いーーやーーーーーっ!!!!」
町の中で善逸は泣き叫びながら走り回っている。
なぜなら後ろから大型の蜂、モンスターハンターのランゴスタの大群に追いかけられてるからだ。
「やーーめーーてーー!!
お前らキモイ、本当にキモいから!!」
そう、こんなことになったのは数分前、善逸は他のメンバー同様に、泣きながらだが転生者の反応を探していたのだ。
そこでこの虫たちが人を襲ってるのを発見したので、人を避難させようとして注意を引こうとして石を投げつけたらそのボスで転生者が変身した姿と思われるクイーンランゴスタに直撃して恨みを買い、それが引き金となって皆一斉に善逸を追いかけてきたのだ。
「やだもう何なのランゴスタ直接見たら本当にキモいんですけど!?
しかもずっと追ってきてキモイんですけど!!
…そうだこれはあれだ夢だ、だから悪夢から覚めてくれぇ!!!」
「悪夢?
それはこっちのセリフだボケぇ!!」
「ひぃ!!」
目の前からクイーンランゴスタが他のランゴスタを連れて飛んできた。
しかも頭部を見るとよほど痛かったのかたんこぶが出来上がっていた。
「せっかく餌にありつけるって思ったのに、よくも邪魔してくれたな!!」
「うるせぇ話しかけんなよ!?
大体人間を餌にしてるとかドン引きなんですけど!!」
通路の曲がり角を逸れて、そう叫びながら走る善逸。
それからしばらく走ってると行き止まりになっていた。
「えっ、行き止まりぃ!?」
「どうやら追いかけっこもここまでのようだな」
クイーンランゴスタは笑い、配下のランゴスタたちは針を向けて徐々に善逸に迫る。
「ひっ、ひぃ…!」
壁にもたれながら後ずさりしようとするが、これ以上行き止まりのせいで動けない。
その間にもランゴスタたちは毒が滴る針を向けながらブンブンと羽音を立てて近づく。
「ひっ、いっあ、あぁああ…っ、…あっ」
涙と鼻水で顔が汚れるほどに恐怖していた善逸だったが、恐怖心が限界に達したからなのか、善逸は白目を剥いて気を失ってしまう。
「あ?
何こいつ、ビビるあまりに気絶したか?
まっ、どちらにしても俺の餌だ」
クイーンランゴスタはあざ笑いながらランゴスタたちに指示を送って急接近させて、針を刺そうとした。
その瞬間、突然善逸の近くにいた数匹のランゴスタが切り裂かれてバラバラになった。
「…はっ?」
クイーンランゴスタも何が起こったのか理解できなかったが、それを余所に善逸はふらりと立ち上がる。
その手には鞘が収められた一本の刀があった。
だが、その様子はあまりにも異様だった。
「な、何だこいつ?
急に雰囲気が変わったぞ…」
そう、先ほどのような怯えた様子ではなく、どこかただならぬ気配をクイーンランゴスタは感じていた。
「…」
『キラメイゴー!
キ・ラ・メーイ!!』
「キラメイチェンジ」
俯いたまま慣れた手つきでキラメイチェンジャーを操作して、善逸は変身する。
手には先ほどの刀からキラメイソードに変わっていて、その状態のまま前へと進む。
「…」
「…くっ!
おいランゴスタども、さっさとこいつに毒でも溶解液でも撃ち込め!!」
クイーンランゴスタはランゴスタたちに命令して襲わせる。
しかも先ほどよりも早く、普通の人間なら避けるどころか視認できないほどの速度で。
「…!?」
突然善逸から聞こえた呼吸音にクイーンランゴスタは驚くが、それを余所に善逸は一瞬で姿を消した。
「消えた!?
くっ、どこから…!」
見回すと、善逸は電柱の上に立っていて、キラメイソードを居合のように構え、体から電気を発していた。
『キラメイチャージ!』
「雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃!」
『チェックメイジ!!』
瞬間、クイーンランゴスタには雷が落ちる音が聞こえ、同時に一閃の光が通りかかった。
「がっ、かぁ…?」
最初何が起こったのか理解できなかったが、すぐに理解した。
「き、斬られた…!
この俺がっ、斬られた…!
あいつにぃ、あんなやつに…!?」
もはや飛ぶこともランゴスタに指示を送ることもできず、地面に落ち、すでに降り立っていた善逸を睨み付ける。
「そんなバカな…!
ついさっきまで泣き叫んで怯えてたやつに…!」
あまりの出来事に信じられず、クイーンランゴスタはそのままその言葉を最後に気を失った。
同時に周りを飛んでいたランゴスタたちは一人でにバラバラに消し飛ぶ。
「…」
善逸は俯いたままクイーンランゴスタに近付き、特典を宝石に変えると、クイーンランゴスタの体が砕けて青年の姿になった。
宝石を手に入れた善逸は変身を解除して、一瞬だけ倒れそうになる。
「…はっ!?
あれ、俺どうして…!?
ぎゃーーーっ、倒れてるぅ!!?
何で倒れてるの、しかも袈裟斬りだし、もうやだぁ!!
…あれっ、これって特典の宝石?
まさかこの人がさっきのあのキモいランゴスタの?
ってことは誰かが俺を助けて?
でも一体誰が…?」
気がついた善逸は自分がやったと全然気付かず困惑するだけだった。
「おーい善逸!!」
「っ、士郎!?
もしかして士郎が助けてくれたの!?」
「えっ、いや俺今来たところだけど…」
そこへ駆けつけた士郎なのだが、善逸は士郎が助けてくれたと思い込み鼻水垂らしながら飛びつく。
「ありがとぉ助かったよぉ!!
やっぱり士郎は頼れるやつだよぉ!!」
「おっ、おい、くっつくなって!
これはお前がやったって気付けよ!」
士郎の言葉も虚しく、善逸は涙と鼻水で士郎の服をびしょ濡れにする勢いで泣きつきしばらく離れなかったのだった。
この作品について
-
このまま続けて欲しい
-
リメイクして欲しい