「はぁはぁ…」
いろはは一人、がれきの中に身を隠していた。
「おやおやどうしましたか?」
がれきの向こうから男の声が聞える。
その男は転生者で、背後には紫の怪人がカプセルの付いた拳を構えていた。
「あの特典、ジョジョのパープルヘイズ…」
いろはは姿を隠し、男の特典であるパープルヘイズに警戒していた。
そもそも、この状況になる数分前のこと。
いろはは四人同様に転生者を探していた所、グズグズに溶けてるカラスの死体を発見したのだ。
その先で、転生者である男がパープルヘイズを使って暴れ、その周辺では大勢の人たちがグズグズに溶けかけて苦しんでいるのを見つけ、戦うことになった。
それも、周辺の人たちを特典の力で治してその場から避難させながら。
今は全員を避難させ終わって一対一で戦っているが、パープルヘイズの能力とパワーに警戒して身を隠しているのだ。
「…」
「そこですね?」
「…っ、しまった!」
いろははとっさに後方にジャンプして回避すると、つい先程までいた場所が粉砕され、ウイルスが撒き散らされる。
「…っ、あなたは何でこんなことをするんですか!?
あの人たちが何かしたんですか!?」
「別に何もしてないですよ?
ただ、僕のこの特典の能力を試しておきたくて、強いて言うなら試せれば誰でも良かったんです。
ふふっ、ありがたい話ですよ?
だって僕のお試しのための練習台になれるんです、ありがたく昇天してもらわねば」
「人間は、あなたの練習台じゃないっ!
ましてや、あなたのために人間は生きてるんじゃないんだよっ!」
「うるさい小娘ですねぇ。
とっとと死んでくださいよ」
男の指示にパープルヘイズは吼えながらいろはに殴りかかるが、いろははクロスボウを使って拳を弾いて距離を取り、キラメイチェンジャーを構える。
「…あのカラスだってそう。
あんなの、人間の死に方なんかじゃない!!
だから、ここであなたを止めなきゃいけないの!」
『キラメイゴー!
キ・ラ・メーイ!』
「キラメイチェンジ!!」
いろはは変身して、キラメイショットとクロスボウを構える。
「僕を止める?
ふっ、やれるものならやってみてください!」
パープルヘイズがいろはを捕らえようと手を伸ばしながら迫るが、いろはは後ろに飛んで避けながら撃つ。
男はパープルヘイズでガードする。
「くっ、やりますね…!
なら、これならどうです!」
「えっ?」
いろはが呆然としてる間に、パープルヘイズの拳からカプセルが飛び出し、それがいろはの左腕に直撃する。
「ぐっ、あっ…!」
カプセル自体は直撃したと同時に破裂したのでスーツを貫通することはなかったが、左腕を中心にウイルスが体にまとわりつく。
「ふぅっ、うぅっ…!」
苦しみにいろはが左腕を押さえながら倒れ込んでしまう。
「ふふっ、大したことはないですね。
じゃ、とどめに死ぬまでボコボコにして差し上げましょうか」
男はそんないろはを笑いながら近付き、パープルヘイズはヨダレを垂らしながら拳を構え振り上げようとした。
その瞬間だった。
「…っ」
「なっ!?」
倒れていたはずのいろはが起き上がってクロスボウの連射を男に浴びせたのだ。
しかも男は突然の出来事にパープルヘイズを動かせずそのまま直撃してしまう。
「がはっ、な、何故だっ!?
何故ウイルスに感染したのに動いていられる…!?」
「はぁはぁ…、そんなの簡単ですよ。
特典の力で治癒をかけて、抗体を作っておいたからですよ…!」
「なっ…!?
抗体を作っただと!?
バカなっ、いくら治癒の力を持ってしても今の一瞬で抗体を作るだなんて。
じゃ、じゃあ何でお前はさっき倒れた!?」
「あれはさっき本当に腕に当たって痛かったからですよ。
…それに、不思議に思わなかったの?
私はあなたの攻撃を警戒しながら、あなたが感染したさせた人たちを治して逃がしていたことを…」
「それがどうした…!?」
男は怒鳴ったと同時に先程のことを思い出す。
パープルヘイズのウイルスは呼吸及び接触で感染するウイルスである。
しかしいろはは攻撃をかわしながら感染した人間に触れて治して逃がしていた。
そう触れたのだ、感染した人に。
にもかかわらず、いろはは五体満足で立っている。
つまりは、そういうことだったのだ
「そうか、最初からすでに自身に治癒の魔法を使って避難させながら抗体を作ったのか…!
だが、いくら抗体を持とうと、このまま連続でカプセルを叩きつければ…!?」
パープルヘイズを動かそうとした時に、拳のカプセルがなくなってることに気付いた。
「…どうやら今気付いたみたいですね。
あなたのウイルスのカプセルは両手に6つ、それが全部なくなるのを、私は待っていたんです」
「くっ…!
この…っ、腐れ脳味噌がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
男は先程までの冷静さとは打って代わり、獰猛にいろはに襲い掛かろうとする。
「ウイルスについては、流石の私もヒヤヒヤしたけど、これなら…!」
それよりも早く、いろはのクロスボウはマシンガンのように男とパープルヘイズを撃ち抜く。
「ぐぁっはぁ!」
「これで、とどめ!」
続けてクロスボウの弓を強く引いてから男の頭上目掛けて矢を撃ち込み、その場で停滞したらキラメイショットを取り出し、弾丸のキラメイバレットを5枚中に入れてトリガーを引いてから男に向けて構える。
『キラメイチャージ!』
同時に、頭上で停滞していた矢は強烈な光となって膨れ上がり、そのまま光の矢となって降り注ぐ。
そのタイミングを見計らっていろはもキラメイショットを撃つのであった。
「ストラーダ・フトゥーロ!!』
『チェックメイジ!!』
上と正面からの強力な攻撃に男は声を上げる間もなく、光に呑まれた。
攻撃が終わると、男はボロボロの状態で白目を剥きながら倒れた。
「な、何とか倒せた…!」
いろはは男を倒せたことを確認して緊張感が切れたのか、変身解除してその場にぺたんと座り込んだ。
「ふぅ、やっぱり一人で戦うのは苦手だよぉ…。
あっ、早く特典を採掘しないと!」
力が抜けていたからかいろははフラフラとしながら男の特典を宝石に変えて採掘し、情報を読み取る。
「…これじゃない。
…あの子、どこにいるの?」
目的の宝石ではなかったことにため息をつき、空を見上げる。
そんな時、走る音が聞こえ、振り返ると士郎たちが駆けつけてきた。
「いろはっ、無事か!」
「いろはちゃ~ん!!」
「士郎くん、皆!
うんっ、さっき終わった所だよ!」
「いろは大丈夫デスか?」
「切歌ちゃん、大丈夫だよ。
ちょっとフラフラするけど」
「歩けるかいろは?
俺がおぶっても良いけど大丈夫か?」
「ありがとね武くん、でもしばらくしたらちゃんと歩けるから大丈夫だよ」
「ねぇいろはちゃん!
武よりも俺がおぶってあげるよ!
何なら猛スピードで家に帰れるから!」
「善逸くん、それはありがたいけど、そんなに鼻息荒くされると、ちょっと…」
「…はい」
「よし、いろはも無事終わった所だし、後のことは師匠たちに任せて家に帰ろう」
「あっ、そう言えば、今日学校だったよな?」
「デデース!?
もう完全に予鈴なってる時間デース!!」
「…これは学校に連絡しないとな」
そう言いながら五人は少し小走りになりながら屋敷に帰るのであった。
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