【完結】春野ムサシは勇者(ウルトラマン)である 作:渚 龍騎
日本時刻 12時35分
遊星ジュラン
──リドリアス!
一人の青年は周囲を見渡せる崖で大きく手を振り、雲一つ見えない晴天の空を自由に飛び回る友好巨鳥──リドリアスの名を叫ぶ。
声の聞こえたリドリアスは飛んでいた方向を変え、ゆっくりと目の前に降り立つ。羽ばたかせる翼が風を送り、髪や服が思った以上に強くなびく。
リドリアスは顔を青年の前まで持ってくる。
暗い群青の鱗を撫で、青年──
「リドリアス……いつもありがとう」
ムサシの声を理解しているかのように、リドリアスは喉を鳴らす。
ぽんぽん、とムサシはリドリアスの首の付け根を撫でるように叩いた。強靭で美しい鱗を持つリドリアスは気持ち良さそうに、首をくねらせる。
すると、鳥のように高い声を上げ、リドリアスは翼を羽ばたかせ飛び上がる。その姿に笑みを溢し、リドリアスを追って空を見上げた。
翼を広げ、綺麗な青空を横断するリドリアスの群れの中へと戻っていく姿を、視界から見えなくなるまで見送った。
ムサシは笑みを漏らした後、周囲を見渡す。
青い空。果てしなく続く綺麗な海。遥か大昔の地球を思わせるような緑の自然と、平穏に暮らす怪獣たちの姿。
遠く儚い夢──怪獣たちとの共存──は誰もが、できるはずのない妄想の戯言だと言った。
けれど、彼──ウルトラマンコスモスのおかげで夢を諦めず、必死に足掻いて夢を掴めた。
コスモスとアヤノ。そして、他の仲間たち。みんなのおかげでこの約束は果たされた。
今はアヤノと僕達の子ども──ソラの三人でこの遊星ジュランを見守っている。
ムサシはゆっくりとその場に腰を下ろす。
TEAM EYESのみんなは、元気にしてるだろうか。
二週間が経てば、遊星ジュランに帰還用のロケットが到着し、僕たちは一度地球に帰還することになっている。そうなれば、またTEAM EYESのみんなとも会える。
楽しみでもあり、遊星ジュランを離れても大丈夫なのかと不安にもなる。
「コスモス……」
小さく呟く。ハイパーゼットンとの激戦が終着し、帰還後にコスモスは遊星ジュランを一度去った。理由はわからないが、コスモス
僕もついて行こうとしたが、遊星ジュランやアヤノたちを守れとコスモスに指摘された──確かに、その通りだ。
僕には今コスモスの手助けよりも、この
「さすがにそれはわがままか……」
小さくつぶやき、一旦思考を
空を見上げ、黄昏れているムサシに向けて誰かが叫んだ。
「やっぱりここにいた!」
声が聞こえ、振り返る。そこには両手を腰に当てるアヤノが立っていた。なんだか不機嫌だ──バレちゃったか。
「また地球に送るリドリアスたちの生態分析の書類をほったらかしたでしょ!」
ここで任された仕事は、遊星ジュランで怪獣たちがどのように暮らし、快適に過ごせているのか。そして、新しく怪獣が生まれたのであれば、その怪獣たちを一度保護し、生態を調査する。ジュランの開拓を任されてもいる。
月に一度、
ムサシはまたその仕事を
「あはは……」
「笑い事じゃない!」
「すいません、今すぐやります」
「わかればよろしい」
「ところでソラは?」
一度、アヤノの周りを見渡してから問いかける。
無理矢理連れていくような形でアヤノはムサシの腕を引き、不機嫌ながらも答える。
「今はモグルドンとゴルメデの所にいるよ」
「え?それ大丈夫?踏まれたりしない?」
「大丈夫だよ。モグルドンだってソラの面倒をちゃんと見てくれてるし、ゴルメデもソラと遊べて楽しそうにしてる」
「あのゴルメデが?」とムサシは驚いた表情をする。
この星に慣れてしまったからなのか、それとも憎しみによる争いが無くなったからなのか、理由はわからないにしろ凶暴な性格のゴルメデがソラの面倒を見ている。驚きではあったが、それもまたいい傾向だ。
とは言っても、やはり心配になる。アヤノは大丈夫と言っているが、何かあってからでは遅い。
ムサシはペースを上げてアヤノを追い抜き、逆に手を引いた。
「ちょっとムサシ!?」
一瞬だけ振り返って笑みを浮かべ、ムサシは何も答えずに駆けた。
ゴルメデやモグルドンがいる場所──川の近くにある草原であれば、ソラもそこにいるはずだ。
木の間の慣らされた道なりを進み、木々の上からゴルメデの姿が見えた。ゴルメデの正面にはモグルドンが腹部の模様を見せる姿があった。
喧嘩、のようにも見えるが二体の怪獣たちはそれぞれ遊んでいる。恐らくは、足下か少し高い場所にソラはいる。
道なりを進むと、ソラの声が聞こえた。「二人ともこっち見て!」
「──ソラ!」
ゴルメデとモグルドンに向けてバタバタ、と手を振るソラの名をムサシは呼んだ。ソラは声の聞こえた方を向き、ムサシとアヤノは大きく手を振った。
両親の姿に喜びを隠しきれず、ソラは二人のもとに駆け寄り飛び跳ね、両手に摘まれた花を興奮しながら差し出した。
「お父さんお母さん!見て見て!モグルドンとゴルメデがね僕にくれたんだ!」
ソラは両手で握っていた花束をムサシとアヤノに見せる。様々な色の花──正確にはカランコエの花だった。アヤノは花を受け取り、小さくカランコエの花言葉を呟く。
「確か花言葉は……『幸福を告げる』『あなたを守る』これ本当にゴルメデとモグルドンが?」
ソラはなぜ聞くのか疑問に思い首を傾げたが、やがて「そうだよ」と元気よくアヤノに伝えた。
ゴルメデとモグルドンにゆっくりと視線を向ける。二体の怪獣は首を傾げ、喉を鳴らした。
「ゴルメデとモグルドンが……?」
信じられない、と言わんばかりにムサシとアヤノは目を見合わせる。
ゴルメデとモグルドンが、意図的にカランコエをソラに上げたのかはわからない。もしも本当はに花言葉を知っていてソラに渡したのなら──。
「……ありがとう。ゴルメデ、モグルドン」
ムサシはゴルメデとモグルドンに目を向け、感謝を呟いた。
よし、とムサシはソラの股に頭を入れ立ち上がる──肩車をされたソラは、ゴルメデとモグルドンに手を振って「また今度ね!」と叫んだ。
二体の怪獣たちは手を振ったソラに対して手を振り返し、背を向けて帰って行った。
「よかったねソラ」
「うん!」
三人で、いつものように笑う。家族以外に誰一人として人間が住んでいない星。ジュランに人が来るのは月に数回、開拓チームがこの場所に来るだけ。
この星では様々な命が支え合って生きている。かつては敵だったカオスヘッダーも住み、人はいないが僕たちは幸せだった。
夢を追いかけて、全てが変わった。楽しい日々の毎日。
だが、絶望は訪れる。
幸せで楽しみの毎日など、ただの戯言。全てを破壊する混沌は突如として現れた。
突然、頭上を飛んでいたリドリアスたちが鳴き始めた。リドリアスと合わせるように、他の怪獣たちも咆哮。
あまりの
数十秒にも渡る怪獣たちの咆哮が消え、辺りに静けさが戻る。
「──一体何が!?」
辺りを見渡し、状況が読めずに戸惑う。
いつもは大人しい怪獣たちが、一度に咆哮を上げた。それは何かをムサシたちに伝えているようでもあった。しかし、その咆哮が何を示すのか理解することはできなかった。
困惑し続けるムサシたちを置いて、空を縦横無尽に飛び回るリドリアスたちが、更に高い場所へ向けて光弾を放ち始めた。
白い光弾は空中で落ちることなく、帰ってきたのは赤黒く禍々しい光線。それと、三体の怪獣だった。
リドリアスに向けて放たれたであろう光線が当たることはなく、緑が溢れる大地に雨の如く降り注ぐ。
驚愕し、目を疑ったのは降り注いだ光線が緑を砂へと変えたこと。
虫のような羽音と共に、カブトムシやクワガタを思わせる甲虫の見た目をした怪獣が飛んでいた。
リドリアスの光弾をものともせず、三体の怪獣は遊星ジュランに降り立つ。あまりの大きさと質量に大量の土が巻き上がる。
ムサシにはその怪獣に見覚えがあった。
かつて一度、遊星ジュランを砂漠へと変えた怪獣兵器。
「──スコーピス!?そんなッ!サンドロスは倒したはずだ!」
ムサシは現実を理解できず、名を叫び声を荒らげる。
スコーピスは破壊獣サンドロスの生み出した怪獣兵器。そして、そのサンドロスは
サンドロスがいなければ、スコーピスが生まれることはない。だがなぜ、スコーピスは現れ、遊星ジュランに来たのか?
理由はどうであれ、ムサシはソラを下ろしてアヤノを見た。
「行くんだよね……」
さっきまで笑っていた顔は驚きと悲しみに濡れ、アヤノは察していた。
「────」
無言で、ムサシは頷く。
「お父さん?」
恐怖し、硬直した顔でソラはムサシを見る。
ムサシは膝を曲げ、ソラとの視線を合わせて頭を優しく撫でた。
「大丈夫、僕は帰ってくるから」
優しく、語りかけるようにソラに言い聞かせる。
「アヤノ、ソラを任せた」
「……わかった。絶対に、生きて帰ってきてね」
ムサシはもちろんと頷き、スコーピスのもとに駆け出した。
徐々に砂漠へと変わっていくジュランを尻目に、優しさとは裏腹にムサシはふつふつと怒りが込み上げてきていた。
今視線の先ではスコーピスを倒すためにリドリアス、ゴルメデ、ボルギルス、元々地球で戦っていた怪獣たちが奮闘している。
しかしジュランでは戦闘慣れしていない怪獣の方が多くいる。他の怪獣たちは恐怖し、逃げていくばかり──それでよかった。
スコーピスが溜めて放った光線は、作り上げた楽園の緑を次々と破壊し続ける。
「やめろぉぉぉぉぉッ!!」
喉が壊れるほどに叫ぶ。
「□□□□──ッ!!」
ふと、スコーピスはちっぽけな人間が銃を構え発砲しているのに気がついた。
迷わず、何の躊躇いもなしに赤黒い光弾が放たれる。
死の恐怖よりも、憤怒。
眼前まで迫った赤黒い死は、何かとぶつかる衝突音が鳴ると同時に軌道が逸れ、ムサシよりも手前で着弾。土が巻き上がり、余波でムサシの身体は吹き飛び、地面に転がり落ちる。
何がスコーピスの光弾をずらしたのか、切れた額から流れる血を拭い、空を見上げた。
空の彼方から闇を燃やし尽くす光が現れる。ジュランを、ムサシたちを守るために帰ってきた銀色の巨人。
ムサシは喜びのあまりに、その巨人の名を呼んだ。
「ウルトラマン……コスモス!!」
放たれた光弾を躱し、更に速度を上げて急降下。
テンダーキックでスコーピスの肩部を破壊。悲鳴とも取れる叫び声を上げるスコーピスの背後に着地した。
あまりの大きさと重量に大地が揺れ、大量の土が巻き上がる。
「──テイヤァッ!」
コスモスは拳を突き出して構えた。全力で間合いを詰め、スコーピスの胸部に両拳を叩き込む。振り回された踵が顎を砕き、続けて三撃目──ハイキックが頭頂部の角をへし折った。
仰け反ったスコーピスとの距離が離れ、コスモスは両手を顔の横に持ってくる。眩いほどの光が拳に集束する。
スコーピスがいくつもの光弾を放ったのと、コスモスがオーバーループ光線を放ったのはほぼ同時だった。
赤黒い光弾を押し返し、眩い光がスコーピスを爆散。
コスモスは安心せず、もう一度拳を構えた。
スコーピスが突き出した尾を片腕で受け止め、振り上げた拳が尾をへし折った。
仰け反るスコーピスをリドリアスの光弾が衝突。倒れたスコーピスの下――土の中から、ゴルメデがスコーピスを持ち上げながら現れる。勢い良く投げ飛ばし、コスモスが肘を叩き込んだ。
しかし、三体目のスコーピスが放った光弾にリドリアスが墜とされる。直前に放たれていたリドリアスの光弾は軌道が変わり、ゴルメデに衝突する。
「リドリアス!ゴルメデ!」とムサシは大きく怪獣たちの名を叫ぶ。
コスモスが三体目のスコーピスに詰め寄った直後、二体目の放った光弾がコスモスに直撃した。
膝をついたコスモスに、追い打ちをかけ二体のスコーピスは問答無用で光弾を放ち続ける。火花が散り、コスモスのカラータイマーが赤く点滅し始める。
「コスモス……!」
ムサシは胸のペンダントを引き千切り、青い輝石を手に握った。
戦えるのはコスモスだけじゃない。自分も戦える。
感情が昂ぶり、怒りだけでなく様々な感情が体中に巻き起こる。
爪が食い込むほどに拳を握りしめた。
「コスモス、僕も一緒に戦うッ!」
輝石を握りしめ、一気に掲げて彼の名を叫ぶ──!
「コスモース!!」
眩い光に包まれ、ムサシはコスモスのもとに。
ムサシの持つ希望と光。傷ついたコスモスに力を与え、二人は一人になる。
同化したコスモスのカラータイマーが赤から青へと戻り、溢れんばかりの光がスコーピスを弾き飛ばす。
高く手を掲げ、コスモスの体が光り輝く。体の変化に合わせて両手を下げると、コスモスの体色が太陽の燃ゆる炎の如き赤へと変わった。コスモスはスペースコロナモードから、『強さ』を体現したコロナモードへと
宇宙の戦闘ではスペースコロナモード、しかし地上での戦闘はコロナモードが強く戦える。そして、ルナモードのように相手に慈愛などいらない。
──故に、鉄拳制裁を加えて相手を全力で殲滅する。
スコーピスから放たれた光線を屈んで回避。低空飛行でスコーピスに突進。空中に上げ、地面に叩き落とす。
本来コスモスは争いを好まないウルトラマンだが、今回ばかりはムサシだけでなく、コスモスも容赦はしない。
一撃に想いを、怒りを込めて叩き込む。
両手を胸に翳す。カラータイマーが一瞬輝いた。大きく両手を回し左足を上げ、紅蓮の炎が一箇所に集まる。膨大な
プロミネンスボール。
ウルトラマンコスモスのコロナモードが扱う技の一つ。太陽の如き炎の超破壊球弾。
コスモスは両手を広げ、一気にプロミネンスボールを押し出した。
寸分の狂い無く放たれたプロミネンスボールはスコーピスの一体を完全に消滅させ、コスモスは残りの一体を睨んだ。
このまま行けば圧倒的にコスモスが有利。
アヤノやソラもコスモスが勝つことを望んでいた。
闇よりも光、悪よりも善、不義よりも正義。全てはこの循環。しかし、今日はあまりにも──。
────運が悪かった。
コスモスが最後のスコーピスに向けて、両手をL字に組み、ネイバスター光線で止めを刺そうとする。光線が放たれる刹那──。
空間が歪む。正確には螺旋を描くように木々や空を巻き込んで捻じ曲がる。
スコーピスはその空間に逃げ込もうと羽を羽ばたかせた。
歪んだ空間の中心が開き、見えたのは一筋の光も見えない混沌の闇。
コスモやムサシでさえも後ずさりするほど、その混沌は黒く、暗く、
恐怖を感じた。
絶望が見える。
安心、希望なんてそこには微塵も感じられない。
空間の歪みに一直線に向かったスコーピスだが、混沌の闇から放たれた光線がスコーピスを消し去り、まとめてコスモスを吹き飛ばした。
吹き飛ばされた先、コスモスは激しく肩を上下させ、混沌の闇を見やる。
(一体何が……!?)
脳裏にサンドロスが来たかと予測する。
しかし、混沌の闇から現れたのはサンドロスでもスコーピスでもなく──一人のウルトラマン……らしき、黒い巨人。
漆黒の闇、鮮血のように赤いラインの巨人──。
『暗黒破壊神 ダークザギ』
『邪悪なる冥王』の異名を持ち、人の恐怖心、憎しみを糧に全てを蹂躙し尽くす破壊の神。
並のウルトラマンが束になっても勝てないほどに強大な力を持った闇の巨人。
あからさまな殺意。滲み出るような絶望。悪を具現化させたようなほどに禍々しい黒の巨人。
一目見ただけで、コスモスとムサシは理解した──敵だ。
十人に聞いて全員が禍々しいものだと答えるほどに、恐怖を感じさせる巨人は闇を纏い、獣のように吠え猛る。
「□□□□──ッ!!」
大地に轟き、威圧感をビリビリと肌に感じる。
コスモスは退くどころか、一歩前に出て構えた。全力で詰め寄り、勢いに乗せて振り回した腕を躱され、腹部に膝蹴りを叩き込まれる。
そこからは、コスモスが圧倒的なパワーで押されるばかりだった。
ザギが放った攻撃を
コスモスの苦し紛れに放った拳や蹴りを簡単に躱され、地面に叩き落とされる。
力の差はアヤノやソラ、素人目から見ても歴然だった。
獣を髣髴させるように荒々しくも、攻撃、技、全てがコスモスを上回り、圧倒される。
コスモスが赤子同然のように扱われていた。
ダークザギの放たれた蹴りでコスモスは吹き飛び、地面を転がる。
(強い……!)
獣の如く、咆哮が轟く。
コスモスは傷つきながらも立ち上がる。青色に輝いていたカラータイマーが、音を鳴らし赤く点滅を始めた。
呼吸を整え、心身を落ち着かせる。
「──ダァッ!」
どれだけ傷ついても、コスモスは諦めずに声を張り上げ、拳を突き出し構えた。
止めを刺すためにザギは両手を大きく広げる。光線が放たれる予備動作。
対抗すべくコスモスも両腕にエネルギーを集め、大きく円を描く。
放たれるは、超重力光線『グラビティ・ザギ』
対抗するは、コロナモード最強の技『ネイバスター光線』
ダークザギが両拳を突き出すのと、コスモスが腕をL字に組み突き出したのはほぼ同時だった。
二人を
コスモスの放つネイバスター光線は、徐々に──否。数秒間、耐えたのみで一気に押し負ける。
それでも、コスモスは──。
逃げない、退かない。下がらない。
全てのエネルギーを打ち放つ勢いで、それでもコスモスは、ムサシは負けている。
いつの間にか、コスモスの背後の空間が歪み始める。
「ムサシィッ!!」
アヤノの叫びも、消える。
ネイバスター光線を押し返したグラビティ・ザギはコスモスを軽く吹き飛ばした。コスモスの叫びが響き渡り、背後に生まれた時空の歪みが、コスモスを飲み込む。
「あ、あぁ……ムサシ…!ムサシィィ!!」
手を伸ばす。届くはずもないアヤノの叫びも虚しく、ダークザギの咆哮にかき消され、辺りが暗黒に包まれた。
聞こえるのは闇の咆哮。
嘲笑とも取れる