八神はやてのでぃ~ぶいでぃ~=ハーメルン用ディレクターズカット版=   作:北乃ゆうひ/YU-Hi

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チーム別けも終わったのでここからが本番にございます。
なお、シャマルとザフィーラは本業の為、残念ながら欠席。


本編・破【A】

「それにしても、はやてさんも手の込んだコト考えますねー……」

 

 呆れるルキノさんに、ヴィヴィオも大いに同意します。

 

勝てばタダでご飯が食べられるんだからがんばらないと!」

「だな!」

「です!」

 

 ヴィータさんとスバルさんの大食いコンビ、そしてリインさんはかなりノリノリなんですが、フェイトママとティアナさんの執務官コンビはそうでもないみたい。

 

「フェイトさん……はやてさんに奢らせるのって――」

「うん、はやてのコトは考えずに素直に勝つことだけを考えよう」

 

 二人が神妙な顔をしてうなずき合っていると、

 

「なんでですか?」

 

 ルキノさんが首を傾げています。

 

「はやてさんに奢らせるチャンスが、先行だから二回もあるじゃないですか」

「その考え、まんまとはやての罠に掛かってるよルキノ」

「ええッ!?」

「だろうな。説明してやりたいのもやまやまだけど、別室のモニタルームでなのは達がこっちの様子見てるし、音声だって拾ってるだろうから……ま、後だな」

 

 釈然としない顔のルキノさんですが、モニタルームのコトもあってか、それ以上は特に聞こうとしないようです。

 

「ではとりあえず、細かいことは後にして間違い探しを始めるですよー」

 リインさんの言葉にみなさんうなずくと、本格的な捜索開始となりました。

 

 

 

 一方のモニタルーム――

 

「フェイト達の言葉の意味……どういうことでしょうか主?」

「なぁシグナム……このゲームの趣旨、理解しとる?

 

 真顔で尋ねてくるシグナムさんに、はやてさんは苦笑を浮かべました。

 ……たぶん、シグナムさんはまったく理解できてないと思います。理解できてたらはやてさんにそんな質問はしないかと。

 

「一応このゲーム、シグナム達の対戦相手はフェイトちゃんチームだけやのうて、私もやからな?」

 

 そういう質問をするならチームメイトにするようにと、はやてさんはシグナムさんに言います。

 

「まぁ勢い納得しちまいましたけど、じっくり考えると結構はやてさん有利ルールっスよね」

「そうなのエリオ君?」

「いや、僕もちょっと分からないかな……アルトさんは?」

「あはは……ごめん、私もちょっと……」

 

 そんなやりとりに、なのはママとヴァイスさんは目を見合わせて、

 

「「戦力差がありすぎるッッ!!」」

 

 二人揃って頭を抱えましたとさ。

 

 ――いやぁ、チームの総食事量もなのはママチーム負けてるもんね。

 このゲーム、こっちのチームはワンチャン確認するまでもなく、とっても不利かもしれません。

 

 申し訳なさそうな、エリオさんとキャロさんとアルトさん。

 やっぱり良く分かってないシグナムさんに、頭を抱えるなのはママとヴァイスさん。

 

 そんな五人を見ながら、はやてさんは楽しそうに笑っているのでした。

 

 が、がんばれ! なのはママチーム!

 

 

 

 画面戻ってフェイトママチーム――

 

「しっかし……お(あつら)え向きに色々飾ってある部屋ですよねー……」

「あはは……たぶん、それを狙ってこの部屋なんだろうけどね」

 

 このシーフードレストランの前オーナーさんは、なのはママやはやてさんと同じ地球出身の人らしく、パーティールームのコンセプトは日本の海の家、らしいです。畳とかはないですが。

 

 室内にあるアイテム数は、テーブルの上のお料理含めておよそ千五百点弱。

 

 壁には浮き輪やら、紙に一品づつ手書きで書かれたお品書き、安物――というかおもちゃ――のシュノーケルだとか、壁やら帽子掛けみたいなものに色々と飾ってあるんです。

 

 さらには本来の建物の壁の手前をスノコのような板でぐるっと囲んで木造風にしてありまして、その木壁には、木目や年輪まで付いてる始末。

 しかも簡単に取り外しが出来そうな形なものだから、この辺りはかなり怪しそうです。

 

「リインさん」

「なんですルキノ?」

「あの天井の梁においてあるサイン色紙って、ありましたっけ?」

「んー……」

 

 ルキノさんが示すサイン色紙を見上げながら、リインさんが眉間に皺を寄せますが、どうにも思い出せないみたいで……

 まぁ普通はそんなの食事中に気にしたりしないですよねー……。

 

「あたしはそっちのシュノーケルが、赤色なのが気になるんだよなー……なんか、緑色だった気がしねぇ?」

「うーん……そう言われるとそんな気が……」

 

 ヴィータさんと一緒に首を傾げるスバルさん。ヴィータさんも口にはするものの、あんまり自信はないようです。

 

「ちょっとまずいかな」

「そうですね。どれもこれも怪しく見えてきました」

 

 そりゃまぁ、完全に食事とおしゃべりにみんな集中してたわけですから、部屋の内装までちゃんと覚えてたりはしないですよね……。

 

「ここはあれだな。フェイトとティアナの執務官としての洞察力と観察力に期待だな」

「さんせぇーい!」

 

 食事さえ出来ればいいや組は完全投げやりモード入りましたー……って、でもちょっと早すぎる気が……。

 

「わ、わたしも、それでー……」

 

 そんな二人に、ルキノさんも申し訳なさそうに加わります。

 

「じゃあリインも!」

「リインさんはダメです」

「っていうか、リインは捜査官補佐なんですから、こっち側だよね?」

 

 反論は許さないと言わんばかりの執務官コンビの迫力に、うな垂れるようにリインさんは大食い組から、執務官組へと移動します。

 

「もちろん、スバルとヴィータとルキノもちゃんと協力するコト。間違ったら文句言える側に移動しようなんて虫の良いコト、させないよ?」

「ちぇ……バレバレか」

「ええッ!? ヴィータさんそんなコト考えてたんですかッ!?」

「わ、わたしは別にそんなつもりじゃ……」

 

 何かもうグダグダです。見てる分には面白いんですけど、本人達はきっと大真面目なんですよねー……。

 

 

 

 モニタールーム。

 

「あ。あのサイン色紙は最初からありましたよ」

「そうなの?」

「はい」

 

 自信たっぷりにうなずくキャロさん。みんなを納得させるために、ちゃんと根拠も説明します。

 

「さっきご飯食べてた時、ちょっと目に入って。誰の色紙かなぁって考えてましたから」

 

 ふむ、とヴァイスさんはうなずくと、人差し指をピッと立てました。

 

「向こうがサイン色紙を選ばなかったら、あのサイン色紙使って一芝居うとうぜ」

「ヴァイス先輩、それどういう意味ですか?」

「ようするに、私達も色紙が怪しいって会話をして、二回の表のフェイトちゃん達の解答を誘導しちゃおうってコト」

 

 ヴァイスさんの代わりにアルトさんの質問に答えたのは、なのはママ。だけどアルトさんは首を傾げます。

 

「でも、それだとはやてさんに奢らせるコト出来なくなっちゃいますよ?」

「それに関しちゃ、フェイトさんのセリフそのまんま使って答えてやるよ」

 

 そう笑ってヴァイスさんがなのはママにウィンクすると、なのはママは茶目っ気たっぷりにフェイトママの声マネしながら答えました。

 

「その考え、まんまとはやての罠に掛かってるよアルト」

 

 うーん……物真似的には六十八点。

 

「あの……それのどこが罠なんですか?」

 

 どうしても分からないといった様子のエリオさんに、テストの答えを解説をするような口調でなのはママは言います。

 

「私達が正解した時のメリットって、別に一回目で解答しようが、二回目に解答しようが、三回目に解答しようが同じでしょ?

 はやてちゃんに奢らせるっていうコトは、フェイトちゃんチームのデメリットを消すだけであって、私達にとっては何のメリットもないんだよ。確かに二回の表でフェイトちゃん達が答えてくれれば私達も助かるけどね」

 

「だけどよ。こっちの手札を向こうに見せても、向こうが二回の表で正解するかどうかは分からないわけだ。そのヒントが間違ってる可能性だってあるわけだしな。

 だけどその見せた手札がちゃんとヒントになってて、三回の表で向こうが成功したらどうする? 俺達の負けだろう?」

「ええっと……それってつまり、私達が勝ちさえすれば、別にフェイトさん達が助かる助からないは関係ない――ってコトですか?」

「そう言うコトだな。ちゃんと理解出来てるじゃないかキャロ」

 

 ヴィヴィオ的に補足するのであれば、色紙のお芝居を無視してフェイトママ達が正解しても、それが二回目ならばなのはママ達は痛くないし、その後の三回目で色紙を選ぶ確率が上がるのなら、さらにこちらのチーム的には好都合ってことなんだと思います。

 

 まぁ、正解さえしちゃえばダメージを受けるのがはやてさんだろうが相手チームだろうが構わない、というのはどっちのチームにも言えることなんですが。

 

「そう考えると、確かにはやてさんに奢らせる為にがんばろうとして、焦れば焦るほど逆に負ける可能性が上がるわけですね」

「そっかー。なのはさんとヴァイスさん、この短い間にそこまで考えてたんですねー」

 

 ついでに言うなら、フェイトママとティアナさん、それとヴィータちゃんは確実に。リインさんも気付いてたんじゃないかなーって思います。

 

「うーん……みんな鋭いなぁ……」

 

 苦笑するはやてさんですが、その苦笑がとても芝居がかってる気がするのはヴィヴィオの疑心暗鬼のせいでしょうか?

 

「ところで、シグナムは会話に混ざらんでええの? このままだと今回は影薄(かげうす)街道まっしぐらやん?」

「それはそうなのですが……やはり、この手の話になるとどうにも役に立てる気がしないもので」

「なんや、勝負事好きのシグナムがらしくないなー」

「そうそう。今の話だって、キャロが理解するよりも先に理解してたんでしょ?」

「まぁ……一応な」

「それなら問題ないっスよ。せっかくのお遊びなんだから、姐さんもちゃんと楽しまないと」

 

 はやてさん、なのはママ、ヴァイスさん。それから他のみんなの無言ながらも、一緒に楽しみましょうオーラを受けて乗り気でなかったシグナムさんもなんだかその気になってきたようです。

 

「まぁ、その……なんだ。やるからには勝つぞ。負けは性に合わないのでな」

「もちろん」

 

 なのはママチームは一斉にうなずいて団結します。

 

 

 

 それを一歩引いたところで、

 

「そのくらい盛り上がってもらわんと、こっちも面白くないからなー」

 

 といった様子ではやてさんはニヤニヤしてました。

 ……絶対、他にもドッキリ仕掛けてる顔ですね。困ったものです。

 

 

 

 

 そして画面はフェイトママチーム――

 

 じーっと……スバルさんがテーブルの上にある、お魚のフライが載っているお皿を見つめています。お腹すいたのかな?

 

 白い大きなお皿に大きめのサラダ菜を絨毯のようにおいて、その上に千切りキャベツを薄く敷き詰めて、その上に開いたお魚に衣を付けて揚げたのがおいてあります。

 たぶんいっぱい乗ってたんだと思いますが、今はもう二匹しか残ってません……うん、お皿の真ん中にのったタルタルソースと一緒に……きっと衣はサクサクで、白身はしっとりで……ううっ、やっぱりドッキリが仕掛けられていたとしても行きたかったかも!?

 

「どうしたのスバル? お腹すいたの?」

 

 そうだよね。スバルさんが料理見てたらみんなそう思うよね。

 

「いやー……それもあるけど――このフライ、私とエリオで全部食べちゃってた気がして……」

 

 ルキノさんの問いかけにスバルさんは神妙に答えます。

 

「そういや……それ、あたしも食べようとしてだいぶ減ってたから諦めた記憶が在るな。あんまし残ってねーから、エリオとスバルが食べちまうだろうと思ってさ」

 

 二人の会話を聞いていたらしいヴィータさんの言葉に、フェイトママとティアナさんの執務官コンビも思わず顔を見合わせます。

 

「ヴィータさん! その時、何匹残ってたとか覚えてません?」

「残念ながら」

 

 首を横に振るヴィータさんを横目に、フェイトママはスバルさんに訊ねます。

 

「リインとしては、あのサイン色紙が怪しいんですが」

 

 交換等しやすいし、風化したように加工するのも簡単だからっていうのがリインさんの弁。

 そう言われると確かに、一番あれこれ出来そうな気もするけれど……。

 

「スバル。あんた、このフライが答えだっていう自信ある?」

「うーん……」

「あたしは結構イイ線いってると思うけどな」

 

 悩むスバルさんを後押しするようにヴィータさんが言います。

 

「他のみんながこれで行こうって言うなら、一回目の解答はこれでいい気がするけど……どうだ?」

 

 その問いかけの対象は執務官コンビ。リインさんとルキノさんも別に構わないとうなずいてますし、そうなると――

 

「じゃあ、とりあえずそれでいこうか」

「そうですね。向こうのチームも一発解答はないでしょうし」

「まぁ食べ物系だったらスバルは結構鋭そうだしねぇ」

「そんなワケだから、はやて。こっちの最初の解答が決まったよー!」

 

 

 はてさて、なのはママチームと共にモニタールームからパーティルームへと移動してきたはやてさん。

 

「ではでは、フェイトちゃんチーム。答えをどーぞ」

 

 はやてさんに促されて、スバルさんが一歩前に出てさっきだした結論に指を差します。

 

「このフライが! 一匹! 増えているッ!!

 

 何やらテンションが高い――というか、妙な自信に満ちてる気がしないでもありませんが、

 

【フライが一匹増えている】は……」

 

 果たしてその解答は――

 

「ぶぶー」

 

 ――と、はやてさんは手を交差させてバッテンを作りました。

 

 

 フェイトママチーム、残念。

 

「まー、最初だしね」

「はい。ティアナの言う通りです。まだまだリイン達にチャンスはあるですよ!」

「ふふふ……っ! それはどーっすかねぇリインさん」

 

 失敗にメゲずに明るく行こうとするフェイトママチームに、ヴァイスさんが不敵に笑います。

 

「むむむ~ぅ、ヴァイス……どういう意味ですか?」

「む。ヴァイスさん、それどういう意味ですか?」

「リイン、ルキノ。乗っちゃダメだよ」

 

 同時に反応するお二人をフェイトママが宥めてると、なのはママチームにターンを譲り、はやてさんと共にモニタールームへと消えていきました。

 

 さてさて、ここからはなのはママチームの攻撃開始です。

 

 でも、その前に――あとがきにて、ドクター八神からのコメントでーす。

 

 




     幕間。

 どうもー、このイタズラの仕掛け人、八神はやてですー。

 えー……今行われているこの勝負、とても難解な間違い探しとなっております。
 なぜか言うとですね、本来あるべき間違いが一切あらへんのです。

 えー……何も仕掛けがあらへんところで、間違いを探さないとならへんのですから、いやはや大変ですなー。

 それで……ですねぇ。人間っちゅうのはですね、答えが無いのに、【有る】言われ、一生懸命色んな物を疑い始めると、全てのものが間違いに見えてくる。全てのコトがおかしく見えてくる。いわゆる疑心暗鬼っちゅう状態になるわけですよ。

 今、この戦場はですねー、人工的にそういうものを造り出された、いわば実験場なワケです。

 そんなワケで、この実験場の中で行われる、みんなの疑心悪鬼っぷり、そして知らずに捏造してしまっている自分の記憶に振り回される姿なんかをですね、楽しんでいただけたらと思いますー。

 それでは、本編へ戻りまーす。
 ヴィヴィオ、よろしゅう頼むよ~。
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