八神はやてのでぃ~ぶいでぃ~=ハーメルン用ディレクターズカット版=   作:北乃ゆうひ/YU-Hi

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白熱してきた超難解間違い探し対決……戦いの行方は!?


本編・破【C】

 二回の裏。なのはママチームの攻撃開始。

 

「はっきりと断言させてもらうッス」

「構わんぞヴァイス」

 

向こうのチームは 馬 鹿 です!!」

 

 わざわざ二段階拡大+太文字まで使って断言するヴァイスさん。でも、さっきのを見てるとヴィヴィオもちょっと否定出来ません。

 

「確かに……私もちょっとスバルを焚付けた部分はあったけど、まさかヴィータちゃんやティアナが、スバルを止めようとしなかったのは意外かも……」

 

 やっぱり、一回の裏終了時のスバルさんへの言葉はなのはママのトラップだったようです。

 

「確かに――フェイトさんも、スバルさんの意見に乗ってましたし」

「リインさんやルキノさんががんばって止めようとしてましたけど、ダメでしたしね」

 

 ちょっとした仕掛けが、まさかこんな形になるとは、ママもまったくの予想外だったようで。ママだけでなく、エリオさんやキャロさんもちょっと呆れ顔です。

 

「そして、言わせて下さい」

「どーぞどーぞ」

 

 握り拳を掲げるヴァイスさんを、アルトさんが促します。

 

「最後にリインさんが見ていた、このテーブルの貝! ぶっちゃけ、俺も怪しいと思います!!

 

 力説するヴァイスさんに、他の面々「おおっ」と湧きます。

 なかなかの自信みたいですけど、ヴァイスさん。その自信、妄想ですよ?

 

 ――もしかして、再び陽動作戦だったりします?

 

「この貝。もともと、片側の身と柱のある部分だけで蓋が無かったんスよ。でも、今はほら――

 

 ヴァイスさんが殻を一つずつ手にとって、その場で合わせてみんなに見せます。

 

「ヴァイスさん、貝焼いたんですか?」

「おうよ。エリオは見てたよな?」

「はい。確かに焼いてましたね」

「もう一個焼いたんスけどね。そっちはちゃんともう片側も付いたままだったせいで、焼き網の上に乗せ辛いなぁって思った記憶があるんスよ」

 

 おお。中々に説得力がありそうなお言葉。

 

「なんで、みんながOKすれば、これで行きたいと思うんスけど」

 

 なのはママチームのみなさんは、思案顔でヴァイスさんと貝を見比べながら、考えているようです。

 

 

 

 一方その頃のモニタールーム。

 

「なのは……ひどい……」

「なのはさん……信じてたのに……」

「……………………」

「もう、ツッコまへんからなー」

 

 と、どことな~く投げやりに、はやてさん。

 

「ちゅーか、地味にヴィータもショック受けとるし」

「リインさん、ルキノさん。ほんとーにすみません」

「いえいえ気にしないでいいってー」

「そうですよー。こちら側に付いてくれただけで万々歳ってやつです」

 

 フェイトママ達三人にジト目をするリインさんですが、当の三人は茫然自失中でまったく気付いてないようです。

 

 そんな忘我(ぼうが)彷徨(さまよ)う人達をさておいて、リインさん達は真面目にモニターへと向かいます。

 

「ヴァイス……好き勝手言いやがってです!」

「いや……あの……ほんっとすみません」

「あ、あはははは………」

 

 実際に、二回の表の結果を考えると、ルキノさんみたいに苦笑するしかないですよねー。

 

 それはそうと、ヴァイスさんの力説に、

 

「むむ……やっぱりリインが睨んだ場所が怪しかったようですが……」

 

 リインさんが反応します。

 

「でも、これもお芝居かもしれませんよね?」

それ言い出したらキリがない気がしない、ティアナ?」

「まぁそれはそうですけど……」

 

 ルキノさんの言葉に、困ったようにうなずくティアナさん。

 確かに疑いだしたらキリがないですよね。

 

 

 

 

 では、パーティルームに戻ります。

 

「確かに怪しいけど、とりあえず他も見ない?」

「そうですね。まだ時間に余裕があるのに貝で決定しちゃったら向こうのチームと同じですもんね」

 

 狙っているのか天然なのか、フェイトママチームにグサリと行くような言葉のナイフを履きながらキャロさんはうなずきます。

 

 それにヴァイスさんも含めて、異論はないようですので、みんなしてまた怪しい場所を探し始めました。

 

「ふむ」

「どうしたんですかシグナムさん?」

 

 みんなが見ている方向とは逆側の壁を見ていたシグナムさんに、エリオさんが訊ねると、

 

「いや、あの壁に貼ってあるメニュー。意外と一枚関係ないものが混じってるのではないかと思ってな」

 

 視線でその壁を示しながら、答えます。

 確かに、シグナムさんが見ている壁面には、手書きで書かれたお札のようなメニューが一枚ずつペタペタと貼ってあります。

 

 ミッドチルダではあまり見ないですけど、日本とかだと結構あるかもですねーこういうの。

 

 元々、このお店自体が日本風の居酒屋さんだからこその風景なのかもしれません。

 それと、このお店のセレクトは絶対にはやてさんの趣味だよね。うん。

 

「確かに、そう言われると変なメニューが増えていても不思議じゃなさそうな感じですね」

 

 じーっと、エリオさんが壁のメニューを見ていると、ふと何かに気が付いたようです。

 

「シグナムさん」

「なんだ?」

「あの【鳥飼】ってメニューなんですけど」

「ああ」

「鳥飼ってトリ貝のコトですよね? 漢字ってあれで合ってるんですか?」

 

 確かにエリオさんの指摘の通り、漢字として見るとおかしいかもしれませんねー、これ。

 

 ふりがなとしてミッド語で【Torigai】と書かれてますから、漢字を知らない人が見ると間違ってるかどうかは分からないのは確かです。

 

「なるほど。漢字を見たことがないミッド出身者からすれば超難問と言えるかもしれんが――」

 

 エリオさんの差したメニューにうなずいてから、シグナムさんはなのはママを呼びます。

 

「なのは――聞きたいのだが、あれは、あれで漢字は合っているのか?」

「んー……どーだろー……」

 

 そしてエリオさんが見つけた【鳥飼】に、なのはママも首を傾げます。

 

「当て字だとしても、貝だったら普通に【鳥貝】ってなると思うんだけど……」

 

 あれ? もしかしてリアルミス? お店の人が間違ってるだけで、最初からあったものではありますから、正解ではないんですけど。

 

「貝っていえば、ヴァイス君の貝も怪しいんだよねー」

 

 視線をテーブルに戻しながら、なのはママは自分の顎に手を当てて、そう呟くのでした。

 

 

 モニタールーム。

 

「やっぱですねー、リインの睨んだあの貝は怪しいですよ」

「まぁ理屈では、リインさんとヴァイスさんの意見は合致してますけど……」

「問題はその記憶が正しいかどうかなんですよね……」

 

 ぼーっとしてる人達にほとんど戦力外通告をだしたリインさん、ティアナさん、ルキノさん達はモニターでなのはママチームの様子を見ながら、テーブルの上の二枚貝について議論中。

 

 その様子を見ているはやてさんの笑顔といったら……ッ!

 

「つまりアレですよね。リインさんやヴァイスさんとしては、元々片側だけがお皿に乗ってきていて、正しく閉じるようにもう片側が追加されたってコトですか?」

「はいです」

 

 むむぅ……と、ティアナさんとルキノさんは眉を寄るのでした。

 

 

 

 パーティルーム。

 

 リインさん達が眉を寄せている間にも、なのはママ達も意見を出し合っていたようですが、考えた結果、なのはママチームはターゲットを二つに絞ったようです。

 

 ヴァイスさんが見つけた、二枚貝。

 エリオさんが見つけた、【鳥飼】。

 

「最終的にはなのはさんが選んでいいッスよ」

「私の判断でいいの?」

「ああ、お前がリーダーだしな」

 

 そんなワケで、他の人達も異論がないようなので、なのはママへ判断が委ねられました。

 

「それじゃあ……はやてちゃーん。お願いしまーす」

「了解やー」

 

 

 

 モニタールーム

 

「もう呼ぶですかッ!?」

「えらく巻きじゃないですか向こう!?」

「せやなー……まだ十分経ってないんよ」

「もしかして、それだけ自信有りってコトなんでしょうか?」

 

 なにはともあれ、パーティルームへ移動して答えを聞かないと始まりません。

 

 ようやく立ち直り出した三人を連れ、リインさん達は祈るように、はやてさんの後に続いてパーティールームに向かうのでした。

 

 

 運命(?)のパーティルーム。

 アルトさんに呼ばれ、モニタールームからはやてさんがやってきます。

 

 多少持ち直したもののまだ完全復活していない三人と、何処か祈るような三人と共に。

 

「それじゃあ、リーダーのなのはちゃん。答えをどうぞー」

 

 どき… どき…

  ざわ… ざわ…

 

 そんな心音が聞えてきそうなほどの緊迫感を感じるリインさん達を知ってか知らずか、なのはママは軽く息を吸い、少し溜めてから――

 

「答えは……」

 

 ソレに向かって真っ直ぐに指を向けました。

 

「あの、【鳥飼】ですッ!!

 

 ルキノさんがその解答に思わず安堵したようですが、予断は許さないといった様子で、リインさんとティアナさんが、はやてさんの判定を待っています。

 

「とりがい?」

「うん」

「まぁ……字もなんや違ってる気もするなー」

「はい。何か当て字過ぎる気がするなーって、僕となのはさんとキャロで」

「なるほどなるほど」

 

 うんうん、とはやてさんはうなずき、

 

【鳥飼という当て字の張り紙が増えている】は……」

 

 楽しそうにその正否を――

 

「……………………………………………」

 

 溜めに溜めてから、告げました。

 

「ばぁぁぁつ! 残念ッ!!」

「ええええええ………」

 

 みんなして落胆するなのはママチームですが、まぁ当たり前です。間違いなんてないんですから!

 

「でもはやてちゃん。あんな当て字あるの?」

「ああ。あれな、お酒なんよ。ここの店主さんも地球出身で、わざわざ独自ルートで仕入れてるらしんよー」

 

 うあぁぁぁ――……と、明らかに落胆する、地球滞在経験者の方々。

 

「さすがに、酒となるとエリキャロには厳しいッスねー」

「主ならともかく、私もあまりな……なのははどうだった?」

「好きだけど、良いお酒や美味しいお酒って、だいたいお父さんやら忍さんやらが用意してくれるから、銘柄ってあまり詳しくは……」

「詳しかったら、これは除外できますもんね……」

 

 件のお酒ってこれですね。

 

 米焼酎・吟香(ぎんか) 鳥飼(とりかい)

 

 地球の検索サイトでググればちゃーんと出てきます

 

 読みは【とり()い】ではなく【とり()い】が正しいみたいですねー。

 

 フルーティな味わいで焼酎が苦手な人も飲みやすいとか何とか。

 でもヴィヴィオはお酒飲めないので良く分からないから、解説は割愛させてもらいます。

 

 がっくりとするなのはママチームとは裏腹に、何だかテンション高めになってきたのが、フェイトママチームの正気組三人です。

 

 これは勝てるとばかりにガッツポーズ。

 

「まぁホラなのはちゃんチーム。これ、超難解間違い探しやから。そう簡単にはいかへんって」

 

 難解っていうか、正直反則じゃないかとヴィヴィオは思ってますけどねー。

 どよ~ん……っとなったなのはママチームのみんなに声を掛けたのはキャロさん。

 

「でもほら! まだあと一回解答できますから!」

「キャロの言う通りだよねー。次、がんばりましょー!」

「ふっふっふー……キャロもアルトも甘いです!」

「そうそう。次があるか分からないのに、ねぇ」

 

 なにやら自信満々な感じのリインさんとティアナさん。

 でも、本当にそんな自信もっちゃっていいんですか?

 

 




自信ありげなリインとティアナ……果たして二人の答えは……!?
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