彼は僕のヒーロー   作:社畜だったきなこ餅

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PVが45000突破してたので更新します。


19.闘いの終わり

 

 

 国立雄英高等学校の救難訓練施設であるUSJへ襲撃をかけたヴィラン連合と名乗る集団は。

 結論から先に言うなれば、駆け付けたオールマイトを筆頭としたプロヒーローでもある教師陣らの尽力によって撃退された。

 

 しかし大半の生徒も大きな怪我はなく、怪我を負っている者も大半は軽傷であったのだが……。

 脳無との闘いの途中、轟による足止めを半ば強引に抜けた黒霧の妨害も相まって苦戦を強いられたオールマイト。彼を手助けすべく飛び出した出久はその体に大きな損傷を負ってしまっていた。

 

 

「緑谷少年、随分と強くなったね……本当に助かったよ」

 

「オールマイト……でも、まだまだです。僕はあの脳無ってヴィランに何一つ有効打を与えられなかった……」

 

 

 雄英高校の保健室、脳無との闘いで軽くない傷を負いベッドで横になるオールマイトの、隣のベッドに寝かせられた出久はオールマイトと言葉を交わす。

 憧れのヒーローからの言葉に出久は感無量と言える顔を一瞬浮かべたが、ベッドから身を起こすのも億劫な体で腕を動かし、拳を握りしめながら悔しそうに呟いた。

 

 

「むしろ私としては、あの脳無とやらにあそこまで食い下がれていた事が驚きなんだけどね……」

 

「こーちゃんのお婆さんに、扱かれましたから……」

 

「なるほど……しかし、玉藻少女のお婆さんか……そう言えばお師匠の仲間にも玉藻という名字の女性がいたな……」

 

「失礼します。 オールマイト、久しぶり」

 

 

 強い向上心を持つ後継者の言葉に、オールマイトは咳き込みながら半身を起こして出久の言葉に顎へ手をやりながら考え込む。

 思い出したくもない地獄の扱きを師匠から受けていた際に、そういえば師匠が玉藻って呼んでた狐耳尻尾の女性がいたなぁなどと思い出し、その呟きを聞いた出久が驚愕の声を漏らしながら目を丸くする。

 そして出久が詳しく聞こうと口を開いた瞬間、保健室の扉が開きトレンチコート姿の男性が姿を現した。

 

 ちなみに、オールマイトが今の今まで狐白を見て師匠の仲間の事を忘れていた理由は、師匠を思い出すと漏れなく血反吐を吐くまで扱かれた悪夢の記憶を思い出してしまうが故に。

 全力で意図的に記憶に蓋をしていたというのが真相である、ナンバーワンヒーローにも怖いものはたくさんあるのだ。

 

 

「塚内君!君もこっちに来てたのか!」

 

「オールマイト……え、良いんですか?姿が……」

 

 

 親しそうに言葉を交わすオールマイトとトレンチコートの男、塚内の様子に二人を交互に見ながら出久がオールマイトへ問いかけ。

 オールマイトはその問いかけに対して、自身の事情も知っている警察で最も親しい人物だから大丈夫さ、と太鼓判を押した。

 

 

「早速で悪いがオールマイト、今回対峙したヴィランについて詳しく話を……」

 

「すまない待ってくれ、それよりも……生徒達は皆無事か? 相澤……イレイザーヘッドと、13号は?」

 

 

 帽子を脱ぎ手に持ちつつ、オールマイトのいるベッドの側へ立って質問を投げかける塚内の言葉をオールマイトは遮り。

 生徒達や同僚の安否を知ることなく保健室へ担ぎ込まれた時から気になっていた質問を、塚内へ投げかける。

 

 

「生徒はそこの彼以外は軽傷数名、教師二人もとりあえず命に別状なしだ。負傷が酷かったイレイザーヘッドも生徒の少女の個性による応急処置のおかげで、後遺症もないそうだよ」

 

 

 塚内の言葉にオールマイトと出久は胸をなでおろし、安堵の溜息を吐き出した。

 黒霧の個性によって自身が持つブラックホールの個性で重傷を負わされた13号、脳無に甚振られズタボロにされたイレイザーヘッドこと相澤の容態もまた気がかりだったのだ。

 

 そして続けて塚内が告げた3人のヒーローが身を挺して居なければ、生徒らも無事じゃあ居られなかったであろうという言葉に、オールマイトは笑みを浮かべると彼の言葉を訂正した。

 

 

「生徒らもまた闘い身を挺し、最善を尽くした。こんなにも早く実戦を経験して生き残った一年生は今までいないぞ」

 

「ヴィランも馬鹿な事をした!このクラスは皆強いヒーローになるぞ!」

 

 

 未だヒヨッコにすらなってないヒーローの卵の生徒達、しかし彼らがあの極限とも言える状況下で闘い生き残ったという事実は、オールマイトにとって誇らしいモノであり。

 たとえヴィランが新たに跋扈しようとしても、それを阻む後進が育って居るという確信を持つに足る結果であった。

 

 

 そんな具合に保健室ではオールマイトが未来は決して暗いものじゃないと確信し、彼に認められた誇らしさを感じた出久が感激していた頃。

 教師陣からの聞き取りを終えた1-Aの生徒達は、すぐ帰るという気になれず教室で屯していた。

 

 

「明日臨時休校だってよ」

 

「まーしょうがウェイだろ、あんな事件あった後だしウェイ」

 

 

 椅子の背もたれに体を預けて呟いた瀬呂の言葉に、個性の限界発動の後遺症が若干残っている上鳴がうぇいうぇい言いながら言葉を続ける。

 ちなみに、上鳴がウェイウェイ言うたびに耳郎は笑いを堪えつつも時折耐え切れず、ぶふぉっと噴き出している。

 

 

「ヴィランって、あんな連中ばっかなんだよな。ニュースで見ててわかった気にゃなってたけどよ」

 

「あそこまで組織だった動きというのも珍しいと聞いたけどな。大体は散発的かつ衝動的な事件を起こすヴィランが多いらしい」

 

 

 今回の襲撃で剛力を発揮できなかった砂藤が悔しそうに拳を握りしめ、飯田が眼鏡を指で押し上げながら兄でプロヒーローをやっているインゲニウムから聞きかじった話を砂藤へ告げる。

 だからこそ我々も団結しないといけない!と力強く宣言したりしているが、そんな少年を茶化すクラスメイトは一人も居なかった。

 

 

「でも相澤先生が重傷とはいえ、それでも後遺症が残らなくて本当に良かったですわ」

 

「玉藻の看護のおかげだね!」

 

「そんな事ないよ、口田君も応急処置手伝ってくれたから間に合ったんだし」

 

 

 最近下着事情による交流もあり、狐白と仲良くなってきている八百万が教師から聞いた相澤の容態について安堵しながら言葉を漏らす。

 その言葉に芦戸は空元気で元気よく狐白を称え、称えられた本人である狐白は照れ臭そうに尻尾を振りながら常闇と何やら話していた口田へ視線を向けた。

 視線を向けられた口田は、僕は言われるがままに手伝っただけだよとばかりに、ぱたぱたと手を振って恥ずかしそうにしている。

 

 

「だけど相澤先生へ処置するのに使われていた包帯、アレは何か特別なモノなのでしょうか? 玉藻さんの個性もあるとはいえ、複雑骨折していた腕がある程度治癒されてたそうですけど……」

 

「あ、うん。僕の尻尾の抜け毛を織り込んだ特製包帯なのさ、巻くだけでもそれなりに治せるし僕の個性と併用すれば効果も上がる特別製だよ」

 

 

 まぁその分大量生産できないんだけどね、と言葉を漏らした狐白の言葉に八百万はなるほどと納得を示す。

 何せ今回の騒動で作り置きしていた包帯を殆ど使い切ってしまったのだ、狐白は今から補給を考えると少々頭が痛い状態である。

 

 

「でもさー玉藻、この前緑谷の指チュパして治してたじゃん。唾液とかでも尻尾の毛の代わりになるんじゃね?」

 

「なると思うけどさ、そんなの喜ぶどころか嫌がる人多いと思うんだけどね」

 

「オイラは嬉しい! あべし」

 

 

 うらやまけしからん光景を思い出しながら峰田は狐白へ問いかけ、その内容に少女は肯定を返しながら肩を竦めて呟き。

 少女の呟きを聞き逃さなかった峰田は目をクワッと開きながら力強く豪語し、その次の瞬間予備動作無しの狐白の貫手を額に受けて白目を剥いて昏倒した。

 

 

「峰田ちゃん、デリカシーがなさすぎるわ」

 

「さすがにアレはねぇ……ところでさ、玉藻。一つだけ気になってるんだけどさ……」

 

「? どしたの?」

 

「その、気のせいか胸小さくなってない?というか気持ち細くなってるよね」

 

 

 白目を剥いて昏倒した峰田へ冷たい視線を向ける蛙水をはじめとした女子たち、既に彼の1-A内の立ち位置とヒエラルキーは決まったも同然らしい。

 そんな空気の中、教室へ戻ってからずっと気になっていた事がある耳郎は……我慢しきれずにその疑問を狐白へとぶつけた。

 彼女のみならず思春期真っ盛りな男子(轟と勝己除く)や、彼女のプロポーションを羨んでた女子たちもまた声に出すことなく、耳郎の勇気を内心で賞賛する。

 

 

「あ、うん。僕の個性の修復を使うとお腹減るんだけど……更に使うと身体の脂肪や胸の脂肪使っちゃうんだよね」

 

 

 弛んじゃいそうな時は、修復で治してるんだけどさ。などと続ける狐白であったが……女子たちにとってはそれどころではなかった。

 

 

「え、ええとさ玉藻さん、もしかしてさ……食べても食べても太らないって事?」

 

「まぁ、そうなるかなぁ……余分な脂肪は全部胸にいっちゃうけどね。動きづらいから困るんだよねぇ」

 

「あ、わかりますわソレ。トレーニングとかの時揺れたりして困りますわよね」

 

「そうなんだよね!いずちゃんと組手中も揺れたりしてさ、ほんと大変なんだよ!」

 

 

 震える声で問いかけてくるお茶子の言葉に、悪気なしで答える狐白。そして膝から崩れ落ちるお茶子。

 ついでに流れ弾が耳郎に直撃し、コレが持てる者の傲慢なのかとギリギリと歯軋りし始める。

 そして、同じく自身の発育の良さに困ってる八百万が同じ悩みを持つ仲間を見つけた喜びに顔を綻ばせ、同じ悩みを共有できるクラスメイトの存在に嬉しくなった狐白もまた八百万に同意を示した。

 

 

 とりあえずその話を聞いた一部の男子を除くクラスメイト男子達は心に誓うのであった。

 今回の騒動のMVPと言える緑谷だけど、それとこれとは話が別だから一発殴ろう……と。

 

 




オールマイトのかっこいい戦闘シーンは大胆にカットだ!
途中途中微妙に違うとはいえ、大半が焼き直しになるからね!しょうがないね!

ちなみに教室で駄弁ってるのはハイパー捏造です、多分原作だとそのまま家に帰されただろうしね!
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