彼は僕のヒーロー   作:社畜だったきなこ餅

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絵師さんに依頼してる狐白の絵が着々と進んでるっぽいので、嬉しさのあまり更新します。
ソレと今回は、B組の21人目が明かされたりします。


29.組み分け発表と死刑宣告?

 

 昼休憩が終了し、担任の相澤からの言伝であるチアガールをやる為に女子更衣室へ向かおうとする1-A女子一同。

 その途中で背後から狐白を呼ぶ声を、彼女は狐耳を動かして聞き取って後ろを振り向けば。

 そこには……気まずそうにしている、轟の姿がそこにあった。

 

 先の騎馬戦でやらかしてしまった事案から謝らないといけないとは考えていた轟であったが、客席に見えた自分を見下ろす父親の姿を見てしまった轟は己の激情を優先させてしまい。

 その結果、狐白の半裸を衆目に晒してしまった事への詫びを遅らせてしまったらしい。

 

 

「……すぐに謝りにくるべきだったんだが……騎馬戦の最後、謝って許される事じゃないけど……すまなかった」

 

「まぁ不慮の事故だしね、しょうがないよ。だけど……大会が終わった後きっちり関節技叩き込むから、それでチャラね」

 

「……わかった、覚悟しとく」

 

 

 そして謝罪を受けた狐白もまた不慮の事故である事は重々承知しており、その事について恨み節を延々と言うつもりもまた無く。

 しかしモヤっとする感情が残ってるのも事実である為、大会が終わった後に落とし前をつける事を宣言、告げられた轟もまたその宣告を受け取って最後にもう一度謝罪してから立ち去って行った。

 

 

「ねぇねぇ関節技ってどんなのかけるの? というか今じゃダメなの?」

 

「お爺様直伝の自分も相手も人型ならかけられる技をちょっとね……あー、ほら変に痛みが残ってこの後に支障が出ても悪いじゃん」

 

 

 興味深そうに聞いてきた芦戸に対して朗らかな笑みを浮かべて応じる狐白。

 そんな事を話してる間に女子一同は更衣室へと到着し、八百万が創り出したメジャーで女子各位の測定をしつつ……各人のサイズに応じたチアガール衣装を創っていく。

 

 その結果不公平の象徴と言う名のカップ差が白日の下に晒されたりしたが、些細な問題である。

 それよりも問題なのは……。

 

 

『本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ……ん、アリャ? どーしたA組ィ!?』

 

『なーに、やってんだ……?』

 

 

 1-A女子一同何となくそうなんじゃないかとは思っていたが。

 困惑した様子のプレゼントマイクと相澤ことイレイザーヘッドの発言の内容から、やっぱり峰田&上鳴に担がれた結果騙されていた事の方が問題であった。

 

 

「峰田さん!上鳴さん!! 騙しましたわね?!」

 

 

 ポンポンを手に持ったまま片手を振り上げ怒声を上げる八百万を他所に、目先の欲望を達成した喜びに1-Aスケベツートップは互いに目を見合わせてサムズアップをする始末である。

 憤然冷めやらぬ八百万、しかしそんな彼女の肩に狐白の手が優しく置かれた。

 

 

「八百万さん、投擲用の円錐状鉛製礫を二つほど作ってくれる?」

 

「? お安い御用ですわ」

 

 

 慈愛に満ちた笑みを浮かべてる割に物騒なお願いをしてくる狐白に、八百万は首を傾げながらもお友達のお願いなので快諾して作り出して狐白へ手渡す。

 そんな代物を受け取った狐白は朗らかにお礼を八百万へ述べると、ポンポンを隣に立っていた蛙吹へ預け……両手に一つずつもった礫を握り込んだまま、舞うような足取りで体を捻り。

 

 

「っせぇぃ!!」

 

「「おぅわぁぁぁ?!」」

 

 

 今も大はしゃぎしている峰田と上鳴の足元へ全身のバネを使って投擲、放たれた鉛製の礫は二人に狙い通り二人に直撃することなくギリギリの地点に地面を抉り。

 さながら銃弾が撃ち込まれたかのような音を立てながら、二人の足元に地面の破片をばら撒かさせた。

 

 

「後で覚悟しておいてね、二人とも」

 

「「…………はい」」

 

 

 慈しみに溢れた笑みを浮かべて告げる狐白の言葉に、二人の男子は顔面を蒼白にさせながら膝を震わせてただ頷くしか出来なかった。

 後に二人は友人に話した内容によると、顔も笑ってるし声も優しいけど問答無用で刈り取る狩人のような気配をその時の狐白に感じたらしい。

 

 

『ちょっと揉め事があったようだな解決したみたいで何よりだ!ともあれ皆楽しく競えよレクリエーション!』

 

『何があったか詳しくは聞かないが、ヒーローらしからぬ行動は控えろ……まったく』

 

 

 一連の流れをゲラゲラ笑いながら見届けたプレゼントマイクが司会を続行し、相澤は詳しく聞かないと言いながらも何があったかは察し低い声で一部の男子へ向けた警告を告げると。

 会場に備え付けられた大きなモニターにトーナメント表が表示され、レクリエーションが終われば最終種目である総勢16名のトーナメントを実施する旨を話す。

 

 その内容に生徒達は毎年恒例で、多少ルールは異なれども大体は流れが一緒な競技の舞台に立てる事に高揚を隠し切れず。

 主審のミッドナイトがくじ箱を取り出しつつ、組み合わせ決めのくじ引きをする旨を学生達へ告げた。

 

 

「んじゃ、一位チームから順に……」

 

 

 ミッドナイトが箱を抱えたまま学生を呼ぼうとした時、尾白が躊躇しながらも片手を上げようとし、その腕を別の男子がそっと掴んで引き留めた。

 

 

「心操……」

 

「……俺はお前も鉄哲も青山も、ただ手駒にする為だけに選んだんじゃねぇ」

 

 

 止めないでほしいと言わんばかりの表情を浮かべる尾白に、感情を押し殺したかのような声音で心操と呼ばれた少年は語り掛ける。

 突然始まった事態に1-Aの生徒達はたじろぎ、彼の個性を知っている1-Bの面々は何とも言えない表情を浮かべた。

 

 

「だけどよぉ、心操……やっぱりスッキリしねぇんだよ」

 

「後でどれだけ殴ってくれても構わない、それでも俺はお前達と競い合いたいんだ」

 

 

 だから、どうか頼む。と頭を下げた心操に鉄哲は唇を震わせて激しく葛藤し。

 そして、熱く激しく『同じクラスメイトである』心操をハグした。

 

 

「わかったぜ心操!おめぇの心遣い、無駄にしねぇ!」

 

 

 激しい級友からのハグに心操は為すがままにされつつ、しかし力強すぎるのか地味に必死に鉄哲の背中をタップしていた。

 そんな心操達に、尾白は上げかけていた手を下ろしてハグを続ける鉄哲から心操を解放すると、迷いを振り切った表情を浮かべて拳を軽く心操の胸へと当てる。

 

 

「わかったよ心操、だけど試合で当たった時は遠慮なしでいくからな?」

 

「望むところだ」

 

 

 尾白の言葉に心操は一歩引き、自らも拳を握ると尾白の拳へと軽く当てて互いの健闘を誓い合う。

 突如繰り広げられた青春劇に、そう言うのがたまらなく大好きなミッドナイトはゾクゾクしてるかのような笑みを浮かべ、観客達も大興奮。

 惜しみない歓声と応援を少年達へと贈るのであった。

 

 

 

 そんなこんなで、くじ引きは特にハプニングが起こる事もなく完了し。

 トーナメントの組み分けが、大々的に発表される事となる。

 その内訳は……。

 

一回戦:緑谷VS心操

二回戦:轟VS瀬呂

三回戦:八百万VS上鳴

四回戦:飯田VS玉藻

五回戦:芦戸VS青山

六回戦:常闇VS尾白

七回戦:鉄哲VS切島

八回戦:麗日VS爆豪

 

 ……以上の通りである。

 

 

「心操君……一体どんな個性なんだ……?」

 

「さっきのただならぬ様子から何かしらあるとは思うんだけど、でも大丈夫。いずちゃんなら勝てるよ!」

 

 

 顎に手を当て呟きながら考え込む出久を、チアガール姿の狐白が微笑みを浮かべて励ます。

 狐白を応援する事に決めた1-A女子一同は微笑ましく見守っているが、しかし男子達はまた別であった。

 

 

「心操、俺が赦す。全力で緑谷を倒してくれ」

 

「俺も応援するぜ心操!」

 

「お、おう……お前ら、俺が言うのも変だが1-Aの仲間を応援しなくていいのか……?」

 

 

 拳を握りしめてアツいエールを送って来た尾白と上鳴の剣幕に、困惑の表情を浮かべる心操である。

 彼は知らなかった、出久と狐白がいつもワンセットで動き1-A男子達に遣る瀬無い気持ちと嫉妬を振りまいているという事実を。

 

 

 

「あ、そうだ八百万さん。折角だし上鳴君とっちめてよ」

 

「ええ、勿論ですわ!」

 

「ひぇっ」

 

 

 トーナメント表の組み分けに気付いた狐白が尻尾をゆらゆら振りながら八百万へ、拳を握りしめながら物騒なお願いをすれば八百万も花開いたかのような笑顔で承諾。

 下手するとどころか下手しなくても自分の公開処刑が行われかねない状況に、上鳴は共犯の峰田へ視線で助けを求めるも……視線を向けられた峰田は沈痛そうに首を横に振るのみであった。

 

 




本作では1-Aが21人体制になった関係で1-Bも21人になり、得点ぎりぎりで心操君が1-Bに入学出来た形となりました。
その結果、原作登場初期にあった鬱屈した様子は少し前向きになっており、1-Bの生徒達とも良好な関係を築けております。
それにほら、1-Bには頼れる姐御こと拳藤さんがいるしね!


気のせいかもしれないが、今度は峰田と上鳴の株が落ちた気が……バランスって難しい(´・ω・`)
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