彼は僕のヒーロー   作:社畜だったきなこ餅

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いかん、更新ペースが落ち始めている……。
だけど暫くは筆が早くなるイチャコラ展開が書ける状況だから、きっと大丈夫、きっとおそらく。


51.駆け抜けろ救助訓練レース

 

 職場体験終了後の翌日、複雑に入り組んだ密集工業地帯を模して造られた運動場ガンマにて。

 集められた1-Aの生徒達は今、ぬるっと登場したオールマイトからの授業の説明が始まろうとしていた。

 

 

「ハイ私が来た、という感じでやっていくわけどもねヒーロー基礎学だ!久しぶりだ少年少女、元気か!?」

 

「ヌルっと入ったな」

 

「久々なのにな」

 

「パターンが尽きたのかしら」

 

 

 ダイナミックな流れではなくごく自然な登場と話の始め方に、1-A生徒達がひそひそと話始め。

 そんな少年少女たちの様子に、オールマイトは頬に汗を流しながらネタが尽きてない事を主張しつつ。

 

 ちなみに出久はオールマイトのコスチュームが黄金時代のモノである事に感動しており、狐白は少年の隣に寄り添っている。

 何かあの二人、職場体験前に比べて色々と距離近くないなどとオールマイトは考えるがすぐに思考を切り替え……。

 職場体験直後なので、今回は遊びの要素を含めた授業として救助訓練レースを始める旨を告げる。

 

 内容はシンプルで、敷地内のどこかで救難信号を発したオールマイトを誰が最も早く救出に行くかという競争というモノで。

 第一組として……出久、尾白、飯田、芦戸、瀬呂という1-Aの中でも機動力が高い面々が固まった形となった。

 

 

「飯田まだ完治してないんだろ、見学すりゃいいのになぁ」

 

「脚は腕より軽傷とはいえ、ちょっと心配だよな」

 

 

 OZASHIKIと書かれているステージに立ち、掲げられた屋外パネルの映像を見上げながらクラスメイト達は口々に呟きつつ。

 誰が一位を獲るか、予想を始める。

 

 

「誰が一位獲ると思う? 俺は瀬呂だと思うんだけどよ」

 

「あー……でも尾白もあるぜ?」

 

 

 わいわいがやがやと、誰が一番になるかとかむしろ病み上がりだから無理しないでほしいとかクラスメイト達が言葉を交わす中。

 尻尾をゆらゆらと振っていた狐白が、胸を張りながら渾身のどや顔で口を開く。

 

 

「そんなの、いずちゃんが一位に決まってるさ!」

 

「ハッ、バカ言ってんじゃねーよデクが最下位に決まってんだろが陰険狐目」

 

「さすが8:2分けボーイにされたクソ煮込み爆発頭は言う事が違うね、プークスクス」

 

「……ブチ殺すぞ陰険狐目ぇぇぇ!!」

 

 

 狐白の言葉を勝己が鼻で笑い飛ばして容赦なく叩き斬れば。

 額に青筋を浮かべた狐白が、わざとらしく口元を隠しながら今朝見かけた8:2分け状態の勝己を揶揄い始める。

 

 そして二人の間に一触即発の空気が流れ……狐白は八百万とお茶子に、勝己は切島と羽交い絞めされたりしている中。

 一方、パネルに映し出されている面々は各々の個性と身体能力を駆使して障害物を乗り越えて目標地点へ向かっていた。

 

 尾白は自らの尻尾を器用に使い、まるで猿のように鉄骨から鉄骨へと飛び移り。

 芦戸は手から出した酸で壁面を溶かし、登る為のとっかかりを作りながら最短距離を進んでいく。

 その中で飯田もまた負傷を感じさせない、軽快な動きで障害物を潜り躱して突き進んでいたのだが……。

 

 

「緑谷ちゃん、凄いわね」

 

「瀬呂も負けてないけど、緑谷も狭い足場次々と飛び移ってるね」

 

 

 その中で、腕から出したテープで次々と飛び移る事で進んでいる瀬呂と。

 全身に僅かな雷光を漲らせながら、そこが幾重にも折り重なった建物の上だという事を想像できないぐらいに、出久は空中を飛び回って進んでいく。

 途中出久が足を滑らせた瞬間、勝己と睨み合いながらも出久の活躍を目に焼き付けていた狐白が悲鳴を上げたが、即座に出久は鉄骨を掴んで体勢を立て直し……。

 

 見事、ゴール地点で待つオールマイトの下へ瀬呂よりも早く辿り着いた。

 幼馴染の活躍と一位を勝ち取った事に狐白は尻尾を激しく振りながら歓声を上げ、峰田はギリギリと歯軋りしながら血涙を流したりする中。

 

 

「なんだか、狐白ちゃん緑谷ちゃんへの好意を本格的に隠さなくなったわね」

 

「ええ、朝もずっと緑谷さんに張り付いてましたしね」

 

「コレもしかして、二人とうとうくっついちゃったのかなー?」

 

 

 ひそひそと狐白を眺めつつ言葉を交わす蛙吹と八百万、そして葉隠の三人。

 

 

「男女の交際って校則的に大丈夫なのでしょうか?」

 

「ケロ……さすがにそこまで目を通してないわ」

 

 

 男女の交際関係に興味津々でありながらも、しかし同時にクラスでも良識派である八百万と蛙吹はそんな事を話し合い。

 次のレースも差し迫ってるので、とりあえず何があっても二人を応援しようという事で話し合いは終了するのであった。

 

 そんなこんなで救助訓練レースは滞りなく終了し、一部の怪我人も狐白の治療によって対処され。

 1-Aの生徒達が男女に別れて更衣室でコスチュームから制服へ着替えている時、その騒動は起きた。

 

 

「おい上鳴と瀬呂やべぇ事が発覚した!こっち来い!!」

 

「血相変えてどうしたんだよ峰田、まるで河川敷に放置されたエロ本発見した中学生みたいになってんぞお前」

 

「なんだよ上鳴そのえらく具体的な例え……で、どうしたんよ峰田?」

 

 

 レース終了後、小声でオールマイトから告げられた内容について出久が悩み想いを馳せて出久が着替えの手を止めて、3人の方へ視線を向けてみると。

 鼻息を払くした峰田が、女子更衣室との間にある壁に空けられた穴を指差し熱弁を振るっていた。

 

 

「峰田くんやめたまえ!覗きは立派なハンザイ行為だぞ!」

 

「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよぉぉ!!」

 

 

 上鳴と瀬呂が俺も俺もと穴の開いてる方へ動こうとする中、砂藤や口田は止めるべきかどうか悩み。

 自身へ背を向けている峰田が、幼馴染である狐白の裸体を見るかもしれないと思考した出久の思考が急速に冷え、その目付きが鋭くなっていく。

 

 

「これはまた、緑谷の暗殺拳の一端が見れるのか……?!」

 

「暗殺拳? 何言ってんだよ常闇」

 

 

 出久が纏う空気を一変させた事に気付いた常闇が、心の中の荒ぶる中学二年生が導くまま呟き。

 突然トンチキな事言い出した同級生の様子に、隣で着替えていた尾白は首を傾げて問い返す。

 

 そして、常闇が見守る中出久は足音を気配を消しながら師匠に叩き込まれた歩法で、ぬるりと峰田の背後へと接近。

 

 

「八百万のヤオヨロッパイに玉藻のきつねっぱい!芦戸の腰つき!葉隠の浮かぶ下着ぃ!麗日のうららかボディに蛙吹の意外おっぱいに耳郎の慎ましやかスレンダァァァァァ!!」

 

「峰田くん」

 

「なんだよ緑谷ぁ!オイラを止めんじゃ……ヒィッ!?」

 

「師匠が言ってたんだけどさ、人間って簡単に壊せるけど壊れる所を注意して痛めつけたら中々壊れないらしいよ?」

 

 

 峰田の背後に膝立ちになり、優しく肩を叩きながら首筋へそっと手を当ててよびかけた出久へ峰田は目を血走らせて叫びながら振り返るが。

 向きの関係で峰田のみが直視する形となった、出久の怒りも殺意も憎悪すら感じない透明な笑顔にケツ穴に氷柱をぶっ刺されたかのような短い悲鳴を上げて。

 まるでこれからピクニックに行くかのような口調で、出久が口から紡いだ言葉に峰田は血の気の引いた顔を浮かべると……そっと、穴の前から体を退けるのであった。

 

 ちなみに峰田と一緒に覗こうと思っていた上鳴と瀬呂は、ギリギリ覗かないで済んで良かったと心から安堵しており。

 後日峰田が語った言葉によると、あそこで強行突破してたら間違いなく殺られていたと言葉を震わせて呟いていたそうな。

 

 

 一方女子更衣室にも当然、峰田の欲望に満ちた叫びと出久の呼びかけと言う名の静かな恫喝は聞こえており……。

 

 

「……どうする?」

 

「卑劣極まりないですが、今回は未遂ですし制裁はよろしいでしょう。すぐに塞いでしまいますね」

 

 

 峰田が覗きにかかるのなら即座にイヤホンジャックで目潰しした上で爆音を叩き込む体勢を取っていた耳郎であるが、未遂に終わった事により八百万へ指示を仰げば。

 八百万は少し考えた後に、今回はとりあえず無罪にする方針を打ち出した。

 そして、着替えの手を止めて状況の推移を今持っていた女子組はと言うと……。

 

 

「でも、あの緑谷があんな怖い事言うなんてちょっと考えられないよねー!」

 

「ケロケロ、狐白ちゃんの裸見られたくなかったのかしら?」

 

「こゃっ?! ふぇ、え、えへへ……」

 

「何この可愛い生き物」

 

 

 透明な体に靴下を履きながら愉快そうな笑い声と共に葉隠が言葉を紡ぎ、蛙吹が微笑ましそうに笑みを狐白へ向けて言葉をかければ。

 狐白は耳をピンと立てて固まった後、尻尾を勢いよくバサバサと振ってもじもじし始めるのであった。

 

 思わず呟いた芦戸であるが、割とクラスメイト女子の内心は一致していた事は言うまでもない。

 

 




Q.デク君がめっちゃ独占欲強くなってね?
A.むしろあの子って、今まで色々と諦めてきてただけで執着心は人一倍強い気質だと思うんだ(暴論)

そして間もなく訪れる、想いを告げ合った後の休日。
果たしてデク君は欲望をおさえることができるのか!
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