お兄ちゃんは勇者である   作:黒姫凛

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コロナの影響でヒキニートになっているものであります。

私の願いはただ1つ。いや2つ。

頼むから皆自粛してください。プロの料理人を目指すものとしては、自分の健康を大切にするのは当たり前ですが、来店されたお客様の健康も重要視されるのです。お願いします、人とはあまり会わず、外出も大勢いる所に行かず、程々の散歩などで済ませてください。

そして早くコロナが終息するように皆さんで心掛けましょう。口だけ達者な様に感じますが、自粛して欲しいと願う人達がいる事を忘れないで生活して欲しいです。
そうすれば世間がもっと早く落ち着きを取り戻せるかもしれないんです。

どうかよろしくお願いします。





アラセイトウ

 

 

須美達が樹海に呼び出されたと同時刻。

4人目の勇者に選ばれた高嶋優希は、樹海で1人驚愕の一言と共に立ち尽くしていた。

 

「………なんじゃこりゃ」

 

目の前に広がるのは、広大な樹海ーーーの筈が、目の前にあるのは巨大な樹木。話に聞いていた筈の一面に広がる根っこが見当たらず、申し訳程度に巨大な樹木の根元にチョロっと生えて地面に潜っている。

どうやら、この樹木の半径何十kmは土が露出しているようだ。後ろを向くと、遠目だが地面から再び根っこが隆起している。根っこが隆起し広がっているのはあの向こう側。あっち側が話に聞いていた樹海だろう。

 

改めて目の前の樹木に目を向ける。樹海に広がる根っこは神樹様の体の一部だと聞いた。そして目の前にあるこの大きな樹木。その正体は言わずもがな分かることであった。

 

「………これが、神樹様…」

 

七色に輝く美しい神木。まるで冬季に入る山の木々のように裸体となっている枝木。幹は太く、どっしりとした立ち振る舞いは旧暦時代から四国を支えてきたと納得させる風貌。それでいて神秘的なその姿はまさに神という存在なのだと理解出来る。

 

 

しかし、何故目の前に神樹様が見えるのだろうか。聞いた話だと中等部の位置からして瀬戸大橋の近くに呼ばれる筈なのだが。

 

大赦側からの話では樹海化警報が鳴った時、1番早く敵と遭遇するのは優希だと言われていた。樹海化によって周りが木の根が広がる世界に変わっても、自分達が立っているであろう場所は元の世界で立っていた場所と変わりないそうだ。

中等部は小等部と隣接して作られているのが普通だが、如何せん地形の影響があって少し離れた場所にある。その場所が、瀬戸大橋にかなり近い場所に建てられている。

よって、普通なら優希が先に敵との接触を受けるはずなのだが。

 

まさか、本当は瀬戸大橋は樹海化すると神樹様が居られる位置になるのではないか、と優希は考えたが、瀬戸大橋の役割はバーテックスが入ってこれる一方通行の道。そこに神樹様が現存するのは可笑しい。

 

では何故?と優希は首を傾げる。意思疎通出来る相手なら納得の行く答えが聞けるかもしれないが、相手は神様。巫女適性があれば神託という神樹様からのお導きが聞こえたかもしれないが、優希には巫女適性が皆無である。誰に聞こうにも答えてくれる相手は愚か、その問いを聞いてくれる相手もいない。最早万事休すである。

 

 

仕方ないと、優希は神樹様に1度参拝すると身を翻してその場を後にする。ここに呼ばれた理由は分からないが、何も無いなら早く行かなければならない。

この間にもきっと、歳下の子達が戦っているかもしれないと。そう思うと、居ても経ってもいられなかった。

 

 

ーーーシャリンシャリンーーー

 

 

ふと、何がなったような気がした。鈴のような小さくも力ある音。神楽鈴や本坪鈴と言った聞き慣れた鈴の音。重く響き、それでいて優しい音色。まるで待ってくれと静止するよう言われているかのよう。

 

すると、視線の端に花弁が見えた。桃色に彩られた小さな花弁。次第にそれはどんどんゆらゆらと落ちていく。

桜だろうか。この場で目にするものでは無いが、今まで見てきた中で1番と言っていいほどの美しさがある。

 

何処から舞ってきたのかと後ろを振り返った。それと同時に、後ろには神樹様しかいなかったはずと疑問が浮かんだ。

 

しかしその質問の答えはすぐに理解出来た。

 

 

「………神樹様の、花弁……なのか?」

 

 

花弁の元は神樹様。一体何処から散っているのか分からないが、神樹様の身体からヒラヒラと舞散っている。

その光景は言わば生命のシンボル。必死に生きるのモノ形相と儚く散りゆく小さきものの最後の足掻きと言わんばかりの耀き。先程までの神樹様が纏っていた神秘的なものとは違ったオーラを感じる。

 

優希は思わずその光景に目を引かれた。無理も無い。神様が起こす輝石。それは普通ではお目にかかれないものである。生と死。創造と破壊。善行と悪行。天秤にかけるその平等たる概念を司る神。最も、神樹様は様々な神様が複合して出来た存在。古来より伝承されてきた八百万の神の一角である神様達が合わさった神様の上位神。バランスをとるに相応しい神だからこそ出来る所行である。

 

流れ流れ散り行き落ちる花弁。ヒラヒラと舞い落ちる花弁は、何時しか優希の左腕にくっついていく。

何事かと驚いた優希だが、何故か優希はゆっくりと左腕を前に掲げる。何故か、こうするべきなのだと、こうしなければならないと頭の中に浮かんだ事に反射的に従ってしまった。まるで誰かに操作されてしまったかのように、なんの疑問もなく止めどなく流れる思考に浮かび上がった不自然な考えに、優希はなんの疑問も抱く事はなかった。

 

左腕を覆い尽くすようにくっついたそれは、最後の花弁を最後に、優希の左腕に溶け込んでいく。痛みは無いが、不思議な感覚ではあった。体に入ってくるという行為は、人に嫌悪感を抱かせる。注射を嫌う人が多いのもそれだ。しかし今はその嫌悪も抱いてはいない。逆に何故か幸福感が芽生えてくる。花弁が溶け込んでいくたび、体の芯から熱くなる感覚がある。

 

完全に溶けきった時、左手の手の甲に華の模様が7色の輝きを放って浮かび上がってきた。浮かび上がった華の模様は今まで見た事のないものであり、桜に似た形状をしていた。

次第に輝きは薄れていき、残ったのは華の模様だけであった。

優希は輝きが収まると、右手でその模様を一撫で。触った瞬間、感じたのは温もりであった。熱を帯びたように熱いが心地良い熱量であり、触れていると何故か力が溢れている感じがする。

 

 

優希はふと我に返り、これは一体なんなのかと考える事にした。

先程までの光景からして、これは神樹様が何か優希に授けたのだろうか。左腕と手の甲の模様。華のモチーフは何であれ、あの花弁は間違いなく神樹様から舞落ちてきたものだ。

そして左手の模様の意味。花弁が左腕に溶け込んでいったのは、優希に力を譲渡したからだろうか。そして手の甲の模様はその証。何かしらの力が発現するのではないだろうか。でなければ全く辻褄が合わないし、する意味も分からない。

 

そして何より、何故優希にそうしたのだろうか。

神樹様からの力の譲渡はまだいい。優希自身神樹様への敬意は人並み以上のものであり、御役目に誠心誠意全力で向かうと決意づけていた為、優希にとってはとても嬉しい限りの事なのだが。

歴代最強と曰われていた優希だが、そこまでされる事が分からないでいる。例え歴代最強だとして、それが神樹様にとってはどうなるのかという話だ。神樹様を守る立場としては歴代最強は今まで御役目に携わってきた勇者の中での話。神樹様にとって、それはどうでもいい事と変わりないのではないだろうか。

今までの勇者の中でトップだとしても、この時代になるまで敵の攻撃により神樹様の敗北はなかった。経緯はどうであれ、神樹様の力で生きている人間がいる時点で、神樹様と敵を比べて勝ち負けで言ったら神樹様が勝ちなのだ。

 

言うなれば、例え歴代最強の力を有していなくても、敵の攻撃を防ぐ事が出来るという事である。なのに何故歴代最強と言われているのに力を授けるのか。

優希は嫌な気持ちになりつつも、1つの考察を立てる。

 

もしかしたら、今期で決着が着くのではないかと。旧暦から今歴にかけての約300年の因縁が果たされるのではないかと。

 

理由は2つ。

まず1つ目に、優希は名指しでの指名を神樹様から受け、男として初めての勇者となった。適性値がどうであれ、神樹様からのご指名となると、相当なものだと言うのは理解しやすいだろう。

そして優希は肝心な事に男である。無垢な少女ではなく男。この際無垢なのかは置いといて性別では男である。

女よりも男の方が力は上であり、神聖な存在としては男の方が上である。これを考えたら、何故ここで優希が選ばれて力を授かったのかは一目瞭然だ。

 

もう1つは先程までの話のように、神樹様が直々に力を譲渡した事だ。他の勇者達ではなく優希に譲渡した事によってそれはほぼ核心に迫っている。

 

だが、ここまで来て思うことだが、何故優希だけにしか力を渡さないのだろうか。

神樹様という存在も有限であることは間違い無い。聞いた話では、神樹様の力は弱まっているそうだ。

そう考えると神樹様の力を全員には渡せないのは分かる。しかし、あくまで考察に過ぎない考えだが、敵との因縁が果たされるのかもしれないのでは無いのか。

ここまで来て本当は違うのだと言われてしまえばはいそうですかだが、ここまでお膳立てされた優希には少し納得の行かない部分もある。

 

もしかしたら、もっと違う何かがあるのかもしれない。

 

 

「……んっ、電話?」

 

思考を巡らせている最中、ズボンのポケットにしまっていた端末がテンポ良くバイブする。

流石大赦印の端末。世界が止まっても動くことの出来る物が作れるとは。そんな事を思いながら優希は端末を取り出して画面を覗く。

 

「ーーー須美ちゃん?」

 

同じ御役目に参加する小学生の1人、鷲尾須美からの電話であった。

 

 

 

「ーーーもしもし、須美ちゃんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通話を切り、その流れで勇者アプリをタップする。端末から黒い花弁が巻き起こり、優希の身体を包んでいく。

優希の勇者服の主色は黒と白。他の勇者達同様にピチッとした全身タイツで全身を覆い、動きやすい御姿のような形状の服を纏う。下半身には膝から下に黒色のプロテクターのようなものが装備され、下駄に似た形状の靴を履く。首に優希のモチーフとなったジャーマンアイリスの花弁が舞散り、黒色のチョーカーが付けられる。

両腕には干将莫耶のように対になる黒と白のゴツゴツした篭手が装備。優希が扱う武器である。

 

変身完了と共に晴れていく花弁。いつもより体が軽く感じられ、今ならなんでも出来そうな絶対的な自信が湧いてくる。体を動かして体の調子を確認し、軽く動いてみる。

勇者になれば身体能力は上がるとは言われていたがここまでとは、と優希は素直に感心した。軽い発勁だけでも大岩を砕けそうな感じだ。

 

 

「……さて、神樹様。俺はこれで失礼します」

 

優希は改めて神樹様の方に向き直る。

先までの事もあり、色々と聞きたい事が山ほどあるが今はそう言ってもいられない。

一度参拝し、背を翻して一気に樹海を駆ける。

 

 

(ーーー頼むから、無事でいてくれよ!!)

 

 

 

目指す先は、瀬戸大橋である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーぅおりゃぁああああ!!」

 

 

 

 

 

 

「高嶋さんっ!!」

 

「優希さんっ!!」

 

「ゆーにいー!!」

 

 

 

 

轟く轟音。鉄が軋むような激しい音と共に吹き飛ぶ巨体。歓喜の声を挙げる中、遅れて強風が吹き荒れ体が持ち上がる。何とか体勢を低くして3人で抑え合う。

 

強風が止み、ゆっくりと体勢を起こす。先程までの位置にいたバーテックスは後方まで吹き飛ばされており、その光景に驚きを隠せない。

これを一人でやったのだと知ると、その驚きは更に大きくなる。

 

 

「ーーーみんなっ、無事か!!」

 

 

上から声が聞こえ、見上げてみると跳躍してきた優希が目の前に着地して声を張り上げて近付いてくる。

不安と申し訳ないというか苦い表情を浮かべており、須美達3人をとても心配していると伺える。須美達は何とか体を動かして優希に近づく。

 

「高嶋さんっ、ご無事ですか?」

 

「あぁ、ごめんよ皆。どうも俺だけ違う所に飛ばされているみたいで」

 

「大丈夫ですよ。優希さんは絶対無事だって分かってましたし」

 

「ゆーにい、さっきの凄かったよ〜」

 

ギュッと聞こえるぐらいのハグを優希にかます園子。それを難なく受け止めギュッと抱き締め返す優希。未だにその光景に慣れない須美は顔を染めてブリキのロボットの如くなを連続で口ずさむ。銀はその光景を羨ましそうに見つめている。

 

「ありがとう、そのちゃん。皆怪我の具合はどうだ?」

 

「私はまだ右足に攻撃の痼が残ってしまい、あまり動く事は出来ません……」

 

「あたしは何とか抜け出しました!……ちょっとお腹がタプタプですけど」

 

「私はまだまだ行けるよ〜」

 

須美は右足、銀は全身、園子はかすり傷。それぞれ攻撃を受けて傷付いており、血は流れるまでには至っていないもの、そこまで傷を負わせてしまった自分の怠慢に優希は顔を顰める。

 

「……ごめんよ。怪我をさせてしまって」

 

「謝らないでください。高嶋さんを待たなかった私達にも非があるし、あんな化け物と戦う上で、傷を負う事は仕方のないことです」

 

「そうっすよ優希さん。まだまだ動ける範囲だし、子供のうちは怪我してなんぼですから!」

 

「えへへ、ゆーにいは心配性なんだぜぇ」

 

「……あぁ。ちょっと過剰になってたかも」

 

優希の気持ちを察したのか、須美達は首を振って優希の謝罪を受け止める。それぞれの言葉を聞き、優希はそっと胸を撫で下ろす。

 

しかし、確かに見る限りでは重傷を負っているとは思えないが、万が一もあると、優希はグッと握る拳に力が入る。いくら3人が大丈夫だと言ったとしても彼女達がやせ我慢している可能性も捨て切れない。ここまで戦ってきた3人にはこれ以上戦って欲しくないのが、優希の本音である。だがその旨を伝えたとしても3人が納得はしない事は分かりきっている。

 

「取り敢えず、俺がアイツを倒す。いくら大丈夫とは言っても、須美ちゃんみたいに動きに制限が出るかもしれない。出来れば、下がっていて欲しいんだけど……」

 

「そ、そんなの出来ません!!敵前逃亡なんて……」

 

「あたしはまだ動けます!それに、優希さんだけに任せるのもあたしとしては……なんというか……」

 

「気が引ける?」

 

「そうそれ!ナイス園子!」

 

イエーイとハイタッチを交わす銀と園子。その姿に微笑ましいものを見る目で笑みを浮かべる優希と呆れたようにジト目を向ける須美。こんな時に何をやってるのだかと、言いたげな瞳である。

 

「……まあ3人が納得しない事ぐらい分かってたさ。じゃあ、トドメは任せるとしようか。俺がアイツの注意を引く」

 

「じゃあミノさんと私がそのうちに攻撃だね」

 

「では私は全体の援護を」

 

「よっしゃー!!優希さんが来たら百人力だぁ!」

 

ここまで来たのなら、このまま4人で敵を倒す。今の須美達の気持ちを無下に出来るわけはないし、3人が大丈夫と言っているのならそれを信じるのも年長者の務めだ。優希は3人の強さに敬意を向けながら、敵バーテックスの方を睨みつける。

 

「取り敢えず遠目から見てた限りの攻撃だと、あの頭から出てくる泡攻撃と高圧で打ってくる水砲撃。注意するべきは砲撃だ。あれをまともに受けていたら足が止まるし攻撃の手も止まってしまう。さっきの傘を前に出して近付く方法。あれは誰が考えた?」

 

「はーい、私だよー」

 

「やっぱそのちゃんか。じゃあそのちゃん、さっきの方法で今度は手数を増やそう」

 

「手数?」

 

「そうだ。さっきは3人で固まっていたけど、今度は傘を持って近づく人を囮に使い、残りで敵を叩く」

 

「成程。じゃあさっき優希さんが1発入れられたのってあたし達に攻撃が向いてたからって事ですか?」

 

「あの感じからしたらそうだろうな。あれを見る限り俺に対しては完全にマークから外れていたからね。取り敢えずこれで行こうと思うんだが……どうだ?」

 

優希の作戦としては、園子が提案した傘で近付いて総攻撃を仕掛ける作戦を改良して、傘を囮に使って攻撃の手が向いている間に敵を叩くという事だ。優希が登場した際、敵を吹っ飛ばした時優希の事は完全に気付いていなかった為、この作戦は成功する確率が高い。

3人は考える素振りを見せることなく力強く頷いた。

 

「優希さんか考えたんだから、あたしは何もありませんよ!」

 

「それに今は一刻を争います。私もそれに賛同します」

 

「私もそれでいいよー」

 

「ありがとう。それで役割分担だが、須美ちゃんはそのちゃんと一緒に傘の囮をしてくれないか?須美ちゃんの射程範囲だと相手の攻撃を受けるのと、そのちゃん1人ではあの攻撃は耐えきれないからさ」

 

優希は須美の右足をさしてそう提案した。優希は須美の射程範囲だと攻撃を受ける事を今の状態を見て察した。須美は優希の提案が正論だと理解し、渋々だが首を縦に振って頷いた。

須美としては、弓矢で活躍したかった胸もあるだろうが、ここは四の五の言ってはいられない。

 

「攻撃の範囲的には俺と銀ちゃんは同じだろうが、今の銀ちゃんの状態だとこれ以上の被弾は好ましくない。ここは優先順位を銀ちゃんが1番高くするとしよう」

 

「あたしですか?」

 

「銀ちゃん少し動きずらいだろ?それに比べて俺はまだ万全だし、有事の際に俺が須美ちゃん達の方にも加勢に行ける。ここは、銀ちゃんが決めてこい!」

 

「アハッ、了解です!!」

 

心底嬉しそうに返事をする銀。このまま攻撃を受けただけで終わるなど、三ノ輪銀の性分には合わない。された事はきっちり返すのが銀の性格である。

 

改めてバーテックスを睨みつける。神樹様を滅ぼし、人類に破滅をもたらそうとする強大な敵。4人は平和な日常を守る為、粉骨砕身の思いで戦いに身を投じる。

今はまだ成長段階。これから起こるであろう悲劇に屈すること無く、4人は前に歩みを進めていくだろう。

 

 

1人は仲間の大切さを見つける。

 

1人は守りたい人を見つける。

 

1人は平穏な日々を見つける。

 

1人はーーー。

 

 

それぞれが前に進む事によって後に掴むであろう未来の結果である。

本人達は知らない。だからこそ、未来に夢を持って彼女達は歩みを進める。その為に、目の前にいる敵は倒さなければならない。

 

 

「じゃあ、行こうか。早く終わって、イネスにでも行こう!!」

 

 

「「「はい!!」」」

 

 

 

 

 

 

何故バーテックスは攻撃を仕掛けてくるのか分からない。何も知らないまま、4人は理由は分からずとも神樹様の為に武器を握る。

 

それがいつか恨む事になったとしても、彼女らはそれを受け止める事が出来るのか。

 

 

未来はある。どれだけ夢を見ても、それが叶うにしろ叶わないにしろ、どちらかに転げ落ちるのは当然の結果だ。

だからこそ、彼女達の運命は決まってはいない。

 

 

 

 

 

ハッピーエンドを迎えるのか、バッドエンドを迎えるのか、運命のダイスロールは転がり始めた。

 


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