お兄ちゃんは勇者である   作:黒姫凛

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リナリアをどうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後にも先にも心動かされた異性は彼しか居ないだろう、と乃木園子は言う。

 

 

 

人生の半分も生きていないであろう子供が何を言うかと思うかもしれないが、他者と感性がズレている彼女にとって直観的な閃きは、後に分かるだろうが大なり小なりその通りになる。

思い込みとか刷り込みとか自分に催眠をかけてそう思わないようにしているとかも考えられるが、彼女からしてみればそんな事する意味が無いので彼女の本心からそう言えるのだろう。

 

 

ともあれ、彼女がそう言えるにあたっての経緯も存在するわけなのだが、まずは乃木園子という少女について触れなければならない。

 

乃木園子、と言えば大赦のツートップ乃木家の跡取り娘である。時代の風化により大赦上層部に位置する名家から水準の高い勇者適性を持った少女が減り始め、低い適性値でも御役目に選ばれる事が多くなった。

その中で近年稀に見なかった高水準の適性値をたたき出した乃木園子は、良い意味でも悪い意味でも注目される事となる。

乃木家の跡取りという事だけでも色々と話を持ち掛けられていたが、適性値が高い事が分かるや更に話は多くなっていた。

 

 

乃木園子が当時どのような事を思い、感じて周囲を見ていたのかは分からない。年端もいかない少女であったから、自分の重要性がどれだけ必要視されていたのかなんて分かってなかったかもしれない。

どう転ぶにしたって、彼女の将来は大赦の為に存在すると言っても過言ではない。

 

それを理解していたのか元からなのか、彼女は他人に興味を示す事は余りなかった。何が楽しいのかボォーっと意識を飛ばし、よく分からない感性から出た行動を起こし、常に自分の流れに乗って生きている。

それを周りはまるで狂人と噂し、何時しか乃木家に狂女と裏で言われる始末。誰も彼も好き好んで乃木園子には近付かなかった。

 

思えばこれが、乃木園子から発せられるSOS信号だったのではと考える。

よく分からない周囲からの声が怖いと感じ、自身の殻の中に閉じこもってしまっているのかもしれない。積極的とは言い難い彼女だからこその防衛方法なのだと思う。

 

だがそれを周りには理解する事は出来ない。彼女の内面は彼女しか分からないと言うのが現実の非情だ。どう足掻いたって他人の気持ちなんて完璧に理解なんて無理な話。嘘をついて隠してしまえばそれでお終い。乃木園子は自分を偽って過ごしていた訳では無いが、理屈でいえば同じである。

 

 

だからこそ彼女、乃木園子にとってどれ程大きい存在なのかがよくわかる。

例えそれが親同士が決めた()()であろうと、彼女にとって()()()()は本心から関わりたいと思う唯一の異性であるのだ。

 

 

出会いはそう、彼女と高嶋優希が初めて顔合わせした時に遡る。

 

だが今回はその回想シーンは持ち合わせていないので想像におまかせする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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和室に案内された3人は、優希が食事を運んでくるから待っていてくれと言われ、座布団を引いてちゃぶ台を囲って座って待つ。

 

ニコニコした笑顔を向ける園子。ガチガチに固まる須美と銀。真顔の少女というカオスな空気を孕んでいる空間。何の集まりだと聞かれれば朝食を共にするという的外れな回答しか出来ないこの状況を打破しようと、須美は思考を巡らせる。

 

何を話すべきなのか考え、どういう話をすれば心を通わせられるのか考える最中、少女の空気が変わった。

 

 

 

 

「ーーーお帰りいただけますでしょうか?」

 

「?はい?」

 

 

開幕それだった。須美達はそう言われる。思わず首を傾げる須美と銀。何を言っているのかと目の前に腕を組んでしかめっ面をしている少女に問い質したい所だが、何やら御立腹のようで話しかけずらいオーラを出している。

 

とは言っても、はいそうですかと翻して帰宅出来るはずもなく、結局の所話をもちかけなければならないのだが。

 

 

「………聞こえませんでしたか?速やかにお帰りいただけますでしょうか?」

 

「あ、いや聞こえてます……」

 

「ならば早くお帰りいただけますか?お兄様はお忙しいのです。貴女方と接されている時間すら惜しい」

 

「……え、いやでも………」

 

「分からないのですか?迷惑だと言っているのです」

 

 

取り付く島が無いとはこの事だろうか。上手く言葉に出来ない須美達もそうだが、彼女の猪突猛進な態度に思わず後ずさってしまう。

幼顔から生み出される鋭い眼光は、歳が近い須美達を怯ませるには十分だった。

 

 

「……そもそも、何故貴女方はこちらにいらっしゃるのですか?今日はお客様がお見えになるとは聞いておりませんし、お兄様の口からも貴女方がいらっしゃるとは伺っておりません。一体、何を、しに、来たのですか!!」

 

 

ずいずいと距離を詰めてくる少女。それを抑えるであろうストッパーはおらず、肩身の狭い空気を須美と銀は味わうのだった。

 

 

「まぁまぁ友香ちゃん。そう硬くならず〜」

 

「離れてください乃木さん。馴れ馴れしくしないで頂きたい」

 

「わぉ〜、相変わらず厳し〜」

 

 

絡んでいく園子にもこの態度。何やら2人の間には何かがあるようだが、それを詮索出来る余裕は須美と銀には持ち合わせていない。

ギロりと睨まれ冷たくあしらわれた園子は、座っていた座布団から腰を上げると、千鳥足の如くフラフラとした足取りで何やら歩き始めた。

 

 

「……そ、そのっちも流石にああなるのね」

 

「い、意外だよな……」

 

 

友香のキツい言動に傷つけられて落ち込んでいるように見える園子。イメージとは違った園子の姿に思わず驚いてしまう。

 

 

 

 

「……あ、ゆーにぃ〜」

 

「……ん?っうぉいっ、いきなりなんだっ?」

 

 

突然襖が開いたと思えば、そのタイミングで園子が突然飛び込む。襖の先には案の定優希が居り、園子はぐるりと優希の背中に抱き着いた。

 

 

「いや全然落ち込んでないじゃん……」

 

「……本当にそのっちは分からないわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?じゃあ私達が来る事を知っていたんですか?」

 

「あぁ、昨日そのちゃん経由で。後饂飩食べたいだとか何とか」

 

「来る事知ってたなら妹さんにも言っといて欲しかったっす〜……」

 

「教えちゃったら客として通しちゃうかもしれないだろ?友香は正直な子だから隠し事が苦手でね」

 

「……まぁ結局私達は自滅しただけなんですけどね」

 

 

うん、と肯定せざるおえない。大声出してここにいますよとアピールしたのは紛れもなく自分達だ。あれでバレない筈がなく、蛇を前にする蛙の如く妹ちゃんの可愛らしい眼光に震えるしかない。

 

目の前に置かれた丼の中に美しく盛られた饂飩を、3人揃ってツルツルっと啜りもきゅもきゅ咀嚼。心地良い喉越しといりこの風味が全身を木霊する。

 

 

「………それで、いつまでいらっしゃるのですか?もう用をお済でしょうからお帰りいただけますか?」

 

「……口開いたらそれって。最早鉄板ネタみたいな感じになってるよ」

 

「てっぱん?ネタ?……よく分かりませんが、私はすぐさまお帰り頂きたいのですが」

 

「そう言わなくても。今日はそんな忙しくは無いから大丈夫だよ」

 

「いいえお兄様。そんな日だからこそ、お兄様には休息が必要不可欠。お身体に何かあってからでは遅いのです」

 

 

優希の言葉にも否定を繰り返す友香。思わず優希も苦笑い。

 

 

「……友香。その気持ちは嬉しいけど、折角来てくれた友人を疎かにする程俺は切り詰めてないよ。それに、友人と何かして遊ぶ事も俺にとっては立派な休息だと思うんだ」

 

「……そうやってお兄様はいつもいつも。だからあの愚男共もいい顔して……」

 

 

 

「友香。それは言っちゃいけない。少し頭を冷やして来い」

 

 

 

普段の優希からは想像も出来ない冷たい声。思わず3人もビクッと身体を震わせてしまった。

最愛の兄にそう言われてしまった友香は、渋々部屋を後にする。残された4人の雰囲気は少し重い空気を孕んでいる。

 

 

「……ごめん。友香も悪気があってあんな事言ってる訳じゃないんだ。ちょっと内面的に最近余裕が無いみたいで……」

 

「……いえ、気にしていると言われればそれまでですが、平気です」

 

「そう言ってくれると助かる。さぁ、折角来てくれたんだ。目的がどうたら言っていたけど、まずはそれを解決しようか」

 

 

先程までの雰囲気よりも少し軽くなった。優希の零れる笑みに須美達も少し硬い表情が柔らかくなった。

 

 

「ありがとうございます。………ですが、今日の目的は高嶋さんについて知りたかったのが重要だったので、本人の前ではなんとも……」

 

「?何かしら質問とかするんじゃないのか?」

 

「……えっ、あっ………」

 

「……須美、お前さてはその考えは無かったな」

 

「……それを言うなら銀もでしょ?責任転嫁しないでよ」

 

「おいおい、抑えたと思ったらまた違う火種で険悪ムードに。落ち着いてくれって」

 

「ゆーにぃ、それでも2人は通常運転なんよ〜」

 

「園子のそれには言われたくないやい!」

 

 

園子のそれとは言わずもがな。本人は何を言われているのか分からないと言った感じだ。腑に落ちないと須美と銀はげんなり。

 

しかし、と須美は疑問になる。自分達と大して優希との初対面した時間は変わらない筈だが、園子はどうしてそこまで優希に懐いているのかと。園子の性格からそうなるまでには理由があるはずだが、出会って数ヶ月の人間とベタベタ身体をくっつけ合うことが出来るのだろうか。……園子の性格からしたら出来ないこともないだろうが、園子は一言で言えば不思議ちゃん。何で彼女の興味を引けるのか分からないが、園子と優希の間にそんな共通する趣味等があるのだろうか。

 

須美はそれを直ぐに言葉にして伝える。

 

 

「……あの、さっきの話からの流れであれなのですが、そのっちとどうしてそこまで親密なのでしょうか?」

 

「お、嫉妬か?」

 

「はっ倒すわよ銀」

 

 

思わず拳骨を振り下ろしそうになるが、取り敢えず言葉で返しておく。

銀のここぞとばかりに煽っていくスタイルは須美の最近の悩みの種でもある。だがこれでも互いに信頼し合えているのだから、からかわれているのだと須美も理解はしているから内心楽しんでいる。本人は認めたくないようだが。

 

 

「親密、か。良かったなそのちゃん。そう見えてるって」

 

「えへへ〜、ちょっと恥ずかしいんよ〜」

 

「まあ仲がいいってのは俺達自身も分かってたけど、今更そう言われると確かに恥ずかしいな」

 

「へぇ〜、優希さんでもそうやって恥ずかしがるんですね」

 

 

銀は珍しく羞恥によって照れている優希に思わずそう言う。確かに、優希の性格からしたら余り想像がつかない一面ではある。

 

 

「……俺にどんなイメージを持っているの?そんなに感情が無い男だって思われてる?」

 

「いや、優希さんは恥ずかしがるんじゃなくて、ちょっと自信あり気な態度をとるのかなぁーなんて思ってたので」

 

「あんまり自分には自信を持てないよ俺は。どっちかと言うと心配事が多いかな。……で、話戻すけど、俺とそのちゃんは須美ちゃんと銀ちゃんよりも付き合いは長いんだ」

 

「つつつつつつきあい!?ふふふふふたりは相思相愛のななななな!?!?」

 

「落ち着け須美!見た感じ園子の一方通行に見えるぞ!」

 

「いや勝手に話を膨らませないで欲しいんだけど!交際の方での付き合いじゃないから!」

 

「あ、なんだ。……よかった」

 

「びっくりさせないでよ銀。……それなら、まだ……」

 

「いや今のは須美だろ。で、優希さん。あたし達より園子との付き合いが長いってどう言う事ですか?」

 

「あ、そんな普通に戻るのか……。そのちゃんとの付き合いは俺が高嶋家に養子で来た時からの仲かな。御役目初の男である事にそのちゃんの御父上が興味を持ってね。大赦名家への顔合わせを込して行った上層会議でお話した所から今の関係だ。端折るとこんな感じかな」

 

「え〜、ゆーにぃ。アレが抜けてるんよ〜」

 

「アレ?……あー、アレね」

 

 

何やら2人だけで納得している。須美はそれがなんだか面白くないのかムッと顔を顰める。

 

 

「……お2人だけで納得されると気になります。アレとは?」

 

 

その後須美は後悔する事になる。何故自分はここまで踏み込んで聞いてしまったのかと。

 

 

「アレってね〜、私はゆーにぃと将来結婚するって事なんよ〜」

 

「正確にはお互いが結婚出来る年齢でも好意を抱いていたらなんだけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「は?(キレそう)」」

 

 

 

 

とんだ爆弾を投下され、須美と銀は固まる事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ーーーあぁ、あぁ…………お兄様。

 

 

 

 

びちゃびちゃと水の音が聞こえる。聞こえるべきではない場所で響く水音。水道の通っていない部屋でそれが聞こえるのは不思議だと思うが、プライバシーに関わる為あえて伏せよう。

 

悶々と熱の籠った熱い吐息。エクスタシーに達する度に悶える身体。背徳感が更に火照る体を刺激し、だらしなく涎を口元から零してしまう。

 

 

 

 

ーーー友香は………、友香は我慢出来ません……………。

 

 

 

 

動かす右手を口元まで運び、舐めとるように狂おうしく指を念入りに舐める。疼いて疼いて仕方が無い下半身の奥。抑えられない快楽の渦が無意識に左腕を動かす。

 

貪欲に、熱烈に。貪るように身体を慰める。

それで満足出来るはずが無く、彼女は何回目か分からないエクスタシーに到達し、ビクンビクンと全身を大きく震えさせた。

 

 

 

 

ーーー………お兄様っ、………お兄様。

 

 

 

 

荒い息を抑えるどころか、目の前に居ないはずの幻に舌を伸ばして貪るように舌と口を激しく動かす。

 

全身から止めどなく流れる汗がシーツに染み込み、まるでバケツで水をまいたようにびちゃびちゃになっている。しかし、そんな事を気にする余裕は今の彼女には無い。

 

見えない何かを貪り、自分の身体を慰めて心を満たす。兄への想いを満たす。少女の恋心を揺れ動かす。

 

 

 

 

ーーー…………もっとです、お兄様…………。もっと、もっとっ、もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっとっ。

 

 

 

 

舌を蛇のように動かし、顔を前後に揺すりながら幸せそうに吐息を吐く。下半身から止めどなく流れる愛の象徴は、来るべき相方を想い涙するように流れ落ちる。

 

 

 

 

 

ーーー…………お兄様は私だけのものっ、………お兄様は私だけのものっ。

 

 

 

 

 

 

 

彼女の夜は、まだまだこれからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか最近妹(新妹義妹構わず)があだるてぃーな事してるのが凄い好きになっちゃった。うちの妹もやってくれないかなぁ………なんて、冗談なんですけどね。

でも好きになったのはほんと。なんかこー、禁断の果実に手を伸ばしてその魅力にドハマリして抜け出せなくなったみたいな?やめたいけどやめられない。お兄ちゃんを思うと身体が疼くっ!!みたいな感じがまさにどストライクやわ。

そのまま兄にその場を見られて一線越えちゃうってなると更にこーほぉんしゅりゅ!!(鼻血ドバー







……ホントやばい最近。自分の性癖を暴露していくとか変態かよ…。
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