正体不明の妖怪(になった男)、情緒不安定な百獣の腹心になる   作:黒岩

113 / 173
頂上戦争

「……仲間1人も゛……救えな゛い゛……!!!!」

 

 モンキー・D・ルフィと彼率いる麦わらの一味にとって、その日は自分達の弱さを思い知る日だった。

 魚人島へ向かうため、シャボンディ諸島に立ち寄った一味は友達となった人魚のケイミーを救うため、人間オークション会場へ向かい、そこで魚人のハチを傷つけた天竜人へ殴りかかり、それから海賊王ゴールド・ロジャーの右腕、副船長であった“冥王”シルバーズ・レイリーと出会い、コーティングを依頼した。

 だがそのコーティングが終わるまでの3日間を、彼らは耐え凌ぐことが出来なかった。

 天竜人が傷つけられたことでやってきた海軍大将・黄猿。そして海軍本部科学戦闘部隊の隊長、戦桃丸に政府の人間兵器パシフィスタ。

 

「もう二度と会うことはない…………さらばだ」

 

 そして王下七武海の1人、“暴君”バーソロミュー・くまの手によって……一味は完全崩壊を喫したのだ。

 ──だがそれは、彼らが死亡した訳ではない。

 麦わらの一味はくまのニキュニキュの実の能力によって、それぞれ別の場所へ飛ばされていた。

 その真意は彼らにはまだうかがい知れない。

 ゆえに彼らはそれぞれの場所で、ただ一心に仲間と合流するための道筋を探すことになった。

 だがやはり、麦わらのルフィは再び新たなうねりに巻き込まれようとしていた。

 彼が飛ばされた島は、戦闘部族“九蛇”が支配する女ヶ島“アマゾン・リリー”。

 王下七武海の一角、九蛇海賊団船長“海賊女帝”ボア・ハンコックが皇帝として君臨する女人国であり、世俗から離れた男子禁制の秘境だ。

 島が“凪の帯(カームベルト)”にあることもあって、島外から人がやってくることはほぼない。

 だがその世界から離れた島も、世界を巻き込むほどの大きなうねりからは逃れられない。

 

 ──白ひげ海賊団2番隊隊長ポートガス・D・エース、公開処刑まであと一週間のこと。

 

「今……この国は……!! そなたの“七武海”という称号に守られておるニョじゃ」

 

 アマゾン・リリーの代々の皇帝が住まう“九蛇城”の部屋で、ニョン婆と呼ばれる老人は現皇帝であるボア・ハンコックに進言する。

 七武海の招集──“火拳”奪還に攻め込んで来るであろう白ひげ海賊団を迎え撃つための戦力の招集を了承したハンコックを迎えに来た海軍の軍艦を、ハンコックはあろうことか拒否し、海兵の殆どをそのメロメロの実の能力で石にし、そのまま帰ってきた。

 招集に応じなければ七武海の称号は剥奪され、海軍本部の最高戦力がこの女ヶ島を襲う。“凪の帯(カームベルト)”の防御網も海楼石を船の底に敷き詰めた海軍の軍艦にはあまり効果的に働かない。

 つまり、七武海を脱退するのなら、別の者達に守って貰わなくてはならないとニョン婆は危惧する。

 

「称号を失えば、ただニョ海賊国家に戻り、惨劇を生みますぞ!!! それを回避するためには……裏で協力している()()()()との関係を表明する他ありませんぞ!!! それがお分かりなのか!!?」

 

「……そなたが恐いだけであろう」

 

 だがハンコックはその進言を断固として拒否する。

 彼女は誰からも支配されたくない。命令されたくない。特に、世界政府からは。

 ゆえにハンコックが聞く命令は、仕方がなく関係を結んでいるとある海賊団以外にない。その海賊団からも、今回の戦争は“参加してもしなくてもいい”と言われているのだ。自由ならば、政府嫌いのハンコックが参加する訳がない。だからハンコックはニョン婆を放り出し、航海の疲れを癒やし、一日の汚れを落とすために湯浴みに入った。

 

 ──だがそれが“嵐”の始まりだった。

 

 湯浴みに突如、天井から乱入してきた男はこの島に飛ばされ、既に島民と接触していたモンキー・D・ルフィ。

 彼はシャボンディ諸島へ帰るための海賊船に乗せて貰うため、なんとなしに高い建物に突入し、偶然ハンコックの絶対に見られたくない背中を見てしまった。

 そのことからルフィはゴルゴン三姉妹の次女サンダーソニアと三女マリーゴールドが相手をする極刑の“武々”に臨むことになる。

 2人の使うルフィにとっては謎の力“覇気”に苦戦し、ルフィを庇ったがために石になってしまった3人の内の1人、マーガレットが砕かれそうになってしまう。

 

「やめろっつってんだろうがァ!!!!」

 

 ──だがそこで、ルフィは無意識に“覇王色の覇気”を使ってそれを阻止する。

 

「姉様やあの人達以外に、これを使える人なんて見た事がない……!!!」

 

 サンダーソニアが言う。彼女達、ゴルゴン三姉妹にとっても、覇王色の覇気を扱える者など4人しか知らない。

 ゆえに一度は驚いたが、それでも覇気を意識的に扱えないルフィに戦闘の継続を図るが……ルフィが“ギア2”を使ってパワーアップすれば、戦闘の趨勢は僅かにルフィに偏る。

 ペースを乱され、針山の溝に落とされそうになったサンダーソニア。

 だがマリーゴールドの同士討ちを受けて燃えてしまった彼女の衣服の代わりに、背中をその身体で隠したのはルフィであった。

 そしてそこからがまた激動だった。

 ルフィに庇われたゴルゴン三姉妹は、その御礼ではないが、その望みを一つ叶えようとし、同時にその醜い本性を暴き出そうとした。自分の目的か、大して知らない知り合ったばかりの人の命か。

 だがルフィはあっさりとマーガレット達3人の命を取り、ハンコックに頭を下げた。

 その懐の広さに驚き、毒気を抜かれた彼女達はルフィを改めて九蛇城に招き、背中の印をどこで見たのかと問い質した。

 ルフィはそれを知らず、その背中の印を魚人の友達であるハチの体にあるマークと勘違いしたが……そこで現れたニョン婆が、新聞に載っていたその記事──ルフィが先日しでかした“天竜人への暴行事件”をハンコック達に教えた。

 それを聞いて、彼女達は絶句した。

 

「命を顧みず……神を恐れず……“天”に挑んだ彼らの様な者が……!!」

 

「“彼ら”って?」

 

 そこからハンコックは全てを話す。

 先程までの余裕と唯我独尊っぷりは消え失せ、顔は青ざめ、肌には汗が滴っていた。

 

「わらわ達三姉妹は……その昔……“世界貴族”の奴隷だった…………!!!」

 

「!!?」

 

 三姉妹があの奴隷になっていたと知り、ルフィも驚く。

 そこから語るのは悲惨過ぎる過去。

 子供の時に人攫いに遭い、天竜人という初めて見る“男”に非道の限りを尽くされた。

 それを話すだけでサンダーソニアは過去のトラウマから頭を押さえて奇声を発してしまう始末。彼女達3人は死ぬことばかりを考えていたと言う。

 だが彼女達は今こうして、ここにいる。彼女達は助けられたのだ。

 

「──だが4年経ったある日の夜。世界政府が青ざめる事件が起きた。天竜人には誰も逆らわない──それが鉄則の世界」

 

 そう、誰も天竜人には逆らわない。

 神に逆らうこと自体が罪なのだ。それが今の世界なのだ。

 しかし──

 

「そんな中、1人はあの“赤い土の大陸(レッドライン)”を素手でよじ登り……1人は不思議な力で聖地に軍勢を率いて乗り込む者達がいた」

 

 ハンコックは思い出す。あの日の救出劇と……惨劇のことを。

 そして2人の顔を思い浮かべた。どちらも大恩人であるその2人の名をルフィに明かす。

 

「前者は……後に魚人海賊団を率いる冒険家“フィッシャー・タイガー”。彼は魚人達を多く虐げるその町の“奴隷解放”の為……」

 

『走れ!! 二度と捕まるな!!』

 

 彼の言葉とその姿がフラッシュバックする。

 だがそれを思い出せば、自然ともう1人も思い出す。彼女もまた、今と全く変わらない姿でそこにいたのだ。

 

「後者は……“四皇”の一角“百獣海賊団”の副総督……大海賊“妖獣のぬえ”

 

「! 四皇…………ん?」

 

 微妙に聞き覚えのあるような気がして、首をかしげる反応をルフィが見せるが、そうとは知らずにハンコックは話を進める。

 

「あの人の真意は13年経った今でも分からぬが……だが彼らは暴れ回った。タイガーは種族として“人間”は嫌ってはいても、奴隷達に区別せずに何千人ものあらゆる種族を解放してくれ……同じく、ぬえさんも部下に奴隷を解放するように命じながら…………自身はあの天竜人を……惨殺し、その様子を聖地にいた多くの人々に見せつけた」

 

『ほらみんな見てるよ~♡ あなた達が死ぬところを見れるとは思ってなかったんだろうね~!! あはははは!!』

 

 この世における最恐生物の手によって直接、恐怖と苦痛。そして死を与えられる天竜人達。

 恨みのある相手であるため、可哀想という気持ちは湧いてこなかったが……ぬえに対する恐れはとても強く感じた。

 しかしそのぬえとタイガーによって聖地が炎に包まれる中、彼女達は他の奴隷と同じ様に決死の思いで逃げたのだ。

 だからこそハンコック達はぬえとタイガーに恩がある。前者は未だに交流を持っているほどだ。

 だが後者はその後に魚人や人魚の奴隷をも引き受けて隠すために“タイヨウの海賊団”を結成し、その身に奴隷もそうでない者も等しく太陽のシンボルを刻み込み、奴隷のシンボルを覆い隠した。それがタイヨウの海賊団と奴隷のシンボルが似ている理由である。

 奴隷として支配されていたハンコック達は誰からも支配されたくない。奴隷の印のことを知られれば島にもいられなくなる。

 だから彼女達は一切の隙を見せず、国を騙し、誰にも気を許せずにいたのだ。

 それを白状し、感情をも露わにしたハンコックを、ルフィは天竜人は嫌いだと言って蔑むことも気にすることもない。

 そうして気に入られたルフィは明朝、シャボンディ諸島まで送り届けて貰うことになったのだが……女ヶ島の住民との宴会を抜け出してマーガレットと共にニョン婆の家に向かったところでとんでもないことを知ることになる。

 

「“七武海”と“海軍本部”が……!!? “白ひげ海賊団”と戦う!!? 何だそれどうなるんだよっ!!」

 

 それは今の世の情勢。

 ハンコックが七武海であること。そしてその七武海を含めた政府の戦力、海軍本部と四皇の一角、白ひげ海賊団が戦うというニュースにさしものルフィも驚く。

 だが彼が真に驚き、取り乱したのはその戦争が起こると思われる……その理由だ。

 

「“白ひげ”は仲間の死を決して許さぬ男。それを知ってなお……“白ひげ”の優秀な部下ポートガス・D・エースの“公開処刑”を発表した……!!!

 

 そのエースの身柄を手土産に新たに七武海に加盟した“黒ひげ”という海賊。

 エースの身柄を大きく利用し、世界政府は遂に打って出たという事実。

 それは何の関係のない者でも驚くニュースだが……ルフィにとってはその驚きは比ではない。何しろ“エース”とは──

 

「兄ちゃんなんだよ…………!!! エースはおれの兄ちゃんなんだ!!!」

 

「!!?」

 

 そう……ルフィとエースは幼き頃に盃を交わした義兄弟。

 このままではエースが死んでしまう可能性がある。

 “白ひげ”が勝てばエースが救われることになるだろうが──その逆ならば、エースは死ぬことになる。

 公開処刑は6日後。“海軍本部”のある島“マリンフォード”にて執行される。

 ルフィがシャボンディ諸島に行くまでに全てが終わってしまう日程だ。

 とはいえエースのいる場所──大監獄“インペルダウン”には決して通常のルートでは辿り着けない。

 政府の3大機関を結ぶ政府専用の海流“タライ海流”があるが、それぞれの入り口に置かれた“正義の門”がその侵入を阻み、更に言うならインペルダウンは“凪の帯(カームベルト)”に置かれている。海賊では決して辿り着けない。

 だがルフィにそれは関係ない。重要なのは……放っておいたらエースが死ぬ可能性があるということ。

 エースにはエースの冒険がある。エースより弱い弟のルフィがエースを助けることは、ルフィにとっても葛藤してしまうものであったが──

 

「おれエースを助けに行きてェ!!!」

 

 仲間への謝意と共にその意志を明確にする。

 だがそれは茨の道だ。戦争の規模は桁違いのものである。ルフィの様なただの海賊1人、行っても何も出来ない可能性が高い。

 ルフィの意志を聞いたニョン婆は助けられる可能性が少しでも高い道を告げる。マリンフォードに行くことは自殺行為。“七武海”と“海軍大将”に守られた囚人をたった1人で助け出すなど至難を通り越して不可能だ。

 ゆえにまだ可能性がある方としてインペルダウンに行くべきだが、その方法があるとすれば、ハンコックが七武海の強制招集に応じて海軍の軍艦に乗るしか道はない。

 その可能性もまた低い。何しろハンコックは人の頼みなど本来、親切に聞くような性格ではないのだ。

 だが──麦わらのルフィの強運は並外れていた。

 

「お前!! 海軍の迎えの船に乗っておれをエースのいる“監獄”へ送ってくれねェか!!!」

 

「そなたがそれを望むなら──わらわは……どこへでもゆきます」

 

「!!!」

 

「蛇姫が!!! 中枢へ行くことを決意した!!!」

 

「東の海にはこんな諺があるという……“恋はいつでも!! ハリケーン”!!!」

 

 病に倒れていたというハンコックの病の名は“恋煩い”。そしてその相手がルフィであったのだ。

 かくしてハンコックはルフィの頼みを引き受け、七武海の強制招集を条件付きで受け入れ、世界一の大監獄“インペルダウン”へと向かうことになった。

 

 ──しかしハンコックには一つ、懸念することがあった。

 

(今回の戦争……ただではすまぬ。ルフィは戦争に参加する訳ではないが……いや、伝えて気を散らすべきではない)

 

 それは事前に伝えられている彼らの動きだ。ハンコックはそれを思い、僅かにルフィに伝えるべきか悩むが……兄を助け出すことに集中すべき今、それを伝えるべきではないとハンコックは判断する。

 インペルダウンまでは4日。公開処刑までは残り6日。それまでがタイムリミット。

 いざとなれば、()()に頼んでまでもルフィとその兄を助ける。ルフィのため、その覚悟をハンコックは静かに決めた。

 

 

 

 

 

 “四皇”が“四皇”であれる最も大きな理由として、四皇本人の圧倒的な強さが挙げられる。

 それは“白ひげ”も例外ではない──が、“白ひげ”が四皇の中で最も手強い最強の海賊として挙げられる理由には、彼自身の能力が関係しているのだ。

 

「うあああああああっ!!?」

 

「津波が……!!!」

 

「報告を……おぼっ!! はっ……船をどうにか……!!!」

 

「ああああああ~~~~~!!!」

 

 白ひげ海賊団の本船“モビー・ディック号”を監視していた海軍船23隻。

 それらは突如やってきた大津波によって一斉に沈められた。

 無論、新世界では他の海では考えられない不可思議な現象が起こる海ではある。

 だがその津波は自然のものではない。その“最強の海賊”の手によって引き起こされたものだった。

 

「オヤジ。軍艦は全部沈んだみてェだ」

 

「──ああ。これでこっちの動きが事前に知られることはねェ……今の内に動くぞ」

 

「応!!」

 

 モビー・ディック号の甲板には、白ひげの直参である16人の隊長の内の14人全員が集い、“家族”を救うための戦争の準備と計画を練っているところだった。

 当然、その中心にいるのは先程、世界を破壊する力とまで言われる悪魔の実“グラグラの実”の能力で“海震”を、津波を起こして軍艦を全て沈めた大男もいる。

 

『“白ひげ海賊団”船長“白ひげ”エドワード・ニューゲート 懸賞金50億4600万ベリー』

 

 かつて“海賊王”ゴール・D・ロジャーと渡り合った伝説の男。

 ロジャー亡き今では海賊王に最も近いとされる海賊がその男だ。

 ……だが彼も既に72歳の老人。彼の身体には複数の医療器具が繋がれており、毎日の薬で体調を何とか維持している病体であり老体だ。

 しかし彼の実力は未だ四皇の名に恥じないものだ。

 無論、文句無しに最強と称された全盛期からは衰え、昔から彼を知る息子達からはその衰えを認識されているが……それでもそこらの海賊からは全く衰えていない、出会った瞬間に命を諦めるほどには強さは健在だ。

 ──尤も、同じ四皇から見ればどうかはわからない。いや、確実に衰えてはいるし、“白ひげ”自身もそれを自覚している。

 だがそれでも息子を見捨てるという選択肢は彼には存在しない。仲間の死を決して許さない“仁義”を大切にする男。

 だからこそ彼は伝説なのだ。

 白ひげ海賊団の仲間も傘下も、そんな白ひげを慕っている。

 

「オヤジ!! ムサシの奴が……!!」

 

「!! …………そうか……」

 

 そして……そんな白ひげを慕う者の中にははみ出しものが多かった。

 だがその中でも更に際立ってはみ出しものである人物がいる。

 1番隊隊長のマルコから上がってきた報告はその人物のしでかしたことであり、白ひげの表情を険しくさせるには充分なものだった。

 その人物は白ひげ海賊団の客人として数年、船に厄介になっており、エースとも仲が良かった少女。

 白ひげ海賊団も、半ば仲間として認めていた──その素性と性格から、表向きにはあくまで客人という体だったが──相手だった。

 

 ──大監獄“インペルダウン”LEVEL6……“無限地獄”。

 

 そこは表向きには存在しない幻のフロア。

 過去、起こした事件が政府にとって不都合であったり、残虐が度を超えているような……新聞にも伏せられるような事件を起こした伝説級の犯罪者だけが収監される大監獄の最下層。

 だがそのフロアの中でも、今最も重要な囚人が──白ひげ海賊団の2番隊隊長“火拳のエース”だった。

 

「わしは死んでもこの戦いを止めたかった!!! ゼェ……あんたを救い出したかった……エースさん……!!!」

 

「……ジンベエ……もうよしてくれ。辛ェだけだ…………!!!」

 

 だがその檻の中にいるのはエースだけではない。同じ檻にはこの戦いに断固として反対し、マリージョアで大暴れした王下七武海の海賊“海侠のジンベエ”と──

 

「全く……我としたことが失敗した……!!! エース……すまん……我が救い出せていれば…………いや、そもそも黒ひげ相手へ加勢するなりして、どうにかしていれば……」

 

「……ムサシ……こうなったのはおれのせいさ……お前のせいじゃねェ……なのに、お前まで捕まっちまって……」

 

 そう、そこにいたのはムサシという名の小柄な──二本の角の生えた少女だった。

 

『自称“白ひげ海賊団”2番隊副隊長“狂獣のムサシ” 懸賞金5億3400万ベリー』

 

「ははは……気にするな……!! これしきの拷問、我は()()()()()……!! 全く効いていないからな……!! それよりも……どうにかしてお前を救う方法を考えている。だからもう少し辛抱していてくれ……」

 

「……ムサシ……」

 

 鎖に繋がれ、血まみれになりながらも笑う少女は数年前、エースの船に乗って共に白ひげ海賊団に挑みかかったエースの仲間。

 エースを救うため、エースを護送していた海軍の艦隊5隻にたった1人で襲撃をかけ、内2隻までも沈めたがそこで捕らえられてしまったその少女。

 だが、一度はそこから逃げて今度はインペルダウンに襲撃を掛け、軍艦を3隻ほど沈めたが捕らえられ、インペルダウンの最下層、エースやジンベエと同じ檻に入れられてしまったのだ。

 だが未だ諦めず、今度はここから逃げてエースを救うために頭を回している少女に、エースは辛くなる。幾ら身体が丈夫だとはいえ、同じ様に捕まってしまい、拷問を受けているムサシに罪悪感を感じてしまっている。

 自分など……やはり救われる価値もないのだと。

 

「……ああ。その通りじゃ……わしもまだ希望は捨てておらん……“奇跡”と“チャンス”を……わしは信じている!!!」

 

「…………!!!」

 

 だが諦めていないのはムサシだけではなくジンベエもだった。ジンベエはムサシに同調する。ムサシの素性を知っているため、複雑な思いはあるが、親のしたことに子供は関係ないとジンベエはムサシにそれほど悪感情を抱いてはいなかった。

 

「クハハハ……シャバは……随分面白ェ事になってる様だな……“白ひげ”を討ち取るにゃあまたとねェ好機ってわけか……!!! こりゃあさすがに血が騒ぐ……!!!」

 

「…………!! 貴様……!!!」

 

「……お前がオヤジの首を取るだと……!?」

 

「おれだけじゃねェさ……!!」

 

 そして彼らの会話を聞いて、LEVEL6の囚人たちが色めき立つ。

 “白ひげ”を殺せ、あいつの首を取る、“白ひげ”の時代を終わらせてやる、あの野郎が死ぬのは最高だ──彼らは恐れずそんなことを口にして騒ぎ出す。

 

「ムサシ……ジンベエ……“火拳”……!! よォく覚えておけ……!! “白ひげ”や“ロジャー”に勝てなかっただけで涙をのんだ“銀メダリスト”達は……この海にゃァごまんといるんだぜ!!! クハハハハ!!!」

 

「……ふん……元七武海風情がよく吠える……」

 

 ──エースの公開処刑まであと33時間。

 ムサシはエースの為に諦めず、次の手を考え続けていた。

 だが事態は思わぬところから揺れ動く。

 特別面会にやってきた王下七武海の1人──ボア・ハンコックの手によって。

 

「!? (ハンコック……!? なぜここに…………まさか……父か母の指示か……?)」

 

「……! (あれは……ムサシ……!! なぜここに捕まっておる……!? このことをぬえらは知っておるのか……?)」

 

 エースの面会にやってきた先で、互いに面識のある相手にあったことで僅かに表情が揺らぐ。だが反応する訳にも挨拶する訳にもいかない。彼女達2人に面識も関係もない筈なのだ。

 ゆえにハンコックは一瞥するだけに留め、囚人や看守らが監獄所長マゼランの毒に怯えている隙に話を終わらせる。そして、それを聞いたエースはジンベエとムサシにそれを伝えた。

 

「──弟が……!! ……ここに来てると…………!!!」

 

「!? “麦わらのルフィ”が……!?」

 

「…………あんたがいつも話してくれる……麦わらのコかい……!! 無茶な……」

 

 そう──ハンコックの手引きでインペルダウンへ侵入を果たした麦わらのルフィは今まさに地獄を下に下に降りていた。

 

「やったァ~~~!!! 地獄の化け物討ち取ったァ~~~!!!」

 

 インペルダウンLEVEL3“飢餓地獄”。

 懸賞金5000万ベリー以上の屈強な犯罪者が集うその地獄で、麦わらのルフィは捕まっていたバギー、Mr.3、Mr.2を仲間に加えて獄卒獣ミノタウロスを倒したところだった。

 既に侵入者1人と脱走者3人が出たことは所長のマゼラン以下、全署員と外の海兵にまで知られている。

 ──そしてそのことを、ムサシは僅かながら感じ取っていた。

 

「……来るな……ルフィ……!!!」

 

「…………(確かに、上の方から強い気配と複数の気配を感じる……おそらくはマゼランが署員達を連れて動いたな。ハンニャバルや獄卒獣もいる。麦わらのルフィが何とかここまで来て鍵を開けてくれれば3人ほど連れて逃げるのは難しくはない……が、マゼラン相手に逃げてここまで来るのは…………)」

 

 生まれつきの強い見聞色の覇気により、ムサシはかなり上の方にある動く気配を感じ取ってそれを事態の対処に動いたマゼランと署員達だと推察する。ここからエースを連れて逃げるためにはどうしても手錠や檻が邪魔だ。それを何とかするのに今一番良い方法は外にいるであろう麦わらのルフィにどうにかしてもらう方法だが、マゼラン相手に勝つことは難しく、逃げてここまで来るのもかなり難しいだろう。

 あるいはこの上のフロアから感じる男でも女でもない別の気配に期待するか──今は他力本願しか出来ないことにムサシは歯がゆい思いを抱いた。

 

 

 

 

 

 ──エースの公開処刑まで残り32時間頃。

 

 新世界の海で、その事件は起こった。

 

「…………」

 

 その荒れ狂う海を行く船の名前は“レッド・フォース号”。掲げる旗は“三本傷の髑髏”。

 それは新世界に名だたる“四皇”の一角、“赤髪海賊団”の証だ。

 甲板にはその名だたる幹部が揃っている。彼らは他の四皇ほど船員や傘下の数も多くはないが、懸賞金のアベレージも高くバランスの良い鉄壁の海賊団。

 組織は当然拡大し続けているが……四皇の中では、少数精鋭という言葉が似合っていた。

 そしてその名だたる幹部陣を率いて甲板で遠くの空を眺める赤い髪の男がいる。左目に三本傷。そして左腕がない隻腕の男である彼こそが、怒らせると手に負えないとまで言われる四皇の1人。

 

『“赤髪海賊団”大頭”赤髪のシャンクス” 懸賞金40億4890万ベリー』

 

「……見えたか?」

 

「ああ。ありゃあ相当いるな」

 

「数は……軽く1000はいるな……ったく、相変わらずなんて出鱈目な能力だ」

 

 赤髪のシャンクスは鋭い目で未だ見えない雲間にいるそれを見聞色の覇気で感じ取り、傍らにいる幹部たち──昔からの仲間にそれを聞いた。優秀な副船長ベン・ベックマンがそれに頷き、優秀な狙撃手“追跡者”の異名を持つヤソップもまた遠い水平にいる気配を感じ取るほどの極めた見聞色によってその数を言葉にし、歯噛みする。あれほどの数を相手にするのは面倒と言う他なかった。

 

「お頭ァ!! 電伝虫に連絡が来たぞ!!」

 

「来たか……貸してくれ」

 

 そして赤髪が持つ電伝虫に通信が入ったと骨付き肉を持った太った男、優秀な戦闘員でもある幹部ラッキー・ルウがそれを伝える。シャンクスは動じることなくそれを厳しい表情で受け取った。

 

「──おれだ」

 

『あ、もしも~し。こちら新世界のアイドルこと私だよ~』

 

 電伝虫から声が伝わってくる。その声は少女の、言うなら可愛らしい声だ。

 だがシャンクスとその幹部達はその声の持ち主がどれだけ厄介な相手かを知っている。その悪辣さも。

 ゆえに鋭い声のまま応じた。シャンクスの覇気の籠もった表情と声色は赤髪海賊団の新入り達が汗を流してしまうほど。それも相手が相手なだけに甲板には緊張が走っていた。

 

「何の用だ」

 

『何の用? ──ふふっ、あははは……!! それはこっちのセリフでしょ?』

 

「……何の事だ?」

 

 シャンクスは電伝虫の相手に用件を尋ねる──が、その返答は含み、そして可笑しいと言わんばかりの笑い声となって返ってきた。

 どういう事だとシャンクスはそのセリフが返される意味を問うが、それに大して相手はほんの少し、声を低めに落とした。

 

『とぼけてんじゃないわよ。私達の動きを事前に察して、それを止めようと動いてたのはそっちの方でしょ?』

 

「! ……そうか……気づかれていたか」

 

『当たり前よ。私を誰だと思ってるの?』

 

「わかってるさ。嫌という程にな……“妖獣のぬえ”

 

 シャンクスはその相手の名前を口にする。新入りの船員達が喉を鳴らした。──やはりあの“妖獣”だ、と。

 怪物“カイドウ”の兄姉分であるその名前は新世界で知らない者のいないほどに有名だ。赤髪海賊団の中には、一度百獣海賊団のナワバリに入って痛い目に遭った者も少なくない。彼女の姿を見ることは難しくても、彼女の脅威はナワバリに入れば嫌でも感じることが出来るのだ。

 そしてシャンクス達幹部陣にとっても、百獣海賊団には苦い思い出がある相手だ。同じ四皇とはいえ気を抜く余裕はない。情報をお互いに握っていたことを、シャンクスもぬえも互いに口にして悪態をつく。

 

『あなたが四皇になって4年。勢力を伸ばす私達を弱体化させようとコソコソと動き回っていたことなんてバレバレだってのよ』

 

「そうか。それで、その動き回っていたネズミは捕まえられたのか?」

 

『あはは……!! バランサー気取りのガキが……随分と調子に乗ってくれるじゃない……!!!』

 

 シャンクスが軽く挑発すると電伝虫の向こうから剣呑とした気配が声色から伝わってくる。よっぽどそのことが腹に据えかねるのだろう、赤髪海賊団は知らないことだが、ぬえがそういうイラつきを見せるのは珍しい。

 というのも事実、赤髪海賊団は勢力を増す百獣海賊団の戦力を少しでも削ごうと遠回しな嫌がらせを続けていた。小競り合いにはギリギリならない程度の迂遠な工作であり、被害も直接的なものではなかったりするが、それが4年も続けば勢力の拡大は遅れ、苛立ちもする。

 しかも赤髪海賊団は百獣海賊団やビッグ・マム海賊団の様に本拠地を設けていないため、他の四皇より捕捉することが難しい。情報もあまり入ってこない上、様々なことをなぜか知っているぬえにしても、赤髪海賊団の情報はあまり掴めていない様だった。ゆえに百獣海賊団は赤髪海賊団に対して強くはないが小さくもない苛立ちを抱えている。

 とはいえ、その苛立ちに怯えるのは赤髪海賊団よりも百獣海賊団の下っ端達であった。その恐ろしさをよく知っているため思う。カイドウやぬえからヘイトを集めるなど考えただけでも恐ろしい。基本歯向かってきた相手は殺さずに部下にしようとする2人だが、その怒りを受け、“敵”と認められた相手で生きてる相手は少ない。その少ない敵の1人が“赤髪”だった。

 

『……ま、でも敵としてちゃんと立ち塞がってることだけは褒めてあげる。あんまり弱い奴ばかりだと海賊として張り合いがないからね……!!』

 

「それで、()()やる気か」

 

『そうよ』

 

 シャンクスは電伝虫の受話器を持ちながら、遠くの空──その雲間から次々と現れる飛行物体を見て言う。船員達がざわついた。その飛行物体そのものもそうだが……何よりも、その数に。

 赤、青、緑、虹色──それぞれのUFOが赤髪海賊団の進路を阻むように現れる。

 

『全部で約1000機。私が一度に生み出せるUFOの実に半分があなた達の相手よ……!!』

 

「……!! ……随分と、大仰な出迎えだな」

 

『それだけあなた達を評価してると思っていいわ。勿論、この程度であなた達を海の藻屑に出来るなんて思ってないけど……時間稼ぎにはなるよね♡』

 

「!!」

 

 空を埋め尽くすように現れたぬえの能力で生み出されたUFO千機。それら一つ一つを潰すのは一定の実力があれば難しくない。

 だがUFOは空を飛んでいて、大砲を当てることは難しい。攻撃手段も限られる。

 そしてその数。遅れをとることはないが、如何に四皇“赤髪海賊団”とはいえ、時間を取られることには違いない。

 そしてそれは、赤髪海賊団の参戦を遅らせるのに充分な時間だった。

 

『あはははははは!!! まあゆっくりとそこで感じてなさい!! 明日は最高のショーになる!!! もう誰にも予想出来ない……最高の世界になるわ!!!』

 

「……ぬえ……!!」

 

「! 来るぞ!!」

 

 電伝虫越しに、ぬえは大仰にそれを宣言する。同時に、一斉にUFOが赤髪海賊団へ攻撃を始めた。

 シャンクスが強い意志を、そんなことは絶対に許さないという意志を込めてぬえの名前を呼ぶ。それに対して、ぬえは笑って返答した。

 

『ふふ、止めたいって言うなら別に構わないわよ。弱い人も強い人も大歓迎♪ パーティへの参加はご自由に♪ ──でもあんまり遅いと……参加者が少なくなってるかもだけどね!!』

 

「……そうはさせない。お前達は、おれ達が止めてみせる……!!!」

 

『期待してるわ。辿り着いたのなら相手してあげるから精々頑張ってね♡ ──それじゃ』

 

 プツッ、と電伝虫が切られる。

 シャンクスは事態が思ったより逼迫していると感じ取り、全身に覇気を漲らせた。剣を抜き、仲間に向かって号令を掛ける。

 

「止めるぞ!! UFOに対処しながら全速力で駆け抜ける!!!」

 

「おお!!!」

 

 大頭の号令に船員達が応え、赤髪海賊団は空を埋め尽くすほどのUFOとの戦いを開始した。

 

 ──そして、物語は一気に加速していく。

 

「おれ行くよ!!! “海軍本部”!!!」

 

「おれの能力があれば……おれもお前もここから抜け出せる。悪い話じゃねェハズだ。互いにメリットがある」

 

「後生の頼みだ!!! わしも連れて行ってくれ!!! 必ず役に立つ!!!」

 

「また会ったな“麦わらのルフィ”!! 我もエースを助けたい!!! そのための戦力となるゆえ、ここから出してくれ!!!」

 

「このインペルダウンにいまだかつてナッシブルな大パニッカブルを起こサーブルのよ!!!」

 

「ウォオオオオオオオ~~!!!」

 

「さァ野郎共!! 今こそが最大の好機!!! シャバの空気を吸いたけりゃ命懸けで暴れ回れ!!! キックオフだァ!!!!」

 

「ウォオオ!! おれ達の救世主!!! キャプテン・バギー!!!」

 

「ゼハハハハ!! どうせ死を待つだけの余生……!! どうだお前ら!! 一丁檻の中で殺し合いをしてみねェか!!! 生き残った奴らをおれの仲間としてシャバに連れ出してやろうじゃねェか!!!」

 

「…………“白ひげ”と海軍の戦争か……」

 

「生きてやがったか……“鬼の跡目”と呼ばれた男……!!!」

 

 インペルダウンにて、未だかつてない大脱走劇が幕を開く。

 だがその数時間後──誰もが耳を疑う発言が全世界に発信されるのだ。

 

「お前の父親は!!! “海賊王”ゴールド・ロジャーだ!!!!」

 

「!!?」

 

 海賊王の血筋が生き残っていたという衝撃事実。

 そしてその後にやってきたのは──新世界の海賊達。白ひげ傘下の大船団。

 

「グララララ……何十年ぶりだ? センゴク」

 

 その総勢47隻と50000人。

 14人の隊長達と名だたる傘下の海賊を率いて現れるのは……今なお語られる伝説の男。

 

「おれの愛する息子は──無事なんだろうな……!!!!」

 

 四皇──“白ひげ”エドワード・ニューゲート。

 

「勢力で上回ろうが勝ちとタカをくくるなよ!! 最期を迎えるのは我々かも知れんのだ…………あの男は」

 

 ──世界を滅ぼす力を持っているんだ!!!! 

 

 海軍本部元帥センゴクのその声と共に大津波がやってくる。

 攻め入る四皇“白ひげ海賊団”と迎え撃つ“海軍本部”と“王下七武海”。

 誰が勝ち、誰が敗けても時代が変わる頂上決戦は──参加者を欠いた状態で始まった。

 ゆえに本当の“頂上決戦”が始まったのは戦争から一時間が経った頃。

 麦わらのルフィ率いるインペルダウン脱獄者達に政府の人間兵器パシフィスタの部隊。

 映像電伝虫が切れた段階──本来、“白ひげ”が傘下の海賊に刺されたであろうタイミングに始まった。

 

「!!!」

 

 巨大な何かが──空から落ちてくる。

 

「なんだ!? どこから飛んできた!!?」

 

「化け物か……!!?」

 

 強き者は生き……弱き者は死ぬ……!!! 

 この世はただ……それだけだ。

 

「アア~~……やっぱり……死ねねェもんだな……!!!」

 

「!!!」

 

「あ……あれは……!!!」

 

「!!? まさか!!」

 

 男は──「死に場所」を探していた。

 

「センゴク元帥!! 報告します!!! 左翼から……ビ……“ビッグ・マム海賊団”の船が!!!!

 

「ほ、報告!!! 空から多数のUFO!!! そして……“百獣海賊団”!!!!

 

「金色の船もあります!!! あれは……ま、まさか“金獅子”の……!!!?

 

「なっ──!!?」

 

 彼について話すならば……海賊として7度の敗北を喫し──海軍、又は敵船に捕まること23回。拷問に次ぐ拷問を受け罪人として生きてきた。

 彼は今……“自殺”をしたのだ。世にも珍しき空島からの飛び降り自殺……そして、頂上戦争という戦いの中心に飛び込み、己を殺せるかもしれない敵へと戦いに挑むことで。

 もう一度言うが、たった1人。あるいは()()で海軍及び四皇に挑み、捕まること23回。1000度を超える拷問。60回の死刑宣告。

 時に首を吊られるも鎖は千切れ、時に断頭台にかけられるもその刃は砕け、串刺しにするも槍は折れ……結果沈めた巨大監獄船の数は18隻……!! つまり──

 

「久し振りだな……“白ひげ”のジジイ……!!!」

 

 誰も彼を……殺せなかった……!!! 

 ──そしてそれは彼自身も然り……!! 

 趣味は“自殺”。男の名は──

 

「カイドウ……!!!」

 

“四皇”──“百獣のカイドウ”

 

 “一対一(サシ)でやるならカイドウだろう”口々に人は言う。

 陸海空……生きとし生ける全てのもの達の中で……“最強の生物”と呼ばれる海賊……!!! 

 

「さ、ショータイムよ♡ かいぞくしろひげ♪ オニよりこわい♫ ……なんて、そんな童謡も知られてるけどさ。本当に()()より恐いのか……世間の皆には、それを確かめて貰わないとね!!!」

 

「ああ……急げ野郎共!!! この退屈な世界を壊すために……世界最高の戦争を始めるぞ!!!!」

 

 ──この瞬間、全ての“運命”は破壊された。




原作→死亡。ダイジェストも多分、今回が最後です。
ハンコック→恩人は2人。片方は複雑。
ムサシ→1人で海軍の艦隊を2回襲撃したけど捕まってLEVEL6送り。脱獄騒動に加担した。自称副隊長。
赤髪海賊団→百獣海賊団からヘイトを集めてる敵。懸賞金が2年後なのはそれだけ暴れる回数が多かったということです。
UFO→ぬえちゃんが一度に出すことが出来るUFOは2000機。これでナワバリを哨戒させて守ったり、色んなことに使ってます。なお、壊しても壊した先から生み出せます。便利。
黒ひげと謎の囚人→最強厨は仲間にしない。
頂上戦争→頂上戦争だよ、全員集合。赤髪以外は揃いました。乱入タイミングは57巻の終わり、スクアードが出てきて刺される前です。それまでは大体同じ。(ムサシがミホークに挑みかかったりするくらい)
カイドウ→軍団の補給と移動用に持ってきた空島から自殺。でも真の自殺が出来るかどうか楽しみ。ルフィ達原作視点だと初登場がここになる。
ぬえちゃん→赤髪におこだったり、パーティの幹事を務めるぬえちゃんかわいい。

真・頂上戦争編が開幕。エース救出どころじゃない。メチャクチャです。原作終了のお知らせ。次回は色々啖呵を切ったり、反応を見せたりで戦争の始まりです。

感想、評価、良ければお待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。