正体不明の妖怪(になった男)、情緒不安定な百獣の腹心になる   作:黒岩

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「一体どういうことだ!!!」

 

「……!!」

 

 ──聖地“マリージョア”。

 世界政府という一大組織の拠点にして世界の中心とも言えるその土地。その巨城の一室で怒号が響き渡った。

 

「お前達は何の情報も掴んでいなかったと言うのか!? こうなるまで!!」

 

「……申し開きもありません……!! “カイドウ”と“ビッグ・マム”の接触までは情報を掴んでいましたが、“金獅子”を含めての同盟の情報は掴んでおりませんでした……!!」

 

「掴んでいなかったで済む問題ではないぞ……!! 総監はどうした!? ここに呼んで説明しろ……!!」

 

「は……それが、どういう訳か連絡が取れず……!!」

 

「!! まさか……」

 

 権力の間で頭を垂れるのは仮面を被った白いスーツの男。天竜人の最強の護衛にして世界最強の諜報員“CP0”の職員であり、その前で怒りを顕にしたのは世界政府の最高権力“五老星”だ。

 彼らは今、海軍本部で行われている頂上戦争、その計算外の事態を聞いて誰もが顔を青褪めさせていた。同盟だけではない、その情報を得られなかったことも問題だ。

 

「……裏切ったか……」

 

「その真偽はともかく、情報が得られていないのは我らにとって痛恨の失態だ……!! 裏切っていなかったとしても最早そのままにしておく訳にはいかん」

 

「ああ。だが今はそれよりも……この苦難をどう対処する? 奴らの目的は海軍及び世界の秩序の崩壊……次にここを襲撃してくるのは明らかだ」

 

「“白ひげ”と“海軍”が勝てばその心配はなくなるが、期待は出来ん……“ロックス”め……死んでなお我らの脅威であり続けるか……」

 

「どうにかせねばなるまいな……とりあえず、CPは今の内に万が一に備えて準備をしておけ」

 

「はっ……天竜人の方は如何しましょう?」

 

「神の騎士団に招集を。それ以外は……放っておけ」

 

「はっ……ではすぐに」

 

「うむ」

 

 五老星の指示によってCP0の諜報員は権力の間を後にする。彼らは天竜人の盾であり矛でもあるが、その命令にも優先度というものがある。

 天竜人の意向は最優先だが、彼らが何よりも聞かなければならないのは表向きの頂点ではなく裏の頂点だ。

 

「……()()()と我々以外は切り捨てる他あるまい」

 

「ああ。万が一の時には、最期に良い囮になってくれるだろう」

 

「遺憾ながらそれしかあるまい……“ビッグ・マム”に“金獅子”……それに何より“カイドウ”に“ぬえ”だ……!! 奴らを相手にしては最悪の事態もありうる……!!」

 

「それを許すわけにはいかん」

 

「ああ。急いで対応しよう」

 

 そしてそれは五老星も同じ。

 彼らは世界の秩序を維持する役割を担うが、誰もが己が頂点だとは思っていないし、成り代わるつもりも毛頭ない。

 ゆえに彼らはCP0と同じ様にただ1人の頂点を守り、その御方の方針で動くのだ。

 

「今は緊急事態だ。連絡はどうなっている?」

 

「ちょうど今繋がった。──聞こえているかね?」

 

『──はい』

 

 そして彼らもここで最悪に備えて動き始める。

 CPに命令を与えた後はすぐに電伝虫でとある者に連絡を取った。

 

「状況は知っているとは思うが……君に頼みたいことがある。理解してくれるかね?」

 

『……ええ。ですが、止められる保証はない。今の内に逃げることを勧めます』

 

「その準備も進めているが、最善は君のところで止めることだ。君ならば奴らと同じ──“四皇”という立場がある。参戦しても不自然さはあるまい」

 

『…………最善は尽くします』

 

「頼んだぞ」

 

 ガチャ、と電伝虫が切られる。それと同時に、五老星は立ち上がって権力の間から出ていく。

 幾つもの隠している手札を切るしかない非常事態。その証拠に彼らの表情に余裕はなく、足早にその場所へと向かっていく。

 

「──イム様……!!」

 

 そう、その場所はパンゲア城の中心である“虚の玉座”。

 かつて世界を創造した“最初の20人”がその玉座の前に武器を刺し、誓いを立てた。この世界にたった1人の王はいないという“証”。

 世界会議の前にはその20本の武器がある玉座の下の段に各国の王が武器を刺す──そうすることで“平等”と独裁の欲を持たないと誓うのだ。

 ゆえにその玉座には誰も座ってはならないとされている──表向きには。

 

「“五老星”──ここに!!!」

 

 ──だがその者は“虚の玉座”に腰掛ける。

 世界政府の最高権力者とされる五老星すら片膝を突き頭を垂れるその相手こそが正真正銘、世界の王だ。

 たとえ崩壊する直前であってもそれは変わらない。

 

「覚悟は……お決まりでしょうか?」

 

「…………」

 

 落日の日は近い。

 その時、彼らは何を思うのか……それは余人には知り得ないことだった。

 

 

 

 

 

 海軍本部“マリンフォード”ではその日、ありえない事が起こった。

 

「本当に良いのか!? 今はエースを助けなくても……!!」

 

「分からねェ……だがオヤッさんが決めたことだ!!!」

 

「海賊と手を組むなんて……!!」

 

「……だが、そうせねば“正義”を守ることは出来ん!!!」

 

 海賊と海兵は誰もが疑問視する。当然だ。海賊にとっては海兵は相容れることの出来ない“敵”であり、海兵にとっても海賊は秩序を乱す“悪”でしかない。

 互いの信念が交わることはなく、どちらかが死ぬまで争い続ける──そんな間柄であったのだ。

 それは今も変わらない。

 

「“白ひげ海賊団”と協力し、周囲の敵を倒せ!!!」

 

「海兵と連携しろ!! 奴らを倒さなきゃどの道逃げられねェ!!!」

 

 だが──共通の敵の存在。それが彼らを一時的に結ばせる。

 敵の敵は味方。どちらにとっても邪魔であり脅威である存在を排するため、“白ひげ海賊団”と“海軍本部”は肩を並べる。

 

「“同盟”を蹴散らせ~~~~!!!」

 

「ウオオオオオオオオオオ~~~~~~!!!」

 

 そうして士気を高め、彼らは共通の敵である“海賊同盟”へと向かっていく。

 互いに敵であったからこそ、その強さは理解している。味方であればどれほど頼もしい存在であるかも。

 

「こいつら……勢いを取り戻しやがった!!」

 

「海軍と“白ひげ”の同盟なんてありえねェ!!」

 

「やべェぞ!!」

 

 そして敵である海賊達もまた、追い詰めていた筈の彼らが肩を並べて息を吹き返したことを恐れる。“海軍本部”に“白ひげ海賊団”。そのどちらも長年、自分達の壁として君臨し続けた存在だ。

 世界の秩序を守り続けた二大組織が手を組めば、どれほど脅威なのか──海賊である彼らは誰もが理解出来る。

 

「グララララ……腕は落ちてねェよな!! ガープ!!」

 

「誰に言っておる!! 死に損ないよりはマシじゃわい!!」

 

 広場の中心では二人の伝説──“白ひげ”エドワード・ニューゲートと“ゲンコツのガープ”が不敵な笑みを携えた背中を預け合う。その近くには“仏のセンゴク”もいた。

 大海賊時代以前の時代で猛威を振るった彼らが協力している姿は、何よりも海賊達の心に畏れを感じさせる。彼らに心を折られた海賊は数知れず、腐るほど存在した。

 だが──

 

「──狼狽えるな野郎共!!!」

 

「!」

 

 怪物は何も敵だけではない。

 “白ひげ”と“海軍”が世界の秩序を守ってきた伝説の怪物なら──こちらは世界を破壊してきた伝説の怪物だ。

 

「死に体のジジイ共が手を組んだところで恐れる必要はねェ!!! 今の最強はおれ達だ!!!」

 

「ママママ!! そうさ!!! どの道、どっちも叩き潰すんだからねェ!! 情けない姿見せるんじゃないよ!!!」

 

 そう、それは秩序に抗ってきた最悪の怪物達。

 互いに“白ひげ”と同じ“四皇”──“百獣のカイドウ”と“ビッグ・マム”シャーロット・リンリン。

 

「あはは♡ 良い展開なのは認めるけど、その程度じゃ私達の恐怖に勝てないんじゃないかな~~~?」

 

「ジハハハ……!! おれ達から逃げられるとでも思ってんのかァ!!?」

 

 加えて“妖獣のぬえ”や“金獅子のシキ”の脅威も健在。戦力差による海賊同盟側の圧倒的な有利は、たとえ白ひげと海軍が手を組もうとも覆せない。

 

「そうだ!! やっちまえ!!!」

 

「“白ひげ”と“海軍”が何だってんだ!! こっちは“百獣”に“ビッグ・マム”に“金獅子”だぞ!!!」

 

「過去の伝説が調子に乗ってんじゃねェよ!! 終わらせてやる!!」

 

 そして彼らもまた“四皇”の海賊団の一員である猛者達だ。百獣の群れの長やお菓子の国の女王を頭に持つ彼らは、それが健在である限り戦意を衰えさせない。“海賊王”になって世界を支配するのは自分達のボスだと信じて疑わない。

 

「ハァ……ハァ……おれはまだ死なねェよ……!! おれが死ぬこと……それが何を意味するか……おれァ知ってる……!!!」

 

「…………」

 

 だが白ひげは闘志を絶やすことはない。

 寿命は近く、敵は強大。状況は絶体絶命。

 しかし、だからこそ彼は家族を守るために死ぬわけにはいかないと残り少ない命を燃やして身体を動かす。

 

「……だったらせめて……息子達の明るい未来を見届けてやらねェとおれァ死ぬわけにはいかねェじゃねェか……!!!」

 

 絶望の淵に立ち、息子達を未来へと送り届けるために白ひげは未だ怪物として怪物の前に立ちはだかる。

 その姿を処刑台のエースが、戦場にいる家族が、味方となった海兵が、敵が見ていた。

 カイドウでさえ、無言でその姿をじっと見ていた──だが、その啖呵を聞いて口を開く。

 

「あくまでも諦めるようなことはしねェか……覚悟は決まってるようだな“白ひげ”……!! 肉体が死のうとも動き続けるお前を見てると思い出す……」

 

 カイドウは白ひげの姿に昔に殺したとある男を回想した。それは白ひげにとっても関係のある偉大な男のこと。

 

「おれに傷を負わせ……見事な死に様を見せた()()()のことをよ……!!!」

 

「!! カイドウ……!! てめェはやはり……」

 

「……!!」

 

 カイドウの言葉に白ひげを含めた白ひげ海賊団の、それも30年近く昔からいる古株の船員らが反応する。

 彼らにとって侍と聞いて最初に思い浮かべるのはかつて白ひげ海賊団の2番隊隊長としてこの海で暴れ回り、その後に“海賊王”ゴールド・ロジャーと最期の航海を共にした人物。

 その人物の死に様という言葉を耳にした彼らは、半ば予想しつつあったその真実に歯を噛み締めた。過去のことであり、半ば予想していたこととはいえ、それでもなお彼らの心に怒りと悲しみが浮かび上がる。

 しかしこの状況において彼らに嘆き悲しんでいる暇はない。そして過去のことであるからか、その事実は静かに受け止められた。

 

「……そうか。おでんはてめェにやられたか……」

 

「ああ。あいつは強かった……!! そして見事な死に様を見せつけやがった……」

 

 そして彼を殺した張本人であるカイドウでさえも、惜しいと思う相手。

 バカ殿ではあっても、その強さは認めていた。

 死に瀕することがなくなったカイドウが、唯一死にかけたその相手にカイドウは自分なりの敬意を抱き、彼を讃える。

 

「お前もあいつの強さはよく知っているだろう!! あいつでさえ、このおれを殺すことは出来なかった……!! 老いたお前があいつを超えておれを殺すことは出来ねェだろう……!!」

 

 昔であればともかく、強くなったカイドウに老いて衰えた白ひげが勝てる道理はない。

 白ひげでさえ理解しているそれをカイドウは口にした。

 

「ましてや兄姉(きょうだい)に殺されたお前の死はもう時間の問題だ……だがそれでも戦おうとするお前を讃えてやる!!!」

 

 そしてカイドウは金棒を構えて告げる。

 

「おれがとどめを刺してやることでな!!!」

 

「……!!」

 

「──オヤジ!!!」

 

 覇気の込められたカイドウの金棒が白ひげを殺そうと振るわれる。既にこの戦場で何百人もの人間を屠っているその凶器が、白ひげの薙刀と激突して衝撃波を撒き散らす。受け止めることは出来たが、白ひげは力負けをしてしまい数歩後ろに下がってしまう。多くの船員がそれを心配した。だが、

 

「……確かに、もうおれ1人じゃてめェには敵わねェかもしれねェ……だが忘れるな。今の相手はおれ1人じゃねェ……!!!」

 

「その通りじゃカイドウ!!!」

 

「!」

 

 その言葉と共に、数歩後ろに下がった白ひげと入れ替わってガープが前に出る。カイドウの懐に入ってその拳を振るおうとしたが、

 

「マ~マママ!! おれの方は無視かい!? 寂しいねェ!!!」

 

「マズい!! “ビッグ・マム”が!!」

 

 もう1人の怪物、“ビッグ・マム”がナポレオンを手にガープを叩き切ろうとする。

 だがそれには戦場に出てきたもう1人の伝説の海兵が対処した。

 

「させん!!!」

 

「! ハハハ……センゴク~~!! その姿は久し振りに見るねェ……!!」

 

「!? センゴク元帥が能力を……!!」

 

 ビッグ・マムと変わらない巨体。光り輝く大仏となり、ビッグ・マムの一撃を拳で止めたその男は“仏のセンゴク”。

 ヒトヒトの実の幻獣種。モデル“大仏”という自然(ロギア)系よりも珍しいその能力を解放し、センゴクは最初から全力で戦闘に入る。そうしなければならない相手であることに間違いはないし、手を抜いている余裕はなかった。

 そして衰えているとはいえ、未だに大将クラスかそれ以上の実力を持つ彼らを退けるのは如何にビッグ・マム、カイドウとはいえ簡単なことではない。

 ましてやそれが複数人いれば──

 

「!!!」

 

 ──怪物を止めることも出来る。

 ガープの拳がカイドウの腹を殴ると、カイドウは数メートルほどその衝撃で後退させられた。

 たった一撃。それもカイドウはさして効いていない様子だが、それでも一撃を与え、誰も止めることの叶わなかった最強生物を僅かでも下がらせたのだ。それだけでも白ひげ海賊団及び海兵達の士気は上がる。

 

「……なるほどな……」

 

 しかし、それでも状況が厳しいことは白ひげ、ガープ、センゴク、大将に隊長、多くの将兵含めて誰もが理解している。

 平然としているカイドウを見ればそれは明らかだ。状況はまだ圧倒的な不利。

 

「確かに、お前らを消すのは簡単じゃねェ……少し時間が掛かるが……だがお前ら以外の連中はあまり保たねェぞ?」

 

「っ……!」

 

 カイドウは不敵な笑みを浮かべて彼らに告げる。彼らもまた、それを理解しているがゆえに表情は未だ厳しいものだ。

 そう、カイドウやビッグ・マムをここで止めたところで相手側の戦力に対してこちらの戦力は少ない。

 “金獅子”がいて、大看板に将星、飛び六胞や大臣、裏切った七武海の二人など多くの猛者達が未だ健在である。

 そして何よりも、カイドウがそう告げた原因は自分が最も信頼する兄姉分にあった。

 

「ウチのぬえは黄猿程度じゃ止められねェ……!! おれ達がお前らを殺すよりも早く決着がつくだろう!! お前らが全滅するのも時間の問題だ!!!」

 

「ハ~ハハハマママママ!! 相変わらずお前とぬえは仲が良いねェ!! ──だがその通りさ“白ひげ”!! ガープ!! センゴク!! お前らが相手しねェならぬえがここに来るのも時間の問題だねェ!!!」

 

「出来れば、あいつが来るまでにお前らの死体を作っときてェがな……!!!」

 

「……!!」

 

 そう言って、カイドウもまた己の兄姉(きょうだい)に負けまいと目の前の猛者達を屠るためにビッグ・マムと共に襲いかかる。

 その場の誰もがぬえの勝利を疑っておらず、広場で戦う怪物達はそれぞれの立場によって様々な表情を見せつつ、目の前の戦いに臨んだ。

 

 

 

 

 

 戦場は今や地獄だ。

 白ひげ海賊団と海軍本部、王下七武海の戦争は私達の手によって真の頂上戦争へと変貌した。

 私達百獣海賊団にビッグマム海賊団と金獅子海賊団を加えた海賊同盟と白ひげ海賊団と海軍本部の即席連合軍の決戦。この世の秩序を破壊し、新たな時代を作り上げるための戦争だ。

 そしてそれは私達の理想だ。

 世界中に恐怖と戦争の種を撒き散らし、暴力の世界を作り上げる。

 強者こそが頂点──つまり私達が頂点に立ち、弱者はあらゆる権利を強者に踏み躙られる。

 この戦場の地獄こそが私達の理想であり、私達が目指す至高の終着点。

 暴力を極め、あらゆるものを自由に支配し、好きに出来る──それが私達の掲げる“海賊王”の形。

 その世界で好きに殺し、好きに戦い、好きに食べ、好きに寝て、好きなことをする。悪いことも良いこともする。人助けだってするだろうし、善良な人間を気分で殺して虐げることもする。人を騙したりその尊厳を破壊したりすることもあれば、子供の頭を撫でて純粋に可愛がることだってする。

 他人から見れば歪かもしれないそれが私が学んだ海賊としての形。善悪にも何にも縛られない本物の自由。本物の海賊(ロックス)の教えだ。

 だから私は好きに生きる。気に入った漢を海賊王にするために戦うし、自分のやりたいことのために場を整え、死体を量産する。

 原典すら破壊し、私達の理想の世界を作り上げることになる。本来死ぬ筈ではなかった人を殺す。もはや空想ではなく私にとっての現実となったこの世界は原作という枷など知ったことではない。神の都合など関係ない。やりたいことをやるだけだ。

 仮にそれによって原典に影響が出たり、神が不都合を被ったとしても──

 

「──何をしたって……私は強くて可愛いんだから許されるよね♡」

 

「ハァ……ハァ……許される訳ェ……ないでしょうが……!!」

 

「ふふふ♡ まあ別にあなた達海軍に許される必要はないかな。あなた達の定めた秩序も法も正義も……今日で最期なんだからね!!」

 

 息を乱し、身体のあちこちに傷を負っているボルサリーノが“天叢雲剣”──能力で生み出した光の剣で私を斬りつけようとするが、それを私は槍で受け止める。中々悪くない剣捌きだが、残念ながらパワーが足りない。この程度じゃ私を吹き飛ばすのは無理だ。

 

「今日から私達が世界のルールになるんだから!! ──無法だけどね!!!」

 

「絶対に……そんなことはさせないよォ~~……!!」

 

「暴力が絶対の世界とか楽しいと思うけどなぁ。あなたも強いんだからもっと自由に楽しめばいいのに……私達の敵になっちゃったせいで死ぬことになるんだよ!!」

 

「ぐ……!!」

 

 私はボルサリーノの剣を槍で上にかち上げると掴んだ槍を起点に身体を前に回してボルサリーノの腹を思い切り蹴りつけて吹き飛ばす。クリーンヒットはさせたし、呻いて血を吐いてるけどまだ倒れない。それにヒットの瞬間に僅かに実体をずらされた。

 

「また致命傷を避けて……自然(ロギア)系はこれだから厄介だよねぇ。見聞色で先読みして流動回避……光の速さも相まって中々急所に攻撃が当たらないし。見聞色を極めてる私以外だったらもうちょっと粘れたかもね~~~♡」

 

「……まだ終わってはないでしょうが……!!」

 

「おっと!!」

 

 黄猿の反撃が来る。ピカピカの実の能力による戦闘スピードは三大将でも随一で、世界中を見渡してもおそらく彼以上の速さなどありえないだろう。なにせ光だしね。

 とはいえボルサリーノが光となって移動したり攻撃するには若干のタメが必要。レーザーもまたスピードは速いがそれなりなので、見聞色で未来を読めば躱したり受けたりすることは難しくない。

 無論、本人の技量、実力も含めての海軍大将“黄猿”だ。普通の猛者なら手に負えない。ボコボコにされるだろうけどね。

 

「ま、確かに中々楽しいよ!! 私の分身も倒したし、UFOも結構落とされちゃったからね!!」

 

 ボルサリーノの反撃を躱しながら言う。本心だ。

 何しろ早々に脱落してしまったお婆ちゃんと違って、ボルサリーノは分身は倒したし、UFOもざっと500は落としてる。私との近接戦にも食らいついていた。

 だから彼がいなければ今頃もっと多くの海兵の死体が積み上がっていただろうし、そう考えるとやはり大将ってのは強くて厄介だ。

 仮に私達百獣海賊団だけで海軍本部・王下七武海と戦争したら中々手こずったかもしれないし、勝ったところで被害も甚大になるだろう。

 三大将に加えてガープとセンゴクの相手もしなきゃならないし、七武海も大半は問題ないとはいえミホークとかいう面倒な剣士もいる。

 大看板と飛び六胞に強い奴の相手をさせるにしても勝ち切るには時間が掛かることは明白だ。長時間の戦闘は私達に有利だが、部下の被害が馬鹿にならない。

 やはり同盟を組んで攻めたのは正解だろう。さすがは私だね! 

 

「でもあんまりモタモタしてられないのよねぇ。あなたとの戦いは楽しいけど、ずっとやってるわけにもいかないし……」

 

「だったらそっちが死んでくれると助かるんだけどねェ……!!」

 

「あはは!! 殺せるってんならそれでもいいよ!! でもあなたの実力じゃそれは多分無理だし……そろそろ終わらせてあげる!!!」

 

「!!」

 

 その場から一瞬で姿を晦まし、私は大技の発動を決める。

 この技を使うのは久し振りだ。何しろ規模が大きいため使うに適した戦いがあまりない。

 だがこの殺す相手が幾らでもいる戦場なら使うに値する。

 

「さあ踊ってもらうわよ──」

 

 ボルサリーノを中心に周囲を囲むように赤いレーザーを格子状に発生させ、私は宣言した。

 

「“平安京の悪夢”!!!」

 

「!!!?」

 

 大勢を殺すための弾幕技。かつてワノ国でも使い、今なお恐れられる怪異をこの地で発生させる。

 

「うぎゃああああ~~~!!?」

 

「なんだあの怪物!!?」

 

「獣か!?」

 

「だがあんな獣見たことない……!!」

 

 海兵達がどよめく。レーザーの間を縫うように現れたその怪物は“鵺”をイメージした怪物であり、複数の獣の特徴を持つ5メートルほどの獣だ。

 彼らにとっては初見であろう正体不明の怪物はその鋭い爪と牙で肉を裂き、彼らに恐怖と死を与える。

 だがそんな化け物を見てボルサリーノは言った。

 

「妖怪の“鵺”……!! “バケバケの実”の幻獣種ってのはこんなことまで出来るのかい……!!」

 

「あんまり口に出さないでくれる? これでも正体不明の妖怪として気を使ってるんだからさ」

 

 どうやら私の悪魔の実の概要くらいは海軍でも掴んでいるらしい──いやまあ私がジョーカーに言っていいよって言ったんだから掴ませたってのが正解だけどね。ある程度は情報を流させる必要があったし、これくらいじゃ私の正体不明は揺らがないから問題はない。

 とはいえ……情報を知る人物は少ない方が良いのも確かだ。

 

「こうなったら私の情報を知るあなた達を葬って少しでも私の正体不明を取り戻さないとね──さあショータイムよ!!」

 

 私はその声と共にレーザーを赤い弾に変え、そして怪物達を一斉にボルサリーノに差し向ける。ボルサリーノはそれらを迎え撃って消し、あるいは躱してみせる。その動きは流石だが──

 

「弾幕や獣の対処だけじゃ結構楽そうね。ってことでもうちょっと追加よ!!」

 

「……!! またUFOと分身が……!!」

 

 巻き込まれている海兵達が驚愕した。せっかく数が減ってきたUFOに、私の分身が再び生み出されて気勢が衰えている。

 

「悪いけど、普段とは違って躱せるようには作ってないからね!! どれだけ消してもUFOも分身も弾幕もいくらでも生み出せる……!! このまま押し潰してあげるわ!!!」

 

「……!! ゼェ……どっちにしろもう逃げる道なんてないからねェ……!! こうなったらお役御免になる前に……あんた1人だけでもどうにかさせてもらうよォ……!!!」

 

 ボルサリーノが上空にいる私を見つけて空に跳び上がる。ボルサリーノも何かするつもりの様だ。

 私はそれを見聞色で読み、その上で迎え撃つ。面白い──弾幕勝負だね!! 

 

「“高天原(たかまがはら)”!!!」

 

「!!!」

 

 ボルサリーノが戦場全体を照らすほどの激しい光量を発生させる。原作を知る私でも見たことのない知らない技だ。

 そしてそれはどうやら地上や周囲にも影響を及ぼしているらしい。

 

「熱っ!!?」

 

「やべェぞ!! 空からレーザーだ!!」

 

「なんだあのバカでけェ光!! 太陽か!!?」

 

 黄猿の頭上に空から巨大な光球が出現し、それらが巨大なレーザーの雨を降らし、地上を焼き尽くそうとする。あくまで私を狙ったもののようだが、それを躱せば地上に被害が出るのは道理だが──いや、それだけじゃない。空から直接光が降り注いでいる。

 

「おおっと!?」

 

 そしてその光はレーザーとなって私と私のUFO、獣達を狙って降り注ぐ。

 まるで“光”という自然現象そのものが私を排しようと牙を剥いているような凄まじい規模の技。自然(ロギア)系の悪魔の実を極めた者にしか使えないであろう災害の如き規模の自然現象。

 

「味方に被害が出るからあんまり使いたくないんだけどねェ……!! 生憎とそうも言ってられないもんで……!!」

 

「あはははは!! いいじゃない!! そういうの嫌いじゃないよ!!」

 

 そしてボルサリーノも本来は使うつもりのない、追い詰められたからこそ出した大技なのだろう。刺し違えてでも私を仕留めるという覚悟と意志を感じる。

 悪くない。殺す前に見て体験出来て良かった。

 

「地上の雑魚を狙ってる場合じゃないわね!! 集中!!」

 

「墜ちてもらうよォ……!!」

 

 私はUFOと獣、そして私の分身を全て地上からボルサリーノへと標的を変更。弾とレーザー、あらゆる攻撃を彼に向けて放つ。

 そしてその耐えることも躱すことも難しい弾幕の嵐をボルサリーノは光の雨で撃墜させた。幾つかの光は私の弾幕と激突して空中で激しい爆発を引き起こす。

 だがこんなものに怯む私達ではない。

 

「生憎と光には慣れてるのよ──アイドルだからね!!!」

 

「!」

 

 爆発などお構いなしに私は真っ直ぐにボルサリーノに向かって高速で飛翔。槍で直接彼の身体を串刺しにしてやろうと近づく。

 

「ならもっと浴びるといいよォ……!!!」

 

「浴びせてみなさい!!! 浴びせられるものならね!!!」

 

 だが当然、それを黙って何もせず見るボルサリーノではない。

 再びレーザーの雨が私を貫こうと飛来するが、私はそれらを右に左に動いて躱す。生憎と弾幕ゲーは私の十八番だ。この程度のレーザーに当たる私じゃない。そう思っていると──

 

「! 追尾!?」

 

「無理にでも浴びてもらうよォ……!!」

 

 光が屈折し、レーザーが避けた先の私を追いかけてくる。さすがに驚いた。見聞色で視ていたが、気づくのには少し遅れる。見聞色の未来予知は視界の外で起きることを視ることは出来ないのだ。

 

「やるねぇ……!! でもそんなんじゃ私は倒せないよ!!」

 

 爆発に続いてレーザーを幾つか被弾したが、背後から襲い来る追加のレーザーを私は空中で旋回し、回ることで躱す。そしてそのままボルサリーノに向かって行くと、槍をボルサリーノ目掛けて振るい、そうしながらも弾幕の雨を緩めずに放つ。

 

「“八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)”!!!」

 

「“恐怖の虹色UFO襲来”!!!」

 

 そしてそれは相手も同じだ。

 ボルサリーノがレーザーの雨でこちらの弾幕を防ぎ、同時に私が近づくのを防ごうとする。UFOから放たれるレーザーと光が激突し、光がUFOを貫き破裂させ、幾つもの眩い光が連続する。

 私のUFOは幾ら壊されても継続して生み出し、新たに弾幕を生み出すが、ボルサリーノもまた光を止めはしない。

 結果、幾重にも連なった光の破裂と拡散が起こり、私達の周囲はこの戦争の中においても一層に目立っている。

 全ては私を止めるために。

 だがそれは容易な様であり、そうではない。ボルサリーノの額からは血と汗が流れ、口からは私に対する悪態がついて出ていた。

 

「ハァ……ハァ……全く……海賊のクズが……さっさと倒れなさいよォ……!!」

 

「あははは!! 世界のアイドルに向かって酷い言いようね!!」

 

「否定出来ないでしょうがァ……!!」

 

「かもね!! でもこれから世界を支配した時……私の恐怖と知名度はこれまで以上に知れ渡る……!! その時──正真正銘、私は世界一のアイドルになるのよ!!!」

 

「……!!」

 

 ボルサリーノの目に驚愕と恐怖の色が浮かび上がる。

 私はその野望を言い放った後に槍を持たない左腕を振り上げた。

 

「そのために海軍は滅ぼさないとね……!! その最大の障害の一つ……三人の海軍大将……!! その最初の犠牲者はあなたよ!!!」

 

 ボルサリーノ相手に手を抜いている余裕はないし、奥の手はともかく、手札を隠しきって勝ちきれる相手ではない。

 だから私は左腕を変型させた。獣型で見せるような虎の手。身体の大部分は可愛い私のまま、一瞬にして巨大化した私の左腕がボルサリーノを殴りつける。

 

「……!! まだだよォ……!!」

 

 しかし殴りつけてそれなりのダメージを負った筈のボルサリーノは倒れず、血を吐きながらも“天叢雲剣”を出して私を迎え討つ。

 UFOの弾幕と獣、そして4人の私が肉薄した。

 

「政府が完全な“正義”とは言わないが……!! 均衡が破壊されたらこの世は終わりでしょうがァ……!!! 海軍にも海賊にも……どっちかに偏らせる訳にはいかないんだよォ……!!!」

 

「……! やるねぇ……!!」

 

 光の剣が弾幕を弾き、獣を斬り裂き、私の分身の攻撃を捌く。

 “どっちつかずの正義”を掲げる間延びした男の戦いには、ここに来て鬼気迫るものを感じた。常にフラットな彼でさえ、死ぬ気でやらざるを得ない。負ければこの世界がどうなるか理解っているから。

 ──だが。

 

「熱い想いをありがとう──でも……ここで終わりだよ」

 

「……!!? 4人目……いや、5人目……!!」

 

 ボルサリーノの光の剣を掻い潜り、その手を掴んだのは4人目の私。

 ──そう、私以外の生み出した4人の分身の内の1人だ。

 

「私含めて4人しか分身は生み出せないなんて言った覚えはないよ」

 

「……!!」

 

 ボルサリーノの両の手足を4人の私が掴み、拘束する。

 それはまるで磔だ。

 即席の、これから処刑する男のために私は私自身を使って彼の死を彩る。

 

「私に囲まれて死ねるなんて幸福よね♡ それがここまで私を楽しませた……その褒美だと思いなさい」

 

 そして5人目の私。私自身は増やした槍を思い切り振り被り、4人の私がしがみつくボルサリーノ目掛けてその槍を全力で投げた。

 

「“スピア・ザ”…………“グングニル”!!!」

 

「!!!」

 

 4人の分身ごと──ボルサリーノを槍で貫く。

 分身は消え、放った槍が海軍本部の城塞に再び穴を空ける。

 そして穴が空いたボルサリーノの身体は力なく地へと墜ちていく。

 

「き、黄猿大将~~~~~!!!」

 

「ま、まさか……!!?」

 

「嘘だろ……!! そんな……!!」

 

 多くの海兵がそれに驚愕する。

 海軍本部という世界の秩序と市民を守る一大組織。その最高戦力の一角。

 

「海軍本部最高戦力のその1人……海軍大将“黄猿”──討ち取ったわ」

 

 ──じゃあね、ボルサリーノ。

 私を長年楽しませた男。指に付着したその男の血をぺろりと舌で舐め上げると海軍本部が驚愕と恐怖の歓声で沸き上がる。

 僅かな時間、彼の死を見届け、見送る。心の中で彼への別れを告げると、私は再び混沌とする戦場に身を投じた。

 

 

 

 

 

 その瞬間、海軍本部のみならず。それを中継していたシャボンディ諸島も含めた島々が震撼した。

 

「や、やりやがった……!!」

 

「か、海軍の最高戦力が……!!」

 

「なんてことだ……!!」

 

 それは同じ海賊でさえ、その所業に畏れ慄き、市民はわかりやすく絶望する。戦場で戦う海兵は露骨に顔を青褪めさせた。

 

「“黄猿”が死んだァ~~~~~!!!」

 

「うああああああああ!!!」

 

「ウオオオオオオオオオ!!! ぬえさ~~~~~~ん!!!」

 

 阿鼻叫喚。誰かが放ったその報せの叫びに、海兵は恐怖と悲嘆に叫び、百獣海賊団に与する海賊達は歓喜に声を上げる。

 そして思わず反応を見せたのは広場の中央で戦う名だたる猛者達も例外ではない。

 

「っ……!! ボルサリーノ……!!」

 

「ハ~ハハハマママママ!!! やっと1人死んだかい!!! それでこそおれ達の妹分だねェ!! なァカイドウ!!?」

 

「……フン。あいつの実力ならむしろ遅いくらいだ!!!」

 

「…………!! (ぬえ……!!)」

 

 海軍本部の元帥センゴクに中将のガープ。同じ大将のサカズキ、クザンなど多くの将兵が歯を食いしばり、その死への怒りや悲しみなどの多くの感情に耐える。

 そして元仲間である“ビッグ・マム”はそれを笑って讃え、兄姉分であるカイドウなどは鼻を鳴らしながら当然だと金棒を振る手に更に力を込める。

 そして同じく元仲間である“白ひげ”もまたかつての見習いが成したことに眉間へ皺を寄せ、状況が更に悪くなったことに海軍と同じく顔を青褪めさせる。

 

「フ……フッフッフッ!!! 大将にも死人が出始めた……!! これでまた手に負えねェ怪物が解き放たれたぜ!! さあどうする!!?」

 

「……!!」

 

 広場で戦うドフラミンゴが一瞬の溜めの後に可笑しくてしょうがないと大笑いを始める。世界がメチャクチャになっていく様を間近で見て体験出来ることに彼は非常に昂ぶっていた。

 対するクロコダイルは目を細め、状況が悪くなったことと大将がやられたことに声なく驚くが、海兵ほど動揺はせずにドフラミンゴに砂の刃を差し向ける。

 だがそのタイミングで乱入した者がいた。

 

「隙ありだ!! ドフラミンゴ!!」

 

「!!?」

 

 ドフラミンゴは背後から襲いかかってくる相手に一瞬遅れてその攻撃を防ぐ。覇気を込められた二刀は力も技も鍛えられたドフラミンゴでも食らえばただでは済まない一撃だった。軽い冷や汗をかきながらも不敵な笑みを相手に向ける。

 

「ムサシ……!! おれを襲っていいのか? 親に何を言われるか──」

 

「うるさい!! 貴様を斬ればあの“鳥カゴ”とやらは消えるのだろう!? 後のことは後で考える!!!」

 

「……!! 狂犬っぷりは親譲りか……!!」

 

 話が通じない相手にドフラミンゴの揺さぶりは通用しない。

 ドフラミンゴは忌々しい相手に対して口元を歪めたが、殺さない程度にやるならばいいだろうと糸を伸ばしたところで再び横からの攻撃に反応した。

 

「……!! 5番隊隊長……“花剣のビスタ”……!!」

 

「ドフラミンゴ……!! あの柵は解除してもらうぞ……!!」

 

 白ひげ海賊団の隊長であり凄腕の剣士としても知られる“花剣のビスタ”の斬撃に、さすがのドフラミンゴも距離を取って離れるしかない。

 だがそこで再び攻撃が来た。

 

「“砂漠の宝刀(デザート・スパーダ)”!!」

 

「……!! チッ……どいつもこいつも……!!」

 

「おれを無視するんじゃねェよ……フラミンゴ野郎……!!」

 

 クロコダイルの砂の刃が飛来し、ドフラミンゴは糸でそれを防ぐ。

 周囲を自分を狙う敵に囲まれ、ドフラミンゴは忌々しいと言わんばかりに舌打ちを鳴らした。

 だがそれも当然。海軍と白ひげ海賊団。その両方のトップが活路を開くために指示を出しているのだ。

 

「“天夜叉”を排除しろ!!! そうすればあの柵も消える筈だ!!!」

 

「どんな能力であれ能力で生み出した物なら気絶でもすりゃあそれは消える……!! 多くの能力者における鉄則だ……!!!」

 

 長年、この海に君臨し続けた2つの組織のトップは当然、多くの能力者に共通するルールを知っている。

 ドフラミンゴの食べたイトイトの実。その能力の詳細は知らずとも、長年の経験によって対処法などは自然と導き出されるのだ。超人系(パラミシア)の能力で生み出した異物は能力者の気絶や死亡によって消える可能性が高い。

 身体そのものを変異させる能力のように、能力者の意志に関係ない能力ではないのだ。ならばその公算は高いと見ていた。

 

「くたばれドフラミンゴ……!!」

 

 海軍本部を囲む“鳥カゴ”が健在のままでは撤退することも難しい。

 それゆえに多くの海賊、海兵がドフラミンゴを狙う。それは誰もが理解していた。

 

「……!! おいドフラミンゴ!!!」

 

「!」

 

 当然、カイドウもそれを理解していた。だからこそ、カイドウはドフラミンゴに発破をかける。

 

「“鳥カゴ”を解除したら殺すぞ……!!!」

 

「……!!?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ドフラミンゴの顔が青褪め、笑みが消える。

 そしてドフラミンゴは理解する。この戦場においては自分自身も安全圏にいる訳ではない。むしろその逆。多くの敵に狙われ、それでいて失敗すれば粛清による死は免れない。

 

「……ああ……!! わかってる……!!」

 

 ゆえにドフラミンゴは気合いを入れ直した。

 手を抜いたり、手札を隠している余裕はない。襲いかかる複数の敵に対し、ドフラミンゴは糸の能力を解放する。

 

「“大波白糸(エバーホワイト)”!!!」

 

「!!」

 

「うあああ~~~!!」

 

「!? 何だあれ……!! 地面から糸が出たぞ!!」

 

 地面から糸を出したと誤認する海兵や一部の海賊達を一斉に薙ぎ払う。

 だがこの頂点の戦場においては、それを知らない者の方が珍しい。

 

「“覚醒”か……!!」

 

「フッフッフッ……!! 常識を一々口に出すなよワニ野郎……!!」

 

 悪魔の実の覚醒。超人系(パラミシア)の覚醒の特徴を知っていたクロコダイルはその周囲の物が糸になるのを見て一目で覚醒だと見抜く。

 周囲に影響を与える覚醒の力は複数を相手にするのに適していた。

 

「この程度で我を止められると思うな!!」

 

「!!」

 

 だが多くの猛者はそれをもくぐり抜けてドフラミンゴに肉薄しようとする。

 ムサシもまた変身し、幻獣の虎の姿となってその爪をドフラミンゴに振り下ろそうとした。

 

「む!!?」

 

 しかしその直前。ドフラミンゴに飛び掛かるムサシに飛び掛かり、地面へ叩き落とした者がいた。

 

「ムサシ!!」

 

「……!! こいつらは……!!」

 

 そしてその相手が乱入すると同時に、組織的な動きでクロコダイルやムサシを含む白ひげ海賊団と対峙したのは百獣海賊団の戦闘員だった。

 共通する特徴を持つ彼らは唸り声を上げながら敵を威嚇する。

 

「──ムサシにクロコダイルに“花剣のビスタ”……これだけの面子が集まるとはな。ドフラミンゴに釣られたか。これだけいりゃ手柄には困らねェ」

 

「……!! なんだこいつら……全員ネコみたいな……!!」

 

「全員動物(ゾオン)系の能力者か……!!」

 

 白ひげ海賊団や海兵が言う。現れた戦闘員は皆ネコ科の特徴を持った能力者達だった。

 そしてそのネコ科の群れの中心にいるのは、先程ムサシを叩き落とした百獣海賊団の幹部。

 変身したムサシより一回りも二回りも大きい姿であり、その口元からは鋭く長い牙が覗いている。その姿は明らかに絶滅した古代種の能力であり、百獣海賊団の上位幹部である証だった。

 

『百獣海賊団“飛び六胞”フーズ・フー ネコネコの実(古代種)モデル“サーベルタイガー”』

 

「悪いが手柄は誰一人逃さねェ……皆殺しだ」

 

「! てめェ……!!」

 

 乱入してきたフーズ・フーをクロコダイルが眉をひそめて睨む。フーズ・フーの返答は口の端を歪めて行われた。

 

「よォ……クロコダイル。聞いたぜ。お前……あっちにいる麦わらのガキに負けたんだってな?」

 

「…………」

 

「かつては新世界で“白ひげ”に挑み、“鬼の跡目”と引き分けたほどの男が堕ちぶれたもんだ」

 

「……黙れ化け猫野郎。殺されてェのか?」

 

「へへ……やれるもんならやってみな」

 

「フッフッフッ……!! おれを討ち取るには障害が多いみてェだな……!!」

 

「くっ……早く逃げ道を作らねば……!!」

 

 クロコダイルとフーズ・フーが殺気を視線に乗せて睨み合い、百獣海賊団の邪魔でドフラミンゴを討ち取ることがまた難しくなったとビスタが歯を噛みしめると、叩き落されたムサシが起き上がって叫んだ。

 

「……フーズ・フー……!! いや、パパ……!! 我の邪魔をするならパパとて容赦せんぞ!!」

 

パパじゃねェよ!! クソ……そのイカレっぷりは相変わらずだな……ムサシ……!! お前こそ大人しく戻らねェなら少し痛い目見てもらうぜ……!!」

 

 ガルルル、と互いに唸り、鋭い爪と牙を光らせて威嚇する。ネコネコの実の古代種と幻獣種。どちらも巨大な化け猫とも言える獣の対峙は見る者を恐れさせるのに十分であり、両者の激突を以て混戦が始まる。

 

 ──そして混戦しているのはその場だけではなかった。

 

「──大将“黄猿”をやっちまうとは……さすがはぬえさんだな……こりゃあモタモタしてると手柄首がなくなっちまう……!!」

 

「! 危ないジンベエボーイ!!」

 

「……! わかっとる……!!」

 

 麦わらのルフィに味方し、エース救出に奔走する革命軍のイワンコフは同じく味方のジンベエに対して注意を呼びかけた。

 目の前に立ちふさがる百獣海賊団。その海賊達の先頭に立ち、ぬえの勝利に味方ながら畏怖し、手柄を立てるために変身を始める男がいる。

 鎧の様な硬い皮膚と外骨格。そして三本の角を持つ四脚のその生物は、かつて存在したであろう屈強な古代の生物であり、その姿をもって彼は敵対者を威圧する。

 

『百獣海賊団“飛び六胞”ササキ リュウリュウの実(古代種)モデル“トリケラトプス”』

 

「お前らにはおれの手柄になってもらうぜ……!!」

 

動物(ゾオン)系の古代種……!!」

 

「……! わしァ手柄にはなりゃあせん!! そこをどいてもらうぞ、ササキ!!」

 

「諦めな。お前らの目の前にいるのは実在した“最強生物”だ……!!」

 

 ササキがジンベエを睨み、不敵な笑みを浮かべる。互いに譲り合うつもりなど毛頭ない。互いの激突は周囲を衝撃波で吹き飛ばし、被害を与えるほどだった。

 だがそれ以上の余波が戦場では幾つも巻き起こり、流れ弾のように誰かを傷つける。

 

「ルフィ君を頼む!!」

 

「ええ!! 任せたわよジンベエボーイ!!」

 

 ジンベエはササキの突進に押されながらも何とか正面から受け止め、イワンコフにルフィのことを任せる。イワンコフもまたルフィが危ないことを理解しているため、すぐさまルフィに加勢しようと駆けた。距離はそれほどでもない。数秒足らずで駆けつけられる距離だ。

 しかしその目に見える距離以上に、今の戦場には障害が多い。

 

「──悪いけど貴方もまたここで倒れてもらうわよ」

 

「!? ヴァナータは……大看板の“ジョーカー”!!」

 

 突如、イワンコフの足を止めるために現れ、蹴りを浴びせたのは日傘を持ち、赤いドレスを着た仮面の美女。

 イワンコフが記憶する限り、その姿は大看板“戦災のジョーカー”のものであり、イワンコフが所属する革命軍にとっても因縁のある相手だ。

 

「今日は本当にいい日ね。“暴君”くまにイワンコフ……私のビジネスの障害だった革命軍の幹部二人をここで仕留められるんだから♡」

 

「!!? ヴァナタ……くまのことまで……!!」

 

「フフ……なぜそのことをって顔ね。──でもそれは教えられないし教えたところで活用することは出来ないわ。貴方も貴方の同志も“麦わらのルフィ”も……ここで死ぬんだもの♡」

 

「! 麦わらボーイ!!」

 

 そしてそのジョーカーからの言葉を聞き、敵の増援を感じ取ったイワンコフはルフィに呼びかける──が、その声は届くことはない。

 なぜなら彼もまた──強大な敵を前に余裕がないからだ。

 

「ハァ……ハァ……どけよニワトリ頭!! おれはエースを助けてェんだ!!」

 

「どかしてェって言うんなら実力でどかしてみな!! 女の力で生き延びてるだけのガキが粋がってんじゃねェよ!!」

 

「!」

 

 ルフィの拳を右手でつかみ取り、足の刀でその腕を斬り落とそうとする。

 伝説の大海賊を相手にルフィは苦戦を強いられており、先程から前へと進めていない。

 だがそれでもこの場で留まって戦っていられるのはシキの言うように助力があるからだった。今も、シキの斬撃に対し覇気を込めた蹴りで割り込む。

 

「させぬ!!」

 

「!」

 

「ハンコック!! すまねェ……また助けられた!!」

 

「よい……!! それより、ここはわらわが受け持つ……!! 早く処刑台に行くのじゃ……!!」

 

「ああ……!! ありがとうハンコック!!」

 

 元王下七武海にして“海賊女帝”の二つ名で知られる九蛇の女王ボア・ハンコック。

 政府を裏切り、海賊同盟側についた彼女だが、彼女はルフィを助けるためにシキを相手に大立ち回りを演じていた。

 

「てめェも……いつまでも邪魔してんじゃねェよ……!! そんなに死にてェのか!!?」

 

「ふっ……殺せるものなら殺してみるがよい……!!」

 

 シキは顔に青筋を浮かばせ、ハンコックを威圧する。大海賊の覇気の込められた殺気と視線にはさすがのハンコックもルフィに名前で呼ばれたことを喜ぶ余裕はなく僅かに冷や汗を流すが、不敵な笑みまでは崩れない。

 広場の中心で暴れるカイドウやビッグ・マムやぬえに比べればまだマシだとハンコックは思っていたし、シキに逆らうだけなら処罰はそれほど大きくないと高をくくってもいる。

 とはいえシキ相手に助けてくれるはずもないし、ここで負ければ切り捨てられるだろう。ゆえにハンコックはここでシキ相手に応戦し、あわよくば倒してしまう腹積もりでいた──全ては愛する男を救うために。

 

「おれを止めたところで逃げられると思うんじゃねェ。ここには幾らでもおれ達の兵がいるんだからなァ……!!」

 

「!」

 

 だが障害はあまりにも多い。

 突如、海兵と白ひげ海賊団を吹き飛ばして現れた巨漢にルフィは驚き、ハンコックは歯噛みする。

 

「ゼェ……どけよお前ら~~~!!」

 

「……! ダメじゃルフィ!! そやつは……!!」

 

「“ギア3”!!」

 

「!」

 

 ルフィは進行上に割って入ってきた巨漢に対し、最も破壊力のある一撃で周囲の海賊共々突破しようと試みる。頭はよくなくとも戦闘においては頭が回り、最適な判断を下すことの多いルフィの判断は間違いではない。エースの下にまで辿りつくには目の前の敵1人1人に時間も体力も使ってはいられないのだ。

 

「“ゴムゴムの”ォ~~~~~!!」

 

 “ギア2”に加えて“ギア3”を併用し、速さと力が合わさったその一撃はこの極限状態においても“七武海”や“CP9”などの猛者を倒してきた懸賞金3億ベリーの賞金首に恥じない破壊力を持つ一撃。

 

「“巨人の(ギガント)JET回転弾(ライフル)”!!!」

 

「!!!」

 

 その一撃はその巨漢の横っ面を不意打ち気味に殴りつけ、その巨体を吹き飛ばすことに成功する。

 

「うおお!!? なんだあの野郎!!?」

 

「“麦わらのルフィ”だ!!」

 

 それを見て百獣海賊団の戦闘員は純粋に驚いてみせる。

 不意打ちでも攻撃を当て、吹き飛ばしたことはそこらの下っ端では不可能なことなのだ。

 

「ハァ……ハァ……!! よし……これで──」

 

「──ジャック様!!」

 

「!!?」

 

 ──だが……倒すことはそれこそ数億程度の海賊では不可能だ。

 “超新星”と呼ばれる“偉大なる航路(グランドライン)”前半の荒波を越えてきた海賊。その最大級の必殺技を用いてなお、その身体には傷一つついていない。

 

「何だ……!? ハァ……ハァ……くそ……効いてねェのか……!!?」

 

「…………お前は……」

 

 あっさりと立ち上がり、殴りかかってきた相手を見下ろす。相手が“麦わらのルフィ”であることに彼が気づくのにそう時間は掛からなかった。

 そしてその怪物の名を、シキが笑みを交えた命令と共に呼ぶ。

 

「ジハハハハ!! ちょうどいい!! おいお前、カイドウんとこのジャックだな!? ちょっと手ェ貸しやがれ!!」

 

「…………」

 

「……!! 何だこいつ……!!」

 

「ルフィ!! そやつは大看板のジャック!! 百獣海賊団の大幹部じゃ!! 相手にしてはならん!!」

 

 ハンコックもまた、その名をルフィへの必死の注意と共に叫ぶ。その恐ろしさと強さを知るがゆえに、ルフィが叩き潰されることを恐れていた。

 ルフィもそのタフさから強さを感じ取り、シキは意地の悪い笑みと共に手を貸せと命令する。

 “大看板”と呼ばれる百獣海賊団の最高幹部。カイドウとぬえの懐刀と呼ばれる彼らは新世界で知らない者のいない、懸賞金は10億を優に超える怪物だ。

 当然、ルフィが敵う相手ではなくハンコックでも相手にするには厳しい。シキの命令通り、加勢されたらまずいことになるだろう。

 だがその当人ジャックは無言のまま、命令してきたシキやそのシキの邪魔をするハンコック。そして自身に殴りかかってきた麦わらのルフィをそれぞれ一瞥すると、彼らには声を向けずに空を見上げ、判断を仰いだ。ジャックが視線を向けた先には激戦を一つ終えたばかりの少女が浮かんでおり、

 

「……ん~……カイドウは放っとけって言ってたけど……いいわよ、ジャック。同盟相手の命令だもんね? “麦わらのルフィ”にハンコックも含めて……軽く揉んで上げなさい。ハンコックのお願いもあるけど……あなたも先に殴られちゃったし、やられた分はやりかえさないとね? 舐められっぱなしはダメだからさ」

 

「──は!!」

 

 怪物ジャックはその許しを得ると忠犬の如く短く強い返事を返す。

 敵対者や民衆、部下からも恐れられ、強い凶暴性と残忍さを持ち、誰かに従うような男に見えないとまで称される彼だが、彼にとって素直に命令を聞く相手は5人もいるのだ。

 同じ大看板の姉御と兄御達。そしてその上に立つカイドウとぬえの二人。

 判断に迷う状況ではあったが、ぬえの許しを得たなら何も問題はない。彼は忠実に任務を実行する。目の前の相手を破壊するべく、その能力を解放して姿を変えた。

 

『百獣海賊団 大看板“旱害のジャック” ゾウゾウの実(古代種)モデル“マンモス”』

 

「ウオオ~~~!! ジャック様~~~~!!」

 

「っ……ジャック……!!」

 

「ジハハ!! 言っただろうが!! ここからは誰も逃げられねェ!! 皆殺しだってよォ!!!」

 

「…………」

 

 マンモスになったジャックの横に並び立つシキ。周囲にはジャックが率いてきた百獣海賊団の戦闘員が布陣し、ルフィ達にとっては更に絶望的な状況に追い込まれる。

 腕を広げて高笑いするシキをジャックはやはり無言のまま横目で見ていたが、すぐに視線をルフィ達に戻し、戦いを始めようと静かに待ち構える。

 

「お前もお前の兄も!! 決して自由にはなれねェんだ!! おれ達の完璧な計画と力を前に屈するしかねェんだよ!!!」

 

「ぐ……くそ……!!」

 

 そしてシキは変わらない絶対的な優位を確信して声を上げる。

 全ては自分たちの思い通り。海軍と白ひげ海賊団は滅び、自分はエースという新たな部下を迎えて戦力を強化する。計画は何一つ狂っていない。

 

「ジハハハハハハハ!!! さあ覚悟するんだなァ!!!」

 

「クソ……ルフィ……!!」

 

 そして未だ処刑台の上で縛られているエースは苦悶の表情でルフィや仲間達を見るしかない。

 

「……ん? あれは……」

 

「──あ?」

 

 だが──状況が動いたのはそんな時だった。

 最初に気づいたのは黄猿を殺し、次の相手を殺ろうとカイドウ達の下に向かおうと飛んでいたぬえと、その場にいたエースだった。

 処刑台にこっそりと昇ってきた処刑人が1人。その男がエース以外、誰もいなくなった処刑台で──

 

「……………………え?」

 

 ガチャリ、と──エースの手錠を外してみせた。

 その瞬間、戦場の時が止まる。

 誰もが一瞬、唖然として動きを止め、処刑台の上に視線を向ける。

 そしてそこでエースの手錠を外した男は焦った様子でエースに向かって声を掛けた。

 

「ほ、ほほほほら!! 錠を外してやったんだからさっさと逃げるガネ!!」

 

 ──その男は頭の上に“3”と浮かぶ髪型をしていた。

 だがそんな男の不思議な見た目よりも、戦場にいる多くの者達はその男が成したことに驚愕の声を上げた。

 

「え、ええええ~~~~~~!!!?」

 

「“火拳のエース”が……解放されたァ~~~~~~~!!!」

 

「3兄さん!!? なぜあんなところに!!?」

 

「え!!? “3”!! お前何でそこに!!?」

 

「……お前、何でおれを……?」

 

 海兵、海賊、囚人。誰もが驚く。

 エースを助け出した男──元バロックワークスのオフィサーエージェント“Mr.3”ことギャルディーノ。

 彼がエースを助けたことをルフィが驚き、素性を知らずとも身内ではないであろう彼がなぜ助けたのかとエースも問いかける。

 するとMr.3は足を震わせながら答えた。

 

「……! 勘違いするんじゃないガネ!!」

 

 彼は告げる。

 脳裏に浮かぶ同胞の最期の言葉を思い出して。

 

「私がここにいるのは……ここで見捨てて逃げたら……亡き同胞に申し訳が立たない……!! それだけだガネ!!!」

 

「……!!」

 

「分かったなら……さっさと逃げるぞ!! これ以上の地獄はもう御免だガネ!!!」

 

 地獄に1人残った同胞の顔を思い出し、Mr.3はエースを解放する。

 そしてそれが──戦争が始まって以来、海賊同盟にとって海軍と白ひげ海賊団の共闘に次ぐ……二つ目の誤算であった。




聖地→ラスボス(?)登場。なお今作では世界政府はそろそろ寿命です。
広場中央→相変わらずの地獄。
ぬえVSボルサリーノ→決着。高天原はオリジナル技。天候を変えるレベルの技ということで何となく自然系の覚醒をイメージしました。初日の出めでたい。
ドフラミンゴ→脅されてちょっと本気出し始めた。
ビスタ→ドフラミンゴ狙い
クロコダイル→相変わらずあざとくドフラミンゴ狙い
フーズ・フー→能力解放。ビスタやクロコダイル、ムサシを狙う。
ムサシ→ドフラミンゴを狙う。
ササキ→能力解放。ジンベエと久し振りのマッチ。
イワンコフ→ジョーカーに止められる。
ルフィ→そろそろ満身創痍
ハンコック→ギリギリの綱渡り中
シキ→ルフィ&ハンコックに若干手こずっている。ジャックに命令
ジャック→ぬえの許可を経て加勢。ルフィの現時点の最強クラスの技を食らうが無傷。
Mr.3→海賊同盟側以外で戦争始まって以来の大金星。エース救出。
ぬえちゃん→今年も可愛い。

あけましておめでとうございます。黒岩です。いつもぬえちゃんを応援いただきありがとうございます。
年末年始は忙しかったので一ヶ月ほど冬休みをいただきましたが投稿を再開します。その間にカイドウの悪魔の実がウオウオの実だと判明したり、白ひげやらエースやらの過去も判明したりと色々ありましたが、特に過去話を改訂する気はありません。ということで軽く原作との変更編を列挙すると、

・マムの一生の恩の話はなくなる。カイドウは幼少の頃から能力者だったことに。
・白ひげ海賊団はおでんのことを薄々感じ取ってはいたが、ジョーカーが百獣海賊団なのもあって原作以上に情報が渡らなかったこともあり、確証が持てずにその話はせず。確信したのはエースとムサシが来てから。なので白ひげは気づいてたけどやはり故人のために百獣海賊団に戦争を仕掛けることをしないというのは解釈一致なのでその理由で攻め込まず。
・エースとヤマトの出会い。キングと戦って負けてるので見積もりの甘さは多少は改善されてる……と思いたい。ヤマトとの会話は牢屋でしているのでルフィの夢の話もしているということに。

999話と1000話の新情報についてはこんな感じ。この先も百獣海賊団関連で何かしらある可能性はありますが、おそらく変更することはないです。
まあもう殆どの情報が出尽くして後はキングの種族とかクイーンとジャッジの関連とかフーズ・フーの素性とかもありますが、その辺りはいつもどおりぼかしながらうまいこと書いていきたいと思います。
ということで、今年もぬえちゃんとカイドウが率いる百獣海賊団の話を書いていきますので今年もよろしくお願いします。今年もぬえちゃんの可愛さを書くぞ!

感想、評価、良ければお待ちしております。
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