正体不明の妖怪(になった男)、情緒不安定な百獣の腹心になる 作:黒岩
かつて……“新世界”に“黄金の国”と称される、世界でも有数の強国があった。
世界政府が発足してから約800年もの間、黄金を求める海賊も政府の人間も全てを侍の圧倒的な強さで返り討ちにしてきた鎖国国家。
独自の文化や宗教を持ち、外海から閉ざされようと実り豊かな環境と活気ある人々があり、穏やかに暮らしていた。
──だが今や……その見る影もない。
「ハァ……ハァ……!!」
「ゼェ……足を止めるな……!! 奴らに捕まったら終わりだぞ……!!」
「ぎゃはは!! どこに逃げようってんだおい!!」
「キャー!!」
「!!? おい!! 女だぞ!! 何をしやがる!!?」
「知ってるさ……!! だが逃亡者で、反逆者だ……!! 反逆者は実刑だ!!」
「お前らもこの女も死ぬんだよ!! ぎゃはは!!」
「……!! 畜生……!!」
──曇天の空の下にある“花の都”では、幾つもの悲鳴と笑い声が聞こえる。
本来同居する筈のない2つの声だが、今の花の都では特別珍しいものでもない。
「ウ……だ……だすけで……ぐれ……!!」
「ダメだ!! お前達は見せしめなんだよ!! ウチに逆らった奴がどうなるか……民衆にた~っぷりと教えてやらねェとな!!」
「……! 酷い……!!」
逃亡を試みた町人が磔にされ、拷問によって死を待つ中、反逆や逃亡を選ばなかった元花の都の住民達は広場に並ばされ、1人1人海賊達の指示を受ける。
「さァ並べ!! 男は奴隷!! 女は遊女!! ガキだろうが老人だろうが関係ねェ!! 働けねェ奴は死ね!!」
「それとも……ウチに入って一緒に海賊でもやってみるか? ぎゃはは……もっとも、弱ェ奴はどっちにしろ死ぬがな」
「違いねェ!! ギャ~ハッハッハ!!」
花の都の町人は国を治める将軍、黒炭オロチの支配下に収まり、金を生める者達が裕福な暮らしをするワノ国において唯一の栄えた郷だった。
他の郷の様に寂れ、無法の荒野となり、民衆は武器工場で働かされるような地獄ではなかった。ここだけが、唯一の希望であり人らしい生活を営める場所だった。
だがそれも終わった。ワノ国という国は数ヶ月前に滅んだのだ。
一年に一度の火祭りの日の夜。禁酒が解かれ、誰も死ぬことのない平和な一日になる筈だった。
しかしそれは……空から墜ちてきた巨大な島と共に、叩き潰された。今現在、将軍が使う城の場所にはその周囲を町や人ごと押し潰してとあるものが置かれており……そしてそれこそが、新たなこの国の名前でもあった。
「ここはもう海賊の国なんだよ!! 弱い奴は死ぬ!!! 強いおれ達が絶対!!! それがこの国のルールだ!!!」
「金に食料に酒!! 家も命も全部おれ達のものだ!! 生きられねェ奴は知ったこっちゃねェ!! 野垂れ死ね!!」
「ははは……食えねェ? 飢え死ぬ? バカ言うな。食料は働いた分だけしかやらねェと決まってる!! それでも足りねェんだったらそこらに転がってる死体でも食ったらどうだ? それなら好きなだけ食いな!! ちょうど掃除するのが面倒だったもんでよ!!」
「ギャ~ハッハッハッハッハ!!!」
「……!! 地獄だ……!!」
──強者である海賊達が獣の如く笑い、罪のない弱い民衆が血と涙を流す。
地獄と見紛うことなかれ。そんな新たな国の名は──“新鬼ヶ島”
世界最強の海賊団“四皇”……百獣海賊団が支配する本拠地であり……史上最悪の──“海賊帝国”であった。
──やはり……“印象”というものは大事だろう。
「ハァ……ハァ……!! 急げ……!!」
──外から微かに聞こえる誰かの息遣いを無視して思う。そう……人の印象はまず見た目で決まる。見た目以外は二の次だ。
「でも見た目は問題ないからなぁ……なんてたって、私は世界一可愛いワケだし」
そう、見た目なら問題ない。私は可愛い。誰がどう見たって可愛い美少女。15歳前後のピチピチキュートなアイドルだろう。
なんなら声だって当然可愛いし、当たり前だが肌だってもちもちのすべすべ。匂いだって良い匂い。自然な美少女の香りがする。味は……知らないけど、多分美味しい。強ければ強いほど人って美味しいし、メチャクチャ強い私がマズい訳がない。
「つまり……私は五感全てが美少女。世界一かわいい。完璧。つま先から頭の天辺……羽の先まで全部がカワイイで構成されてる……」
そう、私は完璧な美少女であり、完璧なアイドル。それは疑いようのない事実だ。
……ならばなぜ……私にありもしない悪評を垂れ流す者がいるのか?
今言ったように、見た目や声やらその他諸々は全く問題がない。毛ほどの隙もない。目の前の鏡で自分の姿を見ても、やはりそこには“可愛い”という概念を具現化したような私が映っている。
なら必然的に問題はそれ以外となるだろう。それを、苦渋ではあるが認めるしかない。
「……やっぱり、詰めるところがあるとすれば……“言動”だよね」
そう──やはり、可愛さの権化たる私が唯一……ほんのちょっぴり、1ミリだけ……本当に、ほんと~~~~~にちょびっとだけ、完璧でない部分があるとすれば……それは“言動”だろうと。
考えてみるとそれは当然。どんなアイドルだって女優だって発言が可愛くなかったり、あるいは取る仕草一つ一つが下品だったりすればそれは可愛いと言えなくなってしまうこともある。
まあそれもひっくるめて可愛いということもあり、言うまでもなく私はどんなことをしていても、何を言っていても可愛いが……ただまあ確かに、最近の私はその自分の可愛さに慢心してそこを疎かにしていたのかもしれない。
「ならそこを詰めれば……私はより完璧な……アルティメットぬえちゃんになる……」
そう、油断していた部分を引き締め直す。今から、私はその練習を行う。
とはいえ私は海賊なので、言動が多少アレでもしょうがないし、そもそもそれだって可愛くない訳ではない。他の人がやれば可愛くない行動でも、私がやれば途端に可愛く見えてくる。
だが普段のアイドルとしての言動……仕草などは詰める余地がある。
「さて、それじゃあまずは……」
驕る王者は足をすくわれる──無論、私が可愛さで負けることなんて天地がひっくり返ってもありえないが……それでも、現状維持で満足せず、より高みを目指していくのが何事も重要だ。
それは強さだろうと可愛さだろうと同じ。私はいつだって上を目指して努力してきた。
なら今回も自分を磨いて打破するのみだ。私はくるりと回って、可愛く笑みを浮かべながら自己紹介をする。
「──大人になりたい15歳♡ 妹系アイドルのぬえちゃんこと封獣ぬえだ~~~~~~~~ぞ♡」
と、言って腰を突き出し、前かがみになりながら目元でピース。そしてウィンク。
鏡の前で確認し、しばらく笑顔を浮かべる。うん、いつも通り可愛い私だ。もしかしたら2割マシで可愛いかもしれない。
でも……
「……う~ん……もうちょっと首の角度をこっちにした方がいいかなぁ……?」
私は鏡の前で少しずつ調整する。やはりポーズというのは見え方で変わってくるから難しい。
言動の方はこんな感じで良いとしても……うん。そうだね。やっぱりもうちょっとこう──
「そんな可愛い私の好きな食べ物は……お・に・く♡ 嫌いな食べ物は~~~~~~虫さん♡」
「──ぬえさん!! カイドウ様が呼んで……へぶっ!!?」
「うるさい!!! 勝手に入ってくるな!!!」
──と、練習していたところで部屋の扉を勢い良く開けて入ってくる部下に私は相当手加減した弾幕をお見舞いする。やはり新人はなってない。慌ててたとはいえノックもしないなんて……これはもっと教育が必要だね。
「……スパンダ~~~ム? 美少女の部屋にノックも無しに入ってくるなんて、非常識だと思うんだけど……どう思う?」
「す、すすすすすみませんっ!!! 全面的に自分が悪いです!!! ぬえ様!!!」
「……まあ私は優しいから許してあげるけど……次同じことしたら殺すからね?」
「は、ははははびっ!! 痛ェ!! 舌噛んだ!! は、はい!! わ、わかりました!!! 勿論ですぬえ様!!!」
「それで、何の用?」
そうして超絶ビビリながら舌を噛み、私におべっかを使う男を見て息をつく。この部下は最近入った新入り。頂上戦争の後、マリージョアで真っ先に裏切った政府の役人で、私も知っている色々とアレな男だ。
『百獣海賊団新入り(元CP9長官)スパンダム』
「は、はいっ!! か、カイドウ様が、約束の時間になっても来ねェから呼んでこいと……」
「? あれ、もうそんな時間かー。結構集中しちゃってたから気づかなかった。……というか、電伝虫かスマシで呼べば良かったのになんで態々部屋まで走って来てるの?」
「い、いやそれがどれも繋がらなかったんですよ!! ほら、この通り……あれ?」
スパンダムがスマシを取り出して私の番号に掛けると……しかし私の懐からスマシの音が鳴り響く。空気が静かになった。おそらく、番号を間違えていたのだろう。
だがそのうっかりと一瞬の静けさが面白くて、私はつい笑ってしまう。
「あはははは!! 番号間違えてんじゃん!! ほんっとスパンダムはバカだねー!!」
「うっ……そ、そうですね……うっかりしてたようで……ハハハ」
「うんうん!! 面白いのは良いことだよ!! ──それじゃ行こっか!!」
「は、はい……!! (クソ……なんでこのおれ様がこんな使いっぱしりを……!!)」
「ん~~? ひょっとして、何か文句でもあったりする?」
「い、いいいいえ!! 滅相もございませんよぬえ様!!! さあ行きましょう!!!」
見聞色の気の所為なのか、スパンダムが不満を抱いてそうだったので牽制して脅してみる。面白い。やっぱ反応が良いから脅かし甲斐があるよね、こいつ。雑魚も良いところだけど面白い分普通の雑魚よりは見どころがある。からかって遊べるのは悪くない。戦力も増やさないとだしね。雑魚でも数になりえるなら良いことだ。
そうして私は部屋を出て、城から城下町に出ていくことにした──今日は予定があるからね!!
“新鬼ヶ島”の城下町。
かつては花の都として栄えた活気溢れる町は、今や海賊の手によってより活気ある楽園へと生まれ変わろうとしていた。
「うーん、いい景色だねー」
数ヶ月前の新鬼ヶ島計画で変わった景色を堪能する。
前あった城も町並みも嫌いではなかったし、むしろ好きではあった。ワノ国の空気も水も食べ物も私には合う。今まで色んな島を訪れたけどやっぱり一番落ち着くのはここだ。
だから変わったことが少し勿体ない気もするが、自分好みに作り変えられるというのは楽しい。数ヶ月前の新鬼ヶ島計画で城の周囲の町は色々破壊されたため、綺羅びやかな景観ではなくなっていたが……今はもうその半分以上の復興が終わっている。
「ギャハハ!! おい、こっちの家は……ん?」
「うおお!!? ぬえさんだ!!」
「はーいみんな♡ どう? 楽しんでるー?」
そうして街道を歩いていると部下達が私に気づく。城の近くの“極楽町”と名付けたその一帯は百獣海賊団が居住し、楽しむための町だ。
そうして幾つもの屋敷の前で酒盛りをしているのは雑兵ではない。ウチの真打ち達だ。ギフターズもいる。彼らはウチの主力であり、私達もそれだけ優遇しているし、下っ端よりも距離は近い。私が声を掛けると途端に盛り上がって返事を返してくる。
「勿論だぜ!! ぬえさん!!」
「なァぬえさん!! おれの屋敷を見てくれよ!!」
「おれの屋敷にも寄ってくれ!!」
「ぬえさん!! 私達と一緒に飲みませんか!?」
「気が向いたら寄るねー♪ これからカイドウと約束があるからさ」
歩みを止めずに真打ち達に手をひらひらと振って「また今度ね?」と誘いを笑顔で断る。まったく、人気者は大変だよね。人望がありすぎて部下の誘いを断るのも一苦労だ。まあ暇な時なら一緒に飲んだりもするけど、今日はちょっと用事があるのでNG。新入りや私付きの部下を引き連れて地獄街道を往く。
そうしてしばらく、歩いていると目的の場所が見えてくる。周囲でウチの大工達が仕事をしているその中心の建物。その前で巨大な木材に座って瓢箪を傾けているのは私の相棒であり今や正真正銘の世界最強となった男だ。
『“四皇”百獣海賊団総督“百獣のカイドウ” 懸賞金51億1110万ベリー』
「……!! ウィ~~……おい、ぬえ!! お前遅ェぞ!!!」
「ごめんごめん!! ちょっと私の可愛さに自分で見惚れちゃっててさ」
「お前から言ったんだろう!! そんなふざけた理由で遅れやがって……!!」
「むっ、ふざけた理由じゃないもん。私が可愛いのは正当な理由よ。それに遅れたって言っても数分でしょ? そんくらいで男がグチグチ言わないでよね!!」
酒を呷り、少し遅れたことに悪態をついてくるカイドウに私は細かいことは気にするなと言い返す。カイドウは真面目だからね。デカい図体の割には細かいことにうるさい。しかも先に飲んじゃってるし……いやまあそれはいつものことだから別に良いんだけど。
「……チッ……昔時間に遅れたらブチギレてたのはどこのどいつだ……」
「何か言った?」
「何でもねェ……それより、この建物は何だ? 説明しろ、ぬえ」
「? 見れば分かるでしょ?」
そしてカイドウは私に小言を言うと、気を取り直して背後にある建物を指で指して問い掛けてくる。……が、見れば分かる筈だ。ちゃんと看板だって掲げてるんだし。なんで聞いてくるのかと私は首を傾げる。
するとカイドウが声を荒げて、
「そうじゃねェ!!! なんだって……“焼き肉屋”なんて建ててんだ!!?」
と、看板を見て言う。大きな4階建ての建物。そのカイドウでも入れるくらいの大きさの入り口の上には“ぬえちゃんの焼き肉屋♡”と書いてある。可愛い私の顔のイラスト付き。何もおかしいことはない筈だけど……一応理由を言ってあげる。
「え? 良いじゃん焼き肉屋。私、お肉好きだしいっぺん自分でプロデュースしたお店を開いてみたかったのよね~~♡ ふふん、すごいでしょ?」
「……店なんて建てて誰が使うんだ? ここは海賊の町だぞ」
「ウチに入ってる海賊なら誰でも好きに美味しいお肉を食べれるようにっていうぬえちゃんの粋な計らいよ!! ま、実質食堂みたいな感じだけど……こういうのも町の雰囲気作りには良いじゃない!! 鬼ヶ島にだって遊郭とか一々建ててたんだしさ!!」
「まあそうだが……」
「でしょ!! だから今日は開店記念でここでご飯とお酒を楽しむの!! ──ほら、新入り達も遠慮せず中に入って入って!!」
私は軽く息をつくカイドウと一緒に店に入りつつ、後ろに連れてきていた部下や新入り達も手招きして店の中に入るよう誘う。宴は沢山いた方が楽しいからね。いつもの部下達に加えて今日は新入りも誘ってみた。スパンダムだけではない。
「では、どうぞ♡ 皆様♡ ウチの娘達がご案内します」
「わはは!! そうだ狂死郎!! 入れ入れ!! 今日はおれとお前が兄弟になった記念として特に美味い酒を用意したんだ!!」
真打ち最強の6人“飛び六胞”からはブラックマリアとササキ。多くの遊女と自分の元海賊団の部下達を連れてやって来ているが、その間にいるのが新入りである2人。
『百獣海賊団真打ち“赤旗”
「……失礼する」
『百獣海賊団真打ち“居眠り狂死郎”』
「……では、お言葉に甘えさせて頂きます」
「あら、新入りは無愛想ね。それほど緊張しなくても良いのに♡」
「なんだ狂死郎、柄にもなく緊張してんのか?」
「……ああ……まあ、な。やはりカイドウ様とぬえ様の前となると中々……」
「…………」
笑顔の一つも浮かべない2人の新人。ドレークと狂死郎が今回のゲスト。これからウチで暴れてもらう期待の新人とあって、親睦を深めようと思って連れてきたのだ。──あ、一応スパンダムもね。誰も気にしてないけど。
とはいえ名目は金色神楽ではあまり構ってやれなかった新入りとのちょっとした懇談会。新人と飲もうとカイドウにも伝えてあるためか、カイドウは上座に付くなり私に聞いてきた。
「おい、
「ん? あーあの2人? 誘ったんだけどねー。この2人以上に堅物というか、血に飢えてるというか……仕事がしたいみたいで遠征に行っちゃったね。──そうだよね? ジョーカー」
「──ええ。2人とも任務に使わせてますわ」
「!」
そしてカイドウの言葉に答えつつ、更に問いを投げたのは新たに店に合流するウチの“大看板”。背後にウチの偵察部隊であるメアリーズを従えた美女。その登場に、新入り2人がピクリと反応する。
『百獣海賊団大看板“戦災のジョーカー” 懸賞金17億4000万ベリー』
「今は“新鬼ヶ島”国内も国外のナワバリでもやるべきことが多く……手柄に飢えた者達は積極的に仕事に取り組んでくれてるようで、大いに助かってるわ♡」
「まあ侍捕らえたり、ナワバリ増やしたりと、今は稼ぎ時だからね!! 本来なら私の誘いを断るなんてあり得ないけど、私達のために頑張ってくれてるんだから許してあげないとね!!」
「そうか。だったら構わねェ。新入り共もよく働いてくれてるようだな……今日はその功も労ってやるつもりだったが……また今度にしよう。ジョーカー、お前もご苦労だったな」
「そうそう!! ジョーカーちゃんも頑張ってくれてるからね!! 今日は沢山食べて飲んでね!!」
「ありがとうございます♡ 勿体ないお言葉……」
私とカイドウの言葉にジョーカーは微笑を浮かべて恭しく頭を下げる。
そうして私の隣に付いたジョーカーに、カイドウの隣にいたブラックマリアが目を向けた。
「ジョーカー……帰ってきていたのね。せっかくカイドウ様とぬえ様を独り占め出来ると思ったのに……!!」
「あら、それは悪かったわ。でも貴方は連日の任務で疲れているでしょうから休んでいてもいいのよ? カイドウさんとぬえさんは私がお相手するわ♡」
「心配は御無用よ。あなたこそ休んだらどうかしら?」
「やめろお前ら……酒の席で争うな」
「そうそう、やめなさい2人共。私のために争わない……で♡」
「うっ……カワイイ……♡」
「さすがはぬえさん……♡ また可愛さが一段と増していますわ……♡」
「ウィンク一つで……ちょろすぎだろお前ら……」
バチコン、と私が可愛くウィンクしてやるとジョーカーもブラックマリアも酌をしてもてなしてくれる予定のウチの部下の遊女達もみんな目をハートにしてメロメロになった。ふっふっふ、さすが私。ハンコックのメロメロの実も型なしの可愛さ。ササキが呆れてるが、そんなササキだってきっと心の中では私を推してるに違いない。このツンデレめ。
それに、ジョーカーとブラックマリアという2人の接客のプロが争っているが、今日は私が皆をもてなす日でもある。まあ私がプロデュースした店だからね。そういう意味では私が幹事みたいなものだ。
「ほらほら、みんな好きなもの食べなさい!! 私プロデュースのこの店には牛も豚も鳥も魚も野菜も酒も最高級のが揃ってるんだから!!」
「さすがはぬえさん♡」
「ちなみに、建物は私が作りましたわ♡」
「そうそう、ブラックマリアもありがとねー♪」
「酒はおれが作ってるものがあるぜ!! ……と、それは良いんだがぬえさん……肉は牛と豚と鳥と魚だけ……だよな?」
「いや色々あるよー。猪や鹿とかのジビエも勿論、ワニとかゾウとかの変わり種もあるしー……あっ、私のイチオシもあるよ!! ぬえちゃんのオススメ!!
「いや……遠慮させてもらうぜ」
ササキが真顔でそれを断る。あーやっぱりダメかー。クセがあるけど結構美味しいんだけどね。ちなみに私の一番のオススメは全てのお肉を網羅した“ぬえちゃんフルコースセット”。色んな肉を今まで食べてきた私が厳選した最も美味しい肉が集まった最高のフルコースだ。壁に掛けられたメニューの中に、一番デカデカと掛けてある。私のオススメなんだからこれくらい勧めるのは当然だよね! ──あ、ちなみにブラックマリアが建物を作って、ササキが酒を提供しているが、他にも協力してくれた可愛い部下達が沢山いる。うるティちゃんは野菜。ぺーたんは魚。フーズ・フーはメインの肉全般を担当してくれていて、壁にフーズ・フーのマークも描かれている。そしてその横にはキングが腕組みしている写真。「おれが作った」と書いてある。いや、私が勝手に書いたんだけどね? それでも一部のメニューはキングが本当に考えてくれたし、作ってくれたのも事実。店の料理長も一応キングになってるしね。だからこの料理を作った奴を呼んでこいって言うとキングが出てくることになる。面白いからそうなるようにした。キングも満更でもないみたいだし良いだろう。
「まあ何でも好きなもの頼んで!! それじゃ、可愛いぬえちゃんとぬえちゃんの焼肉屋の開店記念!! ついでに新入り達にかんぱ~~~い!!!」
「新入りがついでになってんじゃねェか」
と、何はともあれお酒を持って乾杯。カイドウに軽くツッコまれるが気にしない。乾杯の音頭なんてこういう場では割と適当だ。大宴会ともなれば色々ちゃんとするんだけどね。今日は軽いやつだからこんなもので十分。お酒を一気に飲み干して私は会話を切り出す。
「──ぷはぁ!! いやぁ~~それにしてもウチもまた大所帯になったねぇ!! 侍達が1万人!! 超新星も3人入って来てくれたし、おまけに政府の諜報員まで入ってさ!!!」
「ウォロロロ!!! 戦力は多いに越したことはねェからな!! 新鬼ヶ島も都として整ってきた!!」
「だねー!! リンリンとの同盟も上手くいってるし……今ヤマトは新婚旅行中だっけ? ジョーカー」
「ええ。一ヶ月程向こうで過ごした後……“
「うんうん。それなら帰ってくるころには新鬼ヶ島も国として完成してるね!!」
「おう、各郷の武器工場の建設に都の建設。港や滝の上の要塞化は頼んだぞ!! ブラックマリア!!」
「はい♡ クイーンと一緒に、工期を出来るだけ早められるように努力させていただきますわ♡ ざっと後3ヶ月もあれば一先ずの工事は終わる予定で……」
焼いた肉を肴に酒を飲み、隣のジョーカーに酌をしてもらいながら最近の景気の良さを話す。新鬼ヶ島計画を行ってから何事も上手く回っている。
都はもう8割方形になっているし、港や滝の上の要塞化も時間の問題だ。
「国内の反乱分子も大体捕らえたしねー。後は幾つかの盗賊や村を破壊するくらいでー……あ、せっかくだしそれは新入りにでも頼もっかな?」
「ウォロロロ!! そりゃあいい!! おい、ドレーク!! 狂死郎!! どっちかやりてェならやっても構わねェぞ!!」
「!」
「それは……」
そして新入り達もちゃんと働いてくれている。もうすでにちょっとした任務は任せているが、今のところ問題は起きていない。国内の侍の生き残りを全て捕らえるのも時間の問題であるので、新入りに任せても問題はない。
──ま、
「! カイドウさん!! ぬえさん!! それなら狂死郎に任せてやってくれ!!」
「……! おいササキ……」
「狂死郎か。確かに……オロチの一番の家臣だったお前ならあの“アシュラ童子”相手でも問題ねェだろう」
「あはは、そうだねー。……それにしても、ササキは相変わらず狂死郎と仲が良いね?」
「からかわねェでくれよぬえさん!! こいつはやる奴だ!! 狂死郎の実力なら“飛び六胞”になっても上手くやる!! あの小紫の奴なんかよりよっぽど役に立つぜ!!」
「……! 買いかぶりすぎだササキ。新参者のおれなど、まだまだ飛び六胞には程遠い……」
「わはは、謙遜するな狂死郎。それにおれの兄弟分ならそのくらいなって貰わねェと困るぜ!! ほら、飲め飲め!!」
「また無茶なことを言う」
仕事の話に二の足を踏んでいたドレークと狂死郎だが、ササキが狂死郎を推薦する。親友とササキが言うだけあってかなり仲が良い。ぶっちゃけかなり珍しいというか、本当に仲が良いのが伝わってくる。
何しろササキが他人を仕事に……ましてや飛び六胞に相応しいと勧めてくるのは珍しいどころか他で見たことがない。ここまで評価するのは狂死郎だけだ。
それだけ仲が良い、狂死郎がウチの真打ちになってからは正式に兄弟分としているが……より仲が深まっているみたいだ。少なくとも、ササキはそう思っているだろう。
でも……そいつ裏切り者なんだよねぇ……ここまで仲が良いと、いつかそれを伝えるのが可哀想になってくるなぁ。傷つきそうだしブチギレそうだ──ま、裏切られて復讐しようと憤慨するササキと過去の仇討ちに燃える狂死郎の対決も面白そうではあるけどね。どうなるかは実際に裏切りの証拠を見せた時のお楽しみだ。
それに……裏切る可能性がある奴はこの場にもう1人いる。私はそいつにも声を掛けた。
「……それじゃあ“アシュラ”の件は狂死郎に任せるとして……村の破壊はドレークに任せてもいいかなー?」
「! ……村の破壊……そこに反乱分子がいると?」
──X・ドレーク。世間を賑わせた超新星の1人。元海軍将校の経歴を持つ異色の海賊だ。
彼もまたウチに入ってすぐ真打ちに。まあ実力的には申し分ない。覇気はまだまだ未熟だけど、能力はウチにも沢山いる動物系の古代種、リュウリュウの実のモデル“アロサウルス”だし、将来の飛び六胞や大看板候補になりえる人材だ。
無愛想に、そして遊女達の酌を断りながらも仕事の話に耳を傾けるドレークに、私は任務の内容を話してやる。
「私の見聞色で感じる限りはねー。都から逃げた侍が数十人ほどいるっぽいし……あ、それと侍に加えて
「刀鍛冶と……幼女?」
「うん。その“編笠村”には天狗山飛徹っていう刀鍛冶とお玉っていう能力者の女の子がいるんだけど、そいつらも捕らえて私の前に連れてきて!!」
私は肉を食べながらそうドレークに命令する。ま、超新星の1人ってんならこのくらいの任務はこなして貰わないとね。侍数十人ってのは良いくらいの数だ。勝てるだろうが、簡単ではないくらいの数。
まあ私が行っても良いんだけど……そうやって私が何でもかんでもやっちゃうと部下の手柄を奪うことになっちゃってあまりよろしくないんだよねー。キングにも小言を言われちゃうし。ソノからは仕事が減るからと歓迎されるけど。
だから私は相当重要な案件じゃないと動かない──ようにはしてる。我慢できない時は行くけどね!! それは私もカイドウも一緒。やりたいことを我慢するのは良くない。暴れたい時は暴れるし、ブチ殺したい相手がいるならブチ殺しに行った方がいい。出来るだけは部下に任せるけど、手が空いてて気が向けばそういうこともある。
「おい、ぬえ。またガキをウチに入れるつもりか?」
「んー、ま、そんなところかなー♡ 見どころがありそうだしね!!」
「まあお前が言うんなら本当に見どころがあるんだろうが……」
「それより能力者という情報をどこから手に入れてきたのか……それが私は気になりますわ」
「それは秘密♡ ミステリアスで正体不明なのが私の魅力なの♡ ──ってことで、ドレーク!! その村に私達の怖いところを教えてあげてね!! 徹底的に!! 反逆者や裏切り者はこうなるんだってところをね!!」
「──刀鍛冶と能力者の幼子だな。了解した。後で向かわせて貰う」
ドレークが即座に首肯を返す。うーん、さすがに動揺はないしボロも出さない。若干いつもより様子が違う狂死郎と違って私達に恨みがある訳ではないから全然普通だね。
まあそもそもドレークの場合はスパイかどうか分からないけど。海軍滅ぼしたし。新政府と繋がってる可能性もまだ不明だしね。一応裏切り者は絶対に許さないぞーってこの場にいる面々にも牽制の意味も込めて言ったけど……あ、そうそう。裏切り者と言えば、あの娘を思い出す……ちょうどジョーカーも同じ相手を思い浮かべてたみたいで、私に声を向けた。
「あら怖い……そういえば、“海賊女帝”の方は未だ泳がせておくのかしら」
「あー、ハンコックちゃんねー。引っ越しも終わったし、しばらくは新世界で私達のために暴れて貰う予定だよ!! いざとなったら女ヶ島も近くなったし、島ごと滅ぼすのもありだよねー!!」
「フフフ……了解。では監視の目を忍ばせておきますわ──福ロクジュ」
「──はっ」
「!」
と、私がそう言うとジョーカーが意を汲んで早速監視体制を取るようにと命令を出そうとする。名を呼んでどこからともなく現れたのはジョーカーの部下。メアリーズの真打ちとなった頭の長い忍者の男だ。
『百獣海賊団真打ち(元お庭番衆隊長)福ロクジュ』
「既に旧・鬼ヶ島の場所にある女ヶ島にはくノ一を数名、忍ばせてあります」
「ご苦労さま♡ 相変わらず仕事が早くて助かるわ」
「いえ……恐縮です」
「あ、福ロクジュー!! 来てるなら交ざればいいのに!! あなただってホテイや狂死郎と一緒でウチの新入りなんだからさ!!」
「いえ、お誘いはありがたいのですが、今しばらくはやることも多く、仕事に専念したく……先日頂いた悪魔の実の修行もありますゆえ」
「そっかー……それじゃあ頑張ってね!! 忍者にはうってつけの能力だろうからさ!! 使いこなせる日を楽しみにしてるよ!!」
「ええ、カイドウ様とぬえ様には我らお庭番衆を厚遇頂き、感謝しております」
「おーくるしゅうねェぞ、福ロクジュ。お前ら侍と忍者はこれからのために必要な大事な戦力だ。楽しくやれ」
「頑張ってねー♡」
「はっ。では失礼致します」
ドロン、と慇懃にお礼を言ってあっという間に消えてしまう福ロクジュ。神出鬼没だなぁ。ま、私は気づけるけど。それでも忍びの気配を見つけるには結構集中しないとだし、忍者の技術は凄い。敵に回したら面倒そうだ。
とはいえお庭番衆も見廻り組も裏切ることはなさそうかなー? オロチは日和ちゃんが念入りに殺してたし、今更私達に牙を剥くとは思えない。私達の怖さも、長年組んでいたこともあって一番良く知ってるだろうしね。
「ウォロロロ……!! 手に入れた悪魔の実の分配も終わり、人魚姫も手に入れた……!! 後は“
「あー、その話新入りの前でしちゃう~? ──でもまあいっか!! とりあえず、人魚姫は覚醒を待つとしてー……“
そして、酒を飲んで機嫌の良くなったカイドウがふとそんなことを話に出す。私達の今後の方針の核心に近い話ではあるため、結構取り扱いはデリケートではあるがこのくらいなら問題はない。バレたところで大したことではないし、なんだったらもう知ってる者は知ってる情報だ。これから話すことも過ぎたことでしかないし、肝心の部分は口にするつもりもない。カイドウも同じだ。
「“新政府”か“赤髪”か……それかリンリンの奴がもう一つ隠し持ってる可能性はねェのか?」
「う~ん、それなら話は簡単なんだけど、多分ないよねぇ。多分……一番持ってそうなのは“赤髪”かなー。一番きな臭いし……“新政府”もないとは言い切れないけど……もし持ってるならこっちもこっちでどうにか出来そうではあるかな?」
「一番手に入れにくい場所にある可能性が高いってことか」
「聖地にあれば良かったんだけど、結局なかったからねー。そうなってくると……私の読みだとやっぱ赤髪かな」
私達が世界を支配するために必要な残りの欠片である“ロード
そして最後の1つは……色々知ってる私が考察するに、多分聖地マリージョアにあると思ってたんだけど、襲撃の時に色々探したけど見つかったのは財宝や悪魔の実を含めた貴重な宝だけだ。
しかし私としては聖地は可能性が高い場所としてずっと考えていた。五老星やらその上が見つかってないこともそうだし、ベガパンクもいない。何かが持ち出された形跡もある。
それに何より、だ。原典で“麦わらの一味”が海賊王になると仮定すると……麦わらの一味が向かう先に、必ず石がある筈だ。
そうなると彼らがワノ国の後、向かう場所は幾つか考えられる。まだ訪れていない場所……私達にとっては思い出深い海賊島“ハチノス”やウォーランドにある巨人族の国“エルバフ”。ないとは思うが“
そして……“聖地マリージョア”。私の知る原典だとその場所で色々と事件が起きてるし、世界政府と“麦わらの一味”が敵対しないとも思えない。
“ラフテル”へ行くことを禁じてる世界政府が石を持ってるというのは行くことを防ぐためにも理に適ってる。
まあエルバフなどにあって海賊王になってから世界政府と敵対するという線もある。あるけど……私達の都合の悪いように考えるなら、一番は世界政府に石があって、それを五老星がどこかに持ち去った。
その隠れ蓑は“赤髪”で……ってのが一番面倒で都合が悪い。なーんか赤髪やらそこに逃げ込んだ誰かの影響なのか、なんかバギーまで厄介になってきてるし……面白いし楽しいけど面倒なのも確かなんだよねー。
──とはいえやることは変わらない。私は焼いていた色んなお肉を箸で全部いっぺんに掴み、口の中で全部咀嚼して飲み込んでから言う。
「──ま、どうせ全員殺すんだから別に誰が持ってようと関係ないっちゃないんだけどね♡」
「ウォロロロ!! 結局お前のその読みも意味ねェじゃねェか!!」
「あ、酷~い!! さっき言った人魚姫のことだって私がいなきゃ先んじて手に入れられなかったのに!!」
「ああ、わかってる。お前の読みは当たるからな……一応、赤髪は注意しておこう……わかってるな? ジョーカー」
「ええ、勿論。お任せを」
「頼んだからね!! ジョーカー!!」
情報を取り扱うジョーカーに赤髪には注意しておくように頼む。まあ言ったように全員倒すには倒すんだけどね。とはいえ目的の物がどこにあるか探る必要はある。私の読みやら知識やらはカイドウも皆も信頼してくれているが、この先私のそれがどこまで使えるかは分からないし、ちゃんと今のこの世界の情報をきちんと集めるに越したことはない。それを知れば、私としても知っている知識と合わせて読むことは出来るし、ジョーカーなどの私よりも情報を扱うことも上手く頭の良い相手に言えばより正解に辿り着く可能性も高くなる。
しかしやはり……私達が世界最強の海賊団になってもまだ私達の完全な天下ではないため、まだまだ戦力を強化する必要もある。情報を集めるにも時間は掛かるだろうしね。今の戦力を強化することも必要だし、そのために褒美なんかも色々与えてあげないとなぁ。
「それにしてもジョーカーや他の“大看板”……“飛び六胞”に真打ち、ウチの部下達は皆頑張ってくれて助かるね♡ 何かまた褒美を考えとかないと。お金とかもまた色つけてあげないとね!!」
「フフ、それほどでもないわ♡ ぬえさんには楽をさせて貰っていますから」
「金もいいが、おれは褒美なら“大看板”への挑戦権が欲しいぜ!! ぬえさん!!」
「あら、それはいいわね。せっかくだし、ジョーカーの座でも貰おうかしら♡」
「フフフ……身の程を弁えた方がいいわよ?」
「昇格かぁ。やっぱり皆それが欲しがるよねー♪ ドレークや狂死郎も昇格の方が良いでしょ?」
「……頂けるものなら何でも」
「……昇格するにはまだその分の功を何も為してはおりませんので、手前では荷が重いと思いますが……」
「じ、自分も出来れば下っ端ではなく昇格が欲しいです!! ぬえさん!!」
……と、まあわかっていたことだけど、ウチはやっぱりより上の“地位”を欲しがる者が多い。というか、皆そんな感じだ。他の欲しい物なんて地位さえ手に入れば自ずと付いてくる。
新入りで入ってきたウェイターズ……今のスパンダムみたいなあまり力もない奴でも、最強の百獣海賊団に入って勝ち馬に乗る──力を得て好き勝手したいと願う。
そのために“
真打ちは飛び六胞に昇格しようとするし、飛び六胞は誰もが大看板を狙ってる。海賊王になる夢は諦めても上の地位を狙う野心は衰えていない。力を求め、上昇志向が高く、負けん気の強い奴らが多いのが百獣海賊団だ。上の地位を狙うからこそ上の奴にはあまり従いたくない──従うのはカイドウと私だけだって奴すらいる。
まあそういう組織にしたのは私達なので、それで良いんだけどね。強い奴が上位に立つのが正しいし、海賊なのだから実力があるなら負けん気や野心も大いに結構だ。上下関係だってそこまで厳しくなくたって構わない。
だから彼らの褒美となると当然“昇格”だが……真打ちならともかく、飛び六胞から上は枠がある程度埋まってるし、無闇に増やすのは格というか価値が下がるしねぇ……とはいえ最近は強い真打ちも増えてきてるし、手柄を立ててきた飛び六胞にも挑戦権をそろそろ与えたいところでもあった。
「……ふふふ、そうだねー。それじゃあちょっと考えてみよっかなー。カイドウも良いよね?」
「──また何かする気か?」
「ちょっとしたイベントとかどう? 手柄を立てた奴も多いし、せっかくだから大規模な昇格イベントを、ね♪」
私はカイドウに尋ねる。一応昇格やら何やらはカイドウと相談して決めるのだが、それをするのは“大看板”と“飛び六胞”くらいで、それ以下の真打ちに関してはカイドウは大看板に任せてノータッチ。私もよっぽどじゃないと関わらないし、飛び六胞以上に関しても私の方が見聞色が強くて実力を見抜く目が強いから私が進言してカイドウが承認する形だ。
だから私が見どころがあるって言ったり、昇格の話を出すと皆目の色を変える。ササキやブラックマリアも私の発言に反応した。
おまけにカイドウが私の発言に頷いてしまえば──それはもう、完全に決定事項になる。
「良いじゃねェか。やってみろ。面白い催しになりそうだ」
「オッケー♡ それじゃあ全員招集は今忙しくて厳しいからまた次の金色神楽の時になるけど……真打ちの昇格に真打ちの“飛び六胞”挑戦権……“飛び六胞”の“大看板”挑戦権を賭けた武闘会──」
私は考えながら言う。
ウチの部下達を労い、その強さに報いるために……より上の地位を狙い、そして力を付ける好機を演出する大規模な御前試合を開く。
そうすれば組み合わせは私が決めれば良いし……あいつとあの娘を戦わせたりして、面白い光景が見られるかもだし、色んな奴の成長のチャンスにもなるし……ひょっとしたら裏切り者が尻尾を出すかもしれない。部下にもちゃんと昇格の機会をもっともわかりやすい形であげられる。
良い考えだ、と私はその開催を告げた。名前は、じゃあ仮に──
「──“百獣杯”でも……開いちゃおっかな♡」
「!!!」
聞いていた部下達が目を見開く中、私は期待する──“新鬼ヶ島”が始まって最初の“金色神楽”に、相応しい祭りになりそうだと。
新鬼ヶ島→花の都は言うまでもなく城の周囲潰れました。町は地獄。建て直し中。
スパンダム→聖地で即裏切った役人。弱いのでウェイターズの新入り。ファンクフリードはあり
焼肉屋→ぬえちゃんプロデュース。関係者多し。
ジョーカー→メアリーズを使って活躍中。
福ロクジュ→メアリーズの真打ち。新たに能力者に。
ササキ→狂死郎と親友(と思ってる)。同じ海賊団に入ったので兄弟扱い。
狂死郎→ササキの兄弟分。アシュラ討伐の任務を受ける。テンションがヤバい。
ブラックマリア→建設に遊郭にと忙しい。
ドレーク→編笠村の任務を受ける。スパイかどうかは不明。
考察→原作知識ゆえのメタ読み。カイドウは信頼してる。
百獣杯→次の金色神楽でのメインイベント。戦争やら戦後やらで戦力が増えて手柄立てた奴が多いので大規模な昇格試験。ついでに悪巧み。
ヤマト→新婚旅行中。
カイドウ→戦力が増えて機嫌が良い。
ぬえちゃん→妹系アイドルとして可愛さを更に追求したり、新人を労ったり、昇格を考えたりと頑張ってる。可愛い。
今回は日常回みたいな感じ。情報まとめ。ワノ国勢やらジョーカーやら今後やら色々。
次回はパンクハザードで科学系のお話。クイーン様とか人間のクズとか色々。お楽しみに。
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