正体不明の妖怪(になった男)、情緒不安定な百獣の腹心になる   作:黒岩

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 ──黄金と月の光が照らすドレスローザとグラン・テゾーロ。

 

 地獄から解放されたと喜んだ直後。再び戦乱の渦へと巻き込まれた2つの島は日が沈んでもなお人々の雄叫びと鋼の音。銃声の鳴り響きによってその舞台を彩っていた。

 

「頼む!! 助けてくれ!! 1人殺したんだ!!」

 

「海賊帝国に忠誠を誓います!! だから命だけは……!!」

 

「新政府の兵だ!! 討ち取れ!!」

 

「海軍の残党……!! そもそもお前達が負けなければ俺たちも地獄に陥ることはなかったんだ!! 責任取って死んでくれ!!」

 

「くっ……!! どうすれば……!!?」

 

「民衆はどうにか拘束しろ!! 殺してはならん!!」

 

「もう終わりだ……何もかも……」

 

「やめてくれ~~~~!!」

 

「殺さないで~~~~!!」

 

 2つの島の間に横たわるように出来た“神の大地”。

 そこを中心に争い合う人々はもはや罪無き人々ではない。

 人を殺すことで生きることが出来る。争い勝利することで未来が勝ち取れる。

 人を傷つけ、殺すことは“暴力の世界”では罪とならない──ゆえに殺す。

 自らの命や大切なもののため、苦渋の決断で暴力の世界で生きることを決めた人々は神の大地に大挙して押し寄せる。

 そこにいるのは百獣海賊団、ドンキホーテファミリー、テゾーロ海賊団──海賊帝国の構成員。彼らの生き死にを決める圧倒的強者達の群れ。生者と死者を振り分ける地獄の裁定者。

 逆らえば殺される。島を囲む“鳥カゴ”は逃げることも助けを求めることも許されない。

 どれだけ恐ろしくとも力なき人々が生き残るには群れに加わるしかない。自ら鎖に繋がれるしかない。

 殺人を犯し、涙を流す者。開き直って笑う者。恐怖に支配され、身体の震えが止まらない者。人々は救いを求めて必死の形相で“神の大地”へと手を伸ばす。この狭い世界の中で、自らの生き場所を求めている。

 

『さあ、戦争を肯定し、崇めなさい……!!! 今この島は世界の縮図。何人足りとも逃げることは許されないわ……!!!』

 

 そして神の大地の頂上にいる上位者達は、その地獄の如き光景を見下ろして笑う。

 彼らにとってはその地獄こそが唯一求める世界の形。争いに満ちた理想郷。

 いずれこの光景を世界中に広げるため、世界を滅ぼす“災害”足る彼らは地獄を作り続ける。

 その進撃を止めることが出来る者などいやしないし、たとえいたとしても彼らの取る行動は決まっていた──

 

「どけェ~~~~~~!!!」

 

「うおわ!!?」

 

「! 来たぞ!! あいつだ!!」

 

 ──神の大地の1段目。

 百獣海賊団のウェイターズとプレジャーズ。ドンキホーテファミリーの幹部達や構成員。テゾーロの雇った傭兵達が布陣するその大地に、麦わら帽子の男が降り立った。

 

「ゼェ……ゼェ……どけ~~~……ゲホッ、ゲホッ……!!」

 

「“麦わらのルフィ”だ!! 殺せ!!」

 

「ジョーカー様の吸血食らって老人になってるぞ!!」

 

「今ならチャンスだ!! 討ち取れば昇格も間違いねェ!!」

 

 8億の賞金首。海賊麦わらの一味の船長であるモンキー・D・ルフィ。

 この戦場を支配する百獣海賊団大看板“戦災のジョーカー”によって完全抹殺指令を出された彼は、海賊帝国の構成員全員から狙われていた。

 無論、ただの下っ端が倒せるような相手ではないが、今のルフィはジョーカーによって老化して体力や筋力。身体機能が全て落ち込んでおり、下っ端相手とはいえ息を切らしてしまっていた。

 このままでは頂上に行くまでに彼の体力は底を突いてしまうが──

 

「ルフィ先輩に近づくんじゃねェべ~~~!!! “バリア突進牛(ブルズ)”~~~!!」

 

「その通りよ──ん!!! “白鳥アラベスク”!!」

 

「!!!」

 

「うわァあ~~~~!!?」

 

 ──そこに救援に駆けつけるのは敵を海賊帝国と見定め、麦わらの一味と目的を同じくする味方達だった。

 透明なバリアを広げての突進と覇気を纏った白鳥の如き蹴りで少なくない敵兵を吹き飛ばしたそれを、ルフィは見る。

 

「ロメ男!! それに……あれ?」

 

 “人食いのバルトロメオ”というパンクハザードで出会い、一時船に乗せてここまでやってきたルフィを慕う後輩の海賊はすぐに確認し名を呼ぶ……が、もう1人の方を見て、ルフィは自らの目を擦った。

 

「あれ……やっぱおれ、老化してんのかな……なんかボンちゃんがそこにいる気が……」

 

「いる気が……じゃなくて本当にいるのよ────う!!! お久しぶりねい!! 麦ちゃん!!」

 

「え~~~~!!? ボンちゃん!! また生きてたのかァ~~!!!」

 

 だがすぐに本物だと認識すると、2人して涙を流して抱き合う。ルフィと抱き合うその大柄なオカマの名は──通称Mr.2ボン・クレー。

 かつてアラバスタで友情を結び、大監獄インペルダウンではルフィの命の恩人となり生死不明だった彼は約2年の時を経てようやくルフィとの再会を果たす。

 

「あ、いた!!」

 

「ようやく合流したか……!!」

 

 そしてその彼らの元に集まるように続々と──麦わらの一味やその協力者達が集まってくる。

 西側からはカリーナに日和やムサシ。東側からはフランキー。

 途中で合流した者達も、敵のあまりの多さにはぐれてしまっていたりもしたが、彼らは仲間を信じて約束の頂上へ──とにかく上の方を目指していく。

 

「お前らも無事だったのか!!」

 

「ルフィ!! こっちはローを解放した!! 途中で逸れちまったが……」

 

「これだけ敵の数が多いと仲間を1人1人探し出すのは我の見聞色でも難しいだろう。それに時間もない。今はとにかく上を目指すべきだ、ルフィ!!」

 

「そうか!! わかった!! とにかく上に急ごう!! ぜー……ぜー……」

 

「あの体力バカのルフィがこうなっちまうとは……老化ってのは恐ろしいな」

 

 フランキーがローを救ったことを説明し、ムサシもまたここからどうすべきかの方針を口にすれば、ルフィもそれに力強く頷く──その後すぐに息切れしていたが、これをどうにかするためにも彼らは頂上を目指してそこにいる親玉を倒さなければならない。

 

「麦わらの一味だ!!」

 

「ムサシお嬢様までいるぞ!!」

 

「“新鬼ヶ島”にいる筈じゃねェのか!!?」

 

「あれは……カリーナ様!!?」

 

「カリーナ様が何故麦わらの一味と一緒に……?」

 

「誰だろうと関係ねェ!! 向こうにいる奴らは全員敵だ!! 麦わらの一味も新政府軍も誰も通すな!!」

 

「ああ!! 調子に乗らせるな!! 蹴散らせ!!」

 

 ──だがその道を阻む海賊帝国の構成員。兵の数は膨大でルフィ達の首を取ろうと競うように武器を手に襲いかかってくる。

 

「っ……!! 数が多いな……!!」

 

「相手にするな!! 道を塞ぐ最低限の敵だけ斬り捨てて進め!!」

 

 敵の攻撃の激しさにルフィが苦悶の声を漏らし、ムサシが相手にするなと叫ぶ。兵隊を1人1人相手にしていたら時間が幾らあっても足りないし体力も消耗してしまう。

 それだけに雑兵は相手にするなと告げ、味方側もそれに了承したが──相手にいるのはただの雑兵だけじゃない。

 

「──“トントン”」

 

「! 避けろ!!」

 

「“10tヴァイス”!!」

 

「おわあああ~~~!!? 何よその能力!! まるでバレンタインちゃんみたいな……!!」

 

 空中に浮かぶ大きな影。太った体毛の濃い男がその体型に反して浮かび上がり、ルフィ達を踏み潰そうと動く。ボン・クレーはその技が、昔の同僚に似ていることに大げさに驚いた。

 ルフィ達は辛うじてその攻撃を躱して先に進もうとするが、立ち塞がる敵は彼だけではない。

 

「悪いが逃さねェ……!!」

 

「!!?」

 

「地面から人……!!?」

 

「フランキー!!」

 

「“ニャンニャンスープレックス”!!」

 

 大地に波紋が浮かび、その中から出てきたサングラスをかけた赤ちゃんのような格好をした中年の男がフランキーの背中を掴み、そのままバックドロップをお見舞いした。

 

「若達の場所へは向かわせん!! “投石(カタパルト)パンク”!!」

 

「ここで皆殺しの“G”~~!!」

 

「うわっ!!?」

 

「ドンキホーテファミリーの幹部達だ!!」

 

「厄介な……どいつもこいつも能力者か!!」

 

 先のマッハ・バイスにセニョール・ピンクに続き、グラディウスとラオGまでも攻撃を仕掛けてくる。ドンキホーテファミリーの幹部であり、ラオG以外は全員が超人系(パラミシア)悪魔の実の能力者。実力も雑兵とは一線を画し、簡単には通れないし通さない。

 だがその程度で諦めるような物分かりの良い者はこの場には存在しない。ルフィ達がそれでも前を向くも──その先にいたのは巨大な、巨人族すら超える巨人。

 

「イビビビ!!」

 

「フガガ~~!!」

 

「ザギギ!! ザギギ!!」

 

「!!? でけェ!!?」

 

「魚人島やパンクハザードでも見た……!! ローの言ってた古代巨人族の失敗作って奴か!!」

 

 百獣海賊団の戦闘員。その中でもパンクハザードで蘇った古代巨人族の失敗作で構成された部隊“ナンバーズ”──“一美(インビ)”、“二牙(フーガ)”、“三鬼(ザンキ)”が大地を鳴らしながら行進してくる。

 

「通すな!! 踏み潰せ“ナンバーズ”!!」

 

「イビビ~~~!!!」

 

「うわァ~~~~!!!」

 

 体長50メートル級の古代巨人族の圧倒的膂力から繰り出される攻撃は並の人間には太刀打ち出来ず、破壊と殺戮を撒き散らす。本来であれば。

 

「フガ?」

 

 ナンバーズの攻撃。破壊をもたらすその一撃を、透明な壁──バルトロメオのバリアが防ぎきる。

 

「ザギギ~~~!!」

 

「無駄だべ!! おらのバリアは何者も通さねェ!!」

 

「ロメ男!!」

 

「ルフィ先輩!! ここはおら達に任せて先に進んでくだせェ!! こいつらはおれ達が引き受けるっぺ!!!」

 

「こりゃ全員行くのは確かに無理だ……よし、おれも手伝ってやる!!」

 

「ああ、助かる!! ありがとう!!」

 

「よし、今のうちに次の段へ……──!!?」

 

 バルトロメオがルフィ達の背中を守るようにバリアを張って先に進むように促すと、フランキーもそれに同調して足を止めた。ルフィはその助けにお礼を言って前を向こうとし、ムサシも同様に進もうとした──が、そこで何かを読み取ったムサシが表情を変える。

 

「マズい!! 耳を塞げ!!」

 

「え……?」

 

「──“(ドーン)”!!!」

 

「!!!」

 

 振り返り、バルトロメオへ注意をするムサシだが、バルトロメオはその意味がよく分からず、そして迷ってしまったせいで対応が間に合わない。

 

「大丈夫か!!? ロメ男!!」

 

「……っ……この攻撃、は……」

 

「アッパッパッパ~~~!! 聴いてけ戦うミュージ~~ック♪」

 

 音と共に発生するその攻撃は、バリア内のバルトロメオを爆発させ膝を突かせる。それと共に愉快な音を鳴らし、笑いながら現れた男はルフィと同じ“最悪の世代”の1人である海賊。

 

『百獣海賊団情報屋(オンエア海賊団船長)“海鳴り”スクラッチメン・アプー 懸賞金5億5000万ベリー』

 

「YOYO!! さっきぶりだなバリア野郎!! それに“麦わらのルフィ”にムサシお嬢様!! その他にも色んな奴が集まってるじゃねェの!!」

 

「アプー!!」

 

「あいつは確か……!!」

 

「アパパパパ!! 古代巨人族に海賊帝国の幹部含む3万人の兵隊!! 頑張り屋のお前らも数にゃ敵わねェって現実を教えてやるYO~~~♪」

 

 3体のナンバーズを率いて現れたアプーは、バリアを物ともせずルフィ達を追撃する。彼らが逃げ、散らばろうとも関係ない。アプーだけでない多くの者達がそれを知っていて、見聞きした情報を受け取っている。

 

「どこに逃げようと無駄だぜ!! こっちにゃ戦場の至るところに目と耳があるからよォ!! どこにいようと見つけ出して袋叩きになる運命って奴だ!!!」

 

「っ……そうか、メアリーズか……!!」

 

「ムサシ!! どうするんだ!!?」

 

「……!!」

 

 ムサシはアプーのその言葉の意味を即座に理解する。百獣海賊団のメアリーズ。大看板ジョーカーが率いるその部隊は諜報と戦場における偵察、情報共有が主な任務だ。

 電伝虫やワノ国のスマートタニシを用いずとも戦場で迅速な情報共有が行われるそれは脅威だ。少なくとも自分達がここにいることも既にジョーカー以下この島にいる全ての敵兵に伝わっている。立ち止まっていれば次々と増援が送られてくるのは明らかだ。

 それゆえに立ち止まる訳にはいかない。残った者達でどうにか出来ると信じて先に進むしかないかとムサシが歯噛みする。出来れば多くの戦力を上へと向かわせたかったが、どうやらそれは難しいようだと。

 

「まだまだ射程圏内だぜ~~~♪」

 

「! ……お前達全員耳を塞げ!!」

 

「チッ……ならこっちを狙うまで!! ──“(ドーン)”!!」

 

「……!!」

 

 アプーの攻撃を察知してムサシが皆に耳を塞ぐように告げると、アプーは舌打ちを1つ零して狙いを別の者に向ける。耳を塞ぐというアクションが取れないでいたバルトロメオに向かって──

 

「“(カーム)”!!」

 

「!」

 

「え?」

 

 ──爆発しない。

 アプーも他の者達も呆気に取られる程、何も起こらない。無音。特にバリアの中は、外の喧騒や戦闘音の何もかもが聞こえなくなった。狙い通りという顔を見せたのは1人の女だけ。

 

「音が聞こえてダメージを食らうなら、無音にすればいいのよね。ウシシ」

 

「なっ……!! 何ィ~~~!!?」

 

「こうして外からの音を遮断してしまえば、アプーの能力は食らわないわ!!」

 

「おお!! すげェべ!!」

 

 カリーナのナギナギの実の能力。それによってバリア内に無音の壁を張り、全ての音を遮断したカリーナは背後のルフィ達に一方的に告げる。外の音は遮断しているため、返事は聞かずに一方的に。

 

「“麦わらのルフィ”!! 助けてあげた報酬は後でたっぷりと頂くからね!! 話はナミに通ってるから!! 今はとにかく上へ向かって!!」

 

「よく分かんねェけど……分かった!! ありがとう!!」

 

 カリーナの素性もナミとの関係もよく分かってないルフィだが、自分達を助けてくれることは理解した。細かいことを気にせず思考を放棄し、ルフィは前を向く。目指すはとにかく上だ。今度こそ2段目へ向かおうとし──

 

「──見つけたぞ……“麦わら”……!!!」

 

「!!」

 

 ──そこに“災害”が現れる。

 ルフィ達はその登場に驚く。この戦場にいる災害は1人だけだと思っていた。

 が、そうじゃない。百獣海賊団の“大看板”。この戦場における強大な敵はジョーカーやドフラミンゴ、テゾーロだけでなく……彼もまた、海賊帝国の打倒には無視することは出来ない敵だ。

 

「ジャック!!」

 

「ジョーカーの姉御の下へは行かせねェ……ここで死ね!!」

 

 百獣海賊団大看板“旱害のジャック”は、1段目にいるルフィの情報を聞くなりここに駆けつけ、能力を解放したマンモスのその長い鼻でルフィへ攻撃を見舞う。

 

「!!!」

 

「……!! ルフィ!!」

 

「っ……!! くそ……厄介な奴が来たな……!! ハァ……ハァ……」

 

 覇気を纏った一撃。その圧倒的パワーの前に老人のルフィは辛うじて防御するも吹き飛び、大地の壁へと激突する。

 

「これで終わりだ……!!!」

 

「!」

 

 そしてジャックは追撃の手を緩めない。吹き飛んだルフィを即座に追いかけ、ジャックは巨大な前足で荒い息を吐いて膝を突いているルフィを踏み潰そうと迫る。

 万全であればともかく、今のルフィにジャックを跳ね返すパワーはない。それだけに、ここで助力が必要なのは明白だった。

 

「それをこの我が……黙って見ていると思うか!! ジャック!!!」

 

「!!」

 

 それを察知してジャックの側面に迫ったムサシが、二刀を抜き放ち覇気を発しながら啖呵を切る。言いながら放つのは、ムサシの覚えた技の中でも文字通り“最強”クラスの技。

 

「“ムサシ二刀流”……!!」

 

 鎌風を起こすのは何も龍だけではない。風を起こすというだけなら龍にも勝るムサシの能力。それに剣術を組み合わせれば、()()を放てない道理はないのだとムサシはジャックに龍の技をお見舞いする。

 

「“龍巻壊風”!!!」

 

「!!!」

 

「グ、オオ……!!」

 

「うわああ~~~~!!?」

 

「ジャック様!!?」

 

「あれは……カイドウさんの“龍巻壊風”!!?」

 

「ムサシお嬢様も使えるのかよ!!」

 

 そう、それは最強生物カイドウ。ムサシの実の父の使う技だった。

 それゆえに見覚えのある百獣海賊団の兵達は驚く。ジャックに血を流させ、ルフィに群がろうとした雑兵すらも吹き飛ばし、斬り飛ばしたその凶悪な技に恐れを抱く。かつてワノ国で数多の災害をもたらしたその凶風に。

 

「うわ!!」

 

「ルフィ!! そのまま上に行け!!」

 

 だが今のムサシの風は凶悪なだけではない。

 周囲を吹き飛ばしながらも、風を操ってルフィを上空へと吹き飛ばし神の大地の2段目に運びながら告げる。

 

「こっちは我らに任せろ!!」

 

「……ああ!! わかった!!」

 

 ムサシもルフィも互いに言葉少なくともその意味を正しく理解する。ここでジャックを止めるためにはムサシが残る必要があるのだと。

 ゆえにルフィは頷き、ムサシはその場でジャックに向き直った。体表に出来た斬り傷から血が流れているが、それしきでやられるほど“大看板”は甘くないことをムサシも、ジャック自身も理解している。ゆえに立ち上がり、同じくジャックもまたムサシに人獣型を解放しながら対峙した。

 

「本当に裏切るつもりか……ワノ国じゃ“風害”と恐れられてきたお前が……!!」

 

「ああ……!! 以前に宣言した通り……我はお前達に挑戦する!! 本当はもう少し後にするつもりだったが、何分()()()()()()()()ようなのでな……!!」

 

「……なら手加減はしねェ。覚悟しろ……!!!」

 

「それはこっちの台詞だ!! 参る!!!」

 

 ジャックはムサシへ確認を取り、その意志が揺るぎないものと理解すると本気の覇気を込めてムサシへ攻撃し、ムサシもまた二刀の刀を黒く染めて激突する。

 共に“災害”に例えられていた怪物同士の激突は周囲に立ち入らせることを許さない。

 神の大地の1段目は彼らを中心にこの戦争の最前線となり、その舞台を激しく彩っていった。

 

 

 

 

 

 ──神の大地2段目。

 

 民衆や新政府軍の兵士も存在せず、海賊帝国側の雑兵も少なくなったそこからは海賊帝国の幹部達が布陣している危険地帯だ。

 1段目を乗り越えてきた者を迎え撃つために、上にこそより強い者を置いている──例外はままあるものの、概ね海賊帝国側の布陣はそういうものだ。

 2段目とその上の3段目は、ドンキホーテファミリーの最高幹部やテゾーロ海賊団の最高幹部。そして百獣海賊団の飛び六胞が敵を待ち受けている。

 

「“半……月~”」

 

 ──そして既に戦闘は始まっていた。

 

「“グレイブ”!!!」

 

「!!!」

 

「おわァァァ!!?」

 

「……!!」

 

 5メートル近い長剣を上段から振り下ろし、大地の端まで届くほどの斬撃を発生させるその男はドンキホーテファミリーの最高幹部の1人“ディアマンテ♦”。

 その斬撃の余波に躱しながらも転がるのは麦わらの一味のブルックとロビン。そして1人の女剣闘士。

 

「おいおいどうしたレベッカァ!!!」

 

「……!!」

 

 そう、その名はレベッカ。

 長年コロシアムの女剣闘士として、“無敗の女”として民衆に嫌われ、蔑まれてきたその少女はコロシアムの英雄として君臨し、実の母親を殺したディアマンテと因縁浅からぬ相手だ。

 ゆえにレベッカはディアマンテを狙い、ディアマンテもまたそれを楽しみにしていた──()()()()()その娘を殺せることを。

 

「おれを殺しに来たんじゃねェのか!!? ウハハハハ!!!」

 

「ハァ……ハァ……」

 

 だが、予想外にレベッカは逃げ回っていることでディアマンテはそれを面白がりながら追いかけ回していた。

 

「うら若き乙女を虐めるものではありませんよ!!」

 

「おっと!!」

 

 そしてそれを守るようにディアマンテに剣を振るうブルック。その鋭い剣筋にディアマンテは怯みながらも難なく防御しつつ笑ってみせる。

 

「ウハハ!! なら守ってみろ!!」

 

「!?」

 

 何しろ戦力はこちらの方が上だ、と。

 突如として転んだブルックに、ディアマンテは剣を振り落とそうとする。

 

「ウハハハ!! さっきから何転びまくってんだ間抜けが~~!!」

 

「危ないっ!!?」

 

「ブルック!!」

 

 ブルックは自分に突如降りかかる不運の数々を疑問に思いながらも、ロビンの手でそこから助け出される。

 地面から生やしたロビンの手がブルックを近くまで引っ張り、2人は息を荒くした。

 運良く先に2段目に到着したブルックにレベッカと、ホテルから飛び降りた場所がこの2段目だった2人は、そこにいる幹部達に苦戦を強いられている。

 

「何故、こんなにも不幸が……!!」

 

「おそらく……敵の能力」

 

「ふふ、ようやく気づいたのかしら?」

 

 ブルックが転びまくったり、何もせずともダメージを不幸にも受け続ける理由を考察し、ロビンが言い当てたところでディアマンテの背後にいる黄金の鎧を身に着けた褐色の女は微笑を浮かべる。

 そしてロビンはやはり、と心の中で得心した。彼女がブルックに触れた直後から、ブルックの不運は始まったのだ。

 察するにそれは悪魔の実の能力だと。そしてそれは当たっていた。

 

「私のラキラキの実は人の運気を吸い取り、そして自らの運気を上げるもの。一度そうなってしまえば……あなたは何も出来ずに倒されることになるわ」

 

「……!! そんな……反則じゃないですかそんなの!!」

 

 テゾーロ海賊団の最高幹部であるVIPエリア担当のコンシェルジュ、バカラ。

 彼女の能力の説明を受け、ブルックは思わず泣き言のようにその反則的な能力の愚痴を相手にぶつけた。超人系(パラミシア)悪魔の実にはそういった初見殺しのような能力は幾つかあるが、その中でもその能力は特に反則だ。

 ただでさえディアマンテともう1人。そしてその部下達を相手にしなければならないのに、この状況はマズいと2人は危機感を覚える。その相手もまた奥でこちらを嘲笑っていた。

 

「あら可哀想に……これじゃ私達が出張る必要もないかしら?」

 

「マリア姉さんの手に掛かることなく死ぬことになるなんて……あなた達不幸ね!!」

 

「違いないわ!!」

 

「キャハハ!!」

 

「アハハ!!」

 

「くにゅにゅ~~!!」

 

 ──百獣海賊団“飛び六胞”ブラックマリア。

 花魁姿の巨大な美女である彼女とその部下である女達。揃いも揃ってギフターズである遊女や下男達──ナンバーズの紅一点である“九忍(クニュン)”も含めたその部隊がロビンとブルックを見て笑う。

 その現状は嬲り殺しだ。敵に囲まれ、戦況は不利。味方側の戦力の多くもまだこの2段目にすら到達していない状況で敵は余裕すら見せて少しずつロビン達を追い詰める。

 

「まあ私らの本命は新政府軍だから力を出さずに済むならそれに越したことはないわ。ニコ・ロビンも捕まえるのは出来ればで構わない。だからお好きにどうぞ」

 

「ウハハ!! だとよ!! 良かったなァ!!」

 

「命が少しだけ延びたことに感謝しなさい」

 

「……!!」

 

 ──敵が笑うこの状況をどうにか打破しなければならない。

 だが無情にも敵は味方を1人仕留めるべく動いていた。ディアマンテの剣で負傷して倒れたレベッカにディアマンテが近づいて。

 

「とはいえ麦わらの一味はまだ手こずりそうだからなァ……まずはお前からだ、レベッカ」

 

「……!!」

 

 そして懐から銃を取り出し、レベッカに向ける。

 それは10年前の事件の再現だ。

 

「銃の方がいいよな……スカーレットも……銃で死んだ……!!!」

 

「…………!!!」

 

 そのトラウマを、レベッカは知る。

 10年前のその日。雨の中で、ディアマンテはレベッカの母であるスカーレットを撃ち殺した。

 それを教えられたのだ。片足の兵隊と、目の前の男から。

 

『キミの母さんは……遠いところに行ったんだ……』

 

『お前の母スカーレットを撃ち殺したのはおれなんだよォ!!!』

 

 前者の言葉は10年前に、片足の兵隊から。

 後者の言葉はつい昨日のこと。ドフラミンゴの手によって捕まり、海賊帝国に売られ黄金の牢獄に落とされる前に。

 ()()()()()()()()()()()()()()。その事実を思い出し、レベッカは涙を流す。

 

(助けて……!!)

 

 そして心の中で、何度も口にした言葉を思う。

 この10年間。自分の親代わりだったそのおもちゃの兵隊に向けて。

 レベッカの唯一の拠り所であった彼を示すその名を、耐えきれずに口にした。

 

「兵隊さァ~~~ん!!!」

 

 そして引き金が引かれる──その直後。

 

「ぐわァ!!?」

 

「!!?」

 

「……!!」

 

 間に割り込むようにして、ディアマンテの腕を斬り裂くその影。

 その姿に、ディアマンテもレベッカもその者を思い出した。

 

「てめェ……キュロス~~~!!!」

 

「……!! お父……様……!!」

 

 その男はかつてのドレスローザの軍隊長。

 コロシアム前人未到の3000戦全勝を成し遂げた伝説の男。

 そして先代国王の娘であるスカーレットの夫であり、レベッカの実の父親。

 

「どこの誰だろうと……!!」

 

 ドンキホーテファミリーの幹部シュガーの手によってオモチャに変えられ、この世のほぼ全ての人間の記憶から忘れられたその男は、10年越しにようやく家族の前に現れた。

 

「私の家族を奪わせはしない!!!」

 

 

 

 

 

 ──神の大地3段目。

 

「っ……!! 結構高いところに落ちたな……頂上は……この1個上か」

 

 神の大地の3段目。

 そこはホテル周囲の街並みがそのまま移動してきたかのような入り組んだ地形であり、移動するホテルから遅れて飛び降りたことで他と逸れて3段目に落ちてきたゾロは上を見上げて呟いた。

 敵の親玉は上にいるだろう。そしてルフィや他の仲間達もおそらく上を目指す筈。

 ならばゾロも上を目指すべきだ。何だったらこの手で親玉連中を討ち取ってやると、ゾロは意気込む。

 

「止まってください!!」

 

「! お前は……」

 

 だがそこに、1人の女剣士が立ち塞がり、ゾロは反応を示す。

 その相手は知らない相手じゃない。それだけに、ゾロは刀をすぐ抜くことも無視することもなく一度立ち止まった。その意を確かめるために。

 

「……何の用だ? パクリ女」

 

「…………」

 

 ──元海軍本部准尉のたしぎ。

 今は百獣海賊団のギフターズ。真打ちの地位にある彼女が、口を噤み、険しい表情でそこに立っていた。

 

「おい……何とか言ったらどうだ? 首を取りに来たんなら一応相手してやるが……」

 

「……この神の大地の3段目には……私を含む百獣海賊団のギフターズ……“飛び六胞”フーズ・フーとその部下である“CAT’S”がいます」

 

「あ?」

 

 その様子に毅然とした対応で押し通ろうとしたゾロに、たしぎが唐突に話しだしたことでゾロは面食らう。そんなことを話してどうするつもりだと。

 だがたしぎの語りは止まらない。

 

「更にはドンキホーテファミリー最高幹部……ピーカ。並びにテゾーロ海賊団の最高幹部ダイスが待ち受けていて……幾らあなたでも1人でこの場を切り抜けることは……不可能です」

 

「……その評価は気に入らねェな。それに……仮にそれが事実だとして、おれが諦めると思うか?」

 

 そう、ゾロにはそんなことは関係ない。

 敵が強大だから、それがどうしたというのだ。世界一の大剣豪を目指す男の道に、敵の強さは関係ない。立ち塞がる敵は斬り捨てるのみ。

 それでもし負けようとも自分はそれまでの男だ──ゆえにゾロは、その程度では諦めない。

 大量の強敵相手に同時に挑み、自殺じみた特攻をしかけるつもりはないが、それでも不幸を嘆くことはないし、自分の実力を以て勝つことも戦いを避けることすらも出来ないのであればそれも受け入れて乗り越えると覚悟を決めている。

 だからたしぎの言葉。その忠告は、彼を止める言葉にはならない。

 

「──はい。()()()()()()()()()

 

「ああ、だから……何だと?」

 

 ──そしてそれを、たしぎもまた理解していた。

 ゾロが再び呆気に取られる中、たしぎは思う。この男は、決して諦めはしないだろうと。

 自分のように、弱いから、敵わないからと自分の意志を歪め、夢を諦めるような半端な覚悟はしていない。

 仮に自分と同じような絶望を前にしても、この男は決して最後まで希望は捨てないのだと理解した。そう、だから──

 

「こちらへ……!!」

 

「! 何……?」

 

「この先なら敵に見つかる可能性は低い。だから行ってください……ここは私がどうにかします」

 

 先の道を手で示し、ゾロに安全な道を教える。

 それは明らかな裏切り行為だった。仲間に知られれば、間違いなく制裁を受けてしまう程の。

 だからこそゾロは分からない。それをする意味が。信用出来る筈がないし、仮に信用出来るとしても……こちらにそれを教える義理も恩も何もない筈だ。

 

「……敵の言葉を信用しろってのか?」

 

「……今の私は、敵でも味方でも……」

 

「…………」

 

 ゾロが真剣な表情で問いかけると、たしぎは俯き、小声で何かを呟く。

 その言葉はゾロには分からない。たしぎが何を思ってその選択をしたのか、その事情も心の動きもゾロには分かる筈がない。

 だが先程会った時から変わったことだけは理解出来る。だからゾロは一息ついてこう返した。

 

「……そうか。だったら進ませて貰うが……お前はどうするつもりだ?」

 

「私は……ケジメをつけてきます。私のこれまでの行いと、私の中途半端な“正義”に……!!」

 

 腰に差した刀の鍔を握り込み、たしぎは決心した表情でゾロへ答えを告げる。

 その意志は揺るぎないもののようで、ゾロにもそれだけは理解出来た。そのケジメがどういう方法を取るのかは分からないが、少なくともこちらを邪魔するものではなく、そしてどうなろうと覚悟しているのだと──

 

「──“刃銃(ハガン)”!!!」

 

「!!?」

 

「え……?」

 

 ──そう理解し、背を向けたところでたしぎの背中。心臓に向かって攻撃が飛んで来たことを察知し、ゾロは咄嗟にたしぎを突き飛ばしてその攻撃を抜き放った刀で受け止めた。

 

「……!! (一点に集中した斬撃……!!) 闇討ちとは趣味が悪ィな……!!」

 

「──こっちは元暗殺者なんでな。大目に見ろよ。それよりも……よく邪魔してくれたな……!!」

 

 攻撃の種類を見極め、気配を見つけたゾロは建物の陰に立っていたその男に声をかけ、言葉を交わす。忌々しいと言わんばかりに歯噛みしたその長身の男には、ゾロも見覚えがあった。

 

『百獣海賊団“飛び六胞”フーズ・フー 懸賞金9億4600万ベリー』

 

「“海賊狩りのゾロ”……そいつは裏切り者でそいつの言う通りケジメをつけなくちゃならねェ……!! 何故邪魔をする?」

 

「ハッ、邪魔されてご立腹か? ケジメをつけるのは好きにすりゃいいが……その前にこっちのお礼参りが先だろ?」

 

 ゾロは先程の拷問。捕まった時に受けた仕打ちを思い出しながら不敵に挑発する。そのことをそれほど怒っている訳ではないが、やられたならやり返さなきゃ気持ち悪い。

 それに仲間のことで借りもあるとゾロは敵を見逃す気はなかった。強敵を仕留めるのはゾロの仕事だと、目の前の獣達に負けない程の獣染みた覇気を滾らせる。

 そしてその生意気さにフーズ・フーは鼻を鳴らした。周囲に潜伏させていたCAT'Sに彼らを囲ませながら。

 

「フン……ササキとやり合って自信でもついたか? だが生憎とそれだけで“飛び六胞”を……このおれを倒せると思われちゃたまらねェなァ……!!!」

 

「ああ……そうだな……!! あの時はヘマした……トリケラ野郎を仕留めそこねちまったからよ……!! それで仮面野郎、てめェはどんなヘンテコ動物なんだ?」

 

「焦らずとも見せてやるよ……!! そして大口を叩いたことを後悔しろ……!!!」

 

「!」

 

 ゾロの再三の挑発を受け、フーズ・フーの身体が人型から変化していく。その虎にも似た毛並みと四肢を持つその動物はしかし、現存するネコ科の動物には持ち得ない特徴を持っていた。

 その口から伸びる2本の長い牙。それを持つ体長5メートルを超えるネコ科の古代生物。その名を──サーベルタイガーと言った。

 

「……!! 成程……ネコ共の親玉は化け猫だったって訳だ……!!」

 

「その通りだ……!! お前もそこの女も噛み千切って食い殺してやる……!!!」

 

 動物(ゾオン)系古代種。ネコネコの実、モデルサーベルタイガーの能力を解放したフーズ・フーは唸り声を鳴らしてゾロとたしぎを見下ろした。周囲のギフターズもそれぞれネコ科の動物である能力を解放し、まるで集団での狩りでも行うかのようにその時を待っている。ボスの号令があれば即座に飛びかかれるように全員が足に力を込めていた。

 そしてフーズ・フーは口を開き──

 

「──もっとも、おれの手にかかるまで生き残れたらの話だがな……!!」

 

「何だと──おわっ!!?」

 

「……!! 大地が揺れて……!!?」

 

 告げられた言葉の意味を吟味しようとするより前に、神の大地が揺れ動き、ゾロ達はその異変を目の当たりにする。

 

「そういうことだ……ロロノア・ゾロ……ファミリーに盾突く者は、このおれが潰してやる……!!」

 

「石の巨人……!!」

 

「ピーカ!!」

 

 神の大地の3段目と4段目の大地が盛り上がるように巨大な石の巨人が現れ、ゾロ達を見下ろす。

 ドンキホーテファミリーの最高幹部である“ピーカ♠”。たしぎの言う通り、この3段目に布陣していた男がその能力を以て現れ──

 

「──イェェェス!!!」

 

「!! てめェもさっき会った奴だな……!!」

 

 ──そして上空から高速で回転しながら飛来し、ゾロへと突撃をかますその男もまたこの場を守護するテゾーロ海賊団の最高幹部。VIPディーラーのダイスだ。

 

「このおれも忘れるなよロロノアァ……!! 一緒に痛いことして楽しもうぜェ……!!」

 

「石塊の次はダイヤかよ……!!」

 

 その身体をダイヤモンドに変化させ、ゾロの斬撃を真正面から受け止めたダイスはニヤついた笑みを浮かべて“もっと来い“と言わんばかりに挑発してみせる。身体をダイヤと武装色の覇気で硬めたダイスの身体は異様に硬く、ゾロの豪剣を以てしても弾かれるのみ。

 

「あーあーこれじゃ弱い者いじめだな。どうだ、絶望したか? 降参するってんなら特別にお前くらいは受け入れてやっても構わねェぜ?」

 

「へっ……馬鹿言うんじゃねェよ化け猫野郎」

 

「あァ?」

 

 この絶望的な状況。圧倒的な戦力差を見せつけてゾロに降伏を促してみせたフーズ・フーは真面目に戦う必要もないだろうと見切り、へらへらと笑ってみせる。

 だがその笑みはゾロの生意気な言葉によってすぐに消え失せる。眉をひそめ、怪訝な表情となったフーズ・フーはゾロの不敵な笑みとその言葉を見聞きした。

 

「化け猫にダイヤに巨大な石塊……確かにどいつもこいつも厄介そうで斬りがいがあることだけは認めてやるよ……!!!」

 

 そう、斬りがいがある。

 だからこそゾロはこの状況に武者震いを感じていた。

 海賊になり、2年の修行を経て、新世界に入り実感した。

 自分に必要なもの。それは日々の修行だけではなく──強敵と戦い、それを乗り越えることだと。

 

「お前らを斬って……そろそろ次のステージに行かせてもらうぜ……!!! いい加減、幹部如きに苦戦してちゃ先が思いやられるんでな……!!!」

 

「!!」

 

 幹部如き。そう言われ、フーズ・フーやピーカ、ダイスが眉を立てる。

 世界を支配する海賊帝国。その一翼を担う百獣海賊団や重要な傘下であるドンキホーテファミリーやテゾーロ海賊団の幹部。それを如きと軽々しく扱うことに怒り、そして僅かな戦慄を覚える──この男はどこまで命知らず。大言壮語なのかと。

 だがゾロにとっては当然“世界一の大剣豪”を目指す道の上では、世界最強の海賊団の一幹部如きは如きなのだ。

 壮大な夢を目指すならこのくらいの窮地も乗り越え、強くならなければならない。自分も他の仲間もそれは同じ。

 

「それに残念だが……こっちも1人じゃねェんでな……!!」

 

「何……!!?」

 

 そう、ゾロも1人で戦ってる訳じゃない。

 任せるべきところは任せる。任せられる仲間や──呉越同舟の味方がこの戦場には大勢いる。

 

「その通りだ!!」

 

「!!」

 

 ゾロとたしぎを囲む輪の中。そこに声と共に乗り込み、ピーカを横から殴り飛ばしたその2人に誰もが視線を向ける。彼らもまた、この新世界では有名な海賊達であり、海賊帝国と敵対する者達。

 つまりゾロ達の味方だ。

 

「つつ……硬って~~……!! やっぱジョズさんの能力は手強いな……!!」

 

「ああ。だがようやく見つけたぞ!! ダイス!! ジョズ隊長のキラキラの実……!! その能力を奪った借りをここで返してやる!!!」

 

「……!! 白ひげ海賊団……!! 火拳のエース率いる二代目の幹部共か……!!」

 

 二代目白ひげ海賊団の参謀マスク・ド・デュースと3番隊隊長のイスカ。2人が参戦し、ゾロ達の側に集まり加勢する。

 それを見たフーズ・フー達は忌々しい表情を浮かべ、対するゾロは刀を口に咥えたままニヤリと笑った。

 

「悪ィが数が多い。ちょっとだけ手を貸せ」

 

「ああ、当然だ!!」

 

「背中は任せろ!!」

 

 デュースとイスカが即答し力強く頷く──それを見たたしぎは、戸惑いながら自分はどうするべきか悩んだ。

 自分の中途半端な正義にケジメをつける気でいた。だが、このまま彼らの味方として戦っていいのかと僅かに悩む。

 

「おい、お前はどうする? パクリ女」

 

「……! それは……」

 

 だがそこでゾロが声を掛けた。

 気を使った訳ではない。ただ敵である相手に吠え面をかかせるため、そして自分の言いたいことを言うためだけに。

 

()()()()()海賊を捕らえてェのは山々だろうが……おれとあいつら、どっちも敵に回しちゃ身が持たねェぞ? やるならより恐ろしい相手と一旦手を組んだらどうだ?」

 

「……!!」

 

 その言葉は、たしぎを海賊ではなく海兵として扱うものだった。

 随分と久し振りだった。海兵として声をかけられることは。

 それを聞くまでたしぎは……海賊としてケジメをつけなきゃならないと思っていた。

 だが本当にケジメをつけなければならないのは、自分自身の本当の正義から見たもの。

 

 即ち……海兵としてのケジメだ。

 

 海軍はもうない。海軍の残党の集まる新政府にも自分の籍はないし、今の自分の立場は対外的に、明らかに海賊だ。

 だが自分は、自分の意志は──間違いなく海兵に戻りたいと思っている。

 悪党共から刀を取り返すという自身の野望。自分の信じる正義。

 それを貫くために必要なのは強さであり力だ。“東の海(イーストブルー)”から“偉大なる航路(グランドライン)”に出てからそれをずっと思い知ってきた。

 だが、そうじゃない。強さも重要だが、自分の正義を貫くのに1番重要なのはそれじゃない。

 それは。

 

「ぼーっとしてる場合かよたしぎちゃん!! そんなんじゃあのケムリ野郎みたいに死んじまうぜ!!」

 

 自分の正義を貫くのに本当に必要なのは……力がなくとも、何かが足りなくても、現実が厳しくても、大切な人が亡くなろうとも──

 

「……!!」

 

「え……?」

 

 ──何が何でも自分の正義を貫くという意志だ。 

 

「“斬時雨”!!!」

 

「!!」

 

「ギャアアア~~~~!!!」

 

 その腰の刀を、自らの愛刀である“時雨”に纏わせた覇気と剣術で襲いかかってきたギフターズの1人を斬り捨てる。

 その瞬間は誰もが驚き、一瞬動きを止めた──が、少しして部下が斬られたことを理解したフーズ・フーから激が飛ぶ。

 

「てめェ……おいたしぎィ!! 何おれの部下を斬ってやがる!!!

 

「──気安く名前で呼ばないでください」

 

「あァ!!?」

 

 だが、その怒声に怯えることはもうない。

 今までは恐怖していた。逆らえばどうなるか分からないから。自分も殺されるかもしれないからと。

 事実、この後自分は無惨にも力及ばず殺されてしまうかもしれない。徹底的に痛めつけられ、死ぬことすら許されない拷問を受けるかもしれない。

 だが、それが何だと言うのか。

 自分の正義を曲げることに比べたら……そんなことはなんてことない。

 

「いつまで上司でいるつもりですか。私は……私は、海賊じゃありません」

 

 身勝手も承知。不義理も承知。他人に恥知らずと罵られることも甘んじて受け止める。

 自分の正義を取り戻し、その貫き方を知った今──そこに向かうことを止めることは出来ない。

 

「私は海兵です!! そして私の上司はスモーカーさんただ1人!! 断じてあなたの部下なんかじゃありません!!!」

 

「!!」

 

 フーズ・フーに向かってたしぎはそう言い放ち、今までの弱い自分との決別の宣言を行う。

 力が足りなくて死ぬことになろうとも、自分の正義だけは絶対に曲げないと誓う。

 それで死んでしまうなら……自分はそこまでの女だったというだけのことなのだと。

 

「海賊フーズ・フー。並びにその部下を捕らえます!!!」

 

「……!! 上等じゃねェか……!! そんなに死にてェなら……今すぐ殺してやる!!!

 

「! 来るぞ!!」

 

「おう!!」

 

「ああ!!」

 

 額に青筋を浮かばせたフーズ・フーがたしぎに殺気を向ける。

 裏切り者には制裁を。敵には新世界の洗礼を。

 百獣海賊団。そして海賊帝国の流儀として弱肉強食の何たるかを教えてやると覇気を滾らせ──彼らは一斉に敵対者を狩りつくそうと襲いかかった。

 

 

 

 

 

 ──神の大地4段目。

 

 そこは大地の全てが黄金で出来た特製の舞台であり、この戦場の支配者達が座する場所だった。

 グラン・テゾーロ最大のホテルと月をバックに玉座に座り、各地の戦況を確認するのは百獣海賊団の大看板“戦災のジョーカー”。

 

「ドレスローザとグラン・テゾーロでは……狙い通り、国民達が新政府軍を襲撃……」

 

 彼女の視線は目の文様が描かれた布の内側。この戦場の至る所に配置されたメアリーズ達から共有された視界を見ている。

 それによってジョーカーはこの戦場のおおよその戦況を把握していた。ドレスローザとグラン・テゾーロで暴れる国民達を抑えようと動く新政府軍の姿も。

 

「神の大地1段目は……ムサシお嬢様とジャックが交戦中。アプーやナンバーズ。ドンキホーテファミリーの幹部と麦わらの一味と新政府軍。その協力者達もそこで交戦」

 

 視界の中では数時間前に新鬼ヶ島で部下が確認した筈のムサシと大看板ジャックが激しく争っている。

 その他にも麦わらの一味やその味方が海賊帝国側の兵と戦っている光景がそこには映っていた。

 

「2段目と3段目も戦いが始まったけれど……こちらも問題はない。1段目の麓で混乱を広げるお玉とこの4段目でテゾーロと戦いを始めた“海賊女帝”ボア・ハンコックに、ドフラミンゴを捕捉したトラファルガー・ローは気になるけど想定内。やはり問題は──」

 

 雑兵の殆どいない2段目以降での戦いも、ジョーカーから見て手に余るような事態は起きていない。

 たとえこちらの幹部が負けたとしてもその気になれば幾らでもひっくり返す手段はある。そこにいる敵は所詮その程度の存在だ。

 ゆえにジョーカーがこの戦場の敵戦力で“脅威”だと認める者達は少なくもあり、多くもある。

 1人は神の大地麓の獣達を次々に敵へと変えているキビキビの実の能力者であるお玉。

 2人目はカイドウとぬえの娘であり、現在ジャックと交戦中のムサシ。

 3人目は元王下七武海。テゾーロと交戦中のボア・ハンコック。

 4人目は白ひげ海賊団1番隊隊長。メアリーズの連絡が途絶え、現在行方知れずの“不死鳥のマルコ”。

 5人目はドフラミンゴと接敵した元飛び六胞トラファルガー・ロー。

 彼らは皆厄介な存在だが、これらの敵に対してこちらもそれと同等以上の戦力を以って当たらせているため今のところは問題ないとジョーカーは判断する。

 本当に自身が相対しなければならないと判断する敵は数少ないのだ。そう、例えば──

 

「新政府軍の大将……マゼランにイッショウ……その戦力は今のところ民衆によって抑え込んでいる」

 

 そう、新政府軍の大将という存在。

 彼らを相手にするなら大看板も万全を期す必要がある。

 ゆえにジョーカーは彼らが自由に動けないように二重三重に策を練った。この神の大地や民衆を動かすゲームもその1つ。

 これがかつての海軍。世界政府が上司であった正義の軍隊であればそう簡単には行かなかったかもしれないが、新政府という“民衆の意志”を旗に掲げる彼らにとって、民衆の存在は力を振るう足枷になりえる。

 

「フフフ……精々踊りなさい……あなた達はその守るべき民衆の手によって足を引っ張られ……そして死ぬのよ」

 

 民衆を犠牲にすることが出来ない彼らはもはや脅威となり得ない。新政府軍は邪魔な海賊達やその協力者を始末した後でゆっくり料理してやるとジョーカーは笑みを零し、そして視線を別のところに向けた。

 

「……あちらの作戦の方は始まったようね」

 

 ジョーカーは自らの手を離れた、この戦場で()()計算が及ばない作戦の内容を思い、笑みを消して僅かに思案しながらもその不安。作戦失敗の可能性はないのだと無条件に信頼し、釣り出された獲物に対し僅かながら同情した。

 

 

 

 

 

 神の大地の4段目。その一角。

 ドレスローザにあった王宮や工場を運ばせ配置したその場所で、2人の男が対峙していた。

 

「フッフッフッ……!! やはりお前はおれの前に現れたか……」

 

 その王宮で挑戦者を待ち受けるその男は──“天夜叉”。

 悪のカリスマと呼ばれ、様々な悲劇の糸を引いてきたドレスローザの国王にして元王下七武海。

 そして元天竜人であり……目の前にいる彼からは仇敵に当たる人物。

 

「お前の目的が何なのか……一応聞いておこうか。万が一って事もある……お前は何をしに来たんだ? ──トラファルガー・ロー」

 

 男は自身の目の前に立つ青年の姿を見て問いかける。万が一、その彼が自身の右腕として戻ってくるというならそれを快く受け入れてやろうと器を見せつける。

 だがその彼──トラファルガー・ローは取り付く島もなく告げる。

 

「──お前の首を取りに来た」

 

「ああ、そうか……失望したよ」

 

 笑みを全く見せることなくそのフザケた提案を突っぱねるローに、余裕の笑みを崩さないドフラミンゴが失望したと告げる。

 だがその表情とは裏腹に、抱く感情はどちらも同じものだった。

 

「フフフ!! フッフッフッフッフッ!!! 全く……怒りを通り越して笑っちまう……!!! あれだけこのおれに損害を与えておきながら……今なおこちらに敵対し……!! 終いにゃおれの首を取れる気でいる!!!」

 

 ドフラミンゴは思い出す。

 パンクハザードのローの企みやその狙い。ドレスローザにその事件の報告が来て百獣海賊団が訪れた時は血の気が引いたものだと。

 ローが自身の破滅を望んでおり、そのために効果的な行動をしている。そのことを思い返す度にドフラミンゴは腸が煮えくり返り、目の前の男をブチ殺したくなったものだと。

 

「お前らが現れてから散々だ……恩を仇で返すとはまさにこのこと!! ──まるで13年前の“絶望”を再び味わっているようだ!!」

 

「……!! あの事件がなけりゃおれはこうしてお前の前に現れることもなかった!!!」

 

 そしてローもまた、その内心は怒りに満ちていた。

 ドフラミンゴの言う13年前の事件。その復讐を果たすためだけにローは今まで生きてきたのだから。

 

「今日おれはあの日……優しいコラさんが引けなかった引き金を代わりに引きに来た……!!! この手でお前を討ち取る……!!!」

 

「フッフッフッ!! あの事件がなかったらお前は3代目の“コラソン”としてここにいたさ!!!」

 

「!!」

 

 ドフラミンゴの実弟にしてローの恩人であるドンキホーテ・ロシナンテ。

 通称“コラソン”と呼ばれていたその男は13年前、ローを救い……そしてドフラミンゴの手によって殺された。

 その時からローはドフラミンゴをいつか殺す日のために力を蓄え……ドフラミンゴは自分の手から逃れた世界を手中に収めるための欠片をいつか自分の手の中に再び収めると誓った。

 

 ──ゆえにこの戦いは13年前から決まっていたのだ。

 

「“ROOM(ルーム)”!!!」

 

「!」

 

 ドフラミンゴの欲するオペオペの実。その能力の主軸となる円がローとドフラミンゴを包み込むように発生する。

 

「“影騎糸(ブラックナイト)”!!!」

 

 対するドフラミンゴはイトイトの実の能力で糸を生み出し、糸で自らの分身となる身体を編むと、その分身にローのことを襲わせた。

 

「“シャンブルズ”」

 

「!」

 

 だが分身が襲いかかった先にローはいない。ドフラミンゴの背後の石と入れ替わったローは刀に覇気を込めて直接斬りかかる。

 しかしドフラミンゴもまた即座にそれに気づくと、自らの足に覇気を込めてそれを防御した。

 

「!!!」

 

 武装色の覇気を纏った攻撃同士が激突し、周囲にただならぬ衝撃波を発生させる。

 その力を、ローの成長っぷりを見たドフラミンゴはそこで感心した。指から糸を生み出し、ローに向けながらもその強さを褒め称える。

 

「成程……よく鍛えてる……!! そのオペオペの能力も然ることながら……覇気も強い……!! フッフッフッ!! 昔とは見違えるようだ!!!」

 

「お前を殺すために鍛え上げた力だ!!!」

 

 だがその褒め言葉はローにとって癇に障るものでしかない。

 その刃はドフラミンゴの急所を狙い、構えられている。

 

「“注射(インジェクション)”!!」

 

「! ──“超過(オーバー)”……!!」

 

 対するドフラミンゴもローの技の危険性を理解している。ドフラミンゴは手のひらから赤く太い糸を発生させると、その技を躱すために身を捩りながらローの身体を狙って糸を放った。

 

「“ショット“!!!」

 

「“鞭糸(ヒート)”!!!」

 

 ローの刃がドフラミンゴの脇腹を掠め、ドフラミンゴの糸がローの右肩を貫いた。

 

「グ!!」

 

「ウ!!」

 

 互いに苦悶の声を漏らし、痛みに表情を歪める。

 だがどちらもこの程度の傷や痛みで泣き言を漏らしたり、戦意がなくなるほど柔ではない。傷を負いながらも次の攻撃に対する布石は打ってある。

 

「!?」

 

 ドフラミンゴの王宮の一角。そしてその先にあった建物。それらがローの刀によって切断されたことにドフラミンゴは驚く。

 

「“タクト”」

 

 そしてその円内にある物。ローが切断した物は全てローの武器となり得る。ローが指を上にすればその瓦礫の山が持ち上がり、その指を更に動かせば進行方向を操作することが出来た。

 

「“蜘蛛の巣がき”!!!」

 

「!!」

 

 だがその瓦礫の山をドフラミンゴは糸を巨大な蜘蛛の巣状にして防ぎ切る。

 そしてそれもローには読めていた。

 

「“シャンブルズ”」

 

「!!」

 

 僅かにドフラミンゴの前に溢れた瓦礫の残骸。それと位置を移動させ、ローはドフラミンゴの至近距離に肉薄して斬りかかる。

 

「……!! 随分とやるようになった……!!」

 

 そして再び始まる接近戦。ドフラミンゴの糸とローの刀が至近距離でぶつかり合う。

 ここまでの戦闘。まだ序章に過ぎないそれだが、押しているように見えるのはローの方であり、ドフラミンゴはどちらかと言うと守りに意識を割いていた。

 それはローの実力を見定める余裕があることを意味し、ローはそれを理解しながらも最初から力を出し惜しみせずに攻めかかっている。

 

「だがそれでも無駄だ……!! お前に戦闘の全てを叩き込んだのはおれ達だ!!!」

 

「……!!」

 

 そう、ローが海賊見習いとしてドフラミンゴを含むドンキホーテファミリーに戦闘の全てを叩き込んだ事実。

 ローの手の内の全てをドフラミンゴは知っている。そして、その全てでドフラミンゴは上回る。

 

「お前らみてェなガキ共に僅かでも勝てると思い上がられた事が耐えられねェ屈辱だ!!! お前も知ってる筈だ……!! おれァ世界一気高い血族……天竜人だぞ!!!

 だからこそローはドフラミンゴに勝てない。

 それを証明するかのようにドフラミンゴは自らの生い立ちを語りながら自らの能力の奥の手を披露する。

 

「“荒浪白糸(ブレイクホワイト)”!!!」

 

「!!?」

 

 ドフラミンゴの周囲の瓦礫と建物。それらを糸に変えたドフラミンゴはその糸を制御し、ローを押し潰すように殺到させる。

 

「生まれただけで偉い!! この世で最も得難い力を持っていたのがこのおれだ!!!」

 

「ウ……!!」

 

 その大波のように迫りくる糸にローは細かい傷を幾つも負いながらも何とか致命傷を避けてしのいでいく。

 

「その生まれ持った世界一の権力を、愚かな父のせいで失い、このゴミの掃き溜めのような世界に一家4人で下りてきた!! ──そしてその権力は二度と返ってこなかった!!!

 

 ドフラミンゴの強さの、意志の源泉。ドフラミンゴが自らの手駒に“環境”を重視する理由がそれだ。

 クソみたいな環境で生きてきた者達は強くなる。そうして世界に恨みを持つ者達を集め、世界を破壊するために暗躍する。

 

「この地獄から出る術がない──その時に誓ったんだ。こいつらの牛耳るこの世界を……!! 全て破壊してやるとな!!!」

 

 そうしてドフラミンゴは“家族”を集めた。ローもその1人で、ドフラミンゴはローに忠誠を誓ってもらうつもりだった。

 

「お前らの生きてきた人生とはレベルが違う!!! ガキと遊んでるヒマはねェんだおれには!!!」

 

 そう、ドフラミンゴは全てを見下して生きている。

 見下されることが大嫌いなドフラミンゴにとって、自分に勝てると思い込んで逆らうローは目障りなガキでしかない。

 海賊としての矜持も何もかもどうでもいいドフラミンゴにとってローは敵ですらなく、自身の計画や行動を邪魔する目障りなガキ。

 

「お前にはこれは出来ないだろう、ひよっこ……!! 悪魔の実の“覚醒”という上の世界(ステージ)を相手に、お前は無力だ……!!!」

 

 ゆえにドフラミンゴは早々に“覚醒”を使ってローを制することに決める。

 ドフラミンゴにはローと遊ぶよりも重要なことが山ほどある。この戦場で邪魔な新政府軍を蹴散らす必要がある中で、ローは良くてその邪魔者の1人でしかない。

 

「昔教えたよな!!? 弱い奴は死に方も選べねェ!!! このおれに逆らい、直接対峙した時点で……この世界でお前に生きる場所はねェんだ!!! ロー!!!」

 

「……!!」

 

 強者に逆らった弱者は死ぬ。

 “鳥カゴ”で世界の縮図を作り上げたドフラミンゴはローに宣告する──自身と戦ってしまったローに生き残れる未来は欠片も存在しないと。

 

「コラソンがお前を生かしたことも無意味に終わる……!!! 自分の弱さに絶望しろ!!!」

 

「!」

 

 そしてドフラミンゴは周囲の変化させた糸をローにぶつけ、彼を仕留めようとする。

 串刺しにして磔にし、その後でゆっくりと上下関係を再び、教え込み、その命を自分のために使わせてやると。

 

「──コラさんのやったことは……無駄じゃねェ……!!」

 

「!?」

 

 だが、ローはそこから逃れていた。

 ドフラミンゴの背後に移動し、言い返す言葉を口にするローにドフラミンゴはその能力の厄介さを改めて確認する。やはりオペオペの実は利用価値があると。

 

「入れ替えで逃げたか……フッフッフッ!! だがそれがいつまで持つ?」

 

「……確かにお前の言う通り……コラさんが何をやったところで……お前がいる限りそれは全て無駄になっちまう……」

 

 ローは息を乱しながら憎き仇であるドフラミンゴを冷静に睨み、そして刀を構える。

 コラソンがどれだけ悲劇を防ごうと動こうと、このドフラミンゴはその全てを無駄にしてしまう力を持っている──その残酷な現実が存在している。

 しかし、だからこそなのだ。

 

「だがそれは……まだ全てが無駄になった訳じゃねェ!!

 

「!」

 

 ローは言う。ドフラミンゴは数々の悲劇を起こしてきたが、その中でまだドフラミンゴの思い通りになっていない、コラソンが救ったものがただ1つ存在すると。

 

「このおれがまだ生きてる……!! おれが死ぬまでにやる事全てが、コラさんの残した功績だ!!!」

 

「! ──フッフッフッ……成程。そりゃ泣ける話だ……」

 

 まだ自分が生きている。

 ローが生きている限り、コラソンのやってきたことは無駄にはならない。

 そしてドフラミンゴを止める可能性がまだ残っているのだとローは覚悟を口にする。

 

「だがその通りだ!! どんな悲劇も失態も!! 力の足りない現実も何もかも!! 起きちまった事も今この現状も全てが現実!!!」

 

「ああ……分かってる……だから力を求めたんだ……お前を倒すために……!!!」

 

 ローが刀に力を込め、襲いかかろうと向かってくるドフラミンゴに向けて振りかぶる。

 それにドフラミンゴは意に介することない。

 

「お前の覇気も能力もおれには敵わねェ!! 大人しく自分の運命を受け入れろ!!!」

 

「…………」

 

 ドフラミンゴが腕を広げてローに攻撃を見舞うその直前。

 ローは既に能力を発動し、自らの刀に纏わせていた。

 そして思い出すのは……この2年の間の出来事。

 

『──悪魔の実の超常的な能力。その“能力”に能力者の心身が追いついた時に起きるのが“覚醒”よ』

 

「ハァ……ハァ……」

 

 その記憶は怪物から“戦闘”を教えてもらった時の記憶だ。

 ローが彼らについた理由は、ドフラミンゴに近しいという理由だけではない。

 

「“K・ROOM(クローム)”」

 

「!!?」

 

 自分の力をより高め、強くなるため。

 

「“麻酔(アナススィージャ)”」

 

 そうして目の前の仇を()()()()()()()()()()()

 そのためにローは地獄に身を置き、自らの心身を高め、強くなった。その成果、結果は正しく自分の身に現れる。

 

「あ!!?」

 

「安心しろ。貫通に意味はない……ただし“K・ROOM(クローム)”は……内部から波動を生む!!!

 

「!!? これは……まさかお前も──」

 

 ドフラミンゴの身体に貫通したローの刀。

 その結果を見てドフラミンゴの笑みが消え、その可能性に思い至る──がその時には既に遅かった。

 

「食らえ……!!!」

 

 ローが心身ともに強くなった結果。それが今、この現実に現れる。

 

「──“衝撃波動(ショックヴィレ)”!!!」

 

「ぐ、オオオオオオ~~~~~!!!?」

 

 ──能力の“覚醒”という結果を以て。

 

「世界政府が滅んで2年……お前が何をした……?」

 

 ドフラミンゴが内部からの波動に血を吐きながら喘ぎ、地面に両膝を突く中、ローは言い放つ。

 

「世界中が争い合う中で、お前はただその陰に隠れて平静を保っていただけだ」

 

 それは──皮肉。

 ローはドフラミンゴの言葉を覚えている。だからこそ意趣返しとして……もしこうなった時のためにずっと力を蓄えてきた。

 

「お前がいつも言ってたな。手に負えねェうねりと共に……!!! 豪傑共の“新時代”がやって来る!!!

 

 その“新時代”がこの今の世界のことを言っていたかどうかはローには正確には分からない。

 だがそれがどんなものであろうと──目の前の男には進ませないと。

 

「その“新時代”からお前を引きずり下ろす!!! さァ、往生際だ──ドフラミンゴ!!!」

 

「……!! こ、の……クソガキがァ……!!!」

 

 もはや互いに遠慮も手加減もなし。

 条件は同じ。同じ世界(ステージ)に踏み込んだ者同士。勝ち残るのはより強い者。その“新時代”の生き残りを決める戦闘。その序章が──

 

「!!!」

 

 互いの激突と共に──遂に始まった。

 

 

 

 

 

 ──神の大地の麓。

 

 そこでは百獣海賊団の使役する多くの獣達が、敵対者である海賊達や新政府軍を襲う凄惨な戦場になっている──

 

「皆~~~!! おら達の味方をしてけろ~~~~!!!」

 

「ガオォォン!!」

 

「グルルル!!」

 

 ──筈だった。

 

「おい何やってる!! 敵はあっちだ!!」

 

「ぎゃああ~~~!! 襲われる~~!!」

 

「何が起きてんだ!!?」

 

「多分あのガキだ!! 捕まえてやめさせろ!!」

 

 だが現実は、その獣の大半がお玉によって反逆させられ、ドンキホーテファミリーやテゾーロの雇った傭兵達の事を襲う彼らにとっての敵となってしまっていた。

 

「すごいわ!! お玉ちゃん!! このまま味方を増やせば合流しなくても何とか……」

 

「すごいですー!!」

 

「これが百獣海賊団が守っていた理由か……!!」

 

 そしてお玉を守るようにその場で戦うのはナミとオワリ。そしてキャベンディッシュに脱走した元オモチャや囚人達だった。

 上にいった者達とはぐれ、そしてムサシからオワリを「子供が好きそうだな!! 少しの間オワリを頼む!!」と押し付けられたナミはオワリを抱きながらお玉やその場にいた子供達の手を引きながら何とか戦場を移動していた。

 

「クソ!! あのガキをどうにかしねェと……!!」

 

「獣と海賊達が邪魔して近づけねェ!!」

 

「あのガキを捕らえなきゃならねェってのに!!」

 

 そして戦場ではお玉を狙う海賊帝国とそれを守る海賊と獣達で戦闘が繰り広げられている。

 海賊帝国の敵兵の数は多いが、麓には主力も少ない。

 

「子供を狙うなど恥を知れ!!!」

 

「ぎゃあああ~~~!!!」

 

 そして数少ない主力の相手は億超えの海賊“白馬のキャベンディッシュ”が斬り捨てる。

 

「その調子よ!! 強い奴はやっつけて!!」

 

「きゃべんでぃっしゅ、がんばえー!!」

 

「ファンの頼みなら仕方がない!! この僕に任せておけ!!」

 

 ナミとオワリ。そして子供達はキャベンディッシュに声援を送る。ファンに対しては妙に甘いと理解したナミが声を送ったのを子供達が真似した形で、多くのファンの声援を受けたキャベンディッシュはいつもよりも張り切って敵と相対していた。

 そして億を超える海賊の強さは伊達ではない。このまま増援が来なければお玉や子供達を守りながら味方を増やし続けることが出来るとナミは思っていたが──現実はそう甘くない。

 

「グオオオ!!?」

 

「ん!?」

 

 獣の咆哮──それも嘆きや怒りのような声色。あるいは断末魔のそれが聞こえ、キャベンディッシュやナミ達はそちらを見る。

 

「どんな獣もアートにしてしまえば無力ざます!!」

 

「きーっ!! 鬱陶しい!! さっさとそのガキを渡しなさいよ!!」

 

「べへへへ!! こうなったら殺してでもこの騒ぎを止めるしかないんねーっ!!!」

 

「ドンキホーテファミリーの幹部か……!!」

 

 獣達や海賊達を蹴散らしてお玉の方へ向かってくるのはドンキホーテファミリーの幹部。ジョーラとデリンジャー。

 そして最高幹部の1人である“トレーボル♣”であり、海賊達も味方にした獣も彼らには為す術なく倒されていった。

 

「弱いクセに……!! あたし達に逆らってんじゃないわよ!!!」

 

「きゃ~~~!!?」

 

 そして幹部達は囲いを突破してナミ達との距離を詰めてくる。

 だがそのデリンジャーを止められる者がいない訳ではない。

 

「ここは通行止めだ!!」

 

「っ!? 何よアンタ……!!」

 

 キャベンディッシュの剣がデリンジャーの突進を止める。

 その力は幹部であっても容易に突破出来るものではない。

 

「僕のファンは傷つけさせない!!」

 

「きーっ!! 邪魔なのよ!! アンタ!!」

 

 そしてそのままキャベンディッシュとデリンジャーが戦闘を始める──そしてその間に他の幹部も動き始めた。

 

「“ベタベットン”!!!」

 

「!? あいつ、何かする気よ!! 皆、走って!!」

 

 ドンキホーテファミリー最高幹部のトレーボルが、そのベタベタの実の能力で生み出した粘着性のある粘液を伸ばし、近くにあった建造物を引き寄せ、持ち上げる。

 それに嫌な予感を覚えたナミは子供達を連れて走り出すが、トレーボルはその狙いを誤らなかった。

 

「“流星(メテオーラ)”!!!」

 

「!!!」

 

「うわああああ!!?」

 

「!? しまった!!」

 

 キャベンディッシュや海賊達の頭を飛び越え、数階建ての建物がナミ達の頭上に落ちてくる。

 このままじゃナミも子供達もまとめて潰されて死んでしまう。そう思い、ナミもどうにかしようと焦るも──間に合わない。

 

(ダメ……!! せめて子供達だけでも……!!)

 

 ナミがどうにか子供達だけでも救おうと動きを変えた。

 しかしナミの身体では覆い隠して守ることも難しいと──ナミが焦りを顔色に出した瞬間。

 

「……あれ? 落ちてこない」

 

「ん?」

 

「へ?」

 

 ──それは落ちてこなかった。

 ナミだけではない。子供達もキャベンディッシュもトレーボルや他の海賊達も全てが頭に疑問符を浮かべる。

 そんな中、最初に気づいたのはナミだった。恐る恐る目を開けた後、自分の頭の上に乗っていたその子供に気づく。

 

「お、オワリちゃん!!?」

 

「あい。オワリれす」

 

「えええええ~~~~~!!?」

 

「おい、ガキが受け止めたぞ!!」

 

「どんな怪力だ!!? 怪物の子か!!?」

 

「というかちょっと浮いてないか!!?」

 

 ──その光景に誰もが目を突き出す勢いで驚愕する。

 

 いつの間にかナミの頭上にいたオワリは、トレーボルの投げたその50メートル近い大きさの建物をその手で触れて浮き上がらせていた。

 

「かえちていい?」

 

「え? ああ、うん……よく分からないけど……」

 

「わかりまちた」

 

「返す?」

 

 そして誰もが戸惑いで動けなくなる中、オワリはそんな周りの反応など気にせずナミに向かって許可を取り、まだ頭が混乱していたナミは流れでその許可に頷いてしまう。

 舌っ足らずな返答が来て、子供達も疑問符が止まらない中、オワリは軽くジャンプしてそのまま空中に浮き上がると。

 

「じゃあかえちます──“ふわふわ“……

 

「え……返すってまさか……」

 

「おい、冗談だろ……?」

 

 オワリが不穏なことを言い、恐らく能力者であることを誰もが理解すると──ようやく誰もがこの後に何が起こるかを想像して戦慄し、そして焦る。

 

「おい待てやめろォ!!」

 

「に、逃げろ!!」

 

「ちょっと待て!! こっちにはまだ僕も……!!」

 

 混乱が巻き起こる。

 どちらの海賊達も、キャベンディッシュですら焦りだす中、オワリは構わずその身に宿っている“フワフワの実”の能力を用い、先程のトレーボルの真似をするように技名を言い放ち──

 

「“流星(めておーら)返し”!!!」

 

「!!!」

 

「ぎゃああああ~~~~!!!」

 

 ──建物を人々の頭上目掛けて落とし返した。

 

 破壊の轟音と人々と獣の悲鳴が響き渡り、土煙が舞う。ナミと子供達が白目を剥く。

 

「うまくできまちた!!」

 

「あ、ははは……」

 

 人々が阿鼻叫喚になるその光景を作り上げ、ナミの下へ再び戻ってきたオワリにナミは乾いた笑いを浮かべる。

 普通の子供かと思っていたら、とんでもない“鬼の子”だった。ナミに子供を差別する意図はないし、別に頭から角が生えていることを揶揄する訳ではないが──下手したら自分よりも強いんじゃないかと思ってしまい、ナミはオワリが“すごい子”であることを思い知る。

 

「……まあでもこれで敵も片付いたし結果オーライね!!」

 

「確かに!! オワリちゃんはすごいでやんす!!」

 

「ふっふっふ。オワリはすごい」

 

 ナミやお玉、子供達に褒められ、オワリが得意気になる。何にせよ、これで道が開けたことは確かだった。

 

「待ちなさいよ……!!」

 

「!!?」

 

 しかしそこで敵の声が土煙の中から聞こえてくる。

 その相手はやはりと言うべきか、さすがと言うべきか、雑兵ではない──ドンキホーテの幹部達だった。

 

「そこらのゴミと一緒にするんじゃないわよ……!!」

 

「あたくしらはファミリーの幹部!! この程度じゃやられないざます!!」

 

「幹部はファミリーの礎っ!!! ドフィの邪魔をする奴は絶対許さんね~~~~!!!」

 

「……!! しぶとい……!!」

 

 多少の傷を負いながらも立ち上がってきた3人に、ナミは歯噛みしながらもそこからの逃走を決める。子供達が10人近くいる中で幹部と戦闘なんて出来っこない。

 

「逃げましょうお玉ちゃん!! 皆も!!」

 

「逃がさないざます!!」

 

「きゃっ!!?」

 

 子供達と共にこのまま動物に乗って逃げる。そうしようと声を掛けた瞬間、接近してきたジョーラに動物がアートに変えられ、ナミ達は地面へと落ちる。

 

「くっ……!! だったら私が……!!」

 

「そうはさせんね~~~!!!」

 

「うっ!!?」

 

 ナミがジョーラを撃退しようと得物に手を伸ばした瞬間、トレーボルが液体を伸ばしてナミの足を絡め取る。

 

「子供を庇いながら戦おうとするなんてナメてるわね……!! その代償を払って貰うわよ!!」

 

「!!? やめなさい!! 許さないわよ!!!」

 

 そしてナミが足を取られる中、デリンジャーが接近して子供達に狙いを定めるとナミは激昂した。子供を傷つけるようなことはナミにとって絶対許せることではないとデリンジャーを睨みつける。

 だがそれをデリンジャーは一笑に付した。

 

「キャー!! 何それ!! あなた如きが許さないからって何になるの!!?」

 

「……!! 皆逃げて!!」

 

 デリンジャーにその言葉が意味を成さないと知り、ナミは子供達に向けて逃げるように告げた。

 しかしそれもまた遅い。デリンジャーの足なら、子供達がこれから頑張って走ろうとも数歩で追いついて血の海に沈めることが出来る。

 そしてそれを証明しようとした。

 

「散々面倒かけてくれたわね……!! まずはそっちのガキ2人から殺してやるわ!!!」

 

「!!」

 

 その殺気を乗せたデリンジャーの視線はお玉とオワリに向く。

 この戦場において不確定要素や厄介な要員は消す。元々敵は皆殺しにする方針なのだ。

 この“鳥カゴ”が張られ、ドレスローザの真実を外に漏らさないためにもファミリーとしては敵には極力死んでもらうのだと──そういう狙いを秘めて。

 

「うわあ~~!!!」

 

「っ……!!」

 

「……?」

 

 子供達も殺意をぶつけられ、恐怖に声を上げる。

 グラン・テゾーロにいた子供達6人。お玉にオワリ。その殆どが怯え、殺意に抵抗することが出来ない。

 ただ何故かオワリが、何かを感じ取ったかのように周囲を見渡す中──デリンジャーは“闘魚”の血筋を解放し、その凶悪な牙を開いて子供達に肉薄し──

 

「?」

 

「!」

 

 その刹那──()()()()()()

 

「!!!?」

 

「…………え…………?」

 

 ──ナミや子供達の視線から、その時起こったことを説明することは出来ない。

 彼女達は一様にその目の前で、まるで突然時間でも飛んだかのように起きた出来事に唖然とするしかない。

 ただそれでも強いて説明出来ることがあるとすれば──

 

「ウ、ゥ……」

 

 気づけばデリンジャーの胸が真っ赤に染まっており、そのまま倒れ──

 

「何、が……」

 

 気づけばジョーラも同様に血の海に沈み──

 

「べ、へ……嘘、だ……ドフィ……こんな……死……」

 

 気づけばトレーボルだと思われる酷く痩せた男が、血濡れになって気を失い──

 

「ウ、ウゥ……!!」

 

 キャベンディッシュ……だと思われる、先程とは打って変わって酷い人相になった男が腕から血を流し、両膝を突いて痛みに喘いでいる。

 それがナミ達の目の前で突如出来上がった光景だ。

 

「はぁ……はぁ……一体……何が……?」

 

 ナミは荒い息を吐きながら、何が起こったか分からずその場に膝を突いたまま警戒する。

 ナミと子供達以外。その場にいた者達は全員倒れていた。敵の幹部連中などは全員致命傷を受けている。

 誰がこの目の前の光景を作り上げたのか、何も見えなかった、気づけなかったナミには正確なところは分からない。

 だが状況証拠だけで見るならば──唯一腕を怪我しただけで目の前のキャベンディッシュが怪しい、が……。

 

「──何処、ダ……!?」

 

「え?」

 

 しかし、その警戒していたキャベンディッシュから予想外の言葉を聞かされる。

 剣を持っていた右手を左手で抑え、流れる血を止めているキャベンディッシュは、一言呟いた後に、ナミにとって訳の分からない言葉を捲し立て始めた。

 

「何処ヘ消エタ……!! ヨクモオレノ()()()……!!」

 

「邪魔……?」

 

 キャベンディッシュのその言葉──正確にはナミ達の知らないキャベンディッシュのもう1つの人格は、忌々しそうに事実を口にする。

 

「オレガ全テヲ斬リサク邪魔ヲシタ……!! 許セン……!! 出テコイ……!! 今度ハオレガ斬リ殺シテヤ……」

 

「??」

 

 そうしてよく分からないことを呟いているその最中に……ふとキャベンディッシュは口ごと動きを止めると。

 

「待てハクバ……!! 僕もよく分からないが、追いかけることも僕のファンを狙うのもやめろ……!! 今はそんな時じゃない……!!」

 

「!? 戻った!!」

 

 人相の悪くなっていたキャベンディッシュの顔が、唐突に元に戻る。

 人格もまた、おそらくナミ達の知るキャベンディッシュになったことでナミ達はまだ少し恐れながらも安心し、キャベンディッシュに声をかけた。

 

「だ、大丈夫?」

 

「ああ……僕は何とか……それよりも、気をつけろ……!!」

 

「え?」

 

「僕も、はっきりとは見えなかったが……」

 

 キャベンディッシュは自分の別人格の時に起きていた出来事を記憶している。夢遊病の際に現れる“ハクバ”という無差別切り裂き魔の男。通常のキャベンディッシュより倍強く、倍速いそのハクバの記憶。その時見た光景が確かなら──

 

「……?」

 

「オワリちゃん? どうしたでやんすか?」

 

「……ん~~~?」

 

「あれ? 姉ちゃんは……?」

 

 ──オワリが周囲を見渡し、グラン・テゾーロにいた子供達が彼らの引率役だった少し年上の子供が消えていることに訝しむ中、それに気づかないナミとキャベンディッシュは言う。

 

「ハクバの速度すら超える恐ろしい何かが……この島にいる……!!」

 

「……!!?」

 

 ──正体不明の何者かがこの島にはいることになる、と。

 

 

 

 

 

 ──神の大地4段目。ホテル“THE REORO”スイートエリア。

 

「ハァ……ハァ……ちく、しょう……!!」

 

 神の大地の頂上にそびえ立つそのホテルの上層部分。スイートエリアで、膝を突いて痛恨の表情で唇を噛む男が1人。

 彼は白ひげ海賊団の1番隊隊長“不死鳥のマルコ”と言い、つい今しがた起きた出来事を、寄ってきた味方に説明するところであった。

 

「何があったんじゃ……!! お前さん程の男が……何故これほど消耗して……!!」

 

「ジンベエ……!! おれはまた……奴を逃しちまった……!!!」

 

 麦わらの一味の操舵手にして元王下七武海“海侠のジンベエ”。

 ホテルに捕らえられていた彼は他の白ひげ海賊団のデュースやイスカにより解放され、ゾロ達とは別行動し、ルフィ達の居場所を探していたが──結果ルフィ達は自力で脱出し、神の大地に──このホテルの中で行動して脱出せずにいた。

 神の大地までホテルが移動した後は、下に降りて敵と戦おうと思っていたところ──スイートエリアの廊下で尋常ではない様子で倒れているマルコを発見し、現在に至る。

 マルコ程の強者が傷を負い、何かを後悔するような、悔しそうな表情を浮かべていることにジンベエはただならぬ何かがこの場で起きたのだと判断する。

 

「一体……何があったんじゃ?」

 

「──“黒ひげ”だ……!!!」

 

「!!?」

 

 マルコを助け起こしながら、その核心を突いた質問をしたジンベエは返ってきた返答に目を見開く。

 “黒ひげ”マーシャル・D・ティーチ。マルコやジンベエにとっても仇敵であるその男。

 その黒ひげが何をしたか。何を持っていったのか。マルコは端的に、廊下に転がっているそれを目線で指して教えた。

 

「オヤジの形見を……“グラグラの実”をカタクリが持っていた……そのグラグラの実ごと──()()()()が連れて行かれちまった……!!!」

 

「何じゃと!!?」

 

 マルコの示す視線の先。そこには──巨大な割れた鏡が落ちていた。

 

 

 

 

 

 ──“鏡世界(ミロワールド)”。

 

「ハァ……ハァ……!!」

 

「ゼェ……ゼェ……ゼハハハハ!!! 流石だ……シャーロット家の最高傑作と呼ばれるだけはある……!!!」

 

 その世界は鏡の中にある不思議な鏡の世界だった。

 世界中の鏡から行き来出来るその世界は、“ミラミラの実”という悪魔の実の能力者が作り出し、その能力者自身だけが接続出来る世界である。

 かつてはビッグマム海賊団の大臣の1人。シャーロット家8女のブリュレが持っていた能力であり、ビッグマム海賊団はその有用な能力を用いて、海賊団や国としての活動を優位に進めてきた。

 

 ──だが現在は、別の者にその能力を使用されている。

 

「だがお前1人じゃどうにもなんねェだろう……!! ええ!!?」

 

「……!!」

 

 鏡世界。そこで片膝を突いているビッグマム海賊団の将星シャーロット・カタクリ。

 彼の身体は幾つもの戦いの傷を負い、体力を消耗していた。それを為した男こそ、ミラミラの実を強奪した一味の首魁であるその人物。

 

『黒ひげ海賊団船長“黒ひげ”マーシャル・D・ティーチ 懸賞金15億4760万ベリー』

 

「さっさとグラグラの実を寄越せ!! そうすりゃあ命くらいは助けてやる!!!」

 

「ウィーハッハッハッ!!」

 

「ホッホッホ!!」

 

『ギャハハハ!!』

 

 ──2年前の頂上戦争で白ひげを殺し、幾つもの事件を引き起こした元白ひげ海賊団2番隊隊員マーシャル・D・ティーチ。

 今では“黒ひげ”と名乗り、黒ひげ海賊団の船長として凶悪な海賊達を従えるその男とその仲間である海賊達は、劣勢を強いられるカタクリを見て笑っていた。

 黒ひげを含む9人──ビッグマム海賊団に捕まっているシリュウを除いた彼らは、カタクリと黒ひげの一対一に臨むことも臨ませることもなく、一方的な勝負と化している。

 それでも未だカタクリが倒れていないのはカタクリの実力がゆえだった。見聞色の覇気により未来視を全開で使い、モチモチの実の能力も“覚醒”を含めた全てを解放して戦うカタクリは、正に“鬼神”の如し。

 だが黒ひげのヤミヤミの実……能力を無効化する厄介な能力や、他の連中の力を前に結局は膝を屈している。

 

「……妹の命を奪ったお前の戯言を……信用するとでも思うのか……!!?」

 

「ゼハハ……ああ、そうだな」

 

 ──だがカタクリはそれでも諦めることも、目の前の男を許すことも出来ない。

 あの戦争を邪魔したこともそうだが、そんなことより何より……ブリュレの命と能力を奪ったその一味に対し、カタクリは憎々しく言い放つ。

 

「ブリュレの命を奪ったお前達をおれは許さん……!!! 必ずお前達を地獄に送ってやる……!! そのためにおれはここに来た……!!!」

 

「ゼハハハハ!!! ああ、気づいてたさ……!! だからこそ殺して能力を奪っておいたんだ……!!! 鏡の中の世界は追いかけられる心配はないとはいえ……生かしておいたら外に出た時にビブルカードで居場所がバレちまうからな!!!」

 

 ブリュレを殺した理由。その理由を黒ひげは自慢でもするかのように態々説明した。

 元々ブリュレを攫ったのは頂上戦争のあの場から逃走するのに有用だったからというだけだが、その後に“四皇”の恨みを買った黒ひげ海賊団にとって、この能力は保持しておく価値があったのだと。

 

「おかげで随分と移動や暗躍が楽になったぜ!!! なァ、そうだろ!!? ドクQ!!!」

 

「ああ……やはりおれ達は運がいい……!!」

 

「……!!」

 

 そうして黒ひげはその能力を与えた仲間の名を呼ぶ──“死神”ドクQ。

 黒ひげ海賊団の船医であり、虚弱体質でもあるその不気味な男こそ新たな“ミラミラの実”の能力者だ。

 それゆえにカタクリはドクQにも殺気をぶつける。

 妹の命と能力を奪ったその男を殺す。報いを与えてやると。

 視線で人を殺せる程に睨みつけるカタクリに、しかし黒ひげ海賊団は意にも介さない。

 

「それで……どうする? グラグラの実を渡すってんなら苦しめずに殺してやってもいいぜ?」

 

「ハァ……ハァ……お前らの思い通りにはさせねェ……!!! お前らに待ってる未来は──“死”だ……!!!

 

 そしてカタクリもまた、戦力差など意にも介さずその意志を揺るがすことはない。

 取り付く島もないその態度に、黒ひげもさすがに口ではどうにもならないと諦めた。仲間にしてやることも考えたが、おそらくこの男はエースと同じような種類の男だろうと。

 

「ゼハハ……交渉決裂だな。ならそろそろ楽にしてやる……!!! お前が死んだらその“モチモチの実”も頂かせて貰うぜ!! ゼハハハハ!!!」

 

「……本当は……おれ1人でお前達全員を皆殺しに出来りゃあ良かったが……」

 

 黒ひげはカタクリを殺し、その身体の中辺りに埋め込んでいるであろうグラグラの実と、カタクリ自身のモチモチの実を奪い取るべく、足を一歩前に進める。カタクリの言葉は不可解で、言い返しはするものの最早方針に変更はない。

 

「残念だったな。この“鏡世界”じゃ増援は呼べねェ!! 最期にママでも呼んでみるか? 確かにお前の家のママはおっかねェからなァ!!!」

 

「ママを呼べるなら……()()()()()()()()()()……」

 

「ああ? 何を言って……おわっ!!?

 

 突如、戦闘が──カタクリが動き始める。

 鏡世界の地面を覚醒でモチに変え、それと同時に身体の中からその悪魔の実を取り出したカタクリは、その悪魔の実を上空に放り投げた。

 

「取れるものなら取ってみろ……!!!」

 

「チッ!! 面倒なことしやがる!! だが選ぶのは当然、こっちだ!! “闇水(くろうず)”!!!」

 

 カタクリの肥大化した拳が黒ひげ海賊団に迫る中、黒ひげは上空に放り投げられたグラグラの実を見て迷うことなく悪魔の実の方を闇の引力で引き寄せる。カタクリの攻撃程度でダメージは負っても致命傷は負うことはない。

 やぶれかぶれでグラグラの実をどうにかされる可能性を考えれば、ここで攻撃の隙を作ってもグラグラの実をさっさと拾う方が良い選択だと判断した。

 

「う……!!?」

 

「ドクQ!!?」

 

 だがその選択が──黒ひげ海賊団の運命を変える。

 

 カタクリの狙いは黒ひげ──ではなく、その横のドクQを狙ったものだった。カタクリはドクQをその覇気を込めた拳で殴り、同時に餅の粘着力でドクQを捕まえるとそのまま奥の鏡に向かってドクQを自らの腕と一緒に放り込む。

 

「!!? てめェ!! 逃げる気か!!?」

 

「逃がすな!! 鏡世界に取り残されると面倒なことになる!!」

「っ……!!」

 

 黒ひげの傍らにいたヴァン・オーガーがそう叫ぶと、他の仲間達がカタクリに向かって攻撃を仕掛ける。

 カタクリはその攻撃を見聞色の覇気で読み取り、ある程度は身体を流動させ回避するも、一部は食らって傷を作ってしまう。

 だがそんな中でもカタクリは腕だけは離すことはなかった。そうしてカタクリは、自らの行動の真の狙いを口にする。

 

「……目的の鏡を見つけるのに……随分苦労した……」

 

「ああ!!? 何を言ってやがる!! 逃げるつもりじゃねェのか!!?」

 

「逃げるつもりはない。おれはただ……お前らの恐れる増援を呼び込んだだけだ……!!

 

「何だと!! ──!!?」

 

 増援を呼び込む──その言葉の意味を理解した黒ひげが、しかしそれではなく別の意味で驚愕し、背後を振り返る。

 他の黒ひげ海賊団も同様だった。黒ひげについていく凶悪な海賊達。インペルダウンLEVEL6の囚人でもあった程の彼らも含めて、誰もがその凶悪な覇気の流出に驚く。

 

「──あーあー……待ちくたびれた……ようやくこの時が来たよ……!!!」

 

「……!!!」

 

 カタクリがドクQを放り込んだその鏡の中から、可愛らしい少女の声が鳴り響く。

 その声の持ち主はカタクリの腕とドクQの身体を掴み、ゆっくりと鏡世界への侵入を果たした。

 

 そうしてより直接的に浴びせられるのは数百万人に1人の王の資質の証──“覇王色の覇気”。

 

「もう、ず~~~~~~~~~~~~~~~~~…………っとこの時を待ってたんだからね……? あなた達を殺せるこの時を……!!!」

 

「てめェ、は……!!」

 

 その手にグラグラの実を掴んだことすらも一瞬忘れて、黒ひげは鏡の中から現れる人物に意識を集中させる。

 気づけば黒ひげの額には汗が浮かび上がっていた。そして黒ひげの脳は、一瞬にしてその手にした物を相手に奪われないように即座に口の中に放り込む。

 

「……!!!」

 

「あはは……!! あー、奪われちゃったか~。まあムカつくけど……仕方ないよね。どうせ“グラグラの実”を食ったところで多少面倒になるだけであなた達の未来は変わらないし……うん。快く許してあげる♡」

 

 黒ひげが一心不乱にグラグラの実を食す中、その少女は完全に鏡世界に足を踏み入れ、その姿を彼らの前に現した。

 赤い3つの羽と青い3つの羽を持つその黒髪の少女の姿を見て、さすがの黒ひげ海賊団も苦笑いをするしかない。

 背丈は小さく、顔立ちは可愛らしくとも、その人物には誰もが恐れを抱くのだ。その在り方に。その正体不明さに。その強さに。

 彼女の兄妹分が“最強生物”であるなら──彼女は“最恐生物”。

 誰が言ったかその異名は海賊の世界に……いや、世界中に知れ渡っている。世界一のアイドルとしての顔も、彼女がしでかしてきた事を思えば不気味でしかない。

 

「精々じっくりと味わうといいよ。その“グラグラの実”が……あなたの最後の晩餐になるんだからさぁ……!!!」

 

 その赤い瞳が。その手に持つ三叉槍が。その6つの羽が。その彼女の影が。その可愛らしい笑顔が。全てが怪しく輝いているように見える。

 その身に纏う正体不明の能力と強大な覇気で輪郭すらぼやかせるその少女の名と肩書を──誰もが心に浮かべた。

 

「そして最期を迎えるあなた達に見せてあげる──この私が作り出す……最高の恐怖って奴をね!!!」

 

 ──百獣海賊団“副総督”にして“大トリ”──“妖獣のぬえ”

 

 その“新時代”の象徴の1つである最強の恐怖の登場と共に……世界を揺るがすうねりは、終焉に向かって急速に動き始めることとなる。




ムサシ→風害は大看板候補とかそういう話ではなくてワノ国でそういう扱いだった。でももしムサシが百獣味方ルートで大看板になると言ったのなら風害になる可能性はありそう。
龍巻壊風→二刀流の剣士で能力で風が使えるので覚えた。壊風も使えます。
スカーレット→死体は見つからなかったそうです。
たしぎ→ある意味覚醒した。
ゾロ→たしぎデュースイスカもそんな弱い訳じゃないけど実質VSフーズ・フー&ピーカ&ダイスとかいうバランス調整ミスってるマッチアップしてますが、ゾロは満足そうなので問題ありません()
ドフラミンゴ→実は原作より遥かに忙しいというか、敵が沢山いるので役目を果たすのに必死。なので早々に覚醒を使います。
ロー→飛び六胞時代の修行で覚醒習得。かといって飛び六胞が覚醒してるかって言われるとまだ謎です。
お玉→相変わらずの百獣キラー。
オワリ→身体能力はまだまだですが能力と見聞色は強いです。身体能力もそこらの魚人とか巨人よりは強いけどネームド幹部にはまだまだ敵いません。
キャベンディッシュ→超スピード持ちなので唯一何かを見た。
子供達→1人足りないのは仕様です。Film GOLDに登場する子供達は5人なので。
侍組→神の大地1段目辺り。次回辺り描写します。
ウソップチョッパー→これも次回辺り。
マゼラン→グラン・テゾーロ側。
イッショウ→ドレスローザ側。
CP9福ロクジュしのぶ→この辺りも次回書けたらいいなって。
カタクリ→流石に黒ひげ海賊団ほぼ全員は無理。でも一対一なら黒ひげ以外にはまあ勝てるんじゃないかなって。ちなみにブチギレてる。
ドクQ→ミラミラの実の新しい能力者。
ブリュレ→南無。
ぬえちゃん→ということでぬえちゃんが化けていたのは子供の1人でした! Film GOLDの子供達が5人だと分かってればまあ怪しいってことで的中してた人もいましたね。見事的中した人は次のぬえちゃんのライブ会場である音楽の島エレジアにご招待します。黒ひげを狙うためにずっと隠れてたぬえちゃんは可愛い。

ということで今回はこんなところで。この1か月の間に原作がやばかったりFILM REDが公開でやばかったりしましたね。地味に活動報告でその辺りのことも語ってるので良ければどうぞ→https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=284354&uid=206423

次回からはぬえちゃんがこれまでの出番の無さの鬱憤を晴らすように大暴れ。カイドウさんも新政府軍相手に大暴れ。ついでにマムやシャンクスも暴れて緑牛もある意味暴れて世界中でメチャクチャになります。書く場面が多すぎて書く方も大変だけど読む方も大変そうですが、お楽しみに。

感想、評価、良ければお待ちしております。
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