正体不明の妖怪(になった男)、情緒不安定な百獣の腹心になる 作:黒岩
世界最強最悪の海賊団とはいえ、何も道先にある全ての島を襲うほど見境無しではない。
そりゃ船員は皆凶悪。仲間殺しは日常茶飯事。停泊した港で人を殺さなかったことは一度もないと言われるほどには最悪の無法者集団である。
だが、大掛かりに島や街を潰すのは船長命令であることが大きく、そうでない場合は船員達はごく普通に街を闊歩するのだ。
特に、世界政府非加盟国の島なんかでは、一々襲う必要もない──むしろ襲わない方が良いとのことで、船長は船員達に、何かない限りは大人しくしているように言うのである。
だからそういう場所では普通に取引で積荷や武器を調達したり、なんなら普通に買い物をしたりレストランで食事をしたりするのである。
なんなら、船長の気分次第では軽いゲーム……レクリエーションだって行ったりする。
そして勿論、それはただのゲームではない──
「──では……“デービーバックファイト”における敗戦の3か条を宣誓します!!」
そう──それは互いの船長が同時に撃つ2発の銃声によって始まる……仲間を奪い合う海賊のゲーム。
「一つ!! “デービーバックファイトによって奪われた仲間・印、全てのものは、デービーバックファイトによる奪回の他認められない”!! 一つ!! “勝者に選ばれ引き渡された者は、速やかに敵船の船長に忠誠を誓うものとする”!! 一つ!! “奪われた印は二度とかかげる事を許されない”!!! ──以上、これを守れなかった者を海賊の恥とし、デービー・ジョーンズのロッカーに捧げる!! 守ると誓いますか!?」
「誓う……!!」
「ギハハ……誓う」
そして相手の船長が数枚のコインを海に向かって投げ入れ、深海の海賊──デービー・ジョーンズに開戦を報告し、ゲームは始まる。
海賊ならば挑まれたこの勝負を断ることは恥とされるこのゲーム。何故このゲームを私達、ロックス海賊団が新世界の海賊と行うことになったかと言うと……単純に、挑まれたからだ。
ロックス船長は非加盟国の島なんかで出会った海賊相手に、すぐ一戦始めるようなことはしない。なんなら無視することだってある。勿論、大体は傘下に入るかどうかを聞いたりするのだが……そうやって出会った際にゲームを挑まれたのだ。
というのもどうやら、敵の海賊はこのゲームで勝って、ロックス海賊団の名だたる海賊を船員として自分の船に引き入れるつもりなのだろう。実際、このデービーバックファイトで奪われたものは、同じデービーバックファイトでしか取り返せないため、一度手に入れてしまえば別の手段などで取り返すことは出来ないのだ。
まあ単純な戦闘とは違い、ゲームなのだから勝ち目はあると思っても仕方ないが……正直、見えてる勝負なので、私としては楽しめるのは別の部分だった。
「あーあー、始めちゃったよ。ウチに勝てる訳ないのに。新入り増えることになるね」
「バカな連中だ……お頭も、受ける前に殺しちまえば良かったのによォ」
「でも船長はこのゲーム、意外と好きみたいなんだよね~。まあ私も嫌いとまでは言わないけどさ。虐め現場を飲み食いしながら見れるからそこは楽しいかも。私、お祭り好きだし──あっ、焼きソバとたこ焼きと焼き鳥くださーい!!」
「ウォロロロ、酒が飲めるのは悪くねェな」
ということで私とカイドウは屋台で食べ物とお酒を貰いつつ、敵の海賊達が苦しむところを観戦することにした。ちなみに、こういう時に出る屋台はお決まりというか、これも暗黙の了解の一つだ。海賊のゲームでは意外とこういう部分も大事にする。お酒飲んで観ない訳ないからね。後、こういう時に食べる屋台の食べ物は何故か美味しい。
そうやって、ゲームの開始を飲み食いしながら待っていると、少し前に大男が座ったので私は殴りかかってみることにした。
「──イェ~イ♡ 飲んでる~!?」
「飲んでる時に不意打ちしてくんじゃねェよ!!」
「ああん」
白ひげの後頭部を狙って殴りかかってみたが、あっさりと躱された上に怒られる。いつもの事だが、中々当たってくれない。そろそろ一回くらい成功してもいいと思うんだけど。
「も~、相変わらずノリが悪いわよ白ひげ~。せっかくの楽しい席なんだからちょっとくらい刺されてみてもいいじゃん」
「んな理由あるかバカヤロウ……いいから大人しくしてろ。こんな時まで仲間同士で喧嘩染みたことはさせねェからな」
「わかってるってば。じゃれてるだけなのはわかってるでしょ? えいっ!」
「──あ! てめェ、何しやがる!?」
私は隙を見て、白ひげが持ってきていた紙皿から焼き鳥を奪って食べる。すると白ひげに背中の服部分を掴まれて吊り上げられたが、構わず私は口を動かす。
「んぐ、はむ……ん~♡ 美味しい! 食べさせてくれてありがとね~?」
「この悪ガキ……!! ったく、油断も隙もねェ……!!」
攻撃は当たらなかったが、物を奪うことは成功する。白ひげが歯噛みしていたので、私は敢えて自慢してみせた。ふふん。白ひげを出し抜くことが出来たし嬉しい。また勝利の焼き鳥の味は格別だ。
「あ、そろそろ始まるみたいだよ?」
「……ああ、そうだ──なっ!!」
「わっ!?」
と、私がデービーバックファイトの第一種目である“ドーナツレース”が始まりそうだと、スタート地点の港に浮かぶ樽で出来た船2つとそこに乗る敵味方の海賊達を見て言うと、白ひげはそのスタートの瞬間に合わせて拳で宙を叩き──“海震”を仕掛けた。
そしてその瞬間、レースに参加しているロックス海賊団側の船が宙に浮かんでいく。
「うおわっ!? 海が盛り上がった!?」
「それより浮いてんぞあいつら!? どうなってんだ!?」
相手の海賊達が同時に起こったその不思議な現象を見て驚愕する。特に、浮かび上がった船の上から見下ろすその男を見ており、
「ジハハハハ……海賊の競技ってのは妨害が常識だが……えげつねェことしやがるぜ白ひげ。おれがいなかったら両方沈んでんじゃねェか」
そう、船に乗っているのは“金獅子”のシキ。故に当然、船が浮かび上がった理由はシキのフワフワの実の能力によるものだ。
そして更に、先程仕掛けた白ひげの海震によって、港には津波が押し寄せてきており、
「つ、津波だと!?」
「こんなの、どうやって躱せば……ぐあァァッ!!?」
──そして転覆し、同時に決着……呆気ない終わりだった。このドーナツレースは先にゴールまで辿り着いた方の勝ちだが、相手の船を沈めることでも勝利となる。……にしても凶悪過ぎるコンボ。元々船を浮かせて進むだけでも勝ち目がないのに、更に白ひげのグラグラで妨害してくるとか、どう考えても勝ち目がない。相手にはこの競技において有利な魚人がいたけど、そんなのも関係なかった。
「ギハハ……おいおい、会場のことも考えてやれよ」
と、そしてその津波が港にも押し寄せてきたので、ロックス船長が剣を抜いた──かと思ったらそれを横一閃。津波を斬撃で斬り裂いて、そのまま衝撃で押し返してしまう……うん。やっぱ船長が1番化け物だ。無能力者なのにあっさり対処しちゃうんだもんね。
「薄々分かってたけど、これじゃ全然ゲームにならないじゃん」
「こんなつまんねェゲーム、さっさと終わっちまえばいいんだよ。そもそもゲームで仲間を奪い合うってのが……」
おっ、若干白ひげが酒を飲みながらグチグチとそんなことを言い始めたが、やはり仲間想いの白ひげとしてはあまりこのゲームは好きではないようだった。うーん、私としてはありといえばありなんだけどね。お祭りも出来るし、遊び半分で合法的に相手を虐められるってのは中々嗜虐心を誘ってくれる。
「ねぇカイドウ。このゲーム、いざとなったら使えそうじゃない? 仲間集めとかする時にさ」
「あァ? ──必要ねェだろ。こんなまどろっこしいゲームやるくらいなら叩き潰して無理やり入れちまえばいい」
「ちぇ~、それでも入らない相手とかには使えそうなのに。ざんねん」
さほど残念そうでもなく私は諦める。無理やり仲間に加えるのに使えそうな気もするんだけどな。カイドウもこの遊びはあまり好きではないらしい。
「……そもそもおめェら、独立すんのか?」
「あァ!? てめェには関係ねェだろうが白ひげェ!!!」
「あー……まあ、もしかしたらね。もうじき私達も大人だし、そろそろ自分たちで海に出たくなるの、わかるでしょ?」
と、私とカイドウのやり取りを聞いて白ひげが何気なく質問してくる。カイドウが一瞬でブチ切れたが、一応私の方は曖昧にしておいた。独立は確定してるけど、それがいつになるかは正確なところ、分からない訳だしね。
だがそうやって誤魔化すように言ったのだが、白ひげの方はカイドウを無視し、私を見て微妙な顔をした。何だろうと思っていると、
「……は、大人? いや待て、お前……全然成長してる気がしねェんだが……最初見た時とどこか変わってるか?」
「変わってるわよ失礼ね!! これでも身長伸びたり成長してるんだから!! もう5年も経つんだから当たり前でしょ!?」
「おうそうだぜ!! ぬえをバカにしてんじゃねェ!! こいつは毎日、船倉の壁に細かく背の高さを刻んでやがんだ!! 死ぬほど遅ェがちゃんと成長してんだよ!!」
「余計なことばらすなバカ!!!」
「へブ!!?」
余計なフォローをしたカイドウの頭を三叉槍でぶん殴る。くぅ……私の恥ずかしい秘密をあっさりばらして……!! 顔が熱い……こんな子供っぽいことをしてるとは知られたくなかったのに……!!
「……フ……グララララ……!! なんだぬえ、おめェそんな小せェこと気にしてやがったのか? ガキの癖に」
「は、はぁ!!? 気にしてないし!! 私はこのままでも可愛いんだから別にどっちでもいいのよ!! というかガキって言うなぁ!!」
「ガキって言われて怒るのはガキな証拠だな」
「うっさい!! バカ!! 死ね!! 言っとくけど若い方が正義なんだからね!! 将来、ずっと若々しいままの私を見て嫉妬するといいわ!!」
「おお!! 白ひげェ!! てめェはおれがぶっ殺してやるから覚悟しとけ!!」
「うるせェ。おれは老いねェし死なねェよアホンダラ。ましてやおめェら程度に殺されるか、グララララ!」
くっ、口の減らない……だが今は歯噛みするしかないのが何とも言えない。確かに、今は絶対に勝てないし。
ただ後10年、20年、30年と経った時、それはどうなるか分からないけど。どうにか追いついてやらねば。実際に頑張るのはカイドウだろうけど、だからといって私も指をくわえて黙ってる訳にもいかないからね。いつか驚かせてやらないと。
「……ん? どうやら仲間が指名されたみてェだな」
「──え、嘘。聞いてなかった。誰? どんな人?」
「名前までは聞こえなかったが……ありゃ手長族だな。見ねェ顔だが船長が選ぶくらいだ。そこそこやるんだろう」
「──よし、ちょっと歓迎がてら殺してくる」
「バカ、カイドウ。それじゃ歓迎どころか入っていきなりの別れじゃない。さすがに自重しときなさいよ。……まあ手長族とかほぼ見たことないから色々見たいっちゃ見たいんだけど……」
白ひげとバカなやり取りをしている間に、一戦目の結果によってロックス船長が敵船の誰かを仲間に加えた。白ひげが言うには、それは手長族らしい。言うように、船長が選んだのだからそこそこできる奴なんだろうけど、どれくらい強いのかは興味はあった。さすがにカイドウみたいにいきなり殺しにかかるというそんなバカな真似はしないけど。
そうやって新たな仲間や手長族について思考しようとしていると、白ひげが親切にもそれに答えるように、
「手長族は偉大なる航路に住む種族だな。足長族と長いこといがみ合って、抗争にも発展してるそうだ……」
「あ、詳しいんだ」
「そりゃ長いことやってるからな」
と、白ひげは特に自慢するでもなく酒を飲みながら長い航海で得てきたであろう知識を披露してくれる。……これは良い機会かもしれない。せっかくだから私が知らないことも聞けるかもしれないし、色々教えて貰おうと、私は純粋に好奇心から質問する。
「他に珍しい種族ってどんなのがいるの?」
「珍しい種族か……まあ魚人族や人魚、巨人族なんかは知ってるだろうが……掌サイズの大きさの小人族や首が長ェ蛇首族、後は動物系の人獣型みてェな見た目の種族もいるって聞くな。おれはまだ見たことねェが」
ふむふむ。手長、足長に、魚人島に住む色々と根深い歴史を持つ魚人に人魚に、新世界にある“エルバフ”が有名な巨人族に、小さくて可愛いけど力は強い小人族。最後のはミンク族かな。
その辺りの詳しい話なんかも知らないし、聞いてみたい。でもどうせならもっと珍しい話を聞きたいものだ。
「それも面白そうだけど……他には何かいないの? もっと凄い希少種族とか!」
「急にどうした? リンリンみてェなこと言いやがって……そういうのに興味あるのか?」
「そりゃそうでしょ! 知らない話ほどわくわくするしね!!」
そう──どうせなら私の知らない話が聞きたいのだ。まあ忘れてるだけかもしれないけど、それでもいい。思い出せるし、色々と聞いてみたいのだ。
そうやって白ひげに目をキラキラさせながら詰め寄ると、自分で言うのもなんだが、その純真さに折れて頭を捻り始めた。そして割と直ぐに出てきたのが、
「あー……そうだな。昔の仲間から聞いた話で本当かどうかは知らねェが、中には目が2つじゃなく3つある種族や、背中に羽が生えてて全身から火を吹き出すような種族もいる……って話は聞いたな。どれも本当かどうか分かったもんじゃねェが」
「! へー! 全部面白そう!」
「まあ……そうだな。もしいるんなら見てみてェもんだ」
「そうそう! なんか面白そうじゃない? 3つ目の目に目薬差してみたり、炎に水ぶっかけてみたりしたいよね!!」
「……最初の奴はともかく、水ぶっかけるのはやめてやれよ……」
白ひげにやんわりと呆れられながらツッコまれる。いや、でも好奇心は尽きない。普通の人間とは違う色んな特徴を持った人種だ。こう……出来るのなら、色々と試してみたくなってしまう。
それに将来、カイドウと一緒に最強の百獣海賊団を作るのだ。どうせなら、異形の怪物みたいな凄そうな人達は仲間にしたいところ。まさしく獣の集団っていった感じで。
「カイドウはどう思う? なんか他の人種も強そうで面白そうじゃない?」
「強ェなら大歓迎だ! 良い戦力になる!! ……そういや魚人や人魚で能力者だと海に沈めたらどうなる? 死ぬのか?」
「見つけたら試してみる?」
「可哀想だからやめてやれ……」
カイドウと一緒に種族についても考えるが、思いつきの遊びを白ひげに咎められて思い直す。まぁ、あんまり面白くはなさそうだからやらないけどね。絵面的にもただ沈むだけで微妙だろうし。これでなんか凄い苦しむとかなら考えるけど、それだと味方にやるのは可哀想だからやらない。やるなら敵かな。まあやっぱ地味そうだからそんなに面白くはないだろうけど。
──あ、そういえば珍しい種族といえば……そういうのに詳しそうな人いるなぁ……まあ直接は聞けないけど、それならそれで。
「んー……」
「? 何キョロキョロしてんだ?」
「人探し。いるかなー。さすがにいないかも──あっ、いた!」
と、周囲を見渡して軽く目的の人物を探す。まあさすがにいないかな。船で子供の面倒見てそう──って思ったところでまさかの発見。即座にUFOを飛ばして捕まえる。
「うわっ!? なんだよ!!?」
「やっほ~カタクリ~、おねーさんと一緒にお話しよ~?」
「ん? こいつは確か……」
「あァ……? リンリンのガキじゃねェか……」
「っ……!! 白ひげに……カイドウ……!!」
──ということで捕まえてきたのは屋台を見て回っていたシャーロット家次男、カタクリ君でした。なんか怯えてるけど、どうしたんだろう? あれかな? 船内でも船長に次ぐ実力者でママをぶっ飛ばした白ひげと、船内でもかなり凶暴でママにしょっちゅう突っかかるイカれたお兄さんに囲まれてビビってるのかな? うん、まあしょうがないけどね。まあここは可愛いおねーさんが最高の回す力を発揮し、皆で仲良くトークさせてみせよう。目指せ司会者。目指せゴールデン。という訳で、
「はい! 始まりましたぬえちゃんの部屋~~~!! 本日のゲストはシャーロット家次男、ドーナツ大好きモチモチの実の能力者のカタクリ君でーす!! パチパチパチー!!」
「え、な、なんだ……?」
「……おいぬえェ!! ゲストならもうちょっとマシな奴呼びやがれ!! 酒がマズくなる!!」
「そういう問題じゃねェだろ……」
という訳で私がノリノリでそう言ったのだが、あまり皆ノッてくれない。強いていうなら、カイドウが酒乱になってきていて、なんかズレたことを言い始めたのが救いだ。こういう時のカイドウは思ったよりノリは通じる。話は通じないけど。
まあそれはさておき、カタクリに向かって私は手元のマイクを口元に持っていってあげながら聞く。マイク持ってないけど。ニコニコと笑顔で、
「それではカタクリ君! あなたのママから、何か珍しい種族に関する話とか聞いてないかな~? もしくは、カタクリ君の好きな娘を教えてくれてもいいよ? 勿論、妹でもオッケー!!」
「は、はァ!? そんなの知らねェよ!! ふざけんな!!」
「アァ!!? てめェ誰がフザケてるだと!!? おれの兄妹がフザケてるって言いてェのか!!!」
「っ……ち、違──」
「おいこらカイドウ!! そうやってガキを虐めんじゃねェよアホンダラ!!」
「ふんふん。なるほどなるほどなるほど~……カタクリ君は、ブリュレちゃんと……ええ!? わ、私が好きなの!? も、も~~~そういうのは駄目だぞ? ぶっちゃけ興味ないからもっと大人になって懸賞金10億は超えてから出直してきてね♡」
「言ってねェよ!! 意味分かんねェし、捏造すんなバカ!!」
「──ア゛ア゛!? 誰がバカだとこのガキ!!!」
「だ……だから、そっちには言ってねェ……よ……」
「いい加減にしやがれカイドウ!! ガキに手出そうってんなら今すぐ海に沈めるぞ!!」
「やれるもんならやってみやがれ!!!」
「うーん。話は熱くなってるけど撮れ高微妙かも。ということでカタクリ。ここでちょっとプロレス仕掛けてみようか。カイドウと白ひげ、どっちでもいいからさぁ」
「やれるかァ!!! いいから助けろよ!!!」
カタクリ君がカイドウに胸ぐらを掴まれながら必死のツッコミを私に行う。まあ白ひげが助けてくれる感じだけど、それも怖いのかな? カイドウと白ひげの喧嘩に巻き込まれてるって感じだし。まあしょうがない。もう少し思考を纏めたら助けてあげるとしよう。
……それにしても……種族、種族かぁ……そういう意味でも、色んな特徴を持つ人材がいると、海賊団として幅が出るよねぇ……。
魚人や人魚、手長に足長、小人に巨人、蛇長とか三つ目……は厳しそうだけど、他にも謎の種族の仲間とか、色々いる方がメチャクチャで楽しそうではある。
そういう種に例えば──動物系の悪魔の実なんか食わせたら、私やカイドウ程じゃないけど、かなり異形っぽいヤバい奴が出来上がりそうで、戦力にも期待出来るし、面白い。
ただあれだなぁ……普通に仲間に加えるだけなら難しくないかもしれないけど、肝心の悪魔の実の方はどうやって手に入れようかな……さすがに劣化版は期待出来そうな人材に食べさせるのは勿体ないし……。
──やっぱり、
私は壇上でゲームを楽しそうに見届けている船長を見て思う──船長が持っている、取引の情報やその手段。そういうのを参考にするか……もしくは、
そう思って、私は楽しみだなと笑みを浮かべて、再び観戦に戻ろうとした。
──が、
「ウォロロロ!!! こうなったらリンリンのガキと白ひげ、どっちも相手にしてやらァ!!!」
「だからやめろつってんだろバカヤロウ!!! 龍になってんじゃねェ!!!」
「ぬ~~~え~~~……!!! 早く助けろ~~~……!!!」
「…………あっ」
──気がつけば、カイドウは龍になって白ひげと対峙し、カタクリ君はそれに巻き込まれそうになって涙目になっていた。……まあ今から止めるから許してね。てへぺろ♡ ──この後、交じってきたリンリンにメチャクチャ半殺しにされた。
そんな訳でメチャクチャな話でした。デービーバックファイトは割愛というか殆ど描写無しですが、書いてもロックス海賊団相手だと勝負にならないので……。
まあ今回も色々フラグ立てのお時間。ぬえちゃんがワクワク動物ランドを作りたがっているご様子……。
次回はとうとう例の事件で話が動きます。そろそろ見習い時代も終わりそうです。という訳で、また明日をお楽しみに
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