正体不明の妖怪(になった男)、情緒不安定な百獣の腹心になる   作:黒岩

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百獣海賊団VSゲッコー海賊団

 ワノ国は鎖国国家であり、入国方法は外のどの島にも伝わっていない。

 つまり永久指針(エターナルポース)やビブルカードがあっても、その方法をどうにか知るか、偶然気づくか、あるいは何らかの方法で無理矢理昇るか。それらが行えなければ、そもそも私達の本拠地に辿り着くことすら不可能なのだ。

 だからこそこのワノ国は拠点に最適なのだ。国内の情報は外に伝わらないし、逆に国外の情報も国内には伝わらない。外から海賊が入ってくることもほぼないと言っていい。

 ──だが逆に言えば、ワノ国に入国してくる程の海賊は一定の実力と悪運を持ち合わせていると言える。少なくとも、大海賊時代が始まってから海に出た“海賊ごっこ”をしている半端者ではない可能性が高い。そう、彼らの様に。

 

「キシシシシ!! よォカイドウ!! てめェのバカ面を拝みに来てやったぜ!!」

 

「ウォロロロ……!! 聞いていた通り、随分と威勢の良いルーキーだな……モリア」

 

 ワノ国の“鈴後(りんご)”。年中雪が降り積もる寒冷の地であり、寒くて桶に入れた死体は数百年腐らないなど、寒さに関する逸話が多く存在するこの土地。

 そこで睨み合うのは2人の巨漢。2人の海賊。一方は私達、百獣海賊団。連れてきた500名の船員を率いる船長にして私の相棒。金棒を肩に抱えて好戦的な笑みを浮かべる──“百獣”のカイドウ。

 そしてもう一方、多くの海賊達。向こうもまた500名を超える船員を連れてこのワノ国の地に足を踏み入れたのは、カイドウにも迫る大男だった。逆立つ赤い髪に額には角。大きく尖った耳に、大きな口はギザギザの歯。ガッシリとした体格で、手には長剣を持ち、それを肩に抱え、不敵な笑みでカイドウを睨んでいる。懸賞金3億2000万ベリー。ゲッコー海賊団の船長、ゲッコー・モリア。

 私は初めてその目で見るモリアという海賊に率直な評価を思う。──正直、悪くない。もっと弱いかと思っていたが、見聞色で感じ取る限り……なるほど。新世界のそこらの海賊や私達の部下じゃ敵わないのも納得だった。

 全身に覇気が満ちている。そして、カイドウの睨みに真っ向から対抗していた。

 

「だがここまでやって来ておれに喧嘩を売るとは……このおれが誰だかわかってんだろうなァ!!!?」

 

「キシシ、てめェがどこの誰だろうと関係ねェなァ!!! 野望を掴み取るための障害は薙ぎ倒してでも進む!! それが海賊ってもんだろう!!」

 

「……!! いい度胸だ……なら容赦はしねェ。皆殺しだ……!!!」

 

「バカが!! 本物の海賊には“死”さえ脅しにならねェ!! 死ぬのが怖くて海賊やってられるかってんだ!! ──行くぞ野郎共!!!」

 

『オオオオ~~~~!!!』

 

 モリアがカイドウ相手に啖呵を切ってみせる。部下に号令を掛ければ大勢の部下達が戦意を滾らせて吠えた。私は向こうの陣地にいるモリアや海賊達を見て思わず笑ってしまう。

 

「おー……あはは、中々肝が据わってるねぇ。さすが、私達に躊躇なく喧嘩を売ってくるだけはあるな~」

 

「フン……その威勢がいつまで続くか見ものだな」

 

「ムハハハ、ありゃ全員殺していいんだよな!!?」

 

「大海賊時代に台頭した海賊もとうとう新世界にやってきて……フフフ、わからせてあげないとね……!!」

 

 カイドウの背後。多くの兵を率いる最高幹部が3人。雑魚海賊の群れに鼻白み、殺意を高める“火災”のキングに、同じく身の程を知らないバカだと嘲笑う“疫災”のクイーン。そして仮面の下で笑いながら、最近始まった大海賊時代のせいで、政府の仕事が忙しくなってしまい、ストレスを溜めている“戦災”のジョーカー。

 そしてその更に背後。船員達をまとめる行動部隊長の幹部達。

 

「死にたがりが多いみてェだな……」

 

「ありゃ数が多いだけだろ。おれ達の相手なんか務まるのか?」

 

「…………」

 

 彼らもまた、戦争を前に不敵に構えている。特に実力も個性も兼ね備えた連中。その他の真打ち。

 そして続くのは500名の船員達──その中には、また子供がいる。魚人族で、相手をまっすぐに見ているのは子供ながらにこの戦闘に参加したいと志願したジャックという最近入団した少年だ。

 まあ普通なら子供を戦闘に参加させるなんてしないけど、ジャックみたいな普通の船員よりは強くて、しかも能力を持ってて丈夫な連中なら問題ない。死んだらそこまでだが、これくらいで死ぬなら死んで構わない。生き残って強くなってくれると信じてるしね。

 そして私達の戦力はまだ続く。多くの戦闘員に交じって配置しているのは怪物軍団“ナンバーズ”だ。

 だがこれでも全戦力という訳ではない。鬼ヶ島やワノ国各地、ナワバリを維持するための兵力もいるため、半分は残している。全戦力だと今は1000名ってところだ。

 しかしそれでもまだ足りない。後数年でこれを倍にする。勢力を維持するため、そして戦いに備えるためにも、兵はもっと沢山勧誘しなければ。

 という訳で出来ればモリアも欲しいところだけど、仲間にはならなさそう。それ以外は雑魚だし、今回は殺して構わない。雑魚は潰しがきく。幸いにも大海賊時代で海賊はこれから腐るほど現れるしね。

 

「オオオ……!!!」

 

「ウオオ……!!!」

 

 そして遂に、カイドウとモリア、それぞれの得物がぶつかり合い、空気の波が周囲を叩く。

 モリアは僅かに圧された──が、それでも致命的ではない。圧されてなお不敵に笑みを浮かべ、戦意を失っていなかった。

 それを見て感心すると共に、私は可哀想に思う。──人の下につけるだけの器量があれば、良い戦力になったのに、と。

 

「──ふふふ、それじゃあ始めよっか♡ モリアとゲッコー海賊団に私達という最大の“悪夢”を見せてあげないとね……!!」

 

 

 

 

 

 ──かくして百獣海賊団とゲッコー海賊団の戦争が鈴後にて勃発した。

 

 どちらも総勢500名を超える海賊同士の激突は、降りしきる雪と寒さを跳ね除けるほどの熱狂に包まれている。

 響く鋼の音と肉を切り裂く音。そして誰かの断末魔に誰かの咆哮。増やした部下達も大勢やられているだろう。相手は新世界の海賊だ。当然、戦いは今までのどんなものより激しい。

 だが恐れることはない。何故ならゲッコー・モリアは、海賊になってこれまで、どんな戦いにも勝ってきた男だからだ。

 

「っ……!! キシシ……凄まじいパワーだ……だが戦いは単純なパワーじゃ決まらねェんだぜ──“影法師(ドッペルマン)”!!」

 

「あァ!!? 影!?」

 

 モリアはカイドウと得物をぶつけ軽く背後に押されるが、着地と同時に自身の能力を発動。影から自分とまったく同じ大きさと形をした影が這い出てくる。カイドウは続く金棒の追撃が影に受け止められたことに驚き、モリアは口端を歪めた。

 

「驚いたか!? おれのカゲカゲの実の能力だ……!! あらゆる影を支配する“影人間”……!!」

 

「!! つまらねェ能力だ……!!」

 

「つまらねェかどうかはおれの能力をたっぷり味わってから言うんだな!! ──“角刀影(つのトカゲ)”!!」

 

「!!」

 

 モリアは自身の影。影の分身でカイドウの攻撃を受け止めると、バラバラになった影をそのまま別の形にしてカイドウの身体を貫こうとする。

 だがそれもまた金棒によって逸らされた。──が、それもまた狙い通り。モリアは逸れた影を操作し、そのままカイドウの背後に“影法師”を出現させると、自身と場所を入れ替えた。そしてそのまま剣を振るう。

 

「!!?」

 

「キシシ、驚いたか!? そっちはおれの影だ!! 残念だったな!!」

 

 カイドウの金棒が再び影を叩き、その間にモリアはカイドウを攻撃する。ほんの僅かにカイドウの皮膚に切り傷が出来た。随分と硬い。そのことに内心で驚いたが、これだけではまだ終わらない。カイドウが驚き、こちらを向いたところで、モリアはニヤついた笑みでカイドウをバカにする。

 

「あァ……それとな。後ろの影もまだ生きてるぜ?」

 

「あァ……!!?」

 

 再びカイドウとモリア自身が対峙したその瞬間、既にモリアは影法師に攻撃態勢を取らせていた。拳を作り、カイドウの背中にラッシュを掛ける。

 

「──“影拳闘(シャドーボクシング)”!!」

 

「…………!!!」

 

 カイドウの身体を影でタコ殴りにし、隙が出来たところでこちらからも攻撃をする。本体と影による挟み撃ち。コンビネーション。1人でこの連携を防ぐことは中々難しい。

 事実、戦闘に長けたカイドウでさえ、その初見殺しと言っていい能力の連続に翻弄されていた。モリアは自身の力や速さにも自信があるが、能力も研ぎ澄ませており、戦いにも慣れきっている。勿論、覇気だって使えていた。

 モリアは強い。自他共その実力は認められている。政府が3億を超える懸賞金を掛けているのだ。並ではない。

 今まで多くの海賊達、海兵達を倒し、“悪夢”を見せてきた。自身の野望、“海賊王”になる目的を邪魔する奴等は容赦しない。等しく叩き潰してきた。同世代のライバル。格上の海賊。そんなものに恐れはしない。自分はその全てに勝つ。それだけの力を備えている。

 そしてそれは勿論、モリアの仲間達もそうだ。モリアは既に500名を超える船員の上に立つ大船長だが、その中でも結成当時からいる古参の仲間、幹部達を特に信頼していた。そう──彼らはモリアにとって大事な仲間なのだ。

 仲間もまた、モリアについてきた。実力を身に着け、モリアと同様に大きく名を馳せてきた。どいつもこいつも他所じゃやっていけないような救いようのないバカ達だったが、モリアにとっては仲間だ。自分を信じてついてきている。

 そんな仲間達と共に、自分は海賊王になる。その野望の為に立ち塞がる者は全て、等しく悪夢を叩きつける。

 

「キシシシシ!! まるでイノシシだな!! バカで助かるぜカイドウ!! このままおれに倒され、お前の仲間達もおれの仲間がブチのめす!! おれがお前に“悪夢”を見せてやるぜ!! 覚悟してな!!!」

 

「…………」

 

 そう──これから始まるのはまさしく……新世界の“悪夢”だった。

 

 

 

 

 

「──とはいえ、モリアは取られちゃったし、こんな雑魚達相手じゃすぐ終わっちゃうしー……はー、どうしよっかなぁ~~~?」

 

「あァ!!? 何だとこのガキ……ぎあああっ!!?」

 

「おいバカ!! 不用意に突っ込むな!! 知らねェのか!? ありゃ“妖獣”のぬえだ!! 百獣海賊団のNo.2だぞ!!」

 

「つっても、本当にガキだとは思わなかったけどな……!! だがモリア船長がカイドウを相手にしてる間、こっちも片付けちまわねェと格好がつかねェぜ……!!」

 

 と、そんなことを言いながら私を前に油断なく対峙するモリアの幹部らしき船員達。うーん、確かにそこらの海賊よりは強い……かなぁ。ひょっとしてモリアのところの副船長とか2番手だったりする? 確かそうだったような……でも確か2番手でも懸賞金で言うと1億に届かないくらいだったと思うし、正直……今殺した雑魚とそこまで変わらない。悪魔の実も食べてないっぽいし唆らないなぁ。いじめがいはありそうだけどね。そもそも敵の海賊500人程度、数はいても弱いのしかいないから私が暴れちゃったらすぐに終わっちゃう。

 ……だけどそれだとこっちの部下達が戦えないし成長しない。せっかく新入りも増えてきたり、芽が出始めた子達もいるんだから彼らにもこの大規模な戦いで成長して貰いたいのだ。

 しかしそれを含めても一時間掛からないかな? よし。少し様子見して、飽きてきたら絶望に叩き落としてあげよう。希望を持たせた方が落ちた時のショックはデカいし、何より面白い。この戦場で楽しむには相手を虐めるくらいしかない。はーあ。せめてモリアクラスがもう1人いれば純粋に戦いを楽しめたんだけどなぁ。あっちはカイドウがやってるし、邪魔する訳にもいかない。こいつらの影を見る限り、モリアは()()を使うみたいだし、楽しめそうなのになぁ──と、私は斬りかかってきた相手を軽く払って吹き飛ばす。

 

「ぐおっ!!?」

 

「副船長が吹き飛ばされた!?」

 

「あの見た目で、どんな怪力してんだ……!!?」

 

「ん~。カイドウとモリアの戦いを眺めてるだけでもそこそこ面白いけど、他の子達もちょっと見てあげないとなぁ。誰も死んだりしてる様子はないけど」

 

 私は副船長と呼ばれた男から視線を切り、槍を肩に担ぎつつ見聞色の覇気で味方の数と位置をある程度確認しつつ呟く。──あ、結構やってるね。ちょっと見てあげようと、私は空に浮かびつつ、割と近くで戦ってたその子を見に行く。

 

「くっ……なんだこいつ……ガキ!?」

 

「ガキだ!! だが……結構やるぞ!! もう何人もやられた!!」

 

「……!」

 

 敵の海賊達が驚き、その子供を見る。ガキと呼ばれているが、確かにそれに相応しい年齢だ。私とは違う。私は見た目も年齢も美少女だしね。

 実際その少年。ウチの新入り──ジャックはまだ5歳だ。そもそもそんな子供が戦場に出ていることが彼らにとっては驚きだろうが、ウチは年齢で差別はしない。戦えるなら赤ん坊でも戦えばいい。強ければ死にかけのジジイでも戦場に出すし、幹部の座も与える。

 ジャックは魚人だった。魚人は生まれながらにして人間の10倍の腕力を持つ。それゆえに、ジャックはそこそこ戦えた。加えて、悪魔の実の能力者でもあるのだ。その能力は、

 

「うあっ!? このガキ、姿が変わったぞ!!」

 

「能力者だ!! 動物系か……!!?」

 

「少し小せェが……まさか、マンモス!?」

 

 そう──ジャックの能力は動物系。それも古代種だ。

 ゾウゾウの実古代種、モデル“マンモス”の能力者。それがジャックである。何でも物心ついてない頃に悪魔の実を食べてそうなったらしい。運の良いことだ。私もそうだからちょっと似てるね。

 そしてそのマンモスという古代種の力が加わり、ジャックの身体能力は5歳の子供でありながらそこらの大人よりは強い。子供とはいえ、マンモスはマンモスだ。通常の人間の力を上回るのは当然のこと。

 だがそれは戦いの結果には直結しない。一対一ならともかくだ。これはスポーツではない。命懸けの戦い。海賊同士の戦いである。

 

「おい何をやってる!! ガキだろうと敵だ!! 囲んじまえ!!」

 

「囲んで叩き潰すぞ!!」

 

「へへへ、全員でマンモス狩りか。こっちまで古代人になった気分だな!!」

 

「っ……!! ぐ、おおお……!!」

 

 当然、一対一で敵わないなら、真正面からの戦いが不利なら、取る行動は必然だ。複数で相手をしてしまえばいい。

 それは敵が言うように、確かに古代のマンモス狩りの光景そのものだった。暴れるマンモスを囲み、槍や剣で四方八方から斬りつけ、仕留める。かつての人間が取ったであろう行動の再現。

 ジャックは背後や横から来る攻撃で傷を負い、痛みに苦悶の表情と声をあげながら、それでも敵を倒そうと暴れる。敵を強く睨みつけ、

 

「ぐっ……ハァ……ハァ……!! おれァ……破壊が好きだ……!!」

 

 おー、言うねぇ。さすがの胆力だ。まだ5歳の子供とは思えない。私が5歳の頃なんてもっと弱っちかった。精神的に。

 だがやはり5歳。敵にただ突っ込んで戦い、囲まれてやられるというのはちょっと頭が足りていない。……それとも、わかっててやってるのかな? そうだとしたら色んな意味で面白い。笑みを浮かべて眺め続ける。

 

「ならおれ達がてめェの身体を破壊してやるよ!!」

 

「ッ……うっ……!!」

 

 あ、ヤバいかな? 思いっきり敵にボコられ始めている。あはは、残念。頑張ってたけどこんなところかな? 5歳でここまでやれたら十分っちゃ十分だけどね──と、私は槍を手に間に割り込む。

 

「──!! てめっ……!?」

 

「はーい、残念♡ また来世~♡」

 

「ぎゃああ~~っ!!?」

 

「! ぬえ、さん……!!」

 

 私は相手の槍を受け止め、そのまま払って相手の身体に逆に槍を突き込んでやった。そして周囲の敵も軽く左手を巨大な虎の手に変えて薙ぎ払う。そして傷だらけのジャックを見て笑った。

 

「あはは、何やってるのジャック~。何も考えずに突っ込んじゃ駄目じゃない。負けてちゃ意味ないよ~?」

 

「っ……それは……!!」

 

 ジャックがバツが悪そうにする。こういうところは子供らしいかもしれない。私に声を掛けられてビクッとしてたし。

 だがそれは更に続いた。背後から、敵を倒して進んでくるのは2人の巨漢であり、

 

「ムハハ!! おいおいジャック!! 威勢よく突っ込んでいったかと思えばもうダウンか!? このズッコケ野郎め!!」

 

「何やってんだジャック……てめェ、フザケてんのか?」

 

「! すまねェ……兄御達……!!」

 

 現れるなり、笑い、あるいは凄んで注意をする2人の巨漢は当然、クイーンとキング。その手には殺した相手の海賊を掴んでおり、横に投げ捨てながらの登場。あーあー、怒られてる。子供からしたらこの2人は超怖いだろうなぁ。

 そして更に後ろからもう1人、干からびた人間を投げ捨てて現れたのは仮面を被ったステューシーことジョーカーだ。

 

「でも子供にしてはやるじゃない。私は良いと思うわ♡」

 

「そうそう。ジャックだって頑張ってるよね~? まあ敵も倒せずにやられるくらいなら殺してたかもだけど、一応成果は出してるし、十分だよ♡」

 

「っ……姉御達も、すまねェ……」

 

 あれ? 私達は優しくしてあげたのに何でこっちにもビビってるんだろう? そんなに怖かった? 褒めてあげたつもりなのになぁ~。

 しかしキングとクイーンは更に言う。敵を踏み潰しながら、

 

「おいジャック……ぬえさんとジョーカーに甘やかされて調子に乗るんじゃねェぞ。お荷物はこのクイーンのバカ1人で十分だ」

 

「そうだ!! このキングのカス1人で十分だぜ!!」

 

『わかったか!! “ズッコケジャック”!!!』

 

「っ……」

 

 キングとクイーンの言葉が重なり、ジャックの耳に届く。ジャックは露骨に強張っていた。言葉も発せない。なので私は茶化してあげることにした。ステューシーと一緒に。

 

「あはは!! 別に死にかける程度なら幾らでも失敗していいからね~♪ 子供は死にかけて強くなるんだから」

 

「ウフフ、子供なんだもの。お荷物になるのはしょうがないわ」

 

『わかった? “ズッコケジャック”?』

 

「っ……」

 

 ──あれ? 更に萎縮してしまった。あれれ? こんな可愛いお姉さんズに優しく言葉を掛けられて何で強張るのか。やっぱり目上だし強いしで恐れられてるのかな? まあ恐れられるのも私は大歓迎だけどね♪ 

 

「おいてめェら、無視してんじゃねェよ!!」

 

「余裕ぶりやがって……後悔させてやる!!」

 

 と、まあ皆でジャックを叱りつけていると、相手側から怒りの抗議が飛んできた。内容も中々面白い。私達が余裕ぶってる? さすがに笑ってしまう。見ればステューシーも笑っていた。クイーンもニヤついているし、キングは笑いもせずに当然のことだと佇んでいる。

 そして私達は言ってやった。

 

「余裕? ──あはははは!! そんなの、余裕に決まってるじゃん!!」

 

「フフフ……おかしなことを言うのね?」

 

「おいおいてめェらの目、どこまで節穴だ!?」

 

「フン……余裕じゃねェ方が楽しめたんだがな……」

 

「あ!? 何だと!!?」

 

 敵を前に、私達は自然体で佇む。構える必要もない。そう──余裕なのだ。実際に。

 彼らと私達には、隔絶した実力差がある。どんな勝負もわからない。そうは言うが、ここまで差があるとバカバカしくもなってくる。弱い者いじめ過ぎて。私は弱い者いじめも好きだが、人によってはつまらなく感じるだろう。キングなどはそうだろうし、私も戦いとして楽しめる訳ではない。モリアとやれてれば別だっただろうが、モリアはカイドウが独り占めしてる。

 だから私達は、周囲の雑魚を片付ける──新世界の洗礼として、容赦なく“悪夢”を見せつけてやることが仕事なのだ。

 

「そろそろ……蹂躙を始めちゃおっか♡」

 

「ああ」

 

「そうね」

 

「やっちまうか」

 

『!!』

 

 そして──私達は変型し、一切の容赦のない狩りを始めた。

 

 

 

 

 

 ──モリアは今まで、海賊として……全ての戦いに勝ってきた。

 

「ハァ……ハァ……キシシ、やるな……!! だがおれの力はまだこんなもんじゃねェ……!!」

 

「──ほう?」

 

 新世界にやってきてからもそう。目の前にいるカイドウの部下も大勢屠ってきた。

 自分は誰よりも強い。勝って勝ち続けて、仲間達と共に海賊王になる。そのために航海を続けてきた。

 

「──“影の集合地(シャドーズアスガルド)”!!!」

 

「!!?」

 

 予め支配下に置いていた部下達の影を一時的に拝借し、自身の強化に使う。そう、そのために夜と、そしてこの年中曇り空だという鈴後という土地を戦いの場所に選んだのだ。

 モリアは他者の影を奪い、自身の支配下に置くことが出来る。それを死体に入れればゾンビを作れてしまう恐ろしい能力だ。

 だがその影を自分や他者に入れれば、その影の持ち主の力がそのまま加わる。

 つまり“影の集合地”は自分の支配下にある影を全て自分の身体に取り込み、自分を強化するモリアの奥の手だ。そう、そのために予め支配権を預かった仲間達の影を使わせて貰っているのだ。影を戦闘中に取り込めば仲間は気絶してしまうため、この技を使うには場所や状況が大切。しかし、それは何とかクリア出来た。

 

「キシシ……カイドウ……てめェがどれだけ強かろうが、おれは負けねェ……!! 仲間がいれば、おれは幾らでも強くなれる……!!!」

 

「……!!」

 

 カイドウを超える巨体になりながら、モリアは言う。確かにカイドウは強い。今まで何度も敗北しているという情報を耳にしていたが、そうとは思えない程に強かった。

 しかし自分も負けない。そして何より、モリアには仲間がいる。影を貸してくれという頼みに、何の疑いもなく信頼して影を預けてくれる仲間が。

 

「さあ行くぜカイドウ……!! おれの影達の力……たっぷりと味わわせてやる……!! オオ……!!」

 

「っ……!!!」

 

 そしてだからこそ負ける訳にはいかない。モリアの背後には大勢の仲間達の影があった。

 その力をもって、カイドウを正面から殴りつける。今度は力負けしない。カイドウを殴り飛ばす。手応えもある。幾ら強靭な肉体を持つカイドウとはいえ、モリア含め500人分の仲間達の力を結集させた力には敵わないだろう。

 仲間の数だけモリアは強くなる。その力がモリアを海賊の高みへと押し上げる。

 

「おおお……!! くたばれ、カイドウ……!!!」

 

「…………!!」

 

 大地を破壊する程の力で、実際に大地ごとカイドウに攻撃を与え続ける。ダメージを着実に与え続ける。こいつも人間だ。不死身ではない。どんな人間も殺せば死ぬのだ。ならば勝てない道理はない。

 

「さあ悪夢を見せてやる……死ね……!!!」

 

 モリアは吠えた。カイドウを倒す。その曇りなき意志でカイドウを攻撃した。

 カイドウが仰向けに倒れる。──さあ、どうした。てめェの力はそんなものか、と。

 カイドウは何を考えているのか、険しい表情のままだ。起き上がってくる。そして口を開いた。何を言うのか。だがどんな言葉だろうと己は揺るがない。その強い意志を持ち続けたまま、カイドウの言葉をモリアは耳にした。

 

「──弱ェ」

 

「…………あ?」

 

 ──その瞬間、モリアは思考が止まった。

 

 弱い。弱いとは自分のことか? ──まさか。自分もそうだが、自分の仲間の力が加わった自分が弱い訳がない。そう思った。

 だがカイドウはなおも続けて、そのモリアが思ったことを真っ向から否定するように告げた。

 

「てめェも、特にてめェの仲間が弱ェな……全部合わせてもこれか。期待させやがって……足手まといの部下なんざ連れてくんじゃねェよ」

 

「……!!! 何フザけたこと抜かしてんだてめェ!!!」

 

 モリアの大声が周囲を、鈴後を揺らす。それほどの怒りだった。

 ──仲間を侮辱された。許さねェ。こいつは影を切り取って跡形もなく消してやる。

 モリアは怒りのままに拳を振り上げる。カイドウを叩き潰すべく。

 しかしその瞬間──仲間の声が聞こえた。

 

「ぎゃあああ~~~~!!?」

 

「っ!!」

 

 しかもそれは悲鳴であり、断末魔だった。モリアは驚き、その声の方向に顔を向ける。するとそこには──

 

「──あーあ。やっぱり弱くてつまんなーい。ねぇカイドウ~~~やっぱり代わってよぉ。こいつら幾ら何でもゴミ過ぎるんだけど」

 

「なっ……!!?」

 

 そこには、ぬえが立っていた。モリアも知っている。百獣海賊団の副船長。“妖獣”のぬえ。見た目はただの少女にしか見えないが、カイドウの一味の2番手と言える実力者だ。

 そしてそのぬえが、槍でとある男の腹を突き刺し、おびただしい量の血を流させていた。……そしてその男は、モリアの結成当時からの仲間であり、

 

「て……てめェ~~~~!!! 何してやがんだァ!!!」

 

「あはははは!! 何って、そりゃあ戦ってんだから倒して痛めつけて殺してるに決まってるじゃん!! ほらほら、耳を澄ませば聞こえてこない? ──()()()()()()()()()

 

「っ!!? な──」

 

 モリアはぬえに攻撃を仕掛けるが、ぬえは簡単にその場を飛び退いて避ける。そして、同時に放たれた言葉と共に聞こえる声と見える光景に衝撃を受けた。

 

「──フン……つまらねェ、もう音を上げやがったか」

 

「ァ……ァア゛……モリ、ア゛……ぜんぢょォ……たすけ──」

 

「──!!?」

 

 仲間の名を呼んだ。敵はキング。そのキングに燃やされ、串刺しにされた女性の航海士が瀕死で助けを求めながら……死んでいく。

 

「てめェ!!!! おおおおお……!!!」

 

「──無視するんじゃねェよ」

 

「っ……オオ……!! ……くっ、そこをどきやがれカイドウ!!!」

 

 助けに行こうとした。だがカイドウが金棒でモリアに一撃を与える──が、モリアは気絶することはなく、耐えて仲間を助けようとした。

 しかし続いてまた仲間の声が聞こえた。

 

「──おいおい!! もう死んじまったのか!! ムハハ!! やっぱ劇薬過ぎたか!? この病原体は失敗だな!!」

 

「……っ……ア゛……」

 

「──!!」

 

 仲間の名を呼ぶ。敵はクイーン。仲間はモリアの船で料理長を務めていた男。それが何やら毒を打ち込まれたのか、全身から血を吹き出させて死んでいった。

 

「オオオ……どけェ……!!!!」

 

 モリアは力任せにカイドウを吹き飛ばして仲間の下へ行こうとした。──しかし出来ない。カイドウの力がここに来て、予想以上に強くなっていた。それとも、仲間が死んだことでモリアの力が弱まっているのか。どちらにせよ、モリアはカイドウの攻撃を受けて仲間の下へ行くことが出来ない。

 

「──こんなところかしらね♡ 中々良い“若さ”だったわ♡」

 

「ウ゛……あァ……?」

 

「──!!」

 

 仲間の名を強く呼ぶ。敵は確かジョーカー。謎の多い女。仲間はまだ若いが実力のある戦闘員の男だった。それが今や、何をされたのか。しわくちゃの年寄りに──いや、もはや干からびる程に年老いて死んでいってる。もはや何をされたのか、自分がどんな状態にいるのか分からないほど老化している。見ていられなかった。

 

「ガキが……その程度の実力で人を見くびると恥をかくってのもわからねェらしいな」

 

「ここまでの航海は弱ェなりに楽しかっただろ? ならもう終わってもいいよな?」

 

「──!!!」

 

 仲間達の名を叫んだ。腕を切り落とされ、死んだ剣士がいる。頭を潰されて死んだ魚人の男がいる。狙撃手の男は身体の半身がなくなっていた。船医は内臓を抉り取られ、陽気だった音楽家は首をもぎり取られていた。

 

「てめェら~~~~!!!」

 

 モリアは敵を倒そうと怒りと殺意で突き進もうとした。だが出来ない。カイドウに叩き潰された。

 自身の力が段々弱まっていることにモリアは気づく。

 だがそれも当然だった。影は持ち主が死ねば支配権がなくなる。死体に戻る。消えてなくなる。モリアの力は仲間達の影によるもの。

 その仲間達が死んでいけば、モリアも弱まるのは当然のことであり、そしてそのせいでどんどんと仲間を助けるための力が失われていった。

 

「助けてくれ……!!」

 

「モリア船長~~~!!」

 

「や、やめろ……お願いだ、殺さないでくれ……!!」

 

「ぎゃあああ~~~!!!」

 

「ハァ……ハァ……死ぬ……皆死ぬんだ……おれ達は……」

 

「っ……てめェら逃げろ!!! 早く逃げやがれ!!!」

 

 それは無理な願いだと分かっていた。敵を止められず、負けて逃げる仲間達に叫ぶが、その背後を追いかけるのは謎の怪物達。

 

「ジュキキ~!!」

 

「くにゅにゅくにゅ♡」

 

「ハチャチャ!!」

 

「ゴキキゴキキ……!!」

 

「あーあー、ナンバーズってば。あんまり食い散らかさないようにね~。あ、これもあげる!! そーれ!!」

 

「! ジュキキ~」

 

「い、いや……!! 船長──うああああ~~~~!!!」

 

「ゴキキ~♪」

 

「ハチャチャ……」

 

「っ!! ぬえ、てめェ~~~~~!!!」

 

 見るも恐ろしい人と獣が混ざった様な巨体の化け物。それらが仲間を無慈悲に殺し、残酷に痛めつけていた。怪物の手には時折、見覚えのある誰かの首が、誰かも分からない誰かの手など、バラバラに殺された仲間の痕跡がある。

 そして更に、それを見せつけるようにぬえが空から仲間を捕まえ、突然現れたUFOにそれを運ばせると怪物達の上に落としてそれを取り合いさせた。──もうその先は見ていられなかった。吐き気のする光景だった。

 次々に仲間達が殺される光景は、まごうことなき“悪夢”だった。

 そしてカイドウは段々と弱まったモリアを圧倒し始め、

 

「誰が誰に“悪夢”を見せてくれるってんだ……?」

 

「っ……カイドウ……!!!」

 

 カイドウは獣型──巨大な龍となり、傷だらけになり息も絶え絶えのモリアを見下ろす。

 そしてカイドウの部下達もまた、獣となってモリアの部下を1人1人、残酷に、その肉体を心ごと踏みにじっていった。

 それはまさしく──百獣の進撃。

 龍に妖怪に吸血鬼などの幻想の生物から、プテラノドンにブラキオサウルス、マンモスなどの古代の恐竜達が続く。それらが雪の降る燃えた大地を行き、死体と人間を踏み潰していく。

 そして更に獣や虫の獣人型。怪物達が続き、更に獣達が人を狩り殺していく。

 

「もうやめろ……!!! ハァ……ハァ……やめろって言ってんだろうが~~~!!!」

 

 モリアの身体が再び、元の姿へと戻っていく。

 だがそれでもモリアは立ち向かった。ボロボロになり、血走った目でカイドウを、仲間を殺した憎き敵を殺そうとする。

 

「──よいしょっと」

 

「っ!!? ウ、オオ……!!?」

 

 しかしカイドウに辿り着く前にぬえによって叩き落とされる。地面に落ちたモリアはまた傷を負いながらも立ち上がろうとした──が、そこで気づく。

 ……己の中にあった影──全て、1つも残らず、消え去ってしまっていることに。

 

「──はーいゲームオーバー♡」

 

「……!! カイドウ……ぬえ……てめェら……!!! よくも……よくもおれの仲間を~~~!!!」

 

 モリアは慟哭した。気がつけば、周囲は大勢の獣に囲まれていた。

 その目が全て、モリア1人に注がれている。そしてその視線はこう言っていた──後はお前だけだ、と。

 怒りと失意に悔しさ。その他様々な感情がないまぜになって表情を歪ませるモリアを、カイドウとその仲間達は見下し、あるいは嘲笑った。

 

「さて……どう料理してやろうか……てめェは拷問しがいがありそうだ」

 

「ムハハハ!! 無様だなモリア!! 悪名重ねてどれだけ強くなろうが、喧嘩を売る相手を間違えれば無残に死ぬしかねェのさ!!」

 

「あら、殺すのなら首だけは残してくれない? そうしたら3億2000万の収入が入るわ」

 

「色々実験してみたさはあるんだけどね~。──あ、モリア~、あなたの仲間……()()()()()()()♡」

 

「っ……!!」

 

 モリアはもはや言い返す言葉も気力もなかった。──何だこれは。こんなことがあり得るのか? 

 つい一時間前まで、自分の仲間、部下は五体満足で生きていた。一日前は笑い合っていた。

 だが今は皆死んだ。絶望し、耐え難い苦痛を与えられ、皆死んでいった。あの仲間達が。

 悪夢だった。最悪の悪夢。新世界に来たばっかりに。負けた代償として、最悪の悪夢を見た。

 

「ウォロロロ……おいおめェら、あんまりバカにしてやるんじゃねェよ」

 

「!」

 

 そしてその悪夢を引き起こした男は告げるのだ。巨大な龍の姿で。

 

「おいモリア──おれの部下になれ。なるなら今までのことは水に流してやる」

 

「……!!」

 

 それは勧誘だった。ふざけている。仲間を殺したこいつが、どの口で仲間に誘うのかと。

 

「だがならねェのなら──仲間と()()()()に送ってやる」

 

 そして脅しを掛けてきた。仲間にならないのなら、自分も仲間と同じ様に──いや、それ以上の苦しみを味わって死ぬことになると。

 そのありえない悪夢の中、追い詰められたモリアが選択したのは──

 

「っ……!!」

 

「あァ!?」

 

「あっ──()?」

 

 百獣海賊団の面々が驚きの声をあげる。先程までモリアだったそれ。

 それは明らかに、モリアと入れ替わった影であった。モリアは自分の影と位置を入れ替えることが出来る。いつの間にか、影を別の場所に移動させていたのだろう。

 

「あはは、やられちゃったねぇ~。逃げられたかな?」

 

「言ってる場合か!! ──野郎共!! 探し出せ!! まだ遠くには行ってねェ筈だ!!」

 

『おおっ!!』

 

 ぬえが可笑しそうに笑い、カイドウが怒って部下に命令を出す。部下達はすぐさま散らばり、周囲を捜索し始めた。

 

 ──だが既にモリアはカイドウ達から遠く離れた墓場にまで移動していた。

 

「ハァ……ハァ……」

 

 血痕を残してしまわないように傷口を押さえながら歩く。

 その背中に、仲間達の影はない。皆死んでしまった。

 

「くそ……なぜだ……なぜ死ぬんだ……!!」

 

 1人になったところでようやく、仲間を失った深い悲しみがモリアの心にのしかかってくる。

 全て、全て失った。自分の大切な仲間達を。

 モリアにはその理由がわからなかった。弱かったから? なら強くなれば仲間を失わなかったのか? それとも戦う相手を間違えたのか? もっと卑怯になればよかったのか? 

 幾つもの理由が浮かんでは消えていく。仲間の死はモリアの心に暗い影を落とし、意志を折っていく、

 そんな中、モリアはとうとう……ある結論に至った。それは根本的なものだ。

 

「……仲間なんざ……()()()()()()失うんだ……」

 

 血と雫と泥で汚れ、怒りと悲しみに塗れた顔で呟いた。そう、生きてるから死ぬのだ。簡単なことだった。

 

「キシ、キシシ……そうだ……生者なんていらねェ……生きてるものなんざ、皆死ねば消えてなくなる……なら」

 

 ならば、と。モリアは結論に行き着いた。

 生きているから仲間は死ぬ。ならば──()()()()()()()()()()()()

 幸いにも、モリアには死者を使役する能力がある。

 

「全員が初めから死んでいる……ゾンビなら……!! ゾンビならば、失う物は何もねェ……!!!」

 

 モリアは狂気に染まった顔でその結論を言葉にした。そして歩く。

 偶然にも、ここは墓地だった。そしてモリアはふと、とある墓を見つける。

 ここは“常世の墓”。ワノ国、鈴後は年中寒く、桶に入れた死体は数百年腐ることはない。

 そして墓標は常に刀。侍であれば……その墓は生前、腰に差していた刀となる風習だ。

 モリアはその墓を見て、その刀を見て、戦いに臨む前に聞いたとある逸話を思い出した。

 

 ──かつてワノ国が“黄金の国”と世界に認識されていた頃に、1人の侍がいた。

 

 ──その侍は海外からやってくる敵を薙ぎ倒し、“ワノ国に侍あり”と称されるほどの圧倒的な強さを誇った。

 

 ──その侍の名を“リューマ”と言い、かつてはワノ国に現れた巨大な龍をも斬ってみせたという伝説の剣豪。

 

 ──そのリューマの愛刀こそが、大業物21工が一振り──“秋水”。彼の墓場の墓標に使われている刀。

 

「……キシシ……まだだ……まだ終わっちゃいねェ……!!」

 

 モリアは笑い、すぐにその場を後にする。──その刀と死体を手にして。

 自分は必ず、何年掛かろうと再起し、再びこの新世界に戻ってくる。大勢の死体を引き連れ、海賊王になってやる。

 そうしてモリアはワノ国を……新世界を後にした──()()()()()()()とも知らずに。




百獣海賊団→全員集合。どう見てもオーバーキル
ズッコケジャックくん→兄御達と姉御達に怒られる。最近配布で手に入れた(違
ゲッコー海賊団→殺され方は様々。実は最初、ゲッコー海賊団のキャラを何人か考えて、数話にかけてそいつらとモリアが仲良くやってるところを見せた上で殺そうかと思ったけど、さすがに何話も掛けるのもどうかと思ったし、さすがに天竜人が過ぎるのでやめた
モリア→全盛期。素の肉体もカイドウにワンパンされないくらいには強い。影の集合地は最初、仲間達の力を使って自分を強化する技だったんじゃないかと想像。影の支配権をモリアにあらかじめ移譲しといていつでも使える状態にしといた感じです。夜とか霧限定だけど。気絶してるときに襲われたら終わってたので運も良かったね。そしてそうなると仲間が死ねば死ぬほど弱体化するとかいう中々に秀逸な力。存分に尊厳破壊されました
リューマと秋水→最初ここでも絶望させようとしたけどやっぱやめた。面白くないもんね(by世界一可愛いアイドル海賊)

という訳でカイドウとモリアの戦争でした。まあこんなものでしょう。カイドウとモリアは割といい勝負出来ても、仲間の差で完敗すると。
次回はまた色々。予定で言うとイベントは、王下七武海制度とシキの脱走とオハラの壊滅の3つがあります。お楽しみに

感想、評価、良ければお待ちしております。
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