正体不明の妖怪(になった男)、情緒不安定な百獣の腹心になる 作:黒岩
「──カイドウが動きます!! 白ひげもそれに対応する模様!!」
海軍本部マリンフォード。
そこは今、新世界の“声”によって騒然としていた。
『何だ……おれのナワバリを……すなら……タダじゃおかね……!!』
『上等……ついでにてめェの首も獲……覚悟しやが……ジジイ……!!!』
腕輪となった黒電伝虫は電伝虫の電波を傍受する希少な種だ。
そしてそれらは海賊達の情報を集めることに役に立つ。
海軍は新世界側に建てられた支部や黒電伝虫。そしてその四皇の動きを見るためだけに置かれた監視船によって、四皇の動きを注視し、勢力の均衡を維持しようと常に動いていた。
そしてここ数年で最大の緊張が海軍本部に訪れる──黒電伝虫から聞こえる声は、四皇の内二つ……“カイドウ”と“白ひげ”のものだった。
「一体何があった!!? 状況を説明しろ!!!」
「はっ──センゴク大しょ……センゴク元帥!! どうやら、百獣海賊団のナワバリを赤髪海賊団が荒らしたことが発端のようで……!!」
「……!! 赤髪か……!!!」
海軍本部の最高司令官、元帥の執務室で頭を抱えるのは元大将であり、“世界会議”を前に元帥に就任することになった“仏のセンゴク”だ。
彼は今、大将であった頃よりも更に大変な仕事に眉間の皺を深くする。
何しろ前元帥であったコングが全軍総帥という政府のポストに就き、海軍本部最高戦力と称される海軍大将も自身が数年前に元帥になったことで1人少なくなった。
更には老齢の残り1名も“世界会議”を終えれば退役することが決まっている。
少し前に大将が殉職したこともあり……つまり現在は海軍本部が新元帥センゴクの下、新体制に移り変わる忙しい時期であった。
3名の海軍大将の選抜。そして今年の世界会議開催に向けて警備と護衛の手配もある。
そして聖地の護衛と天竜人の要望に応えている1名の大将が動けない今、四皇同士の接触など手に余る事態だった。
──だがそれでもやらねばならない。それが元帥としての、彼が掲げる“君臨する正義”に基づく使命感だ。
「──七武海の返答は!!?」
「はっ!! 招集に応じたのは3名!!」
「っ……誰も来ないよりはマシか……!! ……ガープはどうだ? 間に合いそうか?」
「いえ!! 出来るだけ急ぐとは言っておりますが、何分“
部下の報告を耳にして、センゴクは歯噛みする。自身と大将が動けない以上、四皇に当てる戦力は王下七武海と大将に匹敵する人材のみ。
七武海がたった3名──だが他の四皇の牽制なども考えると十分な数字だ。
問題は海兵の方。信頼出来る戦力は集めたが、その一人である同期のガープはタイミングが悪いことに故郷の東の海に休暇中で帰っていたところ。
これから休暇を終えてすぐに戻ってくるとは言うが、やはり新世界までは距離がある。間に合わないだろう。
となれば残りは──
「──元帥殿!! サカズキ中将!! クザン中将!! ボルサリーノ中将がお着きに!!!」
「! 来たか……すぐここに通せ!!!」
「はっ!!」
そしてその期待していた戦力をセンゴクは呼びつける。
中将3名。それだけならバスターコールにも劣る戦力だが、それらは普通の中将であったならの話。
「──あらら、カイドウはともかく……白ひげまで動くって? あの穏健派のじいさんまで動くとはまた面倒な事態に……」
──3メートルの長身。長い足で海軍本部の廊下を歩く彼らは只者ではない。
「──少しは休ませてほしいもんだねェ~~~……こちとらタイヨウの海賊団襲撃からとんぼ返りだよォ~~?」
──全員が自然系の能力者。高レベルの覇気使い。
「──何を甘っちょろいこと言うとるんじゃあ……!! 海賊を徹底的に滅ぼすのが海兵の務めじゃろうがい……!!」
──中将の中でも化け物と称される彼らは……3人とも次の海軍大将。
「──来たか。概要は聞いているな?」
「ええ、まァ……四皇を止めろってんでしょ? センゴクさん」
『海軍本部中将ボルサリーノ(後の大将“黄猿”)』
「は~~~しょうがねェか……やるべきことはやらねェとな……」
『海軍本部中将クザン(後の大将“青雉”)』
「殺せるなら殺してもいいんじゃろう──センゴクさん」
『海軍本部中将サカズキ(後の大将“赤犬”)』
彼ら3人の怪物達を前に、元帥であるセンゴクは鋭い声を飛ばす。
「──お前達、決して油断はするな!! わかっているとは思うが、相手は普通の海賊とは違う!! 相手は“四皇”!! 接触を避けることを最優先に動け!!!」
──そして元帥センゴクの指揮の下、次世代の海軍を担う3名の海兵は新世界へと急行した。
大海賊時代が始まって12年という月日は多くの海賊達を生み出し、飛躍させるのに十分な年月だ。
それ以前にも海賊はいたが、ロジャーの死を以て始まった大海賊時代はその数を何十倍にも膨れ上がらせる。
小粒から大物まで多くの海賊が生まれ、消え、あるいは未だに生き残っている。
だがそんな大海賊時代の海賊の多くは新世界という“本物“の海賊達が支配する海に阻まれ、自分達が目指す頂の高さを知る。
ある者はその高すぎる壁に挑んで砕けた。あるいは砕けても生き残り、虎視眈々と頂点を狙おうとする者達もいる。
“四皇”というかつて海賊王ゴールド・ロジャーとも争っていた怪物達は新顔の海賊達に本物の海賊の強さと怖さをその圧倒的な強さで教え込む──俗にこれを“新世界の洗礼”と言い、新世界に挑む海賊達の多くが一度は通る道と言われた。
大海賊時代に生まれた海賊達で一番の出世頭とも言われる“王下七武海”もまた、四皇という勢力の手強さを知り、力押しでは敵わないと政府の看板を背負うことで巧妙に海を生きる者達だ。
しかし……この大海賊時代。“四皇”と“王下七武海”を除いて、最も飛躍している話題の海賊は誰なのか。
七武海の名を利用せず、海賊として真っ当に新世界に挑み、最もその地位を高めている者は誰か。
多少のばらつきはあれど、海賊マニアも裏社会の事情通もあるいは海兵でさえも……最終的に同じ名をあげるだろう。
“三本傷の髑髏”の旗。
そしてさほど大きくない竜頭の船“レッド・フォース号”。
トレードマークは麦わら帽子──であったが、今はそうではない。無くしてしまったのか、気にする者は少ない。
なにせ彼のトレードマークはまた別にある。そう、彼らは──“赤髪海賊団”。
その一団の頭領の名こそが、今最も新世界を掻き回している海賊──“赤髪のシャンクス”だった。
──新世界、“レイルリバー島”。
「──お頭」
「ん……どうした?」
その島は“四皇”の一角──“白ひげ”の旗を掲げる島である。
つまりは白ひげのナワバリだが、そこには現在白ひげでも白ひげの傘下でもない海賊達が停泊していた。
街から少し離れた場所でキャンプを行っている彼らは宴会を終えて出港の準備を行っているところ。
だが彼らに急いでいる様子は今の所見られない。
というのも白ひげは自分のナワバリだからといって、侵入した全ての海賊を完膚なきまでに潰すような真似はしないからだ。
白ひげは王道の海賊である。他の四皇のように幾つもの島々をナワバリに持ってはいるが、その多くは白ひげが頼まれて旗を貸しているところだ。
“万国”という自らの国を持ってナワバリを支配する“ビッグ・マム”のようにナワバリに君臨する王ではない。あくまで“白ひげ”は海賊を貫き、ナワバリの島はその白ひげという看板で守り、その対価としてアガリを貰う。そういう海賊としての契約に基づいた行いだ。
それだけなら他の四皇も似たようなことを行っているが、他の四皇がビジネスとしての契約でしかないのに対し、白ひげは仁義を重んじる。
一度彼のシマになれば白ひげはそこを侵すような真似は絶対に許さない。
ただ暴れ回るのではなく、ただ島にやってきて観光するなりし、その島や住人に危害を加えないのであれば手も出さない。
やってくる海賊をどう受け入れるかはその国や島の住人の自由だ。好きにすればいい。
もっとも、世界最強の海賊と称され、仁義を破ることを許さない白ひげの旗を掲げている場所で暴れるような海賊など滅多に存在しない──だからこそ、白ひげという旗は新世界に於いて最も価値があるのだ。
そしてこの島に立ち寄った彼らもそれは理解している。特に、その船長がだ。
「……いいんですかい? 白ひげのナワバリでこんな……」
「問題ねェさ。白ひげはただ島に訪れて飲み食いするだけの連中に手は出さない。言ってしまえば……おれ達はただの客だ」
「そ、それはそうですが……」
その船長は新入りの部下の言葉に笑って答える。飄々とした掴みどころのない印象を受ける優男だった。人相もそれほど悪くはないし、特別大柄でもない。
目を引く特徴と言えば、彼のトレードマークである赤色の髪と左目にある三本傷。そして左腕がないことくらいだろう。
なんならそこらのチンピラに舐められても仕方がないような男だった。そして実際に……彼はよほどのことでは怒ることもなく、へらへらと笑い飛ばしてしまうため、その手のトラブルはしょっちゅうある。昼行灯と言われても仕方のない男だ。
「なァに心配するな!! もし白ひげが文句言ってくるようなら謝って逃げればいいだろ?」
「そんな情けないこと……!!」
「はっはっは!! 情けないか!! 確かに、そうなったら情けねェな!!」
「いや、笑い事じゃあ……!!」
心配性の部下の危惧を笑い飛ばしてしまう。だが“四皇”のナワバリにいるのなら無理ないこととも言える。
実際正常な感覚を持っているのは新入りの方だった──が、彼は楽観的でプライドもそれほど高くはなかった。謝るくらい訳ないことだろう。
「──でもよお頭。白ひげはともかく、この間のアレはマズいんじゃねェか!?」
「──ああ……アレかァ……」
そんな中、骨付き肉を持ったグラサンにバンダナの丸々太った男の言葉に彼は思い出すように呟いた。
「──おれ達がここにいることももしかしたらバレてるか?」
そして次に話に加わったのは銃の手入れをしていたドレッドヘアーの男。彼もまた太った男と同じくこの海賊団の幹部だ。
「──まァ……十中八九バレてるし、報復にも来るだろうな……謝って済めばいいが……相手は
「ああ……白ひげのようにはいかねェだろうなァ……」
そしてまた話に加わったのはこの一団の副船長である男。彼の頭脳はこの海賊団の中でも随一である。彼の発言には皆納得させられるものも多い。
「よく言うぜ。謝る気なんてさらさらない癖によ」
「──だはは、バレたか」
バレバレだ、と言わんばかりに幹部達が面白がった表情を浮かべる。船長も彼らも──そのことを後悔していることもなければ、その行動に納得もいっていた。
何しろ相手は──この滅多に怒らない彼の逆鱗に触れてしまったのだ。
「“クイーン”を倒してあの“カイドウ”が黙ってる筈もないだろうが……だがこっちも黙ってやられてやる義理はねェさ……!!」
「!」
そしてだからこそ彼は“四皇”で最も危険と言われる百獣海賊団に目をつけられることを考えても、不敵な海賊の笑みを浮かべてられる。
怒りは精算した。だが今度は向こうの怒りがこちらに向けられる。
「一筋縄では行きそうにねェな!!」
「ああ……だから笑ってられるのも今のうちかもな」
「なるほど確かに!! じゃあ今のうちに笑っておくか!!」
「だははは!! そうするか!!」
「まったく……またあんたって人は」
幹部達が船長と一緒になって笑い、副船長が煙草に火を付けながらクールに笑った。
──だがそんな時だった。
「──お、お頭~~~~っ!!!」
「ん?」
彼らの下に一人の船員が慌てた様子でやってくる。汗を掻き、どこか怯えた様子だ。
それを見て船長も副船長も幹部達も只事ではないことを察して誰もが思う──来たか? と。
そして彼らの嫌な予感は的中することになった。
「ひゃ──百獣海賊団だ!!! 沖に百獣海賊団の船が!!!」
「もう来たか……思ったより早いな……!!」
彼らは立ち上がり、即座に準備を行う。
キャンプを行っていた林の中から出て海を見ると──そこには確かに“二本角の髑髏”と“百獣”と書かれた印が特徴的な巨大な戦艦。それも複数。戦艦の艦隊だ。
1つ1つが彼らの船の10倍以上に大きい船の登場に彼らは内心で僅かに驚く。
だが本当に驚いたのはそこではない。その船から感じるヤバい気配の方だ。
「──お頭……見えた……!! ありゃあ
「ああ……わかる──皆、動くぞ!!!」
「おう!!!」
彼らは迅速に出港準備にあった船の下まで急ぎ、船を出す。
さすがにアレの相手をしていられない。ここは逃げるべきだ。
屈強な幹部達もまた戦闘準備を行いつつも、武者震いと緊張が入り混じったような感覚を得ていた。
「──やべェぞお頭!! 思ったよりもあの船速ェ!!」
『赤髪海賊団幹部ラッキー・ルウ 懸賞金5億2900万ベリー』
「……!! あの大砲……この距離で届くとはな……さすが四皇だ……!! 良い買い物してるぜ!!」
『赤髪海賊団幹部ヤソップ 懸賞金6億ベリー』
「──お、おいっ!!! 11時の方向に海軍の軍艦が……!!」
「……!! そうか……しまった……“カイドウ”と“白ひげ”の接触を避けるためか……!! ……いや、だがこれは利用出来るか……?」
『赤髪海賊団副船長ベン・ベックマン 懸賞金8億8900万ベリー』
「──ああ……!! お前達、これも乗り越えるぞ!!! 戦闘準備だ!!!」
「おおおおおおおお!!!」
『赤髪海賊団船長“赤髪のシャンクス” 懸賞金10億4890万ベリー』
──赤髪のシャンクス率いる赤髪海賊団が今はまだ遠くにいる海賊船に備えて戦闘準備を行う。
だがそれは間違いではなかった。その直後、この距離で空を割って現れた声は彼らの度肝を抜く。
「──赤髪ィ~~~~~~……!!!!」
「!!」
「!!? なんだありゃ……!!」
──それは長く巨大な身体を持つ青い龍。
そして周囲に浮かぶ幾つかの色のUFO。
それはまさしく……かつてシャンクスが見習い時代に見た光景と同じだった。
陸海空全ての生きとし生ける者の中で最強の生物と称される海賊。
そしてその兄姉分であり全ての生き物の中で最も恐ろしく、正体不明とされる海賊。
その2人の名と顔を、シャンクスは憶えていた。
「カイドウにぬえだ……!!」
『百獣海賊団総督“百獣のカイドウ” 懸賞金43億1110万ベリー』
『百獣海賊団副総督“妖獣のぬえ” 懸賞金36億8010万ベリー』
「──よくもおれの島を荒らしてくれたな……!!!」
「──よくも私のライブをメチャクチャにしてくれたわね……!!!」
「「──ぶち殺す……!!!!」」
最強と最恐の海賊……その脅威が新世界の海に吹き荒れた。
久しぶりに見た“赤髪のシャンクス”の顔に、私は感慨を覚えるがそれは“怒り”の二の次だった。
クイーンに準備させていた私のライブを潰したのだ。それはタダじゃおかない。
それに赤髪なんて消しても構わない。だから私はその船を見つけた瞬間、龍となったカイドウと共に宙へ飛び立った。
「──確かに、ぬえの言った通り懐かしい顔だ……」
「ね、言った通りでしょ?」
カイドウも私と同じ様にその姿を見つけたのだろう。懐かしむようにそう言う。
だがその目は向こうの船に乗る赤い髪を睨んでいた。
それもその筈、私達にとってはロジャーとその苦い記憶を思い出させる。
「ロジャーの船に乗ってた赤い髪と赤い鼻のガキ2人……!! 確かに
「! まいったな……憶えられてたか。ならその縁で言うが、見逃してくれ!!」
「見逃す……?」
思わず掛けられたその言葉にカイドウは頭に疑問符を浮かべる。私も思わず首を傾げ……その後で笑ってしまった。
「あはははは!! 面白いこと言うじゃん!!」
「やっぱ無理、か」
「ん~~~……その答えはぁ……カイドウ、どうするの?」
私はわかりきった答えをカイドウに委ねる。ここに来た時点でその答えは決まっていた。
カイドウと私は彼らを見下ろして告げる。
「──ウォロロロ……ならおれの部下になれ!! それならおれのシマをメチャクチャにしたことも、クイーンに傷を負わせたことも、こいつのライブを潰したことも全部水に流してやる!!!」
「ってことだけど……どうする~? それなら私も……まあなんとか怒りは抑えてあげるけど?」
「ほう、おれ達がお前達の部下にか」
そう、赤髪海賊団程の部下が手に入るのなら彼らがやらかしたことなど損にもならない。
戦力の強化は何よりも重要だ。それがゆくゆくは世界を手に入れることに繋がるのだから。
だからもしそうなれば私もカイドウも矛を収めてやる──そう言ってやると、シャンクスは一瞬、顔を下に向けて苦笑を浮かべた後、顔を上げ──
「ははは──やなこった!! 野郎共、逃げるぞ!!!」
「おお!!!」
──彼独特の笑みを浮かべ、全力で拒否してきた。
その瞬間、私とカイドウの怒りが再び膨れ上がる。
「……!!! 逃げられると思うなよ……!!!」
「あはは!! それじゃあ痛い目見て貰わないとね!!!」
そして同時に力を込めた。
私がUFOを生み出し、操作する間、先にカイドウが口の中にエネルギーを溜めて、それを赤髪海賊団の船に向かって放出しようとする。
「! 全力で船を動かせ!!!」
「もうやってるっての!!!」
「ヤバいな……どうにか逸らせればいいが……!!!」
向こうの船で船員達が慌てている──がもう遅い。
「──“
「──“憤怒のレッドUFO襲来”!!!」
「!!!
──極太の炎の熱線と赤いUFOの軍団が炎の雨を降らせる。
並の海賊ならこれで終わる筈だ。
だがそれは、
「! ぬえさん!!」
私達の船からキングが声を掛けてくる。それはありがたいが──ちゃんと気づいている。
「──“八尺瓊勾玉”」
「うおっ、眩しい!!?」
「あの光……海軍の軍艦の方からだ!!」
ウチの船員達がそう呼ぶ光の現象──複数のレーザーとも言える光弾が私のUFOを何機か撃墜し、炎の玉すらも止めた。
私はそれににっこりと笑顔を向けた。空にいた一人の海軍中将に対して、
「──ボルサリーノだったっけ~? あはは……邪魔するってことは先に死にたいってことかな~?」
「──いやァ~~~……死にたい訳ないじゃないの。ただ……その覚悟はして来てるからねェ~~~……怖いけど止まって貰うよォ~~~……!!」
──海軍中将ボルサリーノ。自然系、ピカピカの実の能力者。光人間。
現中将の中でも化け物と呼ばれる3名の1人で、次期海軍大将とも噂されている男。
海軍は動くだろうと思っていたが、中々に面白い奴らがやってきていた。
だからそれを問う意味でも私はボルサリーノに話しかける。斬り裂かれたカイドウの“熱息”を見ながら、
「あはは、あなた程度の戦力で私達を止めれるとでも思ってんの?」
「わっしだけじゃ無理だろうねェ~~~……だけどわっしだけな訳もないよねェ?」
「!」
そう言った直後、起きた現象に私達の船の動きは物理的に止まった。
「──“
「!!?」
──新世界の海がとある一点を中心に凍っていく。
その氷は私達の船の動きを止め、私達がこれ以上赤髪を追いかけ──白ひげのナワバリに進むことを止めるためのものだった。
そしてこんなことが出来るのは世界に1人しかいない。
最初に海の上に立って一帯を氷の大地にした男の名を私は呼ぶ。
「へぇ~!! そっちはクザンだね!! ってことはあなた達2人と……そっちの“七武海”が私達に向けられる戦力ってことかな?」
「……やっぱバレちまってるのか……ガープさんが言った通り、面倒な相手だ……!!」
──海軍中将クザン。自然系、ヒエヒエの実の能力者。氷結人間。
彼が海を凍らせた張本人だ。なるほど。確かに足止めにこれほど有用な能力はない。
私達は海賊。船を止められればそれ以上先へ進むことは出来ない。私やカイドウの様な飛行能力持ちは例外だが。
だが彼ら2人、海兵の介入は半ば予想していたものではある。なんならもっとヤバい──それこそガープやセンゴクが来ることも考えてたけど、そうじゃない。
ゆえにまだ私達が止まる理由にはならない。──最後の1人、王下七武海の1人もまた、私達が危険視する相手ではない。
「──カイドウさんの“
「あれは“赤髪”と……!!」
「! あいつは……!!」
そう、部下達が言うようにカイドウの“
その男は……相手を怯ませる鷹のような目をした男だった。
その名が通り名ともなっている孤高の海賊。最上大業物、黒刀“夜”を手にしている男の名を、赤髪が口端をニイッと釣り上げながら言った。
「……おいおい“鷹の目”。どういう風の吹き回しだ? おれを助けるなんてよ」
「──ただの気まぐれだ。助けた訳でもない。百獣海賊団を止める政府の要請に応えたに過ぎない」
『“王下七武海”海賊“鷹の目”ジュラキュール・ミホーク』
──世界最強の剣士とも称される海賊にして、赤髪のライバルとも言われるその男も参戦していた。
そして彼は赤髪と並び、私達に剣を向けてくる。
「──そうか。恩に着る」
「ふん……好きに解釈しろ。左腕を無くした理由は
「! ああ、そうさせてもらう……!!」
シャンクスが顔を突き合わせないままのミホークに礼を言い、ミホークも表情が殆ど変わらないまま応えた。
そしてその言葉の意味がシャンクスにも伝わる……が、私達にも伝わる。
カイドウは再び、ドスの利いた声で告げた。
「てめェら……!!! おれとやり合って生きてられるつもりか……!!?」
舐めやがって、というニュアンスでカイドウが忌々しそうに言う。そして船にいる部下達にも向かって、
「──おい野郎共!!! 思い知らせてやれ……!!! 赤髪のガキ共と海軍を皆殺しにしろ!!!」
「ああ……行くぞ野郎共」
「ウオオオオオオ!!!」
「……!! まったく、貧乏クジ引かされたな……!! おいお前ら、気合い入れなさいよォ!!!」
「怖くて困るねェ~~……!! 赤髪海賊団は無視しなよォー!! そっちまで相手にしてる余裕はないからねェ~~……!!!」
「はっ!!!」
クザンとボルサリーノに率いられた海軍の精兵達が声を揃えて立ち向かう意志を見せた。
赤髪海賊団も海軍と同様、逃げはするが戦う姿勢を見せている。
それは当然、飛んでこれる私達のせいだろう。部下達はともかく、私とカイドウはこの程度で止まらないと踏んだのだ。その彼らから感じる微かな恐怖と警戒に私は舌舐めずりをしてしまう。
「あはは……なら期待に応えてあげないとね……!!!」
──あの赤髪海賊団を潰してしまおう。
潰れる程度の相手ならここで消してしまっても問題ない。もし
心の中でそう言い、私は赤髪海賊団の船に向かって真っ直ぐに突撃した。──久し振りに楽しい戦いになりそうだ。
三大将→皆中将
センゴク→元帥就任。胃痛の日々
赤髪海賊団→詳しくはまた次回。懸賞金アベレージが高いってのは麦わらの一味的な意味かなと
百獣海賊団→戦力はまた次回。色々来てます
王下七武海→ミホークは百獣海賊団側。残り2名は白ひげ海賊団の方に
ミホーク→暇潰しと気まぐれの男。興味ある相手の時は割と動くおじさん
サカズキ→白ひげの方へ。別にフリースタイルラップバトルしに行く訳ではない(迫真)
クザン→正直一番のインチキ能力だと思ってる
ボルサリーノ→レーザーでUFOを撃墜。黄色い。実質霧雨魔理沙では……?
カイドウ→部下になれば許すけどならないって言ったからボコボコにする(予定)
ぬえちゃん→赤髪とか消えるなら消えてもいいよっていう自由なぬえちゃん海賊可愛い
遅くなってすまねぇなって。今回は割と大味な回でしたが、まあ集まってる連中が大物ばかりなのでしゃーない。頂上戦争始まりの最初の方みたいな感じ。という訳で次回は久し振りに全編バトル回になるかな? お楽しみに
感想、評価、良ければお待ちしております。