正体不明の妖怪(になった男)、情緒不安定な百獣の腹心になる   作:黒岩

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挨拶

 ──悲劇など、この大海賊時代では数え切れないほど存在する。

 

『シャーハハハハハ!!! お前が最初の見せしめだ!!!』

 

『ぐ……あっ……!!』

 

『ベルメールさあああん!!』

 

『いやぁ!!』

 

『下等種族が……魚人のおれに逆らいやがった罰だ!!! 拷問してやる……!! 全身を切り刻んで殺してやる……!! 地獄のような痛みと恐怖を味わえ!!!』

 

「──虐げられた苦しみ♫」

 

 誰かが幸福になれば、誰かが不幸になる。

 

『オトヒメ様が撃たれたァ~~~~!!!』

 

『ジャハハ……人間に味方する愚かな王妃よ……死ね……!!!』

 

『こ、これでいいのか……?』

 

『ああ……よくやった人間……その礼に……一思いに殺してやろう……!!!』

 

『え……?』

 

「大切な人を奪われる悲しみも♫」

 

 怒りや悲しみはまた新たな負の感情を生む。

 

『わしはロジャーという男に力を貸したことを──ドンと誇りに思っている!!!』

 

『トムさァん!!!』

 

『トムさんを返せェ~~~!!!』

 

『ワハハハハ!!! ざまァみろ!! “正義”に逆らうからだ!! あの世で後悔するんだなァ!!!』

 

「身体中に走る痛み~~♫ やり場のない感情も~~♫」

 

 ──だがそれはこの世の理ではない。

 

『おれはドンキホーテ・ドフラミンゴ。今帰った──この国の正当なる王だ!!!』

 

『誰か私を……殺してくれェエ!!!』

 

『スカーレットォオオオオ~~~!!!』

 

『失ったものは戻ってこない~~♫ ──()()()()()♪』

 

『!!?』

 

 ──そう……この世の理とは──弱肉強食。

 

『20年も待ったら体力は衰える一方だ!!』

 

『本当に帰ってくる保証もねェ奴らを待ち続けろと!?』

 

『あいつらを信じろ!! 錦えもん達は必ず帰ってくる!!! モモの助様を連れて!!』

 

 世間に内情を知られていないその国でも、この年の悲劇の最後を締めくくるに相応しい出来事が起こる。

 

『オロチに従わないおれ達には食うものもない……!! 毎日生きるので精一杯だ……!!』

 

『戦う前に病気で死んじまうよ……!!』

 

 その年は“ワノ国”が海賊の手に落ちてちょうど10年目の年だった。

 

『カイドウの軍だ!!!』

 

『UFOに見つかったぞ!! 逃げろ!!!』

 

『井戸を壊された!!』

 

『畑を焼かれた!!』

 

 20年という年月を待てと……“光月”は最後に歌に乗せて告げた。

 だが実際に20年という年月は……今を生きる者達にとっては──長すぎた。

 

『もう限界だ!! 酒天丸!!』

 

『やめろ犬死にだど!!! “光月”の名で大軍組まにゃあ勝機もない!!』

 

『せめて……刀を持って死なせてくれ……!! 死ぬのなら“侍”として死にたい!! 止めないでくれ!!!』

 

 心からの叫びを口にし、彼らはふと笑って武器を持つ。話すのは“九里”の方言についてだ。

 

『“名前”を捨てろ。“知恵”を捨てろ。頭を空にして飛び込むのみ!!』

 

『声を上げろ!!』

 

 自分を大切にするから人間は怖れる。

 名前と知恵を捨てれば怖れることはないと。

 

捨名(スナ)──ッ()!!!』

 

『戻れ──!! 戻ってくれ──!!!』

 

 そうして彼らはまた過去の悲劇の1つとなりに行く。

 だがそれらを防ぐことも出来た筈だった。

 

「ぎゃははは!! おい見ろ!! ぬえさんの言った通りだ!!」

 

「バカな奴らだ!! UFOの警戒網を抜けて鬼ヶ島まで辿り着ける訳ねェだろ!!!」

 

「全員生け捕りにしちまえ!! 今日のゲストをご所望だ!!!」

 

「……!! 怯むな!! 一矢報いろ!!」

 

 侍を乗せた小舟は鬼ヶ島に辿り着くことすら出来ない。

 彼らは刀を振るうことすら許されない。

 それどころか……彼らは刀を手に持つことなく、“侍”として死ぬことさえ許されなかった。

 

 ──“鬼ヶ島”、ライブフロア。

 

『それらもなにもかも~♪ ──全部!! 弱いのが悪~~~~~い!!!』

 

『YES!! STRO~~~~NG♫』

 

「ウオオオオオオオオオオ!!!」

 

「ぬえ様~~~~♡」

 

QUEEN(クイーン)~~~!!!」

 

 百獣海賊団と将軍オロチの両陣営が出揃う1年に1度の“火祭り”。

 鬼ヶ島のライブフロアで行われる“金色神楽”は1年に1度のライブイベントだ。

 上階に取り付けられたステージの上で踊るワノ国の芸者と百獣海賊団のダンサー。

 幾つもの楽器を手に音楽を鳴らす演者達。ワノ国特有のものだけではなく、海外の物もごちゃまぜのリズム。複数の様々な色のUFOが点滅しながら移動し、フロアを照らし、ステージを照らしている。

 巨大な映像電伝虫のモニターがステージの様子を映す。今行われているのは“ぬえちゃんズBAND(バンド) With(ウィズ) QUEEN(クイーン)”のステージだ。

 

『力があればどんな悩みも即解決♫ でも力がなくても大丈夫♫ ぬえちゃんの可愛さに酔いしれて♡』

 

『でもでもナメたら怪我するぜ♫ 逆らったらタダじゃすまないぜ♫ ──()()()()みたいにな~~!!』

 

「う……あ……」

 

「やめ、ろ……やめてくれ……!!」

 

 ステージの真ん中では百獣海賊団の副総督であるぬえが踊り、その周囲でクイーンがステージの端から端まで行ったり来たり。歌って踊れるFUNKを証明するように踊りながらその磔にされている侍達を手で指し示す。

 侍達は生け捕りにされていた。そして、先程から1人ずつ殺されていた。ステージ上のダンサーや芸者がその手に銃を持ち、歌とそのコールに合わせて引き金を引く。

 

『はい!! LOVE(ラブ)!! LOVE(ラブ)!! LOVE(ラブ)SO(ソー)CUTE(キュート)!! ぬ~~えちゃ~~~ん!!!』

 

『パンパパパンと撃ち殺せYO~~~♫ ムハハ!! 侍共を撃ち殺せ~~~♫』

 

「イェ~~~イ!!」

 

「ウッ……」

 

「ちく……しょう……!!」

 

「やめてくれェ~~!! 侍として殺してくれェ~~~!!」

 

『無理無理それはムリ~~♫ あなた達の嫌がる顔が見たいから♫ もっと苦しんで私を楽しませて~~♫』

 

「ぎゃはは!! そうだもっと悲鳴を聴かせろ~~~!!」

 

 発砲し、鉛玉が侍達の身体を撃ち抜く。血を吐き、亡骸になっていく侍達を見て海賊達が更に盛り上がる。突如やってきたゲストは残虐な処刑ショーによって見世物にされ、その命を終えていく。

 ステージの上のダンサーや芸者もそれを行って楽しんでいた。

 ──だがその中の1人……百獣海賊団の戦闘員──小紫は笑顔の仮面を被りながら、その手を震わせていた。

 

「ウウ……戦いで……死なせてもくれんのか……!!」

 

「っ……!!」

 

「この……悪魔……共め……!!」

 

 光月に与した侍達の生き残りである彼らは……目の前にいる芸者が光月の生き残りであることを知らないまま呪詛を吐き、そしてその仕える光月の手によって死んでいく。

 彼女が苦しむことを知る者は少ない。ステージ上にいるぬえはそれを見て楽しそうに笑っているが、彼女はそれを知らない。

 唯一、この場でそれを知り、悲しみ、怒りを隠しているのはただ1人しかいなかった。

 

「……!!」

 

「──おいおい!! どうした狂死郎!! わはは、もしかして笑ってんのか!? 確かにありゃ面白ェ見世物だからな!!」

 

「! ……ああ。面白いな……これは久し振りに血が騒いでしまいそうだ……」

 

「そりゃお前は退屈だろう!! 最近は逆らう奴も相当減ってきてると聞いてるぜ?」

 

 畳張りのその部屋で百獣海賊団の見目麗しい女船員や遊女に酌をされているのはオロチの配下として金色神楽に参加する狂死郎。

 そして目の前にいるのは狂死郎が最も懇意にしている百獣海賊団“飛び六胞”の1人──ササキだ。

 狂死郎はいつか来る時のため、信頼を集めている。オロチのためにどんなことでも行い、こうして百獣海賊団の幹部とも付き合いを持っている。もう慣れたもので、特に仲が良いササキとも親しくやり取りを行いながら情報をさりげなく集めていた。

 狂死郎は彼らの死に際とステージ上の日和に報いるべく、ざわつく心をぐっと堪えていつもの狂死郎としての顔でササキに話題を振る。

 

「お前の方はどうなのだ? 以前は随分と騒ぎになっていたと聞いたが」

 

「ああ。前はな……クイーンのバカがドジった時は出世のチャンスだったんだがよ。まあそれ以外は特に悪いこともねェさ。──それよか狂死郎お前、オロチの手下なんかやめてウチ入れよ!! もったいねェ!! なんならおれがカイドウさんに口利いてやるぜ?」

 

「わはは、またその話か。勘弁してくれ。拙者はオロチ様と盃を交わした身だぞ? 忠誠を誓った主君を裏切れと言われて裏切れるか?」

 

「ああそりゃ無理だな!! 悪かった!! まあ飲め!! 今年の酒はここ10年で1番の出来なんだ!!」

 

「去年も似たようなことを言っていたぞ」

 

「その去年を超えただけの話だ!! おれの酒は毎年進化してるからよ!!」

 

「毎年聞いてる気もするがな」

 

 胡座をかいているササキが自らの手で酒瓶を手にし、狂死郎の杯に酒を注いでいく。

 ササキはシノギで酒造を行っている。他にやっている人身売買などのシノギに比べれば真っ当だが、それも海賊の汚い金となるのだからどれも同じだ。

 狂死郎は百獣海賊団の情報を出来るだけ細かく調べている。毎年情報は更新されるため、オロチや他の船員からも聞くことは出来るが、最も上の情報を漏らしてくれるのはササキだ。

 オロチは狂死郎の主君であるため、向こうから話すようなことがなければ聞きづらい。カイドウやぬえとは簡単には話せないし、大看板もまた様々な理由で難しい。

 それに次ぐ地位であり、友人関係を築いているササキが最も聞きやすく、情報の精度も高かった。

 

「勢力も増してると聞いている。使える新入りはいるか?」

 

「そっちは今年も似たようなもんだ。海賊団が幾つかウチに入ってる。変わり種だと“人魚”とかよ……ああそうだ。一応まだ下っ端には内緒の話だが……今年は“七武海”が挨拶に来てるぜ」

 

「! 七武海といえば……あの美人か?」

 

「ああ、いや、ハンコックじゃねェ。この間新しく加入した奴でな。なんでもウチと取引がしてェんだとよ」

 

「──ほう、それは面白い」

 

 狂死郎はその話を聞いて狂死郎の顔として面白いと言いながらも、内心でも興味深いと関心を向ける。こういった情報は出来れば集めなければならない。いずれ必ず役に立つはずだ。

 

「で、対等に取引をするのか?」

 

「わはは、そりゃ相手は七武海だ。表面上は対等だろうよ」

 

「なるほど。実質的には──傘下となるのか」

 

「そりゃあな。七武海如きがカイドウさんとタメになれるわきゃねェだろ? 元々政府の犬をやってるくらいだ。()()()()になってもよく働いてくれるだろうよ!!」

 

「くく、悪い人達だ。相手さんが可哀想になってしまう」

 

「おいおい狂死郎!! お前だって同じ穴の狢だろ!? 悪者同士仲良くしようぜ!!」

 

「──ああ、そうだな」

 

 ──()()()までは精々仲良くしてやる。

 狂死郎は目の前のササキと仲良く酒を酌み交わしながら、ステージ上で死んでいく同志達の悲鳴を耳に、内心に眠る怒りの火を燃やし続けていた。

 

 

 

 

 

 ──鬼ヶ島、カイドウの屋敷。

 

「──では、こちらへどうぞ」

 

「ああ」

 

 その屋敷の廊下を、幹部格……おそらく“真打ち”であろう女性に案内されて歩くのは百獣海賊団の船員でも傘下でも、ましてやオロチの配下でもない男とその家族。

 面会希望者。客人。色々言い方はあるが、彼らは今日、挨拶にやってきたのだ。

 

「べへ……ドフィ」

 

「わかってる。今日は……大事な日だ」

 

『“王下七武海”海賊及びドレスローザ新国王 ドンキホーテ・ドフラミンゴ 元懸賞金3億4000万ベリー』

 

 そう、彼の名はドンキホーテ・ドフラミンゴ。

 世間では今、話題の海賊である。彼が今年成し遂げた事件は、その全容と真相、どちらも知る者こそ少ないが、実にえげつない。

 世界政府加盟国の各国が天竜人に納める貢ぎ金──“天上金”の輸送船を襲い、世界政府を脅して“王下七武海”へ加盟した。

 そして次に新世界“ドレスローザ”を陰謀によって一夜にして奪い取り、国王となった。

 彼は元天竜人であり、様々な情報を握り、それらを上手に使うことで天竜人すらも自分の都合の良いように操った。その結果が七武海という地位。ドレスローザ新国王としての権力だ。

 今年、彼が手に入れた物は非常に大きい。俗な言い方だが、躍進の年と言ってもいいだろう。

 天竜人すら恐れないドフラミンゴにもう怖いものはほぼない。海軍に追われることもない。この地位があれば新世界においても盤石。闇取引もこれまで以上に上手く行うことが出来るだろう。

 ──だがそれは……今日この日を上手く切り抜ければの話だ。

 

「こちらです。──カイドウ様。ドフラミンゴ様とその最高幹部3名がお越しに」

 

「──ああ、来たか……入れ」

 

 ドフラミンゴは最高幹部3名──トレーボル、ディアマンテ、ピーカという巨漢の男達3名を連れてその部屋へと入室していく。

 その部屋の真ん中に座するその男こそ、怖いものが殆どないドフラミンゴが恐れる数少ない男だ。その周囲にいる最高幹部も同様。怒らせたら破滅する。

 だが……この男と取引を結べれば得ることの出来る力は絶大。

 なにしろ“四皇”の後ろ盾さえあれば、他の“四皇”すら手を出さなくなるのだから。

 

「──おう……てめェがドフラミンゴか。七武海の」

 

「! フ……フッフッフッ!! ああ、挨拶が遅れてすまねェ。“四皇”にお目通りが叶って光栄だ」

 

『“四皇”百獣海賊団総督“百獣のカイドウ” 懸賞金42億1110万ベリー』

 

 一対一でやれば最強とも噂される海の皇帝“四皇”の1人。

 10メートル近い巨体とその凶悪な人相から放たれる威圧感は半端ではなかった。

 カイドウの周りにいる連中の大きさもあって、ドフラミンゴとその背後の最高幹部3人が小さく見えてしまう程である。

 だがその中にあって最も小さい者が、そのドフラミンゴが最も恐れる相手の肩に乗っていた。その少女にしか見えない相手もまた、ドフラミンゴの恐れる相手に違いない。

 

「ミンミンミン♫ ミン、ゴ~♫ ドンキッ、ホ~テ~♫ 久し振り~♪ 元気してたー?」

 

「……ああ、ぼちぼちだ」

 

 まるで子供のようにフザけたあだ名でドフラミンゴを呼ぶ少女。通常なら、こんな呼び方をしたクソガキなどすぐに地獄を見せるところだが、ドフラミンゴにそれは出来ない。

 むしろ怒らせれば地獄を見るのはこちらだ。ある意味、カイドウよりも厄介かもしれないとドフラミンゴが警戒している相手。

 その評価は政府内でも高く、世間でもカイドウに次いで恐れられている百獣海賊団のNo.2 。

 

『百獣海賊団副総督“妖獣のぬえ” 懸賞金30億8010万ベリー』

 

「それにしても挨拶遅かったね!! ここに来るまで何してたの?」

 

「! いや……」

 

「おい、ぬえ。お前のライブが長くて待ってたんじゃねェか」

 

「あはは!! そう? でも私のライブなんだから全然退屈しなかったでしょ?」

 

「……フッフッフッ!! ああ、随分と楽しませてもらったぜ」

 

「それなら後で私の写真集とTDとグッズは買うよね? あ、せっかくだしドレスローザでも販売してきてよ。売り上げの1割はあげるからさ」

 

「……!! ……ああ、わかった。後でそうさせてもらう」

 

 赤と青の変わった羽を持つ黒髪の美少女は強引にドフラミンゴにそう言いつけた。──フザけるな。誰がお前の歌や写真、グッズなど買うか──と言えれば楽だろうが、言ったら”死”が確定する以上、それを言うことはドフラミンゴには出来ない。

 だが感情的な部分を無視すれば、まだ取引に近いことを告げられているだけマシだった。利益が出る。配分がかなり酷いが、それは今後の交渉でなんとかすればいい。

 今はとりあえず、取引を締結させることが重要だった。

 

「──で、今日はなにをしに来たんだ?」

 

「……!」

 

 と、口火の切り方を迷っていたらカイドウがそんなことを言ってきた。ドフラミンゴはその発言に笑顔のまま思わず怯む。……何も伝えられてない? まさか。ぬえは話は通しておくと言っていた。取引がしたいという話はわかっている筈だが……まさか。

 

「…………良い話を持ってきたんだ」

 

「良い話?」

 

「あはは、なんなんだろうねー?」

 

(……! こいつ……何も伝えてねェのか……!!)

 

 カイドウが頭に疑問符を浮かべ、ぬえがわざとらしくすっとぼけたことでドフラミンゴは気づく。──話が通っていないことに。

 頭を抱えたくなった。そして何より、弄ばれていることに気づいて苛立ちがふつふつと沸いてくる。だがやはり、それを出すことは出来ない。

 だがドフラミンゴは取引のプロだ。ここから相手に興味を持たせ、取引を通すための道筋を考える。

 しかしその殆どは使えない。相手の弱みを探り、それを使った脅し、実力行使などが主だった交渉の方法だが、四皇相手にそんなものが通じる筈がない。やった瞬間にこちらが破滅だ。

 

「フッフッフッ……ついては──」

 

 だからドフラミンゴは旨味を見せていく方針で口を開く。

 

「──待て」

 

「!」

 

 だがそれは止められた。カイドウの横にいる巨漢の1人。

 8メートル超えの体躯を持つ男。ドフラミンゴは思う。こいつもまた怪物だと。

 

『百獣海賊団大看板“火災のキング” 懸賞金15億3000万ベリー』

 

「まずその後ろの連中の紹介が先じゃねェのか?」

 

「! ……ああ、そうだな。すまねェ……紹介させてもらう」

 

「ムハハ!! そりゃあそうだ!! どこぞの名前も知らねェ面白集団に何も触れないまま話をし始めるなんてツッコミ待ちかと思ったぜ!!」

 

 と、続けて大笑いしたのも8メートル超えの巨漢。こちらは太った大男だ。

 先程のステージでも見えた男。当然、ドフラミンゴも知っている怪物の1人。

 

『百獣海賊団大看板“疫災のクイーン” 懸賞金13億2000万ベリー』

 

「飛び入りゲストなら最初に教えといてもらわねェと困るぜ!!」

 

「だよね~♪ ほら、さっさと紹介しなよ」

 

「っ……ああ……」

 

(この野郎……ぬけぬけと……!!)

 

 最高幹部3人を連れてこいと言ったのはぬえの方だったが、それも伝えていないらしい。そもそもドフラミンゴは1人で来るつもりだったが、ぬえの連れてこいという命令に従わざるを得なかったのだ。

 だがそれをぐっと堪えて笑みを浮かべる。ここまで来れば猿でもわかる。こいつはおれの反応を見て楽しんでるのだ。

 なら苛立ちを見せれば思うツボだ。平常心で臨む。どんなからかいにも反応はしないようにと心を強く持った。

 

「ウチの海賊団の最高幹部3人だ」

 

「べ、べへへ……おれはトレーボルだ」

 

「……ディアマンテだ」

 

「……ピーカ」

 

 ドフラミンゴの自慢の家族。最高戦力である3人を紹介する。

 そもそも名は知れた方の筈だが、四皇やその大幹部からするとその他の有象無象と変わらないのだろう。誰も知らないようだし、そもそも興味すら持っていない。

 それは予想の範囲内。……だが、これも予想の範囲だが避けきれない事態が起きてしまう。

 

「──ウォロロロ!!! なんだその面白ェ声は!!?」

 

「……!!」

 

 ──来てしまった。

 カイドウが最高幹部の内……ピーカを指差して大笑いを始める。ピーカの見た目に似合わない甲高い声を聞いてだ。

 そして他の連中も同様に笑ったり、弄り始めたのだ。

 

「あはははは!! ホント!! 面白い声だね~~!! どっから声出してるの? それともわざと? ぷ……くく……わざとだとしたらどこの養成所で習えるの? あはは!!」

 

「ムハハ!! 確かにこいつは面白ェ!! なあぬえさん!! こいつ、今度のステージで出そうぜ!! 大ウケ間違いなしだ!!!」

 

「フ……似合わねェ声だな」

 

「っ……!!」

 

「……フ……フッフッフッ……ああ……」

 

 カイドウやぬえを含めた百獣海賊団の最高幹部達が大笑いして弄り始めるのを、ピーカは下を向いて、唇を噛みながら黙って震えていた。ディアマンテやトレーボルも下を向いたまま反応を見せない。ドフラミンゴだけは正面を向いたまま、頷く……頷かざるを得なかった。

 ──ピーカの声をバカにする奴らは今までもいたが、ドフラミンゴ達は家族。家族をバカにする奴はいつだって殺してきた。

 だが圧倒的な強者の前ではそれも我慢して耐えることしか出来ない。まるでガキの虐めのような光景だが、これが力関係だ。四皇と七武海の隔絶した埋めがたい実力差。格の違い。

 こうなることがわかっていたからこそ、ドフラミンゴは最高幹部を連れてきたくはなかったのだが、連れてこいと命令され、挨拶しろと言われてしまえば従うしかなく、結果笑われている。屈辱的過ぎる時間だった。後でピーカにはフォローが必要だろう。ドフラミンゴは黙ってその時間が過ぎ去るのを待つ。

 

「フフフ……ドンキホーテ海賊団は随分と個性的な集まりなのね?」

 

「!」

 

 そしてそんな時、女性がもう1人、部屋に入ってくる。

 その姿を見て、ドフラミンゴはサングラスの下で目を細めた。この集まりに参加するほどの大幹部。つまりこいつが……あの有名な”仲買人”か、と。

 

『百獣海賊団大看板“戦災のジョーカー” 懸賞金12億1000万ベリー』

 

「おいジョーカー!! 今の聞いたか!? こいつら随分と面白ェぞ!! ウォロロロ!!!」

 

「──ええ、聞いてたわ。でも面白いのは1人だけでしょう? カイドウさん」

 

「ウォロロロ!! 確かにそうだな!! だがくるしうねェぞ!! ドフラミンゴ!! さっさと話を始めろ!!」

 

「……!! ああ、そうさせてもらう……」

 

 ジョーカーと呼ばれる美女。正体が誰もわからないその謎の仲買人のおかげでやっと交渉が始められそうだった。

 ドフラミンゴは酒を勢いよく飲み始めるカイドウを見上げながら、構わず話を始める。まずは先程の続き。興味を惹かせることだ。

 

「フッフッフッ……!! おれの七武海と世界政府加盟国の国王という地位があれば……裏の取引も安全に行うことが出来る」

 

「ウォロロロ!! 飲め!! ドフラミンゴ!! ……ヒック」

 

「! ……いや、今は遠慮──」

 

「──おれの酒が飲めねェってのかァ!!!」

 

「……!! フフッフッフッ……いや、そんなことねェ。ありがたく頂かせてもらう……」

 

 脈絡なくいきなりカイドウから杯を投げ渡され、酒を飲めと言われてしまう。それを断ろうとした瞬間──カイドウがブチ切れた。

 ドフラミンゴは内心焦り、すぐにそれを訂正する。そして話を始める前にカイドウから注いでもらった酒を一口飲んだ。するとカイドウが再び大笑い。

 

「ウォロロロロロ!!! どうだ!! 美味ェだろう!? ウチのササキが作った自慢の酒だ!!!」

 

「…………ああ。良い味だ。──それでだ。フッフッフッ……!! おれには世界政府とのパイプが──」

 

「この焼き鳥もすっごく美味しいからおつまみで食べていいよ!! あはははは!!」

 

「……悪いが今は腹が──」

 

「──は? まさか……私が下賜した物を食べないつもりなの?」

 

「……!! いや……今はちょうど腹が減っていたんだ。助かるぜ……」

 

 再び話を再開しようとしたところで、今度はぬえが板に盛られた焼き鳥をドフラミンゴに差し出してくる。そして断ろうとしたら──今度はぬえが静かにキレた。

 ドフラミンゴはすぐに串を取ってそれを食べる。正直、焼き肉、バーベキューの類は好きではないがそうも言ってられなかった。すると、ぬえがニッコリと笑顔になる。

 

「ね? 美味しいでしょ? フーズ・フーの牧場で取れた新鮮な鶏肉をキング特製のレシピで作ったものなんだから!! あはははは♡」

 

「…………ああ、言うだけはある」

 

 ドフラミンゴはそれに頷く。──というかこいつらは酒造りに畜産に料理と何をやっているんだと思ったが、ツッコむことは出来ない。心の中で思うに留める。

 すると更にぬえは続けて、

 

「こっちの野菜はうるティちゃんで、魚はぺーたんがそれぞれ採ってるの。すごいでしょ?」

 

「──ああ、それは凄い……!!」

 

 ドフラミンゴは深く考えずに同意を続ける。いつになったら取引の話が出来るのかと思いもするが、こうやって機嫌良く話しかけてきてるのだからその話をぶった切ってこちらの話をするのは相手の機嫌を損ねる可能性がある。

 

「それでねー。最近はまた色んなことに手を伸ばしてて……」

 

「──興味深い話だ」

 

 そうだ。焦ることはない。機嫌良く話しているのなら事は順調に運べていると見るべきだった。だから存分に相手の話に付き合って、それからじっくりと話を、

 

「──なにモタモタしてやがる!!! てめェいつになったら話を始めるんだ!!! あァ!!?」

 

「……!!? ウゥ……!!」

 

 ──カイドウがブチ切れた。

 それはあまりにも突然のこと。

 そして突然向けられた覇気にドフラミンゴは僅かに身を低くし、その圧力に耐える。カイドウが顔を近づけて、酒精が多分に含まれる鼻息を鳴らした。

 

「おいこのノロマ野郎!! おれはさっさと話せと言わなかったか!!?」

 

「……!! それは、いや、話の途中で──」

 

「!!! ──てめェ!!! おれの兄姉が悪いとでも言うつもりか!!! あんまりナメてると殺すぞドフラミンゴ!!!」

 

「…………!!!」

 

 ──()()()()()()

 

「ど……ドフィ……!!」

 

 トレーボルが声を掛けてくる。ディアマンテやピーカ……そして己と同じく汗を掻きながら後退ってしまっていた。

 カイドウは完全に酔っている。そのせいなのか元々なのかは分からないが、全く話が通じず、ただただ威圧される。

 これでは交渉どころではない。これ以上機嫌を損ねるのはマズかった。

 

「フ……フッフフッフッフッフ……ああ、悪い。申し訳ねェ。そういうつもりじゃねェんだ……武器や悪魔の実の取引の話だ。世界を破壊するために、おれはあんたに協力したい」

 

「なら最初からそう言え!!! だが……そうか。それなら良い……ヒック……ウォロロロ!!!」

 

「……ああ、すまねェ。それで、挨拶も兼ねて幾つか金と武器、悪魔の実を納めさせてもらった。後で確認してくれ」

 

「ほう、やるじゃねェか!! 気に入ったぜドフラミンゴ!! ウォロロロ!!! ──そうだ!! てめェにジョーカーの()()としてウチの取引に加担させてやる!!!」

 

「気に入って貰えたなら……なに?」

 

 ──今、なんと言った? 

 ドフラミンゴは耳を疑う発言に思わず聞き返してしまう。

 しかし、既にカイドウはそれを決定事項の様に機嫌良く口にし始めた。

 

「さっきぬえやジョーカーと話して決めたことだ!! 今思い出したぜ!! ウォロロロ!! これでジョーカーの隠れ蓑も出来るし良いことしかねェな!!!」

 

「イエーイ!! おめでとうミンミンゴ~♪ あなたは今日から新世界最大の仲買人のジョーカー!! その代理人!! 表の顔になりました~!!! よっ!! 激安の殿堂!!」

 

「フフフ……よろしくね♡」

 

「……!! フ……フフッフッフッフッ……!!」

 

 ドフラミンゴはそこで半ばながらそれを理解した。獣には話は通じない……そして突然の、そしてあまりにも一方的過ぎる取引の結び方に引き攣った笑みを浮かべるしかなかった。

 

 

 

 

 

 新世界の仲買人として裏社会で有名なジョーカー。

 長年、百獣海賊団に莫大な利益を生み出してきたそのジョーカーだけど、その正体は当然、他の大看板や私、カイドウは知っている。

 世界最強の諜報機関CP0。その一員であるステューシーこそが百獣海賊団大看板“戦災のジョーカー”の正体なのだ。

 海軍や政府がどれだけその正体を突き止めようとしても見つかる筈がない。なにせその正体を突き止める指令を言い渡されたステューシーこそ、ジョーカーなのだから。

 ……しかしだ。長年、のらりくらりと程よく情報を渡しつつ、煙に巻いてきたのだが──さすがに上からせっつかれて困っているらしい。

 そこで私達は彼を使うことにした。そう──ドンキホーテ・ドフラミンゴをだ。

 七武海となり、更には政府とのパイプを持つ彼をジョーカーの代理。謂わば表の窓口にすることで、政府の探りを躱すことにしたのだ。

 なにしろドフラミンゴは海軍や政府の人間よりも上の天竜人とパイプを持ち、更には彼らの弱みを握っている。

 そのため天竜人はドフラミンゴの操り人形にも近い存在だ。その気になればある程度は都合の良いように海軍やCPを動かせる。

 ドフラミンゴが七武海となり、ドレスローザの国王となり、そして新世界での私達のような大物も含めて様々なところに取引を持ちかけられるのはこのためだ。

 ドフラミンゴに手を出されたら困るため海軍もCPもドフラミンゴを追わない。または、深くは探ってこない。探らせない。何かわかったとしても見て見ぬ振りをさせる──こと政府相手に限定すれば、ドフラミンゴの力はかなり強いのだ。

 でも私達にそれは通用しない。ドフラミンゴが政府内でどれだけの影響力を持っていようと、私達は海賊。それも“四皇”だ。気に食わなければ殺すだけ。

 しかしせっかく取引を持ちかけてきているのだから、上手い具合に使ってあげるのがいいだろう。

 ──そんな訳で、私達はドフラミンゴとの取引を結んだのだ。

 

「取引の内容はまず以前と同じくワノ国製の兵器ね。私がジョーカーとして卸し、ステューシーとして受け取り、政府に流していた兵器密売の流れを一度ドフラミンゴを経由して流すことで、更に手広く、そして安全に取引をすることが出来るわ」

 

 挨拶が終わり、ある程度の話し合いが終わってすぐに帰っていったドフラミンゴ達がいなくなったその部屋で、ジョーカーは改めてキングやクイーンにも聞かせるべく決まったことをおさらいする。ここにいる連中は皆、取引やシノギに関しては詳しい。誰もがそれだけでメリットや要点を理解していた。

 

「兵器の取引は大掛かりだ。その癖1つ1つ請け負って卸すのは面倒だからな……流通を全てドフラミンゴに任せれば手間が省ける」

 

「それにドフラミンゴを経由すりゃあ政府も首を縦に振らざるをえねェからな!! ステューシー相手だと手駒でしかねェし、商品の値もあまり吹っかけられねェしよ。ドフラミンゴ相手なら今までよりも儲かるってもんだ!!」

 

 キングやクイーンがそう口にする。

 兵器は足がつくと困るが、かといってワノ国に他の船を入れる訳にはいかない。

 今までは一度、ナワバリのデザイア島を経由していたが、百獣海賊団のナワバリというだけあって他の国や政府の人間が表立って立ち入ることは出来ないし、偽装も楽ではない。

 しかしドフラミンゴのドレスローザという世界政府加盟国でもあるその国でなら、流通はかなり楽になる。それほど遠くはない上、一々偽装する必要はなくなる。ドフラミンゴの七武海としての地位、天竜人とのパイプがあるためだ。

 堂々とドレスローザへ向かい、地下の港へ荷を運べば、後はドフラミンゴがそれを売り捌く。ドレスローザというきちんとした国の方が他の取引先もやりやすいだろう。四皇のナワバリと七武海の治める国ならば確実に後者の方が行きやすいし、仮にバレたとしても言い訳がつきやすい。

 そもそもドフラミンゴの立場と実力があれば政府や海軍の追及を躱すことは容易いのだ。表面上は味方であるし、仮に誰かが何かを知ったとしても、ドフラミンゴにはチートくさい悪魔の実の能力がある訳だし。

 そしてクイーンの言うように、今まで政府側のステューシーと百獣海賊団のジョーカーという同一人物の間で交わされていた面倒な交渉もしなくていい。今まではジョーカーとしての値段や条件をステューシーから政府に伝えていたが、政府と百獣海賊団は別に仲良しでもなければドフラミンゴのように繋がりがある訳ではないから、交渉がまともなものになって面倒くさい。

 だがドフラミンゴ相手に政府は強く出られない。多少吹っかけたとしても向こうは首を縦に振らざるを得ないのだ。だからドフラミンゴに渡す取り分を差し引いても今まで以上に儲けることができる。他の取引先相手もドフラミンゴと私達の看板があれば今まで通りかそれ以上に儲けることができるのだ。

 

「いやー、さすがはドフラミンゴ様だね!! さすが元天竜人と褒めてあげたいくらい!! まあそれ言ったらビビるどころの話じゃなさそうだからやめといたけど。あー、笑った笑った♡ 笑ったらまたお腹空いちゃったよ──ジャックー!! お酒ー!!」

 

「──は」

 

 私が少し大きい声で呼ぶと、隣の部屋で控えていたジャックが酒樽を肩に抱えて入ってくる。そして私の前に置いてくれた。

 

「んぐ、ごく……ぷはー!! 美味しい!! あ、ジャックも飲む?」

 

「は。いただきます」

 

「おう、ジャックもてめェらも気合入れてけよ。ドフラミンゴと()()()との取引で、金を手に入れて更に戦力を強化しろ……ンッ……ごくごく……フヒ~……ヒック」

 

「「「「ええ、勿論」」」」

 

 キング、クイーン、ジョーカーの大看板3人とジャックが声を揃えて頷く。うんうん、気持ち良い返事だ。ドフラミンゴも悪くないが、やっぱウチの連中と比べると力が足りない。連れてきた最高幹部3名も悪くはないけど弱いというか……気概が足りてないよね。頭を使って暗躍することには長けていても、あれじゃいつまで経っても七武海が関の山だ。

 だけどまあ弱いなりに頭が回るからマシとも言える。無謀にも戦いを挑んでこない辺りはつまらないけど、賢いから使える。私達にとっては都合の良い部下だ。

 ……だけどユーモアを理解出来ないのは減点だなー。それにノリも悪い。ジャックなんて、私やカイドウがお酒や飯とか何かあげたら絶対に断らないのに。理由をつけて毎回断ろうとするのは生意気だ──まあそれはそれでからかう楽しみにはなるけどね!! 

 

「そういやぬえさん。生け捕りにした侍共の生き残りがまだ残ってるが……」

 

「あー、そうだっけ。残りはもういらないから適当にバラして九里の山にでも捨ててきて」

 

「ええ。なら明日の朝には間に合うように」

 

「おいおい宴だってのによくやるな。さすがは拷問好きの変態だぜ」

 

「黙れ能無し。赤髪のガキに負けやがったバカの癖に」

 

「──なんだとてめェ!!?」

 

「──こっちのセリフだ……!!」

 

「あ~……やめろお前ら。楽しい宴だぞ」

 

「あはは!! やれやれ~!! 喧嘩しろ~!!」

 

「──お前も焚きつけるんじゃねェよ」

 

 キングとクイーンが些細なことで売り言葉に買い言葉。そして睨み合う。まあいつものことだ。面白いので私は別にやりあってもいいと思うが、カイドウがそれを焚き付けた私も含めて軽く注意してやめさせる。意外かもしれないがカイドウは部下同士の喧嘩を止める側なのだ。そしてジャックは無言。何か言ったらとばっちりを受けるかもしれないからここでは沈黙が正解なのだろう、ジャック的には。私も昔は空気を読んでいた時代があるからなんとなくわかる。

 そしてジョーカーは相変わらず酒枡を手に上品に酒を飲んでいた。肩の荷が1つ下りたからか、心なしか酒が進んでいるように見える。

 

「フフ、それにしても光月の残党もよくやるわね。何度見せしめれば諦めるのかしら」

 

「いじめがいがあるから私としてはたまにこうやってイベント起こしてくれると捗るけどね!!」

 

「んなこと言ってるとまたオロチが怒るしビビるからやめとけ」

 

「あはは、ほんとオロチはビビリだよね~。私達がついてるってのにさ」

 

「もう奴らを消してから10年にもなるが……本当に後10年で現れるのか? ()()()()みてェにどこかに隠れてるだけじゃねェのか?」

 

「悪魔の実の能力だし多分現れるんじゃない? ──ま、考えるのは本当に現れた時からでもいいとは思うけどね~♪」

 

「ウォロロロ……!! それもそうだ!!」

 

 光月の話に花を咲かせる私とカイドウ。光月おでんを殺してワノ国を完全に支配下においてもう10年。オロチはまだビビっているが、国内の状況は彼らにとってとっても悪くなっているし、やってきたとしても負ける気はしない。

 なんなら待ち遠しいくらいだと、私は酒樽を持ち上げながらその楽しみに酔いしれた。




アーロン→残虐度20%マシ(当社比)
ホーディ→食用鮫その2
スパンダム→ハジケリスト
ドレスローザ→おや……? スカーレットの様子が……?
侍→ショーのゲストとキングの拷問で
狂死郎→ササキと友情ごっこ。いずれワノ国の歴史を教えてやると鬱憤を募らせる
ササキ→ここ10年で最高の当たり年(酒) 狂死郎とは仲良し。教えられる側
ドフラミンゴ→挨拶兼営業に来た犠牲者。ジョーカーの代理人に。カイドウとぬえちゃんに気に入られてはいる(部下として)
カイドウ→酒乱の時は話が通じない。
ジョーカー→仕事が楽になって気分爽快
ぬえちゃん→今日もアイドルしてて可愛い。

こんな感じで。ドフラミンゴと取引しました。原作10年前は悲劇の年かってくらいイベント目白押しやね。さすがに全部は混ざれないね。
次回はまたワノ国か、それとも民衆の意志か。お楽しみに

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