今回は若干シリアスとなってます。
また文字数も1万文字超えですので目を休めながら読む事をおススメします。
それとアンケートは今回で締め切りとします。
アンケート結果としては以下の通りとなりました。多くの投票ありがとうございました。
(23) 読み易い
(24) 普通
(2) 読み辛い
(1) 読むのが苦痛
「……此処が四宮家の別邸か。ネットの記事で見た事はあるが、実際に見ると凄みがあるな」
「うん。この家だけ、明らかに周りと空気が違うわね」
都心の住宅街。その一角に四宮家の別邸は建っていた。西洋風の屋敷に小さな公園が入る程の広い庭。何より際立つのが、鉄製の門である。高さもさることながら、左右に立つ柱もまた威圧感を訪問者に与えている。暫し圧倒されていた二人だが、いつまでも立ち尽くしていても埒が明かない。一呼吸吐いてから鷺宮は来訪を知らせるべく、備え付けてあるインターホンに手を伸ばす。
「…どちら様です? この屋敷に何の御用でしょう?」
「突然の訪問、大変申し訳ございません。私、四宮さんの同級の鷺宮と白銀です。今日は四宮さんの見舞いで来ました」
「かぐや様の同級生ですか? 少々、お待ち下さい」
鷺宮がボタンを押す前にインターホンから声が聞こえてきた。どうやら、屋敷の人達は自分達の来訪に気付いたのだろう。機械の先から聞こえる声は警戒の色が感じ取れた。それは無理も無い事だ。見ず知らぬの人が門の前に立ち尽くしていたら、怪しいと思うのは当然である。
「お待たせしました。ご本人様と確認が取れましたので、どうぞお入りください」
数分後、先程と同じ人がインターホンから話しかけてきた。恐らく自分達が言った事が事実であるのかを確認していたのだろう。そして疑いは晴れた様で、応対する人の声に警戒の色は無かった。それと同時に大きな門が音を立てて開く。恐る恐る進みながら、二人は敷地の広さに改めて驚いた。
「外観もそうだが、敷地の中も凄いな」
「同感。この場所だけ、何か日本と違う感じだよね」
色鮮やかな花が植えられた花壇に噴水。傍には手入れをする職人の姿もあった。目に入る全ての物に圧倒されながらも敷地内を進んでいくと二人は玄関に辿り着く。そこには一人のメイドが待機しており、白銀達の姿を見るや、スカートの裾を掴み恭しく頭を下げて来た。洋式の挨拶だけでなく、本物のメイドの姿に白銀達は唖然とする。
「ようこそお越し下さいました!! 私、四宮家に仕えるメイドのスミシー・A・ハーサカと申します。此度は四宮家当主に代わり、御二人を歓迎いたします」
「あ、こちらこそ。ご丁寧にどうもです」
「本日はかぐや様のお見舞いに来られたとお伺いしました。それ故、かぐや様のお世話を担当する私が対応させていただきます」
「それなんですけど、急な訪問でご迷惑でしょう。それに四宮さんの体調も心配ですし、届け物を渡してくれるなら此処で私達はお暇しますよ」
用件を尋ねるハーサカに鷺宮は手荷物を掲げて、その旨を伝えた。単純な話、風邪で寝込んでるかぐやを心配しての事だが、慣れない雰囲気の場所から一刻も早く帰りたいというのが本音である。それは白銀も同じらしく、鷺宮の意見に頷いていた。
「いえ。それには問題はありません。寧ろ、お二人が来てくれたと知ればかぐや様も元気になるでしょうから」
しかし、二人の考えをハーサカは見抜いている。その退路を塞ぐ様にハーサカは言葉を紡ぐ。そわそわと落ち着かない様子を見れば、一目瞭然だ。それに此処で帰せば、自分がかぐやの面倒を見なくてはならない。風邪を患いたかぐやは普段よりも手がかかる。二人が来るまでの間、同じ本を何度も読み聞かせたり、度重なる我儘に翻弄されていた。要はこの二人をかぐやの当て馬にするつもりである。
強引に招き入れた後、ハーサカは二人をかぐやの部屋まで案内する。その道すがら、二人は変わらず屋敷のあちこちに視線をやっている。廊下には綺麗な絵画や高そうな壺などの調度品が飾られていた。ハーサカにしてみれば見慣れた光景だが、二人にとっては珍しいのだろう。この様子が何処か新鮮で気付けば、ハーサカの口に笑みが浮かぶ。
「こちらがかぐや様のお部屋です。かぐや様!! お客様がお見えです」
部屋に着き、ドアを開けると中の惨状に三人は言葉を失った。部屋の到る所に物が散乱し、足の踏み場が無い程である。そんな三人をかぐやはボーっとした様子で見つめていた。
「こらっ!! 何をしてるんですか~」
「だって、無いんだもん。花火!!」
「花火!? いいから大人しくベッドに戻って下さい」
ハッと我に返ったハーサカはかぐやを一喝すると、愚図る彼女の手を取りベッドに戻した。この光景に白銀と鷺宮は呆然とする。普段は冷静で知性的な面影はすっかり消え失せ、今のかぐやはまるで幼い子供そのものだった。この屋敷に訪れてから何度も驚く場面はあったが、この事が今日一番の衝撃だと二人は感じていた。
「うう~。花火ぃやりたいよぉ。どうして邪魔するのぉ~?」
「どうしても何も今は風邪を患いているでしょう。夏休みに入れば、花火は出来ます。なので今は我慢して大人しく寝て下さい」
「いやぁ~ 花火するぅ……。早坂のいじわるぅ」
(あれ?今、四宮さんは早坂って言った? 確か、あの人。名前はハーサカさんだったわよね。ハーサカ……!! そうか。早坂を伸ばした名前だ。何で気付かなかったのよ。そういえば、あっちゃんと四宮さんの関係は周囲に秘密にしてたわね。今日は白銀くんがいるから態々、名前を変えて変装をしてる訳か。色々と大変だなぁ)
偶然、かぐやが漏らした言葉が聞こえた事でハーサカの正体に鷺宮は気付いた。その際、白銀も今の言動を聞いたのではと不安を抱いて、白銀に視線をやれば本人はかぐやの部屋に来た事で緊張が限界に近いのだろう。キョロキョロと世話しなく視線を動かし、心此処にあらずと言った感じである。
その事に鷺宮はホッとした。もし白銀が先程の言葉を聞いていたら、彼も何かしら違和感を抱いたかもしれない。此処で尋ねる事はしないだろうが、かぐやが快復して学校に来た際、この事を尋ねる可能性もある。勿論、かぐやは上手く誤魔化すであろうが、そうなれば攻め手を変えて見舞いに同行した鷺宮に探りを入れてくる事も考えられる。当然、迂闊に情報を与えるヘマを鷺宮もしない。
しかし、その行動で白銀は疎外感を与えてかぐやとの人間関係に亀裂が入るのは確実。そうなれば、恋愛にも支障を来たすだろう。この最悪の展開を想像して、白銀が先程の言葉を聞き漏らしてくれたのは非常に運が良かったといえる。
「それよりもお客様がお見えですよ。かぐや様を心配してお見舞いに来てくれたんです」
「お客様…? 誰なの?」
ハーサカに言われ、視線をずらすとベッドの脇に立つ白銀と鷺宮の姿がかぐやの視界に入る。暫し無言で見つめるかぐやだが、来客の人物が把握出来るとその顔が驚きに染まる。
「かいちょうとさぎのみやさんだぁ。どうして此処にいるの? 二人とも、今日からうちに住むのぉ~?」
「いや、住まない。住まないから」
「……ハーサカさん。これはどう言う事? 何で四宮さんは幼児退行してるの?」
「それはですね。熱による反動です。風邪を患くとかぐや様はいつもこうなるんですよ」
ハーサカ曰く。普段は理性が働いている為、知性的な行動と言動を取るかぐやであるが、今は熱に浮かされ理性が働いていない。それ故に心の奥底に封印されている欲望が前面に出ている状態。すなわち”アホ”になると説明してくれた。
「実質、今のかぐや様は起きていますが…夢の中にいるのと同じなんです。なので風邪が治った時には今の記憶は綺麗さっぱり忘れていますよ」
「…夢の中ね。この事を覚えていないのは救いかもしれないわね」
「ああ。そうだな。俺もこうなった時を覚えていたら、舌を噛んで自決するぞ」
頬をぺシペシと叩きながら告げるハーサカに二人は思い思いの言葉を口にする。かぐやの知らない一面に妙な空気が部屋に漂っていた。
「さて、私はそろそろ仕事に戻らないといけません。お手数ですが、白銀様はかぐや様の付き添いをお願いします」
「お、俺がですか!? それは構いませんが、鷺宮はどうするんです? 男の俺が一人残るのも問題あるのでは」
「鷺宮様には別途、お話したい事がありますので。それに白銀様の事は信用していますから」
「そうですか。そういう事なら任されました」
面と向かって信用すると言われたら、ハーサカの頼みを断る訳にもいかない。それに別段、変な事をするつもりもない。ベッド脇に置かれた椅子に腰掛けて、唸るかぐやに目を向ける。そんな白銀の姿に悪戯心が湧いたのか。ハーサカは立ち去る間際にぽつりと呟く。
「あ、この部屋に3時間は誰も来ませんし、この部屋は完全防音だから音が外に漏れる心配は無用です。故にお二人に間違いがあっても、周囲にそれがバレる事はありません。ですから、変な真似しては駄目ですよ」
「し、しませんよ!! 何を言ってるんですか」
「おまけにかぐや様の記憶は残りません。絶対に絶対に変な事しては駄目ですよ~」
「だから、しないってのっ!! 早く仕事に戻ってくださいよ」
ニヤケながら弄るハーサカに堪らず白銀も語気を強めて言い返す。それに満足したのか。ハーサカは呆れた様子の鷺宮を伴い、部屋をあとにした。
「…それでいつまでハーサカさんを演じるの? もう隠す必要は無いよね」
「やっぱり気付きましたか。まあ、誰が聞いてるか分かりません。私の部屋に行ってから話しましょう」
「分かった。そういえば、あっちゃんの部屋とか興味あるわね」
「別に変った物は無いですよ。それと私の部屋には四宮家に関する重要な書類もあるので、下手に触れないで下さいね」
早坂の部屋に興味津々な鷺宮に早坂はやんわりと釘を刺す。かぐやの近待のみならず、四宮家の別邸に仕える従者の長も務める早坂の部屋には、他人に見せられない機密が存在する。見た所で鷺宮が他言しないとはいえ、そこはメイドとしての矜持もある。
その意思は鷺宮にも伝わったのだろう。早坂の言い付けに首を縦に振った。その際、廊下の壁に掛けられてた一つの額縁が鷺宮の目に映った。そこに書かれている文字は妙な威圧感を感じさせる。
『四宮成らば
・人に頼るな。成らば使え
・人から貰うな。成らば奪え
・人を愛すな。成らばは無い
これこそが四宮たる人間の掟である。遵守し、四宮として生きるべし』
額縁に書かれていた四宮家の家訓。これを読んだ鷺宮は心が締め付けられる様な気持ちになる。
「四宮家の三訓ですか。鷺宮さんはこれを見て、どう思います?」
「分からない。だけど、これを見ていると心が締め付けられるというか、息が詰まる感じがするわ」
いつの間にか、足を止めていた鷺宮に気付いたのだろう。戻ってきた早坂は飾られた四宮家の家訓に付いて聞いて来た。その声はいつもより無機質な感じがして、ふと早坂に目をやれば彼女の表情はとても冷たかった。家訓を睨む眼には怒り、嫌悪感、そして微かな憎しみが宿っている。今までかぐやが見せる物と違って、初めて垣間見る人の濃厚な負の感情に鷺宮は気圧されていた
「……。ごめんなさい。そろそろ部屋に行きましょう」
「ううん。気にしてないから大丈夫よ。あっちゃんの部屋、早く見たいわね」
怯えた視線を向ける鷺宮に早坂は顔を背け、小さく謝罪の言葉を口にする。それに鷺宮も慌てた様子で言葉を返すが、重い空気を払拭するには至らない。ゆっくりと歩き出した早坂の後ろを無言で付いて行くしか出来なかった。
「今お茶を淹れて来るので待っててください」
「う、うん」
早坂の部屋に案内されてからも重苦しい空気は健在で、二人の口数も少なかった。お茶を淹れる為、早坂が部屋を立ち去った後、鷺宮は先程の家訓に付いて思いを馳せる。
(あっちゃんの様子が変わったのは、あの家訓を見てからだよね。あの時のあっちゃん。まるで別人のようだった。そういえば、あっちゃんは小さい頃から四宮家に仕えて来たと以前に言っていた。という事は少なからず四宮家の裏側も知ってるという事よね? それにしてもあの眼は異様だった。今思い出してもゾッとする。四宮さんが時折見せる表情が優しく感じる程、あの眼は…とても怖かった)
「お待たせしました。一応聞きますけど、部屋を物色してませんよね?」
「してないわよ。見られたら不味い物があるって言ってたでしょ」
鷺宮が物思いに耽っていると、淹れ立ての紅茶を手にした早坂が戻って来るや。部屋を荒らしてないかと軽口を叩く。そう言う早坂の顔は笑っており、先程までと様子は変わっていた。気付けば、重い空気も消えており、これが早坂の気遣いだと知った。
「それは良かった。この部屋には、機密以外にも秘密がありますからね。りっちゃんに知られたら弱みを握られそうですから」
「…そんな物があるの? それだったら、物色して置けばよかったわ」
「ふふふ。そう簡単に見つかる場所に置いてませんよ」
お互いに笑いながら、冗談を言い合いながら二人はくすりと笑う。そして美味しい紅茶に舌鼓を打ちながら二人は時間を潰す事にした。学校で女子の間に流行っている物、学校で起きた面白い話、果ては四宮家の別邸で過ごすかぐやの話など。他愛ない会話で盛り上がっていた。
そして時間はあっという間に過ぎ、話題が無くなる頃。早坂は一呼吸吐いてから、とある話題を口にした。
「りっちゃんは…今日のかぐや様を見て、どう思いました? 素直な感想を仰ってください」
「今日の四宮さん? そうね。率直に言うなら、子供そのものって感じかな」
「やはりそう思いますか。そうですよね。普段のかぐや様を知ってる人なら当然の事でしょう」
「……あれって、言いたくないけどさ。廊下にあった家訓が何か影響してるの?」
言うべきか迷った鷺宮であるが、敢えて触れる事にした。その言葉に早坂は深く頷いた。何となく、そんな気がしていたのは鷺宮も理解している。暫し、無言が続いたが覚悟を決めたのか。早坂は静かに話し始めた。
「今日、貴女が見たかぐや様は紛れもなく、あの子の本来の姿ですよ。いえ、正しくはあの家訓に因って心の奥底に押し込められた一面という方が適切ですね。無論、普段のかぐや様も同じです。家訓で様々な事を犠牲にしても、耐えて己の一部として来た訳ですから」
「それで普段は隠していた面が、弱った時に出てきたのね」
「ええ。小さい頃から”かぐや”という人でなく、四宮として扱われて来ました。本当なら友達と遊ぶ事や出かける。そんな普通の事さえ、殆ど知らないで生きて来たんです。それどころか、実の親や兄弟ともまともに接した事はありませんよ。あの家が必要としてるのはあくまで四宮たる人間だけです」
唇を噛み締めて語る早坂を鷺宮は黙って見つめる。由緒正しい家柄ほど、戒律や仕来りも厳しくなる物だと頭では理解している。だけど、実際に聞くと厳しいで済まない話だ。凜とした素顔の裏でどれ程の重圧があったのだろう? それを想像して鷺宮は心が押し潰されそうになった。
「本当ならこの話は他者にするべきでありません。だけど、私が信用する貴女だから話したんです。言わずもがなですが、他言は決してしないでください」
「勿論よ。約束する」
「ありがとう。さて、それではかぐや様の部屋に行きましょう。流石にこれ以上、あの我儘な子を会長に任せる訳にいかないですしね」
早坂の言葉で鷺宮は白銀の事をすっかり忘れていた。そういえば、一緒に見舞いに来たんだったと此処に来て思い出す。そして再び早坂の案内でかぐやの部屋の前に来た時。
「一体、私の部屋で何をしてるんですかぁっ!! しかも一緒のベッドで寝るなんて非常識にも程がありますよっ!!」
「ち、違う。それは四宮が俺をベッドに引きずり込んだからで…俺は何もしていない。本当だぁ!! 信じてくれぇ」
「黙りなさい!! この後に及んでそんな嘘を吐くなんて…最低よ。変態、馬鹿ぁ~~。早く私の部屋から出て行ってぇ!!」
「俺は何もしてないのにぃ~。誘惑に負けず耐えて頑張ったのにぃぃぃぃぃ!!」
かぐやの怒鳴り声と騒々しい物音がした後、部屋から飛び出てきた白銀は外にいる鷺宮と早坂に目もくれず脱兎の勢いで廊下を走り去る。悲痛な思いを叫びながら…。
「…今回も駄目だったみたいですね」
「何が起きたか。大体は想像つくけど、流石に白銀くんが不憫だよ。私も今日は帰るわ。今、四宮さんの前に顔出すと余計に拗れそうだし…」
「そうですね。かぐや様は私が宥めておきますので、りっちゃんは会長をよろしくお願いします。玄関はそこの角を右に曲がればすぐですから。もし、会長が屋敷で迷っていたらついでに回収しておいて下さい」
「了解。それじゃあ、またね」
別れの挨拶をして、鷺宮はその場を立ち去った。その後。案の定、屋敷を迷っていた白銀を回収し、落ち込む白銀を慰めながら帰宅の途に着いた。
かくして四宮かぐやの見舞いは、重い事実と白銀の涙を以て幕を閉じた。
修羅場
そもそもの由来はインド神の帝釈天と阿修羅が争った場所を示す言葉である。だが、この現代においては別の意味で使われている。 一つは仕事や原稿の締め切りに追われる者の姿。もう一つは人間関係の険悪を現す場合である。
「俺が良いって言ってるんだから、いい加減に大人しく言う事を聞いたらどうだ?」
「その言い方は何ですか!! 私は会長の事を思って言ってるんですよ。会長の方こそ、私の言う事を聞くべきでは無いですか?」
生徒会室で起きた事件。それは白銀とかぐやの喧嘩。普段は良好な人間関係を築く二人であるが、この日ばかりは顔を突き合わせ、互いの意見をぶつけ合っていた。
何故、二人が喧嘩するに至ったのか。それは二つの出来事が原因である。一つは数日前、四宮家の別邸で起きた白銀に寄る同衾事件。この騒動は後にかぐやの誤解であり、白銀は無実だと証明された事で解決となった。しかし、かぐやは未だに納得がいかない事がある。例の事件が無実だと証明されたとしても、実は密かに不埒な行為をされたのではないか?と疑いの目を向ける一方。逆にされてないのであれば、それはかぐやに魅力が無い為、手を出すに値しないと宣言されたに等しい。これにかぐやは女として不満を覚える。
だが、その様な思いは白銀に理解される事はない。白銀にしたら、かぐやの言い分は理不尽そのものだった。確かに不慮の事故とはいえ、同じベッドで寝た事は事実だ。それでも鋼の如く、自制心で耐えた事も事実である。何度、説明しても疑いの視線を会う度に向けられるのだから、白銀も溜まったものではない。
これだけならば、時間が解決するのだが…更に事態をややこしくさせたのが校長の差し入れだった。職員室に処理した書類を届けた際、偶然にも出会った校長からケーキが入った箱を渡された。その時は特にお礼を言って持ち帰ったはいいが、中に入っていたのは三人分。あとから訪れた石上の分が含まれていなかったのである。
「たったの三つか。校長もどうせなら人数分くれたらいいものを。全くこういう所が気が利かないよな」
「まあ、校長も私達の行動を把握してるわけじゃありません。それに丁度良く三人分です。ケーキを半分にすれば、石上くんの分も確保出来るから問題は無いでしょう」
「いや。俺の分を食っていいぞ。態々、面倒な事をする必要もあるまい」
人数分、ケーキが行き渡るように提案するかぐやに白銀は自分の分を石上にあげる様に意見した。元よりケーキを食べる機会が無い白銀にとって、別に未練など微塵もない。それに後輩である石上に我慢を強いて、自分が食べる訳にもいかない。石上も白銀の好意を素直に受け止めて、ケーキを食べ始めた。
普通ならこれで話は終わる筈だった。しかし、此処でかぐやはある決断をした。それは白銀がそうした様に自分のケーキを白銀にあげる事。普段であれば、白銀を意識させる算段を籠めての行動を取るであろうかぐやだが、この時ばかりは紛れもなく親切心からの行動だった。
「いや、別に気にしなくてもいいぞ。遠慮なく食べろ。折角の差し入れなんだからな」
「それなら会長が食べるべきでは? 校長も会長の学園に対する貢献のお礼としての事でしょう。そうであれば、会長が差し入れのケーキを食べないのは失礼ではありませんか」
「大袈裟だな。校長もそこまで考えていないと思うぞ。いいから早く食べてしまえ。まだ仕事はあるんだからな」
「いいえ!! これは会長が食べてください。そうするのが礼儀と言うものでしょう」
「諄いぞ四宮!! それに差し入れを食べないだけで、何で礼儀元々を言われないといけないんだ」
「…はぁ~!? 諄いって何ですか?諄いって。折角、親切で言ってるのにそんな言い草は無いでしょう」
徐々に白熱する言い合いに件の石上は縮こまっていた。既にケーキは食べ終わっている為、最早返す事も出来ない。当の鷺宮も自分の分は完食している。このまま終わる気配が無い口論を止めるべく、鷺宮が二人の間に割って入った。
「二人共。少しは落ち着きなよ。それにケーキを押し合っている方が礼儀として駄目でしょ。とりあえず、二人が食べないならそのケーキをこっちに渡してよ」
「ほら。鷺宮がケーキを渡せと言ってるぞ。どの道、食べないなら欲しい人に渡したらどうだ?」
「横から何ですか? 鷺宮さんは既にケーキを食べたでしょう? それでいて、まだ食べるんですか? 糖分を過剰に摂取したら太りますよ」
「余計なお世話よ。面と向かって太るって、よく平然と言えるよね。まあ、四宮さんには太っても目立つ物が無いからね。悩みが無くて良いわねぇ」
無論、ケーキを食べたいが為でなく余ったケーキを食べないなら藤原にあげる為、冷蔵庫へしまう。そう考えての発言だった。しかし、言葉が足らず。かぐやは鷺宮が食べるから寄越せという意味で捉えてしまう。冷静に考えれば、分かる事であるが頭に血が上がっている今のかぐやには、鷺宮は白銀に対する親切の邪魔をする不躾者でしかない。
これに鷺宮もかぐやの言葉に怒りを覚える。確かに言葉が足らず、言いたい事が伝わらなかった事は事実だ。だからといって、自分を貶める言葉を言われる筋合いは毛頭ない。それもあり、鷺宮も貶める発言をしてしまう。言った後でしまったと思っても後の祭り。先の発言で更に不機嫌になったかぐやも言い返し始める。因みに石上はかぐやと鷺宮が口論を始めた瞬間に生徒会室から逃げ出していた。無論、誰もそれに気が付いてはいない。
「…それは私の体型が幼稚だと仰りたいのかしら? 貴女こそ、人の体によくケチを付けれますね。大体、大きいから何だと言うのですか? それが一体何の役に立つのか私に教えてくれるかしら?」
「そ、それよりも何でケーキをそこまで拒むの? 何か理由があるんでしょ?」
売り言葉に買い言葉とはいえ、失言で怒り心頭のかぐやに恐怖を感じて鷺宮は話を逸らす事にした。未だギラギラと睨むかぐやを視界に入れない様にしながら、白銀に問い掛けた。
「ああ。それは去年の事だ。まだ生徒会に入ったばかりの頃、四宮と話した時…」
白銀は当時の事を思い出しながら、静々と話し出す。
『なぁ。四宮、お前って何か趣味とかあるのか?』
『ありませんよ。あったとしても貴方に関係あるんですか?」
書類を処理しながら会話を持ち掛けるが、当のかぐやは冷たく突き放す。本来なら、此処で会話は途切れてしまう所であるが、かぐやの事を知りたい気持ちが勝り白銀は諦めず会話を続けた。
『別に無い。だけど、少しくらい四宮の事を教えてくれてもいいだろう? まさかとは思うがお前はそんな風に毎日を過ごすのか?』
『余計なお世話ですよ。何で私の事を貴方に教えないといけないんですか?』
『気になるからな。例えば、四宮が好きな食べ物は何だろう?とか知りたいと思うはおかしい事じゃないぞ』
『……ショートケーキ。それが私の好きな食べ物ですよ』
白銀の言葉にかぐやは珍しく素直に答える。その時に見せたかぐやの表情を白銀は今でも覚えていた。その事を白銀は面前で晒した。これを聞いて鷺宮はチラッとかぐやを見た。思いも寄らぬ一面をまたもや知る事になるとは思っていなかった。本人もその事を覚えているのだろう。若干、頬を赤く染めて顔を逸らしていた。
「そういう余計な事だけは覚えているんですね。だけど、私も会長に言いたい事がありますよ」
そして平静を取り戻したかぐやが反撃に出る。白銀の顔を見ながら、かぐやはある事を白銀に突き付ける。それは去年の冬。クリスマスを直前に控えた時の事。
『そういえば、世間ではもうすぐクリスマスですね。会長は何か予定があるんですか?』
『いや。別に予定は無いな。まあ、あるとしたらバイトくらいだな』
この頃は以前よりも棘が取れ、かぐやは自ら人と接する様になっていた。そんな変化もあって、今では白銀との会話も自然と増えていた。また密かに白銀を意識し始めたかぐやは何気なく、白銀の予定を聞き出す。しかし、白銀の返事はかぐやは残念に思いながら言葉を返す。
『バイトですか。折角のクリスマスなのに大変ですね』
『そうでもないぞ。俺にすれば、クリスマスは平日だからな。朝になれば、親父から図書券が貰えるだけ。それにケーキを買う余裕も無いから食べる事もない。世間では楽しく過ごすだろうが、俺には関係ない事だよ』
白銀は平然と話しているが、聞いているかぐやの表情はとても暗かった。元より裕福な家庭ではないと、小耳に挟んではいた。だが、それでも特別な日には楽しく過ごすと思っていたからだ。そんな白銀の状況を知らず、浮かれていた事をかぐやは反省した。
「それを知った時、私はとても悲しかったんです。だから会長には思う存分、ケーキを食べて欲しいんです」
「……白銀くん。そんな事情があったんだ。そっかぁ~。四宮さんがケーキを食べさせようとしたのはそれが理由なんだね。ごめんね。今まで気付かなくて」
「同情なんていらないから!! 寧ろ、それをされると余計に惨めになるから止めろぉぉぉ!!」
かぐやの口から語られた事実に鷺宮も同情の眼を向ける。何故かぐやが白銀にケーキを与えようとしたのか、理由もこれで分かった。だが、同情された挙句。ケーキを譲られても嬉しいと思える訳がない。当然、白銀が拒否する気持ちが強くなる結果となった。
一向に進展しない押し問答が面倒になった鷺宮はある提案を二人に持ち掛けた。
「どうしても譲らないならさ。いっそ、二人で食べさせ合えばいいんじゃないの? そうすればお互いが食べた事になるんだし、丸く収まるでしょう?」
「そうですね。このままでは埒があきません。今日だけは私があーんしてあげますよ」
「いいだろう。ならば、俺が四宮にあーんしてやるよ。それでお相子だ」
(え?本当にやるの?私がいるんだよ。それなのにお互いにあーんするのかぁ。ちっ、二人して色ボケやがってさ。大体、ケーキなんて誰が食っても同じだろうに。態々意地張って何の得があるんだよ。それに気付いたら石上くんもいなくなってるし、全く逃げ足だけは早いのよね。あーあ。何だか馬鹿らしくなってきたなぁ。二人を放置して帰ろうかしら?)
鷺宮の意見に賛同したかぐやがフォークでケーキを掬い白銀の口に運んでいく。白銀も同じくケーキを掬い、かぐやの口へと運んで行った。その光景を鷺宮は今までにない程の冷めた目で見つめる。自分が提案したとはいえ、まさか本当に実行する二人に毒吐いていた。しかし、騒動が解決に向かいホッとした時だった。
「仲良し警察です!! 石上くんから聞きましたよ。喧嘩してる悪い人は何処ですか? そんな真似、私がいる限り許しません」
突然、現われた藤原に鷺宮は驚いた。藤原の言葉を聞く限り、石上に呼ばれて白銀達の喧嘩を止めるべく来たのだろう。本来であれば、仲裁役が増えた事は喜ばしい事だ。それでも鷺宮は安堵ではなく、不安を感じていた。何せ、今まで場を掻き回す実績はあるが解決に至った事は殆ど無い。案の定、藤原が行った仲裁方法。それは二人が持つケーキを頬張る事であった。確かに喧嘩の原因がケーキなのだから、この行動は間違いではない。そう…解決に向かっている状況でなければ。
「
藤原によって、確かに二人の喧嘩は収束した。だが、結果として根本的な問題は何一つ解決はしていない。この問題はまだ尾を引きそうだと鷺宮は人知れず、溜息を吐いた。
【本日の勝敗 仲直りに失敗した白銀とかぐやの負け】
「鷺宮、石上。相談があるんだが、今大丈夫か?」
「相談? それは良いですけど、僕で助けになるんですか?」
「ああ。寧ろ、二人の意見を聞きたいからな。聞いてくれると助かる」
「まあ、白銀くんが頼るのは珍しいからね。私も協力するわ」
「ありがとう。とりあえず、人気の無い所に行くか」
相談を持ち掛けてきた白銀に石上と鷺宮は快く首を縦に振る。唐突な頼みに驚きはしたが、普段世話になってる白銀の頼みだ。断る理由も無い。二人にそう思わせるのは、単に白銀の人徳が高さ故だろう。三人は生徒会室から中庭に場所を変えて相談に応じる事になった。
「それで相談って何? まさかとは思うけど、お金を貸してとかだったら断るよ」
「え? そうなんですか? だとしたら、僕は力になれませんよ」
「違うから!! 確かに貧乏だけど、そんな事を人にお願いする訳ないだろう」
鷺宮の言葉に白銀は強く否定した。鷺宮の言葉を信じたのか。心なしか石上の視線が冷たいと感じるのは気の所為ではないだろう。無論、石上も本気にしている訳ではない。だが、何とも生々しい冗談という事もあり、半分はお金の無心をされるのではと石上は思っていた。
「分かってるよ。改めて聞くけど、相談はどんな事なの?」
「…揶揄うのはやめてくれよ。それで相談の内容だが、俺の知人の話でな。何でも知り合いの女の子と喧嘩した様で仲直りしたいと言われたんだ。俺としても助けになりたいが、そういう経験は無いからなぁ。どう答えていいのか分からない。だから、二人の意見というか。知恵を借りたいんだよ」
「…その言い方だと、僕としては会長の事の様に聞こえますよ」
「うん。現に私の周りでも似たような事があったからね」
「ははは。まさかまさか…。似たような話はあるもんだ。これはあくまで知人の話だよ」
苦しい言い訳だ。棒読みで喋る白銀に鷺宮は冷めた目を向ける。事情を知っている分、尚更そう感じていた。事情を知らない石上も白銀の様子を見て、横目で見る視線に呆れの色が浮んでいた。只、世話になっている人ゆえに口にする事はない。これが藤原だとしたら、遠慮なく突っ込んで凹ませていただろう。
「女の子と喧嘩ねぇ…。具体的に何があったの?」
「俺が聞いた話では、その子の家に訪問した時。相手の子は病欠で臥せっていてな。看病をしていた最中、寝ぼけていたその子がベッドに引きずり込んだらしい。これに一時は理性が飛びそうになったらしいが、知人は必死になって邪な気持ちを抑えて耐えたそうだ。当然、目覚めた後でその事を責められたけど、この出来事は誤解だと分かってくれた。だけど、その事件が尾を引いてるらしく、今でもその子とはギクシャクしてるそうで知人も大分悩んでいた。だから何とかしてやりたいんだよ」
相談の内容を語る白銀の言葉はいつになく真剣だった。あの出来事が不運な事故だというのは、鷺宮も理解している。しかし、女性という目で見ればかぐやの気持ちも分かる。仮に自分が当事者としたら、やはり引き摺るだろう。誰も悪くないだけに鷺宮も何と言っていいのか。掛ける言葉が浮ばない。
「はぁーーーー。何すかそのクソ女はぁ!? クソオブクソじゃないですかぁ」
だが、それは鷺宮の場合である。裏の事情を知らない石上は別の感想を抱いたようだ。男の視線で語る為、必然的に件の女子に対して厳しい言葉が飛び出てくる。
「第一にその子がベッドに引き摺り込んだんですよね? それなのに相手を責めるとか頭がどうかしてますよ。それ以前にモラルが無いっていうか。その女、絶対面倒な性格してますよ。大方、黒髪貧乳かつ無駄に頭が切れるタイプにありがちですね」
「ま、まぁ。その時は病気だったようだし、その女の子も故意でやった訳じゃないでしょ」
「どうですかねぇ。本当は狙ってやったと思いますよ。表では清楚な振りしてる人程、裏ではえげつない事をしてる物ですよ」
(凄い。全部合ってる。もしかして石上くん。全部分かった上で言ってるのかな? 意外と鋭いし、少し注意しないとその内、四宮さんが白銀くんに好意を抱いてる事がバレそう)
勿論、石上の発言は自身の経験則に乗っ取った物である。だが、言葉の内容の全てがかぐやに当て嵌まる事が殆どだった。これによって、鷺宮は石上の洞察力に些か警戒心を覚える。下手をしたら、かぐやと白銀の事だけでなく、鷺宮がかぐやに協力している事も気付かれると思ったから。
「いや、どんな事情があったとしてもだ。やはり男が流されるべきで無かったのかもしれない。その後の事もそうだ。その子に何もしていなくとも、面と向き合う事が出来ていたら…仲直りも早く出来ると思っている」
「うるせぇバーカぁぁぁぁぁ!! 会長、その事で件の男は相手に謝ったんですよね? だとしたら、もう気にする必要ありますか? いいえ。ありません。第一、過ぎた事をいつまで引き摺ってるんだって、話ですよ。一体、誰なんですか? その油汚れの様にしつこい女は? いっそ僕がその男の変わりにビシって言ってやりましょうか?」
「それはやめとけ。お前が悲惨な事になるぞ」
「うん。それに当人達だけで解決するしかないもの。助言はしても介入はやめよう。絶対に!!」
話を聞いている内にヒートアップした石上は感情のままに言葉を口にする。普段と違って、勇ましさを見せる石上であるが、これを有言実行をした場合。どうなるかは火を見るより明らかである。その為、白銀と鷺宮は無謀な事をしない様、石上を諭した。
「確かに関係ない僕が出て行っても意味が無いですよね。鷺宮先輩の手前、こう言うのもあれですが…女子って妙な所で怒るじゃないですか。結局の所、ほとぼりが冷めるのを待った方が良いと思いますよ。別に男側にやましい事が無いのならこれ以上、謝る必要は無いですよ。どの道、男が女の全てを理解するのは無理ですから」
「やましい事か」
石上の言葉で白銀はある事を思い出した。それがやましい事に当たらないと思うのは、男側の考えだ。女からしたら、それはやましい事に十分当て嵌まるだろう。ならば、どうするべきか?その答えは既に白銀の中に出来ていた。あとは本人にそれを伝えるだけ。白銀はゆっくり立ち上がると二人に感謝の言葉を口にした。
「二人共、今日はありがとう。おかげで知人の悩みも解決しそうだ」
「はい。別に対した事はしてませんよ。それでも助けになったなら良かったです」
「そうね。困った時はお互い様だもの。今から知人に会いに行くの?」
「ああ。そのつもりだ。早い方が良いからな。それじゃあ、俺は行ってくるとしよう。二人共、また明日な」
「はい。また明日」
「上手く行く事を祈ってるよ。心から本当に!!」
何かを決意した白銀を見送った後、石上がぽつりとつぶやいた。
「会長って、嘘が下手な人ですよね。本人の手前、言えなかったですけど…」
「やっぱり分かるよね。まあ、相談内容は昨日の喧嘩だもの。気付かない方がおかしいわね」
「何にしても、仲直りが上手く行く事を願ってますよ。あの二人が喧嘩してると周りも大変ですし、何より怖い」
「…君は白銀くんと違って素直よねぇ。大丈夫よ。いざって時はやる人だからね。多分…」
「多分って言いましたよね? 今、多分って。それを聞くと凄い不安を感じますよ」
「二人だけならね。只、その場に藤原さんがいたらどうなるか分からないわ」
「ああ~。あの人、場を引っ掻き回すだけであとはそのままですからね。性質が悪いったらありゃしないですよ」
何かと首を突っ込んでは荒らすのが藤原。本人としては善意で行っている分、責めようにも責められない。それでいて、憎めない人なのだから余計に厄介なのだ。しかし、二人の不安は杞憂でこの日、白銀とかぐやは無事和解する事に成功し、生徒会は元通りになった。
【本日の勝敗 白銀の背中を押して仲直りをさせた石上と鷺宮の勝利】
今回のお話、いかがだったでしょうか?
原作でかぐやの事に触れるお見舞いの回。此処で鷺宮をどう動かすのか、少し大変でした。同じ部屋に居させると既成事実の出来事が無くなり、かぐやと白銀の仲が進展しなくなり、また鷺宮がかぐやの生い立ちを知る機会が無くなってしまう。
結果として上手く書けたと思いますが、多少は強引な展開になってしまったかもしれない。
次回から夏休み編に入ります。此処でもかぐやと白銀の仲が進展する重要な部分なので難しいけど、書くのが楽しみですね。
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