生徒会庶務は平穏に過ごしたい   作:アリアンキング

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最新話、お待たせしました。


今回は日常話の三本立てです。


第25話 藤原は挑戦したい/鷺宮は聴きたくない/鷺宮は一緒に食べたい3

 体育祭から数日後。

 秀知院では試験期間に入って、生徒達は皆一様に勉学に精を出していた。毎回、学年首位を狙う白銀は勿論の事だが、鷺宮も勉学に励んでいた。それはかぐやの順位を追い越す為である。以前の試験では僅差で負けてしまったものの。上位に組み込む学力があると分かって、勉強に取り組む姿勢が変化していた。

 

 

「鷺宮さーん。今日は一緒に帰りませんか?」

「良いわよ。丁度キリの良い所で終わったから」

「丁度いい? 何かやってたんですか?」

 

 

 

 呑気に聞き返す藤原に鷺宮は苦笑した。試験期間でも自然体で居られる彼女の姿は、今の自分に無い物だ。勉学に打ち込むだけでなく、時には力を抜くのも良いかもしれない。そう思った鷺宮は勉強を切り上げて帰り支度を始めた。

 

 

 

「そうだ。今度の連休ですけど、鷺宮さんは何か予定ありますか?」

「ううん。特に無いかなぁ。精々、家に籠って勉強か本を読むくらいかしらね」

「…余計なお世話でしょうけど、もう少し外に出た方がいいと思いますよ」

「そうね。自分でも分かっているけど、どうしても家で過ごす事が多くなるのよ」

 

 

 藤原の一言は鷺宮にとって、耳が痛い言葉であった。藤原の言う通り、自分はもっと外に出るべきなのだろう。しかし、元々インドア派の鷺宮は外の世界に興味が無かった。外に出てやるといえば、買い物か外食くらいである。その事情は藤原も理解はしていた。だが、此処で引かずに攻めるのが藤原という人間だ。今が好機と見た彼女はグイっと顔を近づけるとある事を口にする。

 

 

 

「ならば、今度出かけましょう。ほら、体育祭で約束したラーメン。二人で食べに行く約束もまだでしたからね」

「良いわね。そういえば、試験の事でその約束を忘れていたわ」

「…忘れてたんですか? 鷺宮さん、あんだけ食い付いていたのに」

「仕方ないでしょう。体育祭が終わって、すぐに試験期間に入ったんだから。それより、藤原さんは勉強しなくて平気なの? 前に順位下がった事で親に何か言われたとか、言ってなかった?」

 

 

 藤原の誘いに鷺宮は二つ返事で了承した。体育祭で藤原が言っていたラーメンの事を鷺宮はすっかり忘れていた。しかし、今は期末試験の期間である。遊んだ事で藤原の成績が下がる事を鷺宮は心配していた。

 

 

 

「ああ。それなら大丈夫ですよ。以前は成績の低下でお小遣いを減らされてましたけど、最近は将来の為に政治の勉強も始めたんです。お父様もそれが嬉しかったみたいで、お小遣いは普通に貰ってますからね」

「そうなんだ。そっか。藤原さんはもう将来の事を考えているんだね」

「まあ、本当ならもっと後でも良いって、お父様も言ってましたけどね。私自身、政治の仕事に興味があるので早い内に触れておきたいと思ったからですよ」

「成程ね。確かに早い内に触れておけば、その分野では有利になるものね」

 

 

 

 藤原の言葉を聞いて、鷺宮は自分の心配が杞憂だと知った。そして学校の成績に左右されず、自分の行く道を見据える藤原の姿が鷺宮には眩しく見えた。

 

 

 

「それにお父様に師事しておけば、いざ選挙に立候補した時にも有利になりますからね。外堀は今の内に埋めるのが定石ですよ」

「…そうね」

 

 

 ドヤ顔で語る藤原に鷺宮は冷めた目で見つめる。先程と違って、今の彼女は黒く淀んでいた。一瞬でも彼女を尊敬したのが間違いだったと、鷺宮は静かに溜息を吐く。

 

 

 

「あ、私の家はこっちですので此処で失礼しますよ」

「うん。分かった」

「そうそう。遊ぶのは今度の日曜にしましょう。待ち合わせは十時頃に渋谷の駅前集合としましょう。そいじゃまた~」

「ええ。気を付けてね」

 

 

 

 会話に興じている間に家が近い事に気付き、藤原は話を切り上げ家に向かって歩き出す。しかし、数歩進んだ所で藤原が振り変えり、言い忘れていた事を告げて去っていく。

 

 

 その姿を見送りながら、鷺宮も家路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 約束の日曜日。時間通りに駅前へ姿を見せた鷺宮。しかし、辺りを見回しても藤原の姿はない。どうやら、自分が先に着いた様だ。仕方がないと彼女が来るまでの間、鷺宮は近くのベンチに腰掛けて本を読む事にした。

 

 

 

 それから三十分程、待っていたが未だに藤原はやってこない。流石に痺れを切らし、鷺宮は藤原に連絡を入れようとスマホを出した時。

 

 

「遅くなってごめんなさい。出掛ける間際になって、お父様に捕まったんです」

「そうなんだ。まあ、私は気にしてないよ。それじゃあ、行こうか」

「はい。鷺宮さんと食べるラーメン。とても楽しみですよ~」

「うん。実は私も楽しみだよ。美味しいラーメン期待してるわよ」

「任せて下さい!! 鷺宮さんも一度食べたら、間違いなく嵌まりますから」

 

 

 

 自信満々に頷く藤原に鷺宮の期待も高まっていく。正直な所、本当に美味しいのか不安があったのだが、此処まで堂々としているのならこれから行く店は相当美味しいのだろう。逸る気持ちを抑えながら、鷺宮は案内する藤原について行く。

 

 

 

 

 その店は駅の近くにある様で、歩いて数分ほどして辿り着いた。看板の塗装が色褪せている所を見る限り、それなりに年季の入った店の様だ。一見、客が少なそうな感じであるが、こういう店が美味しい場合が高い。

 

 

 

「いらっしゃい!! 注文はそこの券売機からして下さい。選んだらお好きな席にどうぞ」

 

 

 中に入ると店主の声が店内に響く。予想通り、店にはラーメンを食べに来た人達が思い思いに食事を楽しんでいた。その喧噪の中、二人は注文の為に券売機の方へ向かった。陳列しているメニューには醤油、味噌、塩だけでなく豚骨や辛いラーメン等、バリエーションが豊富であった。恐らく若い人向けに考えられているのだろう。

 

 

 

 その中で特に目立っていたのが”辛さ地獄級!! 超激辛ラーメン”だった。これが気になった藤原は暫し考え込んだ後、このラーメンを食べる事にしたらしい。興味本位からだろうが、流石に心配になった鷺宮が言葉をかける。

 

 

「ねえ。本当にそのラーメンを食べるの? 止めた方が良いと思うよ」

「大丈夫ですよ。多少は辛いでしょうが、大抵は話題作りのメニューですよ。そうじゃないなら、人目に付かない様に隠す筈ですからね」

「…私は忠告したよ。どうなっても知らないわよ」

 

 

 

 忠告の言葉をかけるも、藤原は歯牙にもかけない様子で鷺宮の忠告を受け流す。こうなったら人の話を聞かないのが彼女の悪い所だ。しかし、藤原の言う事も一理ある。本当に危険なメニューであれば、確かに人目に付かない様にするだろう。敢えて宣伝するという事は食べても問題は無いのかもしれない。だけど、鷺宮は嫌な予感を感じていたが、それを口にする事は無かった。

 

 

 

「そういえば、鷺宮さん。ラーメン屋には良く行くんですか?」

「割とね。それがどうかしたの?」

「ほら、ラーメン屋ってどちらかというと男性が行く感じじゃないですか。無論、私は好きだからそういう人の目を気にしたりはしませんけど、鷺宮さんはどうなのかな?と思いまして」

「成程ね。まあ、私も気にする方ではないわね。というより、今の時代にその考えは少数の人だけと思うよ。最近だと、スイーツ専門店に通う男性もいるし、好きな物は男女関係無く食べる。現状はこんな感じね」

 

 

 藤原の言葉に鷺宮は気にしないと返した。一昔前ならそんな風潮もあったのだろう。しかし、現代で周りの目を気にして食べたい物が食べれない。これは今考えると、相当おかしいと思うのが鷺宮の主張だった。

 

 

 

 

「そこのお嬢さんの言う通りじゃよ。誰に気にする事なく、好きな物を食べればよい」

「え? は、はい。そうします。あと、お爺さんは誰ですか?」

 

 

 話が聞こえていたのか。傍に座っていた老人が鷺宮達に声をかけてきた。思わず返事をした藤原だが、我に返ると老人を警戒しながら、言葉を返す。

 

 

「おっとすまんの。儂は田沼尊彦。こう見ても昔はラーメン王と呼ばれた事もあるんじゃよ」

「へ、へえ。そうなんですか。お爺さんもラーメンが好きなんですね」

 

 

 

(この小娘。明らかに儂を馬鹿にしておるな。しかし、無理もないか。ラーメン王と呼ばれたのはこの子ら産まれる前の事。知らん子に話した儂も馬鹿じゃな)

 

 

「まあ、その事は良い。ところでお主らは何を注文したんじゃ?」

 

 

 気持ちを切り変えて、再び話を降る尊彦。最初は戸惑いがちの二人だったが、無視する訳に行かず素直に答えた。

 

 

「私は塩ラーメンですよ。隣のこの子。藤原さんから美味しいと聞いたので」

「ほう。塩ラーメンか。昨今、都内では提供する店も減っておるのう。悲しい事よ。して、そっちの藤原と言ったかの。主は何を注文したんじゃ?」

 

 

 次に尊彦は藤原に声をかける。正直な所、自分を馬鹿にした藤原の食べる物に興味は無いが、彼女を無視するのも大人気ない。

 

 

「私ですか? 私はこの店の名物。地獄の超激辛ラーメンを頼みました!!」

「何と…。お主もか。実は儂も同じラーメンを頼んだんじゃ。普通に楽しむのもいいが、やはり冒険する方が楽しいからのう」

「そうですよね!! やっぱり時に苦難の道も行かないと人生は面白くありません」

「ほほう。良く言うた。お主は意外と骨のある若者じゃな」

 

 

 

 いつの間にか意気投合する二人を鷺宮は見て思う。恐らく、自分だったら藤原の様に見知らぬ人と笑って話す事は出来ない。人への関心が薄い今の時代では特にそうだろう。藤原のこういう所を自分は見習うべきだと感じていた。

 

 

「塩ラーメンと超激辛ラーメン。お待たせしました。どうぞごゆっくり」

「おお~ 来ましたね。わぁ~ 湯気だけで辛さが伝わってきます」

「うむ。色も辛さを伝えておる。これは面白そうなラーメンだのう」

「…藤原さんもお爺さんも本当に食べるつもり? 止めておいた方が良いと思うわよ」

 

 

 

 藤原の言う様に立ち上る湯気で目が沁みて、尚且つ真っ赤に染まったスープは明らかに異常だった。頼んだ二人は余裕を見せていたが、一口食べると顔を歪めて二人は悶絶する。二人は滝の様な汗を流し、涙を浮かべていた。その様子からラーメンが如何に辛いのか。食べてない鷺宮にも分かった。

 

 

(言わんこっちゃない。だから止めた方が良かったのに…。一口でこの様じゃあ、完食なんて無理だろうし、大半を残す事になるでしょうね。あーあ、勿体無いなぁ)

 

 

 

 カウンターに突っ伏して、二人は襲い来る辛さに耐えた後、再びラーメンを食べ始めた。その事に鷺宮は驚いた。心折れる所か、まるで闘志に火が点いた様に一心不乱に食べていく。そんな二人を見ている内に鷺宮は気付けば、心の中でエールを送っていた。

 

 

「……これで最後!! 激辛ラーメン完食です。や、やりました。私、成し遂げましたよ鷺宮ざ~ん」

「お、おめでとう。良く頑張ったわね。それにお爺さんも完食おめでとうございます」

「……うむ。少しばかり、苦労したがの。ラーメン食いとしての意地もある故な。完食せねば、名が廃るというものよ」

 

 

 

 厳かに言う尊彦だが、鷺宮は内心呆れていた。確かに悶絶する激辛ラーメンを完食した事は凄いと思うものの。些か大袈裟すぎると感じるのは仕方ないだろう。

 

 

「さて、儂はもう行くとしよう。久々に若者と話せて楽しかったぞ。お主らも達者での」

「はい。お爺さんもお元気で。また会ったら、一緒にラーメン食べましょう!!」

「そうじゃな。ところで鷺宮とやら、早く食べた方が良いぞ。ラーメンが伸び始めておる」

「え? ああ!? 私のラーメンがぁ~」

 

 

 尊彦の言葉で自らのラーメンを見れば、彼の言う通り麺が伸び始めていた。どうやら、二人の食べる様を見ている内に自分の箸は止まっていた為、こうなるのは当然である。慌てて食べる姿を尻目に尊彦は会計を済ませて立ち去った。

 

 

 その後、何とか完食したがラーメンは完全に伸びてしまい、鷺宮は二人の様に満足する事は出来なかった。

 

 

【本日の勝敗 鷺宮の敗北 楽しみにしていたラーメンを堪能出来なかった為】

 

 

 

 

「こんにちは。あれ? 今日は鷺宮先輩だけですか? 他の先輩達は何処へ?」

「ああ。白銀くん達は部活連の会合に出てるわよ。本来は私も出る予定だったけど、生徒会の仕事を片付ける人も必要という事でね。庶務の私がそれを請け負った訳なのよ」

「そうでしたか。それと石上も来てないですね。もしかして、サボりでしょうか?」

「石上くんなら帰したわ。近い内にある試験に備えて勉強するそうよ」

「成程。そういう事情でしたか。しかし、不真面目な石上が勉強って、明日は嵐が来そうですね」

 

 

 

 鷺宮から事情を知ったミコは、厳しい言葉を吐くものの。その表情は穏やかだった。顔を合わせる度に喧嘩する二人であるが、何だかんだで認めている所もあるのだろう。

 

 

 

「じゃあ、私はこっちの書類を片付けますね」

「分かった。じゃあ、お願いするわ」

「それと鷺宮先輩…。音楽聴いても良いですか?」

「ええ。構わないわよ」

「ありがとうございます」

 

 

 

 鷺宮の許可を得て、ミコはスマホを取り出して音楽を聴き始めた。別に許可を取る必要は無いのだが、それを聞いてくる所は真面目なミコらしい。そんな事を考えていると、鷺宮の耳にある音が聞こえてきた。

 

 

 

(これは雨の音? 外を見る限りは降っていない。ならば音の出所は……やっぱり伊井野さんのスマホだ。どうする? 此処は指摘するべきかしら? まあ良いか。この手の物は癒されるし、黙っておこう)

 

 

 

 スマホにイヤホンがしっかり接続されておらず、ミコが聴いている音が部屋に響いていた。しかし、断続的に響く雨音は何処か安らぎを与えてくれるのも事実。特に何も言うまいと書類仕事を再開した時、鷺宮の耳はある音を捉える。

 

 

 

 その音とは蛙の鳴き声。降り注ぐ雨の音に合いの手を入れる様に鳴く蛙。自然の中では違和感が無い音であるが、室内で聴くには違和感を感じてしまうのは無理もない。そんな鷺宮の耳に飛び込んできた次の音、それは呻く様な動物の鳴き声だった。

 

 

 

(な、何この鳴き声。山羊…じゃないし、羊でもない。私も聞いた事の無い声だわ。というより、伊井野さんは何を聴いているのよ!! 流石に音が漏れている事を言うべきだろうけど、あの表情……かなり癒されてるみたい。こんな不気味な声で癒されるとか、あの子も藤原さん同様に色物枠なのかしらね? 下手な事を言うと後々、面倒な事になりそうだし、放っておこう。不協和音だけど、我慢出来ない事もないものね)

 

 

 

 音漏れの事を告げるか否かを悩んだ挙句、鷺宮は黙認する事にした。もし伝えれば、ミコに恥を掻かせるだろうし、二人の関係も気まずくなってしまう。そうなれば、周りも自分達の事で気を使わせる事になるのは明白。此処は自分が我慢すればいい。暗示を掛ける様に自身に言い聞かせて鷺宮は仕事を再開する。

 

 

 

 しかし、此処で伝えておくべきだったと鷺宮は後悔する事になる。

 

 

 

 

 

 

 それから数十分が過ぎた頃、漸く不協和音に慣れた鷺宮は淡々と書類を片付けていた時。再び異様な音が部屋の中に響いてきた。

 

 

 

『…だよ。君は素晴らしい。だから自信を持って良いんだよ。大丈夫、君は素敵なんだから』

 

 

 

「………」

 

 

 

 それは若い男性が褒め続けるという癒しボイスだった。それだけならばまだ良いのだが、件の男が喋る声は妙にキザったらしく、これが鷺宮の癇に障った。流石に我慢の限界に来た鷺宮がある行動に出る。

 

 

 

「ごめん。伊井野さん。私も今日は帰るわ」

「へ? でも…まだ仕事が残っていますよ?」

「分かってるわ。だけど、私も試験勉強がしたくなったからね。白銀くん達が戻ったら、そう言っておいて」

 

 

 

 急に立ち上がり、帰る宣言をする鷺宮に驚いたミコが言葉を返すも鷺宮は気にした様子もなく。素早く帰り自宅を整えると生徒会室をあとにした。

 

 

 

「…一体、どうしたんでしょうか? まあ、私も今日は帰ろうかな」

 

 

 

 一人残されたミコもこれ以上、仕事をする気分で無くなり、『今日は帰りますと』書き置きを残した後。戸締りをして部屋を去っていった。

 

 

 

【本日の勝敗 鷺宮の敗北】

 

 

 後日、ミコの性癖が生徒会役員達にバレる事になったのは別の話。

 

 

 

 

 

 食欲の秋。この時期になると様々な食材が旬を迎え、多くの人が食を楽しむ事からそう呼ばれている。

 これには老若男女関係せず、生徒会でも例外ではない。

 

 

 

「そういや、この間…親戚が松茸を贈って来たんですよ」

「ほー。それは羨ましい事だな。実際に買うとなると一万円くらいだろう? 庶民には敷居の高い食べ物だよな」

「大体はそうですね。まあ、五千円で買える場合もありますけど……」

「うーん。だとしても私は買わないかな。食べ物だし、値段が安いと後が怖いもの。だったら、薩摩芋とかどう? これなら値段も手頃だし、安くても美味しく食べる事が出来るよ」

 

 

 松茸について楽しそうに話す白銀達に続いて、鷺宮も会話に混ざる。無論、自分の好きな食べ物をアピールする事も忘れていない。

 

 

 

「薩摩芋ですか。それも乙な物ですよね。焼き芋だけでなく、大学芋とか僕は好きですよ」

「ほう。だとするなら、薩摩芋の甘露煮も良いぞ。あれも意外とご飯のおかずに持って来いの一品だ」

「どれも最高よね。最近だと薩摩芋料理のレシピも増えてるみたいよ」

 

 

 

 

 いつの間にか薩摩芋の話に夢中になる三人。この談義はかぐや達が生徒会室に来るまで続いた。

 その後、折角だからと皆で焼き芋を食べに行こう。そう提案する藤原に珍しくかぐやも賛同し、生徒会の全員で焼き芋を食べる事になった。

 

 

「作戦成功ね」

「え? 鷺宮先輩、何か言いました?」

「ううん。何でもないわ」

 

 

 

 密かに呟いた言葉にミコが反応するが、鷺宮は笑顔で誤魔化すと彼女の背を押していく。その背後では鷺宮は薄らと笑みを浮かべていた。そう、今回は鷺宮の策略だった。

 

 

 

 今日の登校途中に焼き芋の販売車を見掛けて、食べたくなった鷺宮。しかし、一人で買うのは些か寂しい。ならば、他の人を誘って買う事を考えたが昨今の人達が興味を示すと思えない。どうするか悩んでいた所に偶然にも白銀達が食べ物の話を始めたのを見て、策を仕掛けた訳である。

 

 

(多少、話の流れが強引かと思ったけど…石上くんが上手い具合に乗ってくれて良かったわ。今日、あの子が食べる焼き芋は私が奢って上げようかな。何にせよ、久しぶりの焼き芋。楽しみだなぁ)

 

 

 

【本日の勝敗 策略を成功させた鷺宮の勝利】

 




最後まで読んでくれてありがとうございます。


秋と言ったら焼き芋ですよね。
他にも色々あるけど、秋に食べると美味しい食べ物だと思います。



次回も日常の話を予定しています。それではまた
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