今回はフランス校の交流会編です。
それと文字数を幾分減らして読みやすくしてみました。
「なあ鷺宮。少し良いか?話しておきたい事があるんだが…」
「うん?別に大丈夫だけど、何か用なの?」
休み時間 白銀は次の授業の準備をしている鷺宮に声をかけた。今朝、校長から頼まれた用件を伝える為である。
「実はだな。校長からフランスの姉妹校との交流会の企画を依頼されてな。その準備期間中に予定があるのか知っておきたいんだ」
「特に予定は無いかな。でも、どうしてそんな事を聞くの?」
「ああ。交流会は三日後の月曜日なんだよ。これの準備は土日返上でやる必要がある。だから予定の有無を確認しておきたかった」
「随分と急だねぇ。さっきも言ったけど、私は大丈夫だよ。というより生徒会の仕事ならそっちを優先するに決まってるじゃない」
「そうか。藤原書記には先程伝えておいたし、恐らく四宮にも藤原書記から伝わるだろう」
忙しくて人手が欲しい。そんな状況でも相手への気遣いを忘れない白銀に鷺宮は好感を抱いている。だからこそ、返す返事も決まっていた。それに安心したのか。白銀の表情も柔らげる。そんな白銀に鷺宮は少しだけ悪戯心が生まれた。
「え?そこは白銀くんがメールで教えたらいいんじゃない?そっちの方が早いでしょ」
「い、いや…藤原書記がするから俺が送らなくてもいいだろう。とにかく交流会の事は伝えたぞ。じゃあ、また後でな」
「分かった。また後でね」
些か揶揄い過ぎたかと立ち去る白銀を見て、鷺宮は思った。だが、これである確信を鷺宮は抱く。かぐやは白銀に好意を持っているが、白銀もまたかぐやに好意を持っている。それでも妙なプライドから二人は、いつも空回りしていたのだ。
(やれやれ。素直になればいいのに…あの二人が付き合うまで大変だなぁ。まあ、切っ掛けがあればすぐだろうけどね。だけど、少し羨ましいなぁ。私も好きな人が出来たら、あんな感じになるのかな?想像出来ないわね。今は来たる交流会の事を考えよう)
ふと自分が好きな人が出来た時の事を想像するが、そんな自分の姿を想像出来ず、鷺宮は先に迫る交流会に集中する事にした。
「こんにちは。皆、もう来てますか?って…これは何?」
「ああ、来たのか。これは藤原書記が持って来たんだ。何でも来賓の歓迎に使うらしいが…」
「そうですよ! フランスは日本に次ぐコスプレ大国ですし、言葉よりも通じる部分があると思うんです」
生徒会室に置かれた箱には、様々な衣装が入っている。藤原は言葉より通じるというが、鷺宮は半信半疑で衣装を見ていた。かぐやも同様の気持ちなのか。冷めた視線を藤原に送っていた。
「ですが、今回の交流会の来賓は衆知院の姉妹校なのでしょう?歓迎する私達が仮装して相手が喜ぶとは思えませんね。寧ろ、ふざけていると感じるのでは?そうなったら、衆知院の名に傷を付ける事になりますよ」
「私も四宮さんに賛成かな。元々、その類のイベントなら分かるけどさ。流石に学園の行事でこれは辞めた方が良いと思う」
仮装を推奨する藤原と対称的に鷺宮とかぐやは仮装に反対していた。だからといって、鷺宮は仮装が嫌いという訳ではない。個人的に楽しむのであれば、鷺宮も賛成していだろう。しかし、交流会という大勢の人が集う場で仮装をするつもりはない。単純に奇抜な格好を人前に晒して、弄られるのが面倒なだけである。
「仰る事は私も分かります。ですが、普通に歓迎しても相手の記憶に残らないのではそれこそ詰まらないじゃないですか!! 試しにやってみると意外に楽しいかもですよ? 一度これを付けてみてください」
それでも藤原は引き下がらない。こういう機会が無い限り、鷺宮とかぐやは仮装をしないという事を藤原は知っている。だからこそ、藤原は勢いで仮装を二人に迫った。何だかんだで嫌と言えない性格を知った上での行動である。
「こう付けるの?」
「にゃあ… こんな感じでしょうか?」
「可愛い~ 二人共、とても似合ってますよ。会長もそう思いますよね?」
「ああ。そうだな…猫耳が藤原書記の頃、四宮は俺だな」
「…はい?」
「つまりだな。お前が持って来た鷺宮は元々、四宮と猫耳の時間だという事だ」
「いや、意味が分からないから。支離滅裂にも程があるでしょ」
突然、おかしな発言をする白銀に藤原は怖がり、鷺宮はドン引きしていた。白銀は今までにない衝撃を受けて、頭脳は混乱状態にあった。それは目の前にいる一人の少女によるものである。
相利共生
猫耳と少女。この世には組み合わせるべくして、生まれてきたといっても過言ではない関係が存在する。例えるならクローバーとミツバチ、ワニにハチドリ、アボガドに醤油。これらの組み合わせは最大のポテンシャルを引き出すに至った。
そして人間の大多数は猫が好きであり、白銀も猫好きの人間だった。そんな彼の前にいるかぐやと猫耳。この二つの存在は白銀の目にどう映ったかというと…
(かわぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!)
他者にはともかく、白銀にとってこれは最高の組み合わせ。
(いや、これはヤバイだろう。あの四宮が可愛い思う訳が…可愛ぇぇぇぇぇぇぇぇ!! いかん、いかんぞこれは…可愛ぁぁぁぁぁぁぁぁっ)
結果、白銀は暴走していた。
(白銀くんのあの様子、どう見ても四宮さんを意識してるよね。まあ、猫耳姿の四宮さんは確かに可愛いから分かるわ。だけど、私も猫耳を付けてるんだけどなぁ。何の反応も無いのは少し腹立つわね。ちょっとばかし、仕返しをしてもいいよね)
かぐやを凝視する白銀の様子から、鷺宮は彼の心境を把握した。そんな白金の気持ちを理解しているが、同じ猫耳を付けている自分に反応が無いのは…鷺宮としても複雑な気持ちを抱く。その仕返しとして、鷺宮が取った行動は郷に入れば郷に従え。そっと白銀の背後に回ると彼の頭に猫耳を装着した。
「折角だし、会長も付けてみたら?…ブフッ ほ、ほら…意外と似合ってるじゃないの」
「えー そうですか? 何というかあんまりですね」
「ずばり言うな。てか、鷺宮も笑ってるじゃないか。第一、男の俺に猫耳が似合う訳ないだろう」
(お、おかわわわわわわわ!! な、何!?猫耳を付けただけなのに会長が凄く可愛く見える。ああ、鷺宮さん。貴女…何て良い仕事をするのかしら!! どうしよう、口の緩みが戻らない)
白銀がそうである様にかぐやにとっても、白銀と猫耳は最高の組み合わせである。彼女は緩んだ口元を見られまいと自らの舌を噛み、口元を引き締める。しかし…それは完璧ではない。中途半端な笑みが漏れている事にかぐやは気付いていない。
それを表に出したまま、かぐやは猫耳姿の白銀を見つめていた。その視線に白銀も気付いており、彼はかぐやに問い掛けた。
「何だ?四宮…その顔は?俺の猫耳姿がそんなにおかしいのか?」
「いえ、そうではありません。とてもよくお似合いだと思いますよ」
この言葉に嘘は無いのだが、それを素直に信じる者はいない。白銀にはかぐやの目が虫を見るかのような目に感じてショックを受けていた。
「うーん それなら他の仮装はどうですかね?そうだ。会長には猫耳よりも悪魔の角なんてどうでしょうか~」
「あらあら、藤原さん。会長にそんな仮装なんて駄目ですよ。めっ、めっーですよ。分かりましたか?」
「は、はい。何か、今日はかぐやさんも怖いです~」
「ほらほら、四宮さんも落ち着こうよ。そうだ。会長の猫耳姿は滅多に見れない機会だし、一枚だけ写真撮ろうよ。私も欲しいからさ」
「それは名案ですね。会長の姿を未来永劫、残して上げなければ」
鷺宮とかぐやの言葉に白銀は戦慄した。日常なら何気ない一言だが、この時の白銀には死刑宣告に等しいものだった。
(四宮のあの顔…。間違いない、あれは絶対に強請る顔だ!! もし…この姿を撮られたら取引材料や脅しに使う気だ。それに俺のこんな姿が学校にバラ撒かれたりしたら、俺の生徒会長としての威厳が無くなる。何としても写真に撮られる事は阻止せねば…)
「駄目に決まっているだろう。第一、今は他にやる事も多いんだ。遊ぶのは止めにしないか?」
「えー 一枚ならいいじゃないですか~ さぁかぐやさんも一緒にどうです?」
「そうだね。折角だし、会長と副会長のツーショットは見栄えするでしょ」
「その写真はデータとして残すのか?」
「はい。ラインで送りますよ」
此処で白銀は思考する。
(写真を撮られたら弱みを握られるが、同時に四宮の可愛い姿も合法的にデータとして入手出来る。どうする?俺の威厳か、四宮の猫耳姿か…俺はどっちを選べば良いんだぁ)
両天秤。白銀はこの究極ともいえる二択に迷っていた。メリットもデメリットもどちらの重さはほぼ同じ。この機会を逃せばかぐやの猫耳姿を拝める日は絶対に来ない。そして白銀が選んだのは…
「まあいいだろう。篤と撮れ藤原書記」
悩んだ挙句、選んだのはかぐやの猫耳。普段ならしないが今回ばかりは己の欲望が理性を上回った。
「そ、そうですか。でしたら藤原さん。一番いいので撮影頼みます。ほら最近、流行りの4Kっていう奴で」
「は、はい。分かりました」
またかぐやも撮影に賛成の意思を示した。かぐやも撮られる事になると予想はしてなかったが、白銀の猫耳が残せるなら断る理由も無い。彼女も珍しく、自分の欲望に忠実であった。
しかし、この撮影は思う様に進まない。隣り合うお互いを意識して二人は歪な笑みを浮かべて、カメラを向ける藤原を大いに困惑させていた。
「あの~二人共。もう少し、ニッコリ笑ってください!」
「そうだよ。てか、何で睨み合ってるのよ」
「も~お二人が仲良く出来ないなら、これは没収です!!」
何故かお互いを睨み合う二人に流石の藤原もタジタジであった。それに鷺宮が助け舟を出すも、二人の耳に届いている様子は無い。やがて我慢の限界を迎えた藤原が白銀とかぐやから猫耳を奪い取って、この出来事は終わりを迎えた。
【本日の勝敗 猫耳姿の二人の撮影に失敗した藤原書記と鷺宮の負け】
「さて交流会についてだが、皆も知っての通り時間が無い」
「うん。予定としては、土曜日に必要な物の買い出し。日曜日に会場の設営だね」
「ああ。それと可能なら土曜日の段階で設営も進めておきたいから、買い出し班と設営班で分けてやりたい。その振り分けをどうするかだが…」
「土産物に関してですが、細かい物を選ぶので人数は二人でも何とかなると思います」
「何を買うかも重要だよね。日本らしさで決めるなら和菓子や扇子といったものかな?だけど、良し悪しもあるだろうし、そういうのに詳しい人が必須になるから。四宮さんは買い出し班に回ってもらう方が良いわね」
「となると残りの三人はどちらに回るかだな…」
猫耳騒動の後、白銀達は交流会の話し合いを開始した。まず議題に上がったのが、各役割を誰が行うかであった。その中で来賓に渡す土産は和菓子と扇子等の小物で決まり、それらに詳しい知識を持っているかぐやが買い出し班に割り当てられた。
「買い出しは全員分だから、かなりの量になるわね。一度に買っても運べないし、何度か往復する事になりそう」
「うわぁそれは面倒ですね。週末の都心は人が多いから私は嫌ですよ~」
「確かにな。だが、誰かが行かないといけないだろう」
「まあ…大変なのは分かりますけど、誰も行きたがらないのでは困りますよ」
残る三人の役割をどうするのか。全員が考えていると…藤原が何かを思い付きそれを口にした。
「でしたらゲームで決めませんか?」
「ゲーム?それは負けたら行くってやつ?」
「はい。そうです!! じゃんけんでもいいですけど、これは苦手な人が不利ですし、その点ゲームなら公平に勝負出来ますから」
「そいつは面白そうだな。それでどんなゲームで勝負するんだ?」
「はい! 今回やるのはNGワードゲームですよ」
藤原の提案。それはゲームの勝敗で買い出し役を決める事であった。一見、不真面目な提案だが話し合いで決まらない現状では最善とも言える策であり、単純な話。藤原のいうNGワードゲームに興味が湧いたのもある。
【NGワードゲーム】
その名の通り、特定の言葉を言ったら負けというシンプルなゲームである。
「まず、この紙にNGワードを書いて右隣の人に渡すんです。因みに渡された紙は自分に見えない様に頭に掲げて下さいね」
「こうか。成程、自分からはワードが確認出来ない訳か」
「ルールは理解出来ましたか?」
「ああ。簡単だな…」
「はい ドーン。会長の負けです」
「何!?こんなあっさり終わるのか」
「そうそう。藤原さん、四宮さんはどうするの?既に買い出し班と決まってるでしょ?」
白銀にルールを説明していた藤原に鷺宮はある疑問をぶつけた。その問いに藤原も頭を悩ませる。確かに役割が決まっている以上、このゲームに参加する必要はないが、一人だけ仲間外れにするのも気が引ける。
「でしたら、NGワードのお題は私が書いてもいいですか?それなら一応、ゲームに参加する事になりますもの」
「あ、それは良いですね。それじゃあ、お題はかぐやさんにお願いします」
「分かりました。今書くので待ってくださいね」
直接、ゲームに参加しないかぐやは三人のお題を書く役目を受けた。暫し考えた後、お題を書き終わったかぐやは三人へ紙を手渡してゲームが始まった。
(ゲームに参加するの俺と鷺宮と藤原書記の三人か。既に四宮は買い出し班に決まっているから、先に脱落した者が四宮と買い出しに行けるわけだな。鷺宮の話だと買い出しの量は多くなりそうだし、男の俺が行くべきだろう。ならば…このゲームに負ける必要があるな。その場合、俺は二人の誘導に乗って負ければいい。まずは藤原書記の方から攻めるか)
方針が決まり、二人のNGワードを見て、白銀は固まった。藤原のワードは『台風娘』そして鷺宮のワードは『空気』という口に出して言うには憚られる単語であった。
(何だあのワードは…四宮の奴。何を考えてこの単語を選んだんだよ。普通に悪口と思えるワードだぞ。これを二人に言わせるのか?ヤバイ、簡単なゲームだと思っていたが…此処に来て難易度が一気に跳ね上がった)
白銀が信条としているのは利己の為に他人を傷つける行為を許さない事である。もし…このゲームにおいて、自分が態と負ければ二人にNGワードを言わせずに済むだろう。だが…それは見方を変えれば、二人のワードに書かれている事が事実だと言っているに等しい。
しかし、その行動は結局相手を傷つける事になりかねない。だったら自分が取る行動は一つ。故に白銀は下手な遠慮は無用と心を決めた。これは只のゲームだ。例え、悪口と思えるワードでも正々堂々とやればいい。
「さて…二人共。これが勝負である以上、俺は手加減しない。最初から本気でやらせてもらうぞ」
「「はい どーん」」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!?」
開幕、早々…このゲームは白銀の敗北で終了した。NGワードゲームとは...他者を如何に理解しているかが問われるゲームである。その点、『本気』というお題を書いたかぐやは白銀の心理をしかと把握していた。全てはかぐやの掌で転がされていたのだった。
【本日の勝敗 白銀の完敗】
怒涛の週末が過ぎて迎えた月曜日の午後。生徒会は何無事、交流会の開催にこぎ着けた。
「何とか間に合ったな」
「はぁ~ 悪天候で土曜が潰れたから実質、一日しか準備期間無かったもんね。ホント、大変だったわよ」
「皆さ~ん お疲れ様でした。よく頑張ってくれましたね」
「別にこれ位なら問題ありません。ですが、次からは早めに言ってください。他の役員に負担を掛けるのは俺の方針ではありませんので」
「ハハハ 分かってマース。まあ、皆さんも交流会を楽しんでくださいね」
準備で疲労困憊の生徒会役員に校長が労いの言葉をかけた。本人も交流会を楽しみにしていたのだろう。校長の顔はとても満足そうであった。しかし…この企画に思う所がある白銀は校長にその旨を伝えた。それには校長も反省した様で素直に白銀の忠告に頷いた。
「そうだ。会長、私は生徒会室に戻っていいかな?」
「それは構わんが…鷺宮は交流会に出席しないのか?」
「えー 鷺宮さんも参加しましょうよ。折角の機会なんですよ」
「私もそう思うわ。貴女も準備に尽力してくれたのですから」
「実はさ。私、フランス語は話せないし、参加しても会話が成立しないからさ。三人は立場上、出ないといけないけど…私はその必要が無いからね。それに交流会に関する書類もあるでしょ?それを今の内に少しでも終わらせれば、あとが楽だもの」
「分かった。それじゃ、頼むとしよう。但し、無理はするなよ。ある程度やったら、今日は帰って休んでくれ。校長にも言ったが、役員に負担を掛けるのは俺の方針では無いからな」
「うん。そうするよ。じゃあ、三人共。また明日ね」
鷺宮の言葉に一同は驚いたが、彼女の言い分に反対する理由も無い。鷺宮は白銀達と別れ、その足で生徒会室に向かった。
「こんにちは。あ、鷺宮先輩…此処にいたんですね。今日は交流会に出てるんじゃないんですか?」
そして鷺宮が生徒会室で書類の整理を始めて間もなく、一人の男子生徒が生徒会室に姿を見せた。彼の名は石上優。生徒会五人目のメンバーであり、彼は会計役員として生徒会に所属している。普段は自身の仕事を家に持ち帰って処理している為、余り顔を合わせる機会は少なかった。
恐らく今回も仕事を持ち帰るつもりで寄ったのであろう。
「うん。私だけは参加しなかったのよ。フランス語は喋れないし、大勢の人がいる場所は苦手だからね」
「そうなんすか。まあ、自分も人が多い所は苦手なので分かりますよ」
「ところで折角だし、仕事を手伝ってくれないかしら?今回、買い出しの決算報告もあるからさ」
「はぁ…別に僕は構いませんよ。ていうより、先輩の頼みを断れないですよ」
「ありがとう。じゃあ、石上くんはこれをお願いね」
鷺宮の頼みを石上は快く引き受けた。それから二人は黙々と仕事をこなしていく。そのおかげもあって、夕方になる頃には殆どの書類は片付いていた。
「大方、仕事は片付いたね。ああ~疲れたぁ。石上くんもお疲れ様!!」
「いえ。これも会計の仕事ですからね。それより、この後はどうするんですか?」
「うん?この後?勿論、帰るよ。会長からも無理はするなと念を押されてるからね」
「そうですか。じゃあ、僕も帰りますよ。これで失礼し「石上くん」はい?」
「この際だし、一つだけ言っておくよ。今後、生徒会にもっと顔出しなさい。皆、君の事を心配してるからさ」
帰り支度を済ませ、部屋を出ようとする石上を鷺宮は呼び止めた。そして自分が思っている事を素直に口にした。その言葉に石上は返事を返す事なく、会釈して部屋をあとにする。そんな不器用な後輩の後ろ姿を鷺宮は静かに見つめていた。
【本日の勝敗 石上を少し素直にさせた鷺宮の勝利】
今回の話、いかがだったでしょうか?
話を纏める理由もあって、原作とは違う展開にしてみました。
個人的にはNGワードゲームでの四宮と藤原のやり取りは書きたかったけど、ゲームに参加する人数を増やすと上手く話を進める事が出来ずに断念する形になりました。これを楽しみにしていた人は大変申し訳ありません。
また石上くんも早く絡ませたかった事もあり、今回は鷺宮は交流会に参加してません。
それでは次回もお楽しみに